26 / 32
「六月六日 新潟港警察署 岡田警部補、糸魚川へ向かう」
しおりを挟む
この会話の後、テープの中から聞こえる声の主、斎藤世未子、旧姓、尾崎世未子と旧中条病院 精神科の黒井武雄氏の話は終わり、ガチャリとカセットを止める音が聞こえ何も聞こえなくなった。
元中条病院、精神科医、黒井武雄氏の息子の黒井 誠先生が口を切って話した。「以上が、父が残したテープの中身です。この手の精神疾患を持ち合わせた人に良くある創造神話なのです。つまり、自分と生まれて来た子供に、この世に生まれて来た価値を見い出すことで、自分の人生を納得して生きていけるのです。その為に、自己創造神話が必要だったのでしょう。ノートにも書いてある通り、世末子さんは、この話の内容を一切、覚えてないと言っています。他にいる彗神子さんの一卵性双生児の子供に関しては、女性なのか男性なのか、どこに住んでいるのか、等詳しいことに関する質問には最後まで答えなかったとノートに書かれています。そして、この後、病院には来なくなったようですね。自分の想いを語ることで、心の檻が外れ解放されたのではないかと思います。彼女のその後の行動は、書かれてはいないですが、きっと快方に向かったのではないかと思います。」と黒井 誠先生は言い、テープをカセットデッキから取り出すと、岡田警部補に手渡した。岡田は齋藤 彗神子に一卵性双生児の兄弟姉妹のいずれかがいるということに驚くとともに大きな収穫の手ごたえを感じた。
岡田はテープを受け取り「黒井先生、お手間を取らせてすみませんでした。では、ノートとテープをお借りします。」と改めて礼を言った。齋藤 世末子の所在は分からないが、彼女の病状についてわかる資料を手に入れることが出来た。そして、新たな事実もわかった。岡田は椅子から立ち上がると、「それでは、時間が無いので、これで失礼します。」と資料のノートを手に持ち、礼を言った。傍にいた中西もそれを聞くと立ち上がり頭を下げながら「ありがとうございました。」とカセットを持った。二人はさっそく、大学を出て車に飛び乗った。
岡田は、「次は糸魚川のナカタ漁業に行くぞ。急げ。時間が無い」と岡田は中西に言った。二人は車で大学を出て東の方向に進み、県道63号線から上信越自動車道に向かった。猛スピードで糸魚川へ向け車を飛ばした。中西のドライブテクニックは見事なものだった。あっと言う間に、糸魚川インターが見えた。そして、糸魚川インター出口を国道148号線に入り糸魚川市街に進んだ。横町交差点を右折し長岡、上越の表示が見える国道8号線を進むと、姫川港の防波堤が見えて来た。この近くに、ナカタ漁業はある。岡田と中西はナビを頼りにナカタ漁業の登録のある場所を目指した。海岸沿いをしばらく行くと、小さな掘立小屋のような建物の横壁にナカタ漁業と看板が付けられた建物が見えた。建物の周りは砂利が敷き詰められ、車が数台は止められるスペースがあった。建物の正面は錆びたシャッターで閉められていた。シャッターにはナカタ漁業の文字がかろうじて読み取れる程度に残されていた。そして、錆びたボートが一台、裏返しで放置されていた。登録の住所は、確かにこの場所だった。中西は「ここのようです。どうしますか。登録されている電話番号に電話してみましょうか」と岡田に訊いた。「そうだな、この場所は、多分、今は物置にしか使われていない場所のようだ。どこかに本社があるのか、自宅兼任なのか別の場所にいることは確かだな。」と岡田は言った。中西は登録されているナカタ漁業の連絡先に電話した。
「ただいま、ナカタは航海に出ております。このまま、携帯にお電話をお繋ぎします。しばらくお待ち下さい。」と録画された音声が流れ、ツーツツーと音が流れるとガチャッと何かが切り替わる音がし、男の声で「もしもしー。ナカタです。」と返事があった。中西は「こちら、新潟港警察署の中西と言います。ナカタ漁業のナカタさんですか。お話を伺いたいことがあって、登録されている糸魚川の住所まで来たのですが、不在でしたので連絡しました。今、お話できますか」と訊いた。
「はー。警察の方・・・。何かあったのですか。今は、富山湾沖で船の上に居るので、糸魚川に戻るのは明日以降になりますが、どんな話ですか」と電話の向こうから男の声で返事があった。
