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「六月八日 白金総合病院にて前田医師と伊藤警部補」
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この会話の後、テープの中から聞こえる声の主、斎藤世未子、旧姓、尾崎世未子と旧中条病院 精神科の黒井武雄氏の話は終わり、ガチャリとカセットを止める音が聞こえ何も聞こえなくなった。
「どう思いますか、このテープを聞いて・・・。私には何が何だかさっぱりわかりません。何かの物語を聞いているみたいで・・・彼女は結局のところ何者で、なんでこんな話をしたのか・・・」と伊藤が先に訊いた。
「典型的な自己創造神話ですね。自分と自分の子供がこの大地を守っている神からの使いであると言っています。地球が崩壊しないように、霊力的なもので結んでいるその結び目がこの新潟の地にあり、明星山と新潟の山々にその結界があり、それを守ってるということのようですね。」と前田は答えた。
「自己創造神話・・・。地球崩壊をこの新潟の地で守っているとは、どうして、そんな誇大妄想を抱いているのですか。」と伊藤。
「そうですね、彼女の場合、自分が生まれて来た意味を神様の意図として、神から見て、自己を他者より価値がある存在とすることで自分の人生を価値あるものとして生きて行くための妄想が物語になったのでしょう。この話を具体的に掘り下げて話すこともできますが、今は止めておきます。」と前田。そこに電話が鳴った。井上若菜婦長だった。
「どうしましたか。はい。はい。良いですよ。先にシャワーを浴びて下さい。私も夕食を食べることにします。シャワーが終わったらもう一度電話を下さい。それから、井上さんに頼みがあります。齋藤 彗神子さんの性器を確認して欲しいのです。宜しいでしょうか。とても大切なことなので宜しくお願い致します。」と前田は言い電話を置いた。
「どうか、しましたか」と伊藤が訊いた。
「あっ、いえ、診察の前にお風呂に入りたいそうです。警官立ち合いのもとお風呂に入りますが、齋藤さんは女性との主張がある為、井上婦長が立ち会うのですが、その時に性器の確認をして欲しいとお願いしたのです。」と前田。「そうでしたか」と伊藤が言うと「それから、何か、このテープの件やノートの事で上越大学の黒井 誠さんは言っていませんでしたか」と前田は話を元に戻した。
「元中条病院、精神科医、黒井武雄氏が書いたノートにも書いてあるそうですが、世末子さんは、後日、このテープで語った内容を一切、覚えてないと言っています。そして、他の子供の件はテープで話した以上は性別等、詳しくは答えなかったとノートに書かれています。その後、病院には来なくなったようですね。双子の片割れの存在がこれではっきりとしたわけです。今、どこで何をしているのか、サカサ谷事件との関りで捜査の対象になりましたが、見つけられるかどうか・・・国外へ逃亡している可能性もありますからね。」と伊藤。
「世末子さんは、自分の想いを話したことで心が解放されたのかもしれないですね。解放というか、迷いが消えて自分が信じる宗教の道へ進み、そして、今回の事件に繋がったのかもしれません。」と前田。
「自分が信じる道へ進む、覚悟が出来たということですか・・・。何だか悲しい覚悟ですね。」と伊藤。
「自分の自殺願望を美しい物語にして達成しようということなのかもしれません。一般的に、生まれてくることは選べなくても死ぬことは選べると言う人が居ますが、私は多くの人の潜在意識に触れてきて思うのですが、生まれて来たことも、どんな人生を望むかも、本人の潜在意識の中で既に決めていて、生まれる場所も選んで生まれて来たように思います。人は自分に必要な経験をさせてくれる場所を選んで生まれるのですよ。」と前田。
「いやぁ~。今どきの子供たちに聞かせてやりたい言葉ですね。」と伊藤。
