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「前田医師とご対面です。」
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前田は白金総合病院の北病棟にある職員専用の食堂に居た。丁度、夕食を食べ終え、お茶を飲んでいた時に携帯が鳴った。電話に出ると相手は井上若菜看護婦長だった。
「はい、前田です。お風呂は終わりましたか。」と前田。
「はい。齋藤 彗神子さんは、今、部屋に戻っています。」と携帯から井上の声がした。
「それで、どうでしたか。性器の確認は出来ましたか。」と前田。
「それが、齋藤 彗神子さんは体毛が濃くて、体の毛髪量が多く、特に性器付近の体毛は非常に毛深く量が多いため目視での確認は出来ませんでした。ご希望に答えられず、申し訳ありません。」と井上。
「そうでしたか、それは仕方がないですね。私はこれから診察室に戻ります。30分後に診察室に齋藤 彗神子さんを連れて来て下さい。それから、一通り頼んだ検査結果はいつ頃に出ますか。」
「報告書は今夜中に書き上げるように臨床心理士の高階(たかしな)さんに伝えてあります。明日にはお渡しできると思います。」
「高階さんは何か言っていましたか」
「精神に異常はなく、安定しており、非常に、高知能であると言っていました。その他のことは前田先生と直接、お話しすると言っていましたよ。」
「わかりました。明日の午後のスケジュールに高階さんと話ができる時間を入れておいてください。」
「はい。時間は決まりしだい連絡します。それでは、三十分後、診察室に齋藤さんを連れて伺います。」と言い井上若菜看護婦長の電話が切れた。
前田は残っていたお茶を一気に飲み干すと、席を離れ食堂を出た。丁度、食堂も店じまいの時間だったらしく入り口に置かれているメニューがかかれた看板を厨房に居た料理長らしき男が下げていた。前田は「ごちそうさまでした。」とその男に声を掛け、食堂を後にした。
病院の北棟から外の様子は分からなかったが、雨が降っている気配もなかった為、前田は、来た道をそのまま戻った。精神病棟に戻る途中で、一度、外に出る必要があり外に出た。精神病棟は白金総合病院の敷地の東側にあり、精神病棟に行く道は、南側にある正面入り口と建物の北側の裏へ行く道と交差していた。その道を来た時と同じように歩いていると、北側に抜ける道沿いにある職員専用の通用口付近にある関係者専用駐車場に一台の車が止まり中から人が降りて来た。前田はその音に気付き、何気なくその音がする方向を見た。すると、車からは知った顔の男が降りて来た。その者は職員専用の通用口から病院に入って行くところだった。それは、昨夜、一緒に飲んだ飯沼勝彦(いいぬま かつひこ)だった。
飯沼は金沢大学医薬保健研究員で精神行動科学を主に研究している。今日の午後には金沢に戻ると言っていたはずだ。それなのになぜ、この病院に居るのか、来るなら来るで、なぜ、自分に連絡してこないのか、いや、自分は資料の読み込みと診察で忙しかった。当面、緊急用件以外は、電話を受け付けない指示を看護師にしていたから、自分に看護師から伝言が来ていないだけなのかもしれない。しかし、携帯に直接連絡をしてもよさそうなものを・・・前田の携帯への着信もメールの履歴も飯沼からのものは届いては居なかった。前田は後を追い、声を掛けようかと一瞬、迷った。しかし、これから診察が待っている。飯沼には後で電話をして何か用事があったのか聞けばよいと思い直し自分の診察室へ先を急いだ。
前田は自分専用の医務室に立ち寄った。そこで、ふと思った。齋藤 彗神子の診察は診察室より、この医務室の方が良いように思う、診察室に用意された椅子では小さいかもしれないと・・・。そして、携帯で井上若菜婦長に連絡を入れた。「井上、婦長ですか・・・。前田です。この後の齋藤 彗神子さんの診察ですが、医務室に場所を変えたいのです。診察室では椅子が小さく狭すぎるように思います。医務室の四人掛けのソファに座ってもらった方が良いのではないかと思うので、医務室に連れて来て下さい。」
「わかりました。では、これから医務室にお連れして宜しいですか」電話に出た井上が訊いた。
「はい。私は今、医務室に居ます。齋藤 彗神子さんを連れて来て下さい。それでは、後ほど・・・」と言い前田は電話を切った。
数分して医務室のドアをノックする音がした。
「どうぞ、入って下さい。」前田が答えると、扉が開き最初に井上が現れ、後に続き大きな巨体の齋藤 彗神子が頭を入り口の縁にぶつけないようにくぐらせ入って来た。後ろには警官二人が付き添っていた。