中西は岡田に「繋がりました。船の上だそうです。どうしますか、電話、変わりますか、それとも自分が話した方が良いですか」と訊いた。岡田は「ああ、わかった電話を代わってくれ」と言い、中西から電話を受け取ると「すみません、電話を代わらせてもらいました。私は新潟港警察署の岡田と言います。実は今朝、ナカタ漁業さん所属の齋藤 彗神子さんが万代橋の上で補導されまして、その人の事でお聞きしたいことがあるのです。船の上だそうですが、少しお時間宜しいでしょうか。」と訊いた。
「彗神子・・・。彗神子が何かしでかしたのですか?。良いですよ。ちょうど今、明日の朝引き上げるイカ釣りの仕掛けをし終わって、これから夕飯なので時間はあります。」と返事があった。
「彗神子さんをご存じなのですね。」と岡田。
「はい。彗神子はうちのものです。明日の夜に糸魚川で会う約束になっていますが、何かしでかしたのですか」とナカタ。
「仕出かしたというか、万代橋の欄干の上に登り大声を出しているところを補導されたのです。何か経緯をご存じないですか。彗神子さんはどうして新潟市に来たのでしょうか」と岡田。
「万代橋で声を張り上げていた? それはまた、馬鹿なことを・・・。何で、そんなことをしていたかはわからないですね。新潟市に行ったのはパスポートの更新手続きですよ。明後日の8日から一緒に大和堆に出て、その後に、北上して北海道方面に一緒に行く予定でいます。困ったな、彗神子は警察のお世話になっているんですか?」とナカタ。
「今のところ、容疑は万代橋の上で騒いでいただけなので、問題が無ければ、8日の朝には釈放されます。その為の裏とりといいますか、ナカタさんと彗神子さんはご親戚で間違いないですか」と岡田。
「まあ、そんな所です。親父同士が従弟で長い付き合いです。親父は亡くなりましたが、彗神子を引き取ったのは親父です。彗神子と私は少し年の離れた従弟ですね。」とナカタ。
「大和堆にはやはり、魚を釣りに行かれるのですか」と岡田。
「仕事ですからね。釣れるといいんですが。最近は漁獲量が落ちて居まして、思うようには連れませんよ」とナカタ。
「ナカタさんは明日の7日に糸魚川に戻るんですね。」と岡田。
「その予定でいますけど、明日以降で良いですが、彗神子とは連絡とれないでしょうか。8日の朝に新潟港署を出ることになるとしたら、私が新潟市に船で行く方が、早いと思うのでそのことを伝えたいんですが、もしよかったら、彗神子に伝えてもらえませんか。竜が島で待っていると言ってもらえればわかると思うので。」とナカタ。
「わかりました。そのように伝えて置きます。それから、つかぬ事を聞きますが、彗神子さんに一卵性双生児の家族が居るのはご存じですか。」と岡田。
「えっ? 彗神子に双子の家族って姉妹ってこと? まさか、それは初耳だ。見たことも聞いたことも無いですよ。生まれてすぐに死んだとかそういうことですか。だとしても、知らないですね。」とナカタ。
岡田は彗神子の事について、この場でこれ以上聞くことは無理があると判断した。とりあえず、ナカタ漁業在籍していることは確かなようだ、と思った。
「そうですか。わかりました。ところで、ナカタさんと直接お話しするのに携帯番号を教えてもらうことは出来ませんか」と岡田。
「いいですよ。非通知設定をしていないので、そちらに着信番号が出ているはずですが、その番号が私の番号です。」とナカタ。
「あっ、いえ、会社の登録番号に電話をしたら転送されて今繋がっているので、そちらの携帯番号は出ていないのです。お手数ですが教えてください。」と岡田。
「あぁ、そうでしたか、ちょっと待って下さいね。自分の携帯番号を人に教えることなんてそんなにないもので、覚えられなくてね。携帯の裏に書いて貼ってあるんですよ。」と言い、しばらくして「090-〇〇〇〇△△△△ですね」と返事があった。
「どうも、ありがとうございました。また、何かあったら連絡しますのでよろしくお願いします。」と岡田。
「はい。何があったかわかりませんが、彗神子のことをよろしくお願いします。八日に竜が島に行きますので、そう伝えて下さい。」とナカタ。
「はい、わかりました。失礼致します。」と岡田は言い、ナカタが電話を切るのを待って電話を切った。