「子供も大人も、もっと自分と向き合った方がいいと思います。自分の事もわからずに、自分を知ったふりをして他人の事に興味ばかり持っている人が多すぎます。ここに来る人も本来は自分と向き合わないといけないのに、他人と自分を比較して、又は比較された言葉を信じて生まれる悩みが大半です。小学生の内から学校教育の一環として、自分と向き合うワークを授業に取り入れて欲しいです。」と前田。
「自分と向き合うワークとは具体的にどんなことをするのですか」と伊藤。
「そうですね。呼吸法や瞑想を学び自律神経を整えることを学校で日課にさせたり、誰の力も借りず創作し発表する機会を与えることです。日本の教育は共同創作に偏りがちです。これでは個人は潰されがちで生きづらい精神が身についてしまいます。まずは、親や周りに感化されず、一人で出来ることを身に着けることです。これが、強い心を作るのにはとっても大切です。音楽の授業では一人で創作したオリジナル曲を作らせたり、体育の授業でも一人で踊れる創作ダンスをしたり、図画工作にも、もっと力を入れた方がいい。自分がどうしたいのか、どうありたいのかを投影できるものを繰り返し創作できる場が必要なのです。個人にそれを任せると、環境によって創作を出来ない子供もいるので、学校教育でするのが良いのです。これにより鍛えられる個人の能力は、その後の人生で経験する苦痛や災難を受けても自分自身で回避行動をし災難をさける為の様々な行動を意欲的に行うことが出来る精神を作ります。この手の話を私にさせると、話が長くなりますよ。」と前田。
「そうですか。では、またの機会にお願いします。」と伊藤が頭を下げながら笑顔で言った。
「ところで、この後、私は食事にしますが伊藤警部補はどうしますか。齋藤 彗神子さんには今日の内に合って母親と双子の件を話すつもりでいるのでしょうか」と前田。
「私は、この後、署に戻ります。もう少し調べたいこともありますので、齋藤に母親のと双子の話をするのは、明日にします。拘留期限は明日の朝迄なので、朝に、もう一度こちらに来て話そうと思います。それから、前田先生にお願いがあります。前田先生も齋藤に母親と双子の件は一切話さないでください。話さない状態で、齋藤から母親が今、何をしているか、家族構成など聞き出して欲しいのです。齋藤がどのように答えるか知りたいのです。それから、自分の性についてどう思っているのかと兄弟姉妹の存在も聞いて欲しいと思います。今夜の内に私の携帯に訊いた内容を連絡下さい。あっ、そうだ。齋藤 彗神子の職場には連絡をいれてあると伝えて下さい。ナカタ漁業のナカタさんとは改めて話をする時間を作ると言ってもらえれば安心すると思います。」と伊藤。
「わかりました。できるだけ聞き出してみます。それから、ナカタ漁業さんの件も伝えて置きます。他に何か話が無ければ、私は食事に行きます。宜しいでしょうか」と前田。
「はい。では、私も失礼します。また、後ほど、お電話で・・・」と伊藤は言い、席を立った。そして、診察室を後にした。
前田も、院内用の携帯を胸ポケットに入れると、部屋を出た。職員専用の食堂は白金総合病院本館の北棟二階の一角にあった。前田が居る精神科病棟の診察室から少し距離があり、普段、休憩を取るには不便であったため、精神科病棟の二階の一角にもスタッフの休憩室が設けられていたが、そこには食堂は無かった。前田は時間が取れる時は、ウォーキングがてら本館の北棟の食堂で食事をするようにしていた。本館の食堂までは歩いて15分以上はかかる距離である。普段運動らしいことをしない前田にとって食堂へ行く道は、適度な階段の上り下りもあり、筋肉を鍛える唯一の運動ともいえた。精神科病棟の一階から一旦、外に出て本館の東口の職員専用通用口を入り本館の会計事務所裏にある階段を上がり、二階の事務室裏の通路を抜け、本館職員の更衣室前を通り、病院の打ち合わせ室があるいくつかの個室の前を進むと、その奥に職員専用の食堂があった。