警官の一人も一緒に中に入った。
「前田先生、齋藤 彗神子さんです。」と井上が言った。
「齋藤 彗神子さんですね。そこに座って下さい。」と前田は動揺を抑えながら四人掛けのソファを指さした。あら、気が利くじゃない・・・と齋藤 彗神子は思いながら指さされたソファにゆっくりと腰を下ろした。
「夕飯はどうでしたか。病院食じゃ物足りなかったのではないですか。」と前田は言い、彗神子の反応を伺うように、少し間を置いてから、「お茶でもどうですか、夜なのでノンカフェインのカモミールティでも飲みませんか」と訊いた。
齋藤 彗神子は「いただくわ。」と返事した。
「警察の方と井上婦長は席を外して頂いてもよろしいですか。齋藤さんと二人で話がしたいのでお願いします。」と前田は言った。井上看護婦長と室内に一緒に入った警官は前田の言葉に従い部屋を出た。前田は二人が部屋を出るのを見送ると、ソファ前のテーブルにあらかじめ用意して置いたカップに紙パックに入れられたカモミールの茶葉を入れポットのお湯を注いだ。しばらくすると、部屋の中に柔らかなカモミールの匂いが広がった。「あら、良い香り。素敵ね」と彗神子の口から言葉が漏れた。
「ハーブティはお好きですか」前田は優しく訊いた。
「そんなに、詳しくはないけれど嫌いじゃないわ」(何だか、女扱いされている感じで嬉しい・・・。)彗神子は答えながら思った。
「今日は、遅い時間にありがとうございます。」前田は彗神子の前にカモミールティを差し出しながら言った。「あまり眠っていないでしょうから、眠りたいでしょう。しかし、いくつかお話を伺いたく思います。退屈かもしれませんが、少しの間、お付き合い下さい。」前田が言う。
(あら、何、何だか低姿勢で良い感じ。)「良くてよ。どんな、お話かしら・・・」と彗神子。
「ご家族についてお伺いしても良いですか。」
「家族? 家族のどんなことを知りたいの。」
「お父さんとお母さんはご健在ですか? ご兄弟はいますか・・・」
「父は数年前に死んだわ。母は、今頃どこにいるんだか。生きていると思うけど何しているかは、わからないわ。兄弟は居ないはずよ。私の知る限りではね・・・。父も母も自由奔放の人だったから、私の知らないところに何人か兄弟が居てもおかしくは無いと思うけど。どうして、こんなこと訊くのかしら」
「一般的な質問です。特別な意味は無いですよ。当たり前のことを当たり前に一通り訊くのです。気に障ることがあったら答えなくても良いです。」と前田。
「そうなの。まぁ、良いけど、で、他に訊きたいことは何? さっさと一通り訊いて終わらせましょ」
前田は齋藤 彗神子のマイノリティについて、先に訊くか、どうして橋の上で大声を張り上げていたのかを先に訊くか迷った。そしてこの場が壊れる可能性が低い問題を先に訊くことにした。
「万代橋の上で大声を出していたということですが、何をしていたのですか」
「やぁね、警察に頼まれたのね。私が何をしていたかなんて、あなたには関係が無いことよ。それに、あなたの人間味が深くなければ、私を理解するのは無理よ。だいたい、ろくな人生経験しかしていない人間ほど、あること無いことピーチクパーチク自分の妄想を捲し立てて、くだらない時間を過ごして人生を無駄にするのよ。ひとの事を詮索している暇があったら、もっと自分と向き合えばいいじゃない。」と彗神子は言い(どーせ、警察と同じように薬の密売していた現場だとか、仲間割れして喧嘩していたとか思っているのよ、こいつは・・・)と思った。
「私は、今、齋藤 彗神子さんにお会いしたばかりで、彗神子さんのことは、よくわからないです。できれば、もっと知りたいと思います。私が思うに、何かストレスがあって、それを発散するために一人で大声を出していただけのようにも思うのですが、どうでしょう。」
(あら、わかっているじゃない。ふぅ~ん。そーなの。じゃあ、私も頭ごなしに無視はできないわね)「まぁ~いいわ。教えてあげる。警察でも散々聞かれたけど、私が何も話さないから、私の頭がおかしいのか調べるために、ここに送られて来たんでしょうし、いつまでも黙っていても仕方がないものね。」と彗神子が話し始めた。
「そうね。あなたが言ったストレス発散よ。ストレス発散していたの。ほら、茨木にある神社の祭りで悪態祭りってあるの知ってるかしら、あれよ・・・。昨日は私の誕生日だったの。毎年ね、新しい年を始める前に、前の年にあった嫌な事や我慢したことを外に向かって言い放つのよ。体にためるのって良くないじゃない。だからと言って、暴言吐いて暴れ回っちゃいけないわ。そうかといって、今の世の中、怒りを抑える大人な対応しないといけないことばかりでストレスたまっちゃうじゃない・・・。だから、年を越えて持ち越さないように、大声で怒鳴り捲し立てるのよ。毎年、船の上で海に向かって言うんだけど、今年は新潟市に来ないといけない用事があったから万代橋を選んだの。」