「齋藤 彗神子はナカタ漁業のもので間違いないようだ。それにナカタさんとはやはり親戚のようだな。双子の件は知らなかったようだが・・・」と岡田は中西に言った。「そうですね・・・。とりあえず、今のところ必要な事の裏は全て取れましたね。どうしますか、新潟に戻りますか」中西が言った。
「うん。そうだな。帰る前に伊藤さんに連絡してあっちの進行状況を聞いてみよう。高田での旧姓時代の尾崎世末子とその母親の世来子の暮らしぶりも気になるが、上越方面に署の方で用事が無いようだったら戻るとするか・・・。」と岡田と言い、伊藤に電話を掛けた。その時、伊藤は万代橋の下に居た。大竹巡査と梶原巡査と共に他の証拠が何かないかを警察犬を引き連れ探していた。
「もしもし、伊藤警部補ですか、こちらは岡田です。」
「伊藤だが、裏は取れたか。」
「はい。今は糸魚川のナカタ漁業の前に居ます。本人は富山沖で航海中なので電話でしか話せませんでしたが、齋藤 彗神子はナカタ漁業の従業員で間違いないです。それからナカタさんとは親戚ですね。後で署で詳しく報告しますが、母親の世末子が通院していた病院の記録を持っていた当時の主治医の息子さんで上越大学の黒井誠さんにも会えました。当時の記録も残っています。音声が残ったテープもですね。確証はないのですが、録音されたテープの証言で彗神子は双子の可能性があるということがわかりました。
それから六日町での彗神子の事も色々とわかりました。どうしましょうか、私はこちらで何か他に調べた方が良いですか」と岡田。
「なんだって、それはすごい。しかし、その件についても裏を取る必要があるな。しかし、今は戻って来て欲しい。その黒井 誠さんが持っていた記録を明日、見せたい人が居る。鑑識の結果も出ると思うから、今日中に新潟に戻って来て欲しい。」と伊藤。
「わかりました。では、これから新潟に戻ります。」と岡田は言い電話を切った。それを聞いていた中西は素早く車を新潟市に向けて走り始めた。元来た道を戻り北陸自動車道に入ると一気に新潟に向けて加速した。走り屋としての気が急いた。これからが腕の見せ所である。レクサスRXお前の出番だと中西は心の中で呟いた。
元中条病院、精神科医、黒井武雄氏の息子の黒井 誠先生が口を切って話した。「以上が、父が残したテープの中身です。この手の精神疾患を持ち合わせた人に良くある創造神話なのです。つまり、自分と生まれて来た子供に、この世に生まれて来た価値を見い出すことで、自分の人生を納得して生きていけるのです。その為に、自己創造神話が必要だったのでしょう。ノートにも書いてある通り、世末子さんは、この話の内容を一切、覚えてないと言っています。他にいる彗神子さんの一卵性双生児の子供に関しては、女性なのか男性なのか、どこに住んでいるのか、等詳しいことに関する質問には最後まで答えなかったとノートに書かれています。そして、この後、病院には来なくなったようですね。自分の想いを語ることで、心の檻が外れ解放されたのではないかと思います。彼女のその後の行動は、書かれてはいないですが、きっと快方に向かったのではないかと思います。」と黒井 誠先生は言い、テープをカセットデッキから取り出すと、岡田警部補に手渡した。岡田は齋藤 彗神子に一卵性双生児の兄弟姉妹のいずれかがいるということに驚くとともに大きな収穫の手ごたえを感じた。
岡田はテープを受け取り「黒井先生、お手間を取らせてすみませんでした。では、ノートとテープをお借りします。」と改めて礼を言った。齋藤 世末子の所在は分からないが、彼女の病状についてわかる資料を手に入れることが出来た。そして、新たな事実もわかった。岡田は椅子から立ち上がると、「それでは、時間が無いので、これで失礼します。」と資料のノートを手に持ち、礼を言った。傍にいた中西もそれを聞くと立ち上がり頭を下げながら「ありがとうございました。」とカセットを持った。二人はさっそく、大学を出て車に飛び乗った。