食堂に来るルートは他にも地下の手術室エリアを抜けて行く道や何通りかあったが、今日は、雨も降っていなかった為、最短ルートと思われる、一階から一旦、外に出るルートを選んで食堂に来た。時計の時間は十九時を過ぎていた。十九時三十分がラストオーダーで、後、三十分で食堂が終わる時間だった。良かった、間に合った。前田は時計を見て安堵した。食事のメニューは一般的なうどん、ラーメン、定食もあったが、職員の健康保全を推進する為に考案された地中海式和食料理が前田のお気に入りだった。一汁三菜を中心とした和食を基本に取り入れ、魚介と鶏肉、野菜を中心にしたメニューになっている。オリーブオイルと発酵食品の醤油、味噌、納豆、ヨーグルトが加えられ、砂糖の代わりにオリゴ糖を含めた自然食品で甘みを作っているのが特徴の料理だ。さてと、今夜の料理の内容は何かな・・・とメニューを見ると、白身魚とあさりと野菜のトマト煮と十三種類の野菜サラダ、豆、ヒジキ、油揚げ、切り干し大根の炒め煮、ご飯、みそ汁、漬物と書かれていた。うん。美味しそうだと前田は券売機で食券を買い、厨房の中にいる職員に声を掛けた。
「地中海式和食をお願いします。ここに食券を置いておきますね」と言い、食券を入れるための小さな籠に券を入れた。すると中から「ありがとうございます。地中海式和食ですね。すぐにご用意します。」と声がした。遅い時間だからか、厨房に居るのはシェフ一人のようだった。社員食堂なので料理以外は全てセルフサービスで行われている。前田はグラスに水を入れ自分の席に戻った。そして、ほっと一息ついた。今日は長い一日だな。この後、齋藤 彗神子と初対面するわけか・・・と前田は思った。そして食事が出てくるまでの間、軽く目を閉じ、ゆっくりと呼吸した。さっき、伊藤に話した呼吸法の話を思い出していた。そういえば、ここの所、忙しくて呼吸を忘れていたように感じる。精神科医が我を忘れるのは良くないですね、と思いながら、前田はゆっくりと深く鼻から呼吸をし、吸った空気を口から細く長く吐き出した。そして、ゆっくりと深い呼吸を繰り返しながら軽い瞑想を始めた。
「どう思いますか、このテープを聞いて・・・。私には何が何だかさっぱりわかりません。何かの物語を聞いているみたいで・・・彼女は結局のところ何者で、なんでこんな話をしたのか・・・」と伊藤が先に訊いた。
「典型的な自己創造神話ですね。自分と自分の子供がこの大地を守っている神からの使いであると言っています。地球が崩壊しないように、霊力的なもので結んでいるその結び目がこの新潟の地にあり、明星山と新潟の山々にその結界があり、それを守ってるということのようですね。」と前田は答えた。
「自己創造神話・・・。地球崩壊をこの新潟の地で守っているとは、どうして、そんな誇大妄想を抱いているのですか。」と伊藤。
「そうですね、彼女の場合、自分が生まれて来た意味を神様の意図として、神から見て、自己を他者より価値がある存在とすることで自分の人生を価値あるものとして生きて行くための妄想が物語になったのでしょう。この話を具体的に掘り下げて話すこともできますが、今は止めておきます。」と前田。そこに電話が鳴った。井上若菜婦長だった。
「どうしましたか。はい。はい。良いですよ。先にシャワーを浴びて下さい。私も夕食を食べることにします。シャワーが終わったらもう一度電話を下さい。それから、井上さんに頼みがあります。齋藤 彗神子さんの性器を確認して欲しいのです。宜しいでしょうか。とても大切なことなので宜しくお願い致します。」と前田は言い電話を置いた。
「どうか、しましたか」と伊藤が訊いた。
「あっ、いえ、診察の前にお風呂に入りたいそうです。警官立ち合いのもとお風呂に入りますが、齋藤さんは女性との主張がある為、井上婦長が立ち会うのですが、その時に性器の確認をして欲しいとお願いしたのです。」と前田。「そうでしたか」と伊藤が言うと「それから、何か、このテープの件やノートの事で上越大学の黒井 誠さんは言っていませんでしたか」と前田は話を元に戻した。