「もしよかったら、その怒りの内容をここで話して言っても良いですよ。私はそういう話を聞く人です。気持ちが楽になるかもしれない。」
その言葉を聞いて彗神子は、(言えるわけないじゃない、旧友に騙されたからと言って、旧友の家の葬式詐欺に加担したなんて話したら私は犯罪者として当分、日本に留まらなくてはならなくなるわ)と思った。そして、再び、怒りがこみ上げて来た。(だいたい、オッコとマチがいけないのよ。実家の跡片付けなんて自分たちでするに決まっているじゃない。それをお金で解決しようとして、片づけ代金を親戚中から回収するのに私を使うなんて。それも、「職場にお金を取りに伺います。」なんて、暴れますよ的な脅迫めいた手紙まで出して、私を奴らの親戚の職場にまで連れて行って見せつけたらどう思われるか、わかりそうなもんじゃない、この私を連れて行くって、どう考えても恐喝じゃない。訴えられても仕方が無いわよ。それに、蓋を開けたら、びっくり仰天、マチが親戚中から借金していて、あいつ、どの面下げてお金の回収なんてできるわけ、笑えるわ、片づけた中身はオッコとマチのものだらけ、ほんと、馬鹿なのはわかっていたけど、馬鹿過ぎよ。そして、それに付き合った私も間抜け。あぁーほんと気分悪い。死んじゃいなさいよ。あんな、バカ女ども・・・)ふつふつと彗神子の心の中で怒りがこみ上げ、鼻の穴が広がって来た。それを前田は察して「どうぞ、話して下さい。」と再度、言った。
「いいえ、いいの。もう、橋の上で散々怒鳴ったから。今ここで話始めたら二次被害を出しかねないわ、あなたの鼓膜が破れるかもしれないわよ」と彗神子は答えた。
「嫌なことが沢山あったのですね・・・。良いことも何かありませんでしたか。」前田が改めて訊いた。
「そうね。私、漁師でしょ。ほとんど海の上で過ごすの。良いことは魚が大量に釣れること。悪いことは大しけで魚が釣れなかったり、仕掛けや船が壊れたりすること、他には特別何も無いわ。毎日、あっと言う間に過ぎて行くし、一等航海士の免許持っているから、どこかに行こうと思えばどこにでも行けるけど、釣りをしている方が楽しいのよ。これって天職ね。それに、唯一の仲間のナカタのおやじとは気が合うし。そういう意味では毎日、幸せよ。」
「そうですか。それは良かった。ところで、ご結婚はされているのですか、また、恋人はいるのかな」
(結婚・・・彗神子は母の世末子の言葉を思い出した。66歳までに結婚して、産むか産ませるか、どちらか決めなさいと母は言っていた。あれはどういう意味なのだろう。)
「結婚はしていないわ。66歳までにしないといけないんでしょ。」
「66歳までに結婚しないといけないって誰かが言っていたのですか。」
「母が以前、言っていたの。みんな66歳までに結婚するんじゃないの? こんな話を人とはしたこと無いから、一般常識なのかと思っていたけど。」
「最近は、結婚しない人も多いですし結婚も晩婚になって来ているので、結婚に関しては色々な考えがありますね。そうですか、あまり、結婚とか恋愛とかの話はしないのですね。ところで、好きな芸能人は居ますか。船の上だとテレビとか見ないのかな。」
「船の上でもテレビは見れるわよ。でも、私は、ほとんど見ないけど・・・。そう言われてみれば、ビジュアル的に好きな芸能人は居ないわね。ミュージシャンならルックスじゃなくて好きな人はいるけど、人が好きって言うより音が好きなだけだから、ヒト的に惚れているは居ないわね。毎日、仕事に追われていて、そんな余裕ないって感じ・・・。駄目ね、私。いつの間にかつまらない大人になっちゃったわ」
齋藤 彗神子の性向が中々見えてこないと前田は思った。さて、どんな話の展開を持って行けば自然と読み取れるかと考えながら「これから、どんなことをしたいとか考えたりしますか」と質問した。
「そりゃー考えるわよ。新しい船を買いたいし、そしたら、一部屋は和室にするわ。今日、思ったんだけど畳の間を作るの。」
「その和室の部屋に招待したい人は居ますか」
「招待? 誰かお泊りさせたいかってこと。そーねー。船酔いしない人ならだれでも良いわよ。酔われてゲロ吐かれると嫌じゃない。」
「それじゃ、子供は泊められませんね。子供は好きですか。」
「子供? う~ん。あまり、接したことがないから何とも言えないわ。先生まで産むか産ませるかどちらにするのかとか聞いてきたりしないわよね」