「元中条病院、精神科医、黒井武雄氏が書いたノートにも書いてあるそうですが、世末子さんは、後日、このテープで語った内容を一切、覚えてないと言っています。そして、他の子供の件はテープで話した以上は性別等、詳しくは答えなかったとノートに書かれています。その後、病院には来なくなったようですね。双子の片割れの存在がこれではっきりとしたわけです。今、どこで何をしているのか、サカサ谷事件との関りで捜査の対象になりましたが、見つけられるかどうか・・・国外へ逃亡している可能性もありますからね。」と伊藤。
「世末子さんは、自分の想いを話したことで心が解放されたのかもしれないですね。解放というか、迷いが消えて自分が信じる宗教の道へ進み、そして、今回の事件に繋がったのかもしれません。」と前田。
「自分が信じる道へ進む、覚悟が出来たということですか・・・。何だか悲しい覚悟ですね。」と伊藤。
「自分の自殺願望を美しい物語にして達成しようということなのかもしれません。一般的に、生まれてくることは選べなくても死ぬことは選べると言う人が居ますが、私は多くの人の潜在意識に触れてきて思うのですが、生まれて来たことも、どんな人生を望むかも、本人の潜在意識の中で既に決めていて、生まれる場所も選んで生まれて来たように思います。人は自分に必要な経験をさせてくれる場所を選んで生まれるのですよ。」と前田。
「いやぁ~。今どきの子供たちに聞かせてやりたい言葉ですね。」と伊藤。
「子供も大人も、もっと自分と向き合った方がいいと思います。自分の事もわからずに、自分を知ったふりをして他人の事に興味ばかり持っている人が多すぎます。ここに来る人も本来は自分と向き合わないといけないのに、他人と自分を比較して、又は比較された言葉を信じて生まれる悩みが大半です。小学生の内から学校教育の一環として、自分と向き合うワークを授業に取り入れて欲しいです。」と前田。
「自分と向き合うワークとは具体的にどんなことをするのですか」と伊藤。
「そうですね。呼吸法や瞑想を学び自律神経を整えることを学校で日課にさせたり、誰の力も借りず創作し発表する機会を与えることです。日本の教育は共同創作に偏りがちです。これでは個人は潰されがちで生きづらい精神が身についてしまいます。まずは、親や周りに感化されず、一人で出来ることを身に着けることです。これが、強い心を作るのにはとっても大切です。音楽の授業では一人で創作したオリジナル曲を作らせたり、体育の授業でも一人で踊れる創作ダンスをしたり、図画工作にも、もっと力を入れた方がいい。自分がどうしたいのか、どうありたいのかを投影できるものを繰り返し創作できる場が必要なのです。個人にそれを任せると、環境によって創作を出来ない子供もいるので、学校教育でするのが良いのです。これにより鍛えられる個人の能力は、その後の人生で経験する苦痛や災難を受けても自分自身で回避行動をし災難をさける為の様々な行動を意欲的に行うことが出来る精神を作ります。この手の話を私にさせると、話が長くなりますよ。」と前田。
「そうですか。では、またの機会にお願いします。」と伊藤が頭を下げながら笑顔で言った。
「ところで、この後、私は食事にしますが伊藤警部補はどうしますか。齋藤 彗神子さんには今日の内に合って母親と双子の件を話すつもりでいるのでしょうか」と前田。