「産むか、産ませるかとはどういうことですか。」前田はあえて、齋藤 彗神子を女として会話してみることにした。「齋藤さんは女性なので産む方ですよね。確かに女性にも適齢期はありますから、適齢期を過ぎての高齢出産は危険ですし、そういう意味で代理出産を頼むために人に産ませるということも言えますが、そういう意味ですか」と訊いた。
「あぁ~。そういうこと。意味がわからなかったのよね。母がね、66歳までに結婚して産むか産ませるか決めろって言ったのよ。66歳って高齢だものね。なるほど~。代理出産ね・・・。」
この時、前田は確信した。彗神子は自分を女と思っているが女と男がどんなものなのか知らない可能性があると・・・。つまり、自分の体について無知な状態のままなのかもしれないと思った。これは、時間を置いて染色体の話をきちんと本人に話す必要があるかもしれない。多分、本人はこのことについて誰からも教えられていないし、周りも知らないことなのかもしれない。
時計の針は21時になろうとしていた。「今夜は、この辺でお話は止めておきましょう。明日、また、お話しできるようでしたら、お話しましょう。」と前田が言った。
「そう。じゃあ、今日はこれで終ね。ところで、電話を掛けたいんだけど借りられるかしら。私ね
、本当なら今日には糸魚川に戻って、明日には漁師仲間と海に出る予定になっているの。でも、無理じゃない。この状況を連絡入れておかないといけないのよ。」
「ナカタ漁業さんには警察から既に連絡が言っているそうです。改めて齋藤さんとお話をする時間を作ると伝えて欲しいと警察の方に言われていました。伝えるのが遅くなってすみません。」
「あら、そう。それなら良かったわ。連絡を入れてくれたのね。ナカタのおやじも、警察からじゃ、きっと驚いたと思うけど。まぁ、仕方が無いわよね。」
「それでは、今夜はこれで、また、明日、改めて・・・」と前田は言い、電話で井上若菜看護婦長を呼び出した。井上が現れ、齋藤 彗神子と外で待機していた二人の警官を連れて四階の独房室に向かった。その後ろ姿を見届けると、前田は伊藤警部補に連絡をした。
「伊藤です。前田先生ですね。」前田が伊藤の携帯に電話を掛けるとワンコールで電話に出た。それは、まるで、携帯を握りしめて待っていたかのように素早い対応だった。
「はい。前田です。今、診察を終えました。」
「で、どうでしたか。」
「齋藤 彗神子さんは、いたって普通です。橋の上での出来事はストレスを発散していたということですが、まぁ、その辺のことは真実かどうかは別として、テスト結果はまだ出ていないのですが、私の見立てで言えるのは精神構造はシンプルであると思います。自分にもそれりに満足しているようですし、ただし、本人の性については本当の事は分かっていないように思います。誰からも話してもらっていないようですし、他人と比較したことも無いのでしょうね。本人の為にも染色体の話はした方が良いと思います。それから、母親の行くへは分からないと言っていました。兄弟に関しては齋藤 彗神子さんが知る限り、いないとの事ですが、齋藤さんいわく、両親は自由奔放な人の為、外に他に子供が居てもおかしくはないと言っていました。とりあえず、夜も遅いのであまり深く追及するようなことは話さなかったです。」と前田。
「そうでしたか、ありがとうございました。」と伊藤。
「ところで、明日は、何時にこちらにいらしゃいますか」と前田。
「齋藤 彗神子の拘束期間が延びたのです。例の糸魚川の明星山事件の重要参考人として立件出来たので明日以降は糸魚川警察署と合同調査になります。それで、糸魚川から刑事が来るのが午後になるので、昼過ぎにそちらに伺うことになります。明日の午前中は、前田先生の方で聞き足りないことがあれば話を聞いてもらっても良いのですが、どうしますか」
「検査結果に目を通していないのでその内容次第ですね。他にも診察しないといけない患者さんがいるので、明日、齋藤さんに割く時間はあるかな~。まぁ、明日以降に考えますよ。今日は、これで終わりにしましょう。頭の思考回路が回らなくなって来ましたからね。」
「わかりました。では、また、明日の午後に病院に伺った時に声を掛けます。」
「あぁ、そうだ。齋藤さんが親戚のナカタ漁業さんと話がしたいそうです。拘留期間が延びたならその旨、伝えないとだめですね。ナカタさんと齋藤さんを一度、どこかで合わせるかしてあげて下さい。」と前田。
「はい。お気遣いありがとうございます。明日、ナカタさんに連絡します。それでは、今夜はお休みなさい。」と伊藤。
「はい。おやすみなさい」と前田は言い携帯を切った。前田にとっては六月七日と言う日は、とても長い一日だった。そして、ここ数日の自分らしくないハードな動きに疲れを感じていた。鞄と上着を手に持ち、車の鍵を握りしめると、医務室の電気を消し外に出た。そして部屋に鍵を掛け病院を後にした。
「はい、前田です。お風呂は終わりましたか。」と前田。
「はい。齋藤 彗神子さんは、今、部屋に戻っています。」と携帯から井上の声がした。
「それで、どうでしたか。性器の確認は出来ましたか。」と前田。
「それが、齋藤 彗神子さんは体毛が濃くて、体の毛髪量が多く、特に性器付近の体毛は非常に毛深く量が多いため目視での確認は出来ませんでした。ご希望に答えられず、申し訳ありません。」と井上。
「そうでしたか、それは仕方がないですね。私はこれから診察室に戻ります。30分後に診察室に齋藤 彗神子さんを連れて来て下さい。それから、一通り頼んだ検査結果はいつ頃に出ますか。」
「報告書は今夜中に書き上げるように臨床心理士の高階(たかしな)さんに伝えてあります。明日にはお渡しできると思います。」
「高階さんは何か言っていましたか」
「精神に異常はなく、安定しており、非常に、高知能であると言っていました。その他のことは前田先生と直接、お話しすると言っていましたよ。」
「わかりました。明日の午後のスケジュールに高階さんと話ができる時間を入れておいてください。」
「はい。時間は決まりしだい連絡します。それでは、三十分後、診察室に齋藤さんを連れて伺います。」と言い井上若菜看護婦長の電話が切れた。
前田は残っていたお茶を一気に飲み干すと、席を離れ食堂を出た。丁度、食堂も店じまいの時間だったらしく入り口に置かれているメニューがかかれた看板を厨房に居た料理長らしき男が下げていた。前田は「ごちそうさまでした。」とその男に声を掛け、食堂を後にした。
病院の北棟から外の様子は分からなかったが、雨が降っている気配もなかった為、前田は、来た道をそのまま戻った。精神病棟に戻る途中で、一度、外に出る必要があり外に出た。精神病棟は白金総合病院の敷地の東側にあり、精神病棟に行く道は、南側にある正面入り口と建物の北側の裏へ行く道と交差していた。その道を来た時と同じように歩いていると、北側に抜ける道沿いにある職員専用の通用口付近にある関係者専用駐車場に一台の車が止まり中から人が降りて来た。前田はその音に気付き、何気なくその音がする方向を見た。すると、車からは知った顔の男が降りて来た。その者は職員専用の通用口から病院に入って行くところだった。それは、昨夜、一緒に飲んだ飯沼勝彦(いいぬま かつひこ)だった。
飯沼は金沢大学医薬保健研究員で精神行動科学を主に研究している。今日の午後には金沢に戻ると言っていたはずだ。それなのになぜ、この病院に居るのか、来るなら来るで、なぜ、自分に連絡してこないのか、いや、自分は資料の読み込みと診察で忙しかった。当面、緊急用件以外は、電話を受け付けない指示を看護師にしていたから、自分に看護師から伝言が来ていないだけなのかもしれない。しかし、携帯に直接連絡をしてもよさそうなものを・・・前田の携帯への着信もメールの履歴も飯沼からのものは届いては居なかった。前田は後を追い、声を掛けようかと一瞬、迷った。しかし、これから診察が待っている。飯沼には後で電話をして何か用事があったのか聞けばよいと思い直し自分の診察室へ先を急いだ。
前田は自分専用の医務室に立ち寄った。そこで、ふと思った。齋藤 彗神子の診察は診察室より、この医務室の方が良いように思う、診察室に用意された椅子では小さいかもしれないと・・・。そして、携帯で井上若菜婦長に連絡を入れた。「井上、婦長ですか・・・。前田です。この後の齋藤 彗神子さんの診察ですが、医務室に場所を変えたいのです。診察室では椅子が小さく狭すぎるように思います。医務室の四人掛けのソファに座ってもらった方が良いのではないかと思うので、医務室に連れて来て下さい。」
「わかりました。では、これから医務室にお連れして宜しいですか」電話に出た井上が訊いた。
「はい。私は今、医務室に居ます。齋藤 彗神子さんを連れて来て下さい。それでは、後ほど・・・」と言い前田は電話を切った。
数分して医務室のドアをノックする音がした。
「どうぞ、入って下さい。」前田が答えると、扉が開き最初に井上が現れ、後に続き大きな巨体の齋藤 彗神子が頭を入り口の縁にぶつけないようにくぐらせ入って来た。後ろには警官二人が付き添っていた。
警官の一人も一緒に中に入った。
「前田先生、齋藤 彗神子さんです。」と井上が言った。
「齋藤 彗神子さんですね。そこに座って下さい。」と前田は動揺を抑えながら四人掛けのソファを指さした。あら、気が利くじゃない・・・と齋藤 彗神子は思いながら指さされたソファにゆっくりと腰を下ろした。