「私は、この後、署に戻ります。もう少し調べたいこともありますので、齋藤に母親のと双子の話をするのは、明日にします。拘留期限は明日の朝迄なので、朝に、もう一度こちらに来て話そうと思います。それから、前田先生にお願いがあります。前田先生も齋藤に母親と双子の件は一切話さないでください。話さない状態で、齋藤から母親が今、何をしているか、家族構成など聞き出して欲しいのです。齋藤がどのように答えるか知りたいのです。それから、自分の性についてどう思っているのかと兄弟姉妹の存在も聞いて欲しいと思います。今夜の内に私の携帯に訊いた内容を連絡下さい。あっ、そうだ。齋藤 彗神子の職場には連絡をいれてあると伝えて下さい。ナカタ漁業のナカタさんとは改めて話をする時間を作ると言ってもらえれば安心すると思います。」と伊藤。
「わかりました。できるだけ聞き出してみます。それから、ナカタ漁業さんの件も伝えて置きます。他に何か話が無ければ、私は食事に行きます。宜しいでしょうか」と前田。
「はい。では、私も失礼します。また、後ほど、お電話で・・・」と伊藤は言い、席を立った。そして、診察室を後にした。
前田も、院内用の携帯を胸ポケットに入れると、部屋を出た。職員専用の食堂は白金総合病院本館の北棟二階の一角にあった。前田が居る精神科病棟の診察室から少し距離があり、普段、休憩を取るには不便であったため、精神科病棟の二階の一角にもスタッフの休憩室が設けられていたが、そこには食堂は無かった。前田は時間が取れる時は、ウォーキングがてら本館の北棟の食堂で食事をするようにしていた。本館の食堂までは歩いて15分以上はかかる距離である。普段運動らしいことをしない前田にとって食堂へ行く道は、適度な階段の上り下りもあり、筋肉を鍛える唯一の運動ともいえた。精神科病棟の一階から一旦、外に出て本館の東口の職員専用通用口を入り本館の会計事務所裏にある階段を上がり、二階の事務室裏の通路を抜け、本館職員の更衣室前を通り、病院の打ち合わせ室があるいくつかの個室の前を進むと、その奥に職員専用の食堂があった。食堂に来るルートは他にも地下の手術室エリアを抜けて行く道や何通りかあったが、今日は、雨も降っていなかった為、最短ルートと思われる、一階から一旦、外に出るルートを選んで食堂に来た。時計の時間は十九時を過ぎていた。十九時三十分がラストオーダーで、後、三十分で食堂が終わる時間だった。良かった、間に合った。前田は時計を見て安堵した。食事のメニューは一般的なうどん、ラーメン、定食もあったが、職員の健康保全を推進する為に考案された地中海式和食料理が前田のお気に入りだった。一汁三菜を中心とした和食を基本に取り入れ、魚介と鶏肉、野菜を中心にしたメニューになっている。オリーブオイルと発酵食品の醤油、味噌、納豆、ヨーグルトが加えられ、砂糖の代わりにオリゴ糖を含めた自然食品で甘みを作っているのが特徴の料理だ。さてと、今夜の料理の内容は何かな・・・とメニューを見ると、白身魚とあさりと野菜のトマト煮と十三種類の野菜サラダ、豆、ヒジキ、油揚げ、切り干し大根の炒め煮、ご飯、みそ汁、漬物と書かれていた。うん。美味しそうだと前田は券売機で食券を買い、厨房の中にいる職員に声を掛けた。
「地中海式和食をお願いします。ここに食券を置いておきますね」と言い、食券を入れるための小さな籠に券を入れた。すると中から「ありがとうございます。地中海式和食ですね。すぐにご用意します。」と声がした。遅い時間だからか、厨房に居るのはシェフ一人のようだった。社員食堂なので料理以外は全てセルフサービスで行われている。前田はグラスに水を入れ自分の席に戻った。そして、ほっと一息ついた。今日は長い一日だな。この後、齋藤 彗神子と初対面するわけか・・・と前田は思った。そして食事が出てくるまでの間、軽く目を閉じ、ゆっくりと呼吸した。さっき、伊藤に話した呼吸法の話を思い出していた。そういえば、ここの所、忙しくて呼吸を忘れていたように感じる。精神科医が我を忘れるのは良くないですね、と思いながら、前田はゆっくりと深く鼻から呼吸をし、吸った空気を口から細く長く吐き出した。そして、ゆっくりと深い呼吸を繰り返しながら軽い瞑想を始めた。
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