「夕飯はどうでしたか。病院食じゃ物足りなかったのではないですか。」と前田は言い、彗神子の反応を伺うように、少し間を置いてから、「お茶でもどうですか、夜なのでノンカフェインのカモミールティでも飲みませんか」と訊いた。
齋藤 彗神子は「いただくわ。」と返事した。
「警察の方と井上婦長は席を外して頂いてもよろしいですか。齋藤さんと二人で話がしたいのでお願いします。」と前田は言った。井上看護婦長と室内に一緒に入った警官は前田の言葉に従い部屋を出た。前田は二人が部屋を出るのを見送ると、ソファ前のテーブルにあらかじめ用意して置いたカップに紙パックに入れられたカモミールの茶葉を入れポットのお湯を注いだ。しばらくすると、部屋の中に柔らかなカモミールの匂いが広がった。「あら、良い香り。素敵ね」と彗神子の口から言葉が漏れた。
「ハーブティはお好きですか」前田は優しく訊いた。
「そんなに、詳しくはないけれど嫌いじゃないわ」(何だか、女扱いされている感じで嬉しい・・・。)彗神子は答えながら思った。
「今日は、遅い時間にありがとうございます。」前田は彗神子の前にカモミールティを差し出しながら言った。「あまり眠っていないでしょうから、眠りたいでしょう。しかし、いくつかお話を伺いたく思います。退屈かもしれませんが、少しの間、お付き合い下さい。」前田が言う。
(あら、何、何だか低姿勢で良い感じ。)「良くてよ。どんな、お話かしら・・・」と彗神子。
「ご家族についてお伺いしても良いですか。」
「家族? 家族のどんなことを知りたいの。」
「お父さんとお母さんはご健在ですか? ご兄弟はいますか・・・」
「父は数年前に死んだわ。母は、今頃どこにいるんだか。生きていると思うけど何しているかは、わからないわ。兄弟は居ないはずよ。私の知る限りではね・・・。父も母も自由奔放の人だったから、私の知らないところに何人か兄弟が居てもおかしくは無いと思うけど。どうして、こんなこと訊くのかしら」
「一般的な質問です。特別な意味は無いですよ。当たり前のことを当たり前に一通り訊くのです。気に障ることがあったら答えなくても良いです。」と前田。
「そうなの。まぁ、良いけど、で、他に訊きたいことは何? さっさと一通り訊いて終わらせましょ」
前田は齋藤 彗神子のマイノリティについて、先に訊くか、どうして橋の上で大声を張り上げていたのかを先に訊くか迷った。そしてこの場が壊れる可能性が低い問題を先に訊くことにした。
「万代橋の上で大声を出していたということですが、何をしていたのですか」
「やぁね、警察に頼まれたのね。私が何をしていたかなんて、あなたには関係が無いことよ。それに、あなたの人間味が深くなければ、私を理解するのは無理よ。だいたい、ろくな人生経験しかしていない人間ほど、あること無いことピーチクパーチク自分の妄想を捲し立てて、くだらない時間を過ごして人生を無駄にするのよ。ひとの事を詮索している暇があったら、もっと自分と向き合えばいいじゃない。」と彗神子は言い(どーせ、警察と同じように薬の密売していた現場だとか、仲間割れして喧嘩していたとか思っているのよ、こいつは・・・)と思った。
「私は、今、齋藤 彗神子さんにお会いしたばかりで、彗神子さんのことは、よくわからないです。できれば、もっと知りたいと思います。私が思うに、何かストレスがあって、それを発散するために一人で大声を出していただけのようにも思うのですが、どうでしょう。」
(あら、わかっているじゃない。ふぅ~ん。そーなの。じゃあ、私も頭ごなしに無視はできないわね)「まぁ~いいわ。教えてあげる。警察でも散々聞かれたけど、私が何も話さないから、私の頭がおかしいのか調べるために、ここに送られて来たんでしょうし、いつまでも黙っていても仕方がないものね。」と彗神子が話し始めた。
「そうね。あなたが言ったストレス発散よ。ストレス発散していたの。ほら、茨木にある神社の祭りで悪態祭りってあるの知ってるかしら、あれよ・・・。昨日は私の誕生日だったの。毎年ね、新しい年を始める前に、前の年にあった嫌な事や我慢したことを外に向かって言い放つのよ。体にためるのって良くないじゃない。だからと言って、暴言吐いて暴れ回っちゃいけないわ。そうかといって、今の世の中、怒りを抑える大人な対応しないといけないことばかりでストレスたまっちゃうじゃない・・・。だから、年を越えて持ち越さないように、大声で怒鳴り捲し立てるのよ。毎年、船の上で海に向かって言うんだけど、今年は新潟市に来ないといけない用事があったから万代橋を選んだの。」
「もしよかったら、その怒りの内容をここで話して言っても良いですよ。私はそういう話を聞く人です。気持ちが楽になるかもしれない。」
その言葉を聞いて彗神子は、(言えるわけないじゃない、旧友に騙されたからと言って、旧友の家の葬式詐欺に加担したなんて話したら私は犯罪者として当分、日本に留まらなくてはならなくなるわ)と思った。そして、再び、怒りがこみ上げて来た。(だいたい、オッコとマチがいけないのよ。実家の跡片付けなんて自分たちでするに決まっているじゃない。それをお金で解決しようとして、片づけ代金を親戚中から回収するのに私を使うなんて。それも、「職場にお金を取りに伺います。」なんて、暴れますよ的な脅迫めいた手紙まで出して、私を奴らの親戚の職場にまで連れて行って見せつけたらどう思われるか、わかりそうなもんじゃない、この私を連れて行くって、どう考えても恐喝じゃない。訴えられても仕方が無いわよ。それに、蓋を開けたら、びっくり仰天、マチが親戚中から借金していて、あいつ、どの面下げてお金の回収なんてできるわけ、笑えるわ、片づけた中身はオッコとマチのものだらけ、ほんと、馬鹿なのはわかっていたけど、馬鹿過ぎよ。そして、それに付き合った私も間抜け。あぁーほんと気分悪い。死んじゃいなさいよ。あんな、バカ女ども・・・)ふつふつと彗神子の心の中で怒りがこみ上げ、鼻の穴が広がって来た。それを前田は察して「どうぞ、話して下さい。」と再度、言った。
「いいえ、いいの。もう、橋の上で散々怒鳴ったから。今ここで話始めたら二次被害を出しかねないわ、あなたの鼓膜が破れるかもしれないわよ」と彗神子は答えた。
「嫌なことが沢山あったのですね・・・。良いことも何かありませんでしたか。」前田が改めて訊いた。
「そうね。私、漁師でしょ。ほとんど海の上で過ごすの。良いことは魚が大量に釣れること。悪いことは大しけで魚が釣れなかったり、仕掛けや船が壊れたりすること、他には特別何も無いわ。毎日、あっと言う間に過ぎて行くし、一等航海士の免許持っているから、どこかに行こうと思えばどこにでも行けるけど、釣りをしている方が楽しいのよ。これって天職ね。それに、唯一の仲間のナカタのおやじとは気が合うし。そういう意味では毎日、幸せよ。」
「そうですか。それは良かった。ところで、ご結婚はされているのですか、また、恋人はいるのかな」
(結婚・・・彗神子は母の世末子の言葉を思い出した。66歳までに結婚して、産むか産ませるか、どちらか決めなさいと母は言っていた。あれはどういう意味なのだろう。)
「結婚はしていないわ。66歳までにしないといけないんでしょ。」
「66歳までに結婚しないといけないって誰かが言っていたのですか。」
「母が以前、言っていたの。みんな66歳までに結婚するんじゃないの? こんな話を人とはしたこと無いから、一般常識なのかと思っていたけど。」
「最近は、結婚しない人も多いですし結婚も晩婚になって来ているので、結婚に関しては色々な考えがありますね。そうですか、あまり、結婚とか恋愛とかの話はしないのですね。ところで、好きな芸能人は居ますか。船の上だとテレビとか見ないのかな。」
「船の上でもテレビは見れるわよ。でも、私は、ほとんど見ないけど・・・。そう言われてみれば、ビジュアル的に好きな芸能人は居ないわね。ミュージシャンならルックスじゃなくて好きな人はいるけど、人が好きって言うより音が好きなだけだから、ヒト的に惚れているは居ないわね。毎日、仕事に追われていて、そんな余裕ないって感じ・・・。駄目ね、私。いつの間にかつまらない大人になっちゃったわ」
齋藤 彗神子の性向が中々見えてこないと前田は思った。さて、どんな話の展開を持って行けば自然と読み取れるかと考えながら「これから、どんなことをしたいとか考えたりしますか」と質問した。
「そりゃー考えるわよ。新しい船を買いたいし、そしたら、一部屋は和室にするわ。今日、思ったんだけど畳の間を作るの。」
「その和室の部屋に招待したい人は居ますか」
「招待? 誰かお泊りさせたいかってこと。そーねー。船酔いしない人ならだれでも良いわよ。酔われてゲロ吐かれると嫌じゃない。」
「それじゃ、子供は泊められませんね。子供は好きですか。」
「子供? う~ん。あまり、接したことがないから何とも言えないわ。先生まで産むか産ませるかどちらにするのかとか聞いてきたりしないわよね」
「産むか、産ませるかとはどういうことですか。」前田はあえて、齋藤 彗神子を女として会話してみることにした。「齋藤さんは女性なので産む方ですよね。確かに女性にも適齢期はありますから、適齢期を過ぎての高齢出産は危険ですし、そういう意味で代理出産を頼むために人に産ませるということも言えますが、そういう意味ですか」と訊いた。
「あぁ~。そういうこと。意味がわからなかったのよね。母がね、66歳までに結婚して産むか産ませるか決めろって言ったのよ。66歳って高齢だものね。なるほど~。代理出産ね・・・。」
この時、前田は確信した。彗神子は自分を女と思っているが女と男がどんなものなのか知らない可能性があると・・・。つまり、自分の体について無知な状態のままなのかもしれないと思った。これは、時間を置いて染色体の話をきちんと本人に話す必要があるかもしれない。多分、本人はこのことについて誰からも教えられていないし、周りも知らないことなのかもしれない。
時計の針は21時になろうとしていた。「今夜は、この辺でお話は止めておきましょう。明日、また、お話しできるようでしたら、お話しましょう。」と前田が言った。
「そう。じゃあ、今日はこれで終ね。ところで、電話を掛けたいんだけど借りられるかしら。私ね
、本当なら今日には糸魚川に戻って、明日には漁師仲間と海に出る予定になっているの。でも、無理じゃない。この状況を連絡入れておかないといけないのよ。」
「ナカタ漁業さんには警察から既に連絡が言っているそうです。改めて齋藤さんとお話をする時間を作ると伝えて欲しいと警察の方に言われていました。伝えるのが遅くなってすみません。」
「あら、そう。それなら良かったわ。連絡を入れてくれたのね。ナカタのおやじも、警察からじゃ、きっと驚いたと思うけど。まぁ、仕方が無いわよね。」
「それでは、今夜はこれで、また、明日、改めて・・・」と前田は言い、電話で井上若菜看護婦長を呼び出した。井上が現れ、齋藤 彗神子と外で待機していた二人の警官を連れて四階の独房室に向かった。その後ろ姿を見届けると、前田は伊藤警部補に連絡をした。
「伊藤です。前田先生ですね。」前田が伊藤の携帯に電話を掛けるとワンコールで電話に出た。それは、まるで、携帯を握りしめて待っていたかのように素早い対応だった。
「はい。前田です。今、診察を終えました。」
「で、どうでしたか。」
「齋藤 彗神子さんは、いたって普通です。橋の上での出来事はストレスを発散していたということですが、まぁ、その辺のことは真実かどうかは別として、テスト結果はまだ出ていないのですが、私の見立てで言えるのは精神構造はシンプルであると思います。自分にもそれりに満足しているようですし、ただし、本人の性については本当の事は分かっていないように思います。誰からも話してもらっていないようですし、他人と比較したことも無いのでしょうね。本人の為にも染色体の話はした方が良いと思います。それから、母親の行くへは分からないと言っていました。兄弟に関しては齋藤 彗神子さんが知る限り、いないとの事ですが、齋藤さんいわく、両親は自由奔放な人の為、外に他に子供が居てもおかしくはないと言っていました。とりあえず、夜も遅いのであまり深く追及するようなことは話さなかったです。」と前田。
「そうでしたか、ありがとうございました。」と伊藤。
「ところで、明日は、何時にこちらにいらしゃいますか」と前田。
「齋藤 彗神子の拘束期間が延びたのです。例の糸魚川の明星山事件の重要参考人として立件出来たので明日以降は糸魚川警察署と合同調査になります。それで、糸魚川から刑事が来るのが午後になるので、昼過ぎにそちらに伺うことになります。明日の午前中は、前田先生の方で聞き足りないことがあれば話を聞いてもらっても良いのですが、どうしますか」
「検査結果に目を通していないのでその内容次第ですね。他にも診察しないといけない患者さんがいるので、明日、齋藤さんに割く時間はあるかな~。まぁ、明日以降に考えますよ。今日は、これで終わりにしましょう。頭の思考回路が回らなくなって来ましたからね。」
「わかりました。では、また、明日の午後に病院に伺った時に声を掛けます。」
「あぁ、そうだ。齋藤さんが親戚のナカタ漁業さんと話がしたいそうです。拘留期間が延びたならその旨、伝えないとだめですね。ナカタさんと齋藤さんを一度、どこかで合わせるかしてあげて下さい。」と前田。
「はい。お気遣いありがとうございます。明日、ナカタさんに連絡します。それでは、今夜はお休みなさい。」と伊藤。
「はい。おやすみなさい」と前田は言い携帯を切った。前田にとっては六月七日と言う日は、とても長い一日だった。そして、ここ数日の自分らしくないハードな動きに疲れを感じていた。鞄と上着を手に持ち、車の鍵を握りしめると、医務室の電気を消し外に出た。そして部屋に鍵を掛け病院を後にした。
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