岡田は、「次は糸魚川のナカタ漁業に行くぞ。急げ。時間が無い」と岡田は中西に言った。二人は車で大学を出て東の方向に進み、県道63号線から上信越自動車道に向かった。猛スピードで糸魚川へ向け車を飛ばした。中西のドライブテクニックは見事なものだった。あっと言う間に、糸魚川インターが見えた。そして、糸魚川インター出口を国道148号線に入り糸魚川市街に進んだ。横町交差点を右折し長岡、上越の表示が見える国道8号線を進むと、姫川港の防波堤が見えて来た。この近くに、ナカタ漁業はある。岡田と中西はナビを頼りにナカタ漁業の登録のある場所を目指した。海岸沿いをしばらく行くと、小さな掘立小屋のような建物の横壁にナカタ漁業と看板が付けられた建物が見えた。建物の周りは砂利が敷き詰められ、車が数台は止められるスペースがあった。建物の正面は錆びたシャッターで閉められていた。シャッターにはナカタ漁業の文字がかろうじて読み取れる程度に残されていた。そして、錆びたボートが一台、裏返しで放置されていた。登録の住所は、確かにこの場所だった。中西は「ここのようです。どうしますか。登録されている電話番号に電話してみましょうか」と岡田に訊いた。「そうだな、この場所は、多分、今は物置にしか使われていない場所のようだ。どこかに本社があるのか、自宅兼任なのか別の場所にいることは確かだな。」と岡田は言った。中西は登録されているナカタ漁業の連絡先に電話した。
「ただいま、ナカタは航海に出ております。このまま、携帯にお電話をお繋ぎします。しばらくお待ち下さい。」と録画された音声が流れ、ツーツツーと音が流れるとガチャッと何かが切り替わる音がし、男の声で「もしもしー。ナカタです。」と返事があった。中西は「こちら、新潟港警察署の中西と言います。ナカタ漁業のナカタさんですか。お話を伺いたいことがあって、登録されている糸魚川の住所まで来たのですが、不在でしたので連絡しました。今、お話できますか」と訊いた。
「はー。警察の方・・・。何かあったのですか。今は、富山湾沖で船の上に居るので、糸魚川に戻るのは明日以降になりますが、どんな話ですか」と電話の向こうから男の声で返事があった。
中西は岡田に「繋がりました。船の上だそうです。どうしますか、電話、変わりますか、それとも自分が話した方が良いですか」と訊いた。岡田は「ああ、わかった電話を代わってくれ」と言い、中西から電話を受け取ると「すみません、電話を代わらせてもらいました。私は新潟港警察署の岡田と言います。実は今朝、ナカタ漁業さん所属の齋藤 彗神子さんが万代橋の上で補導されまして、その人の事でお聞きしたいことがあるのです。船の上だそうですが、少しお時間宜しいでしょうか。」と訊いた。
「彗神子・・・。彗神子が何かしでかしたのですか?。良いですよ。ちょうど今、明日の朝引き上げるイカ釣りの仕掛けをし終わって、これから夕飯なので時間はあります。」と返事があった。
「彗神子さんをご存じなのですね。」と岡田。
「はい。彗神子はうちのものです。明日の夜に糸魚川で会う約束になっていますが、何かしでかしたのですか」とナカタ。
「仕出かしたというか、万代橋の欄干の上に登り大声を出しているところを補導されたのです。何か経緯をご存じないですか。彗神子さんはどうして新潟市に来たのでしょうか」と岡田。
「万代橋で声を張り上げていた? それはまた、馬鹿なことを・・・。何で、そんなことをしていたかはわからないですね。新潟市に行ったのはパスポートの更新手続きですよ。明後日の8日から一緒に大和堆に出て、その後に、北上して北海道方面に一緒に行く予定でいます。困ったな、彗神子は警察のお世話になっているんですか?」とナカタ。
「今のところ、容疑は万代橋の上で騒いでいただけなので、問題が無ければ、8日の朝には釈放されます。その為の裏とりといいますか、ナカタさんと彗神子さんはご親戚で間違いないですか」と岡田。
「まあ、そんな所です。親父同士が従弟で長い付き合いです。親父は亡くなりましたが、彗神子を引き取ったのは親父です。彗神子と私は少し年の離れた従弟ですね。」とナカタ。
「大和堆にはやはり、魚を釣りに行かれるのですか」と岡田。
「仕事ですからね。釣れるといいんですが。最近は漁獲量が落ちて居まして、思うようには連れませんよ」とナカタ。
「ナカタさんは明日の7日に糸魚川に戻るんですね。」と岡田。
「その予定でいますけど、明日以降で良いですが、彗神子とは連絡とれないでしょうか。8日の朝に新潟港署を出ることになるとしたら、私が新潟市に船で行く方が、早いと思うのでそのことを伝えたいんですが、もしよかったら、彗神子に伝えてもらえませんか。竜が島で待っていると言ってもらえればわかると思うので。」とナカタ。
「わかりました。そのように伝えて置きます。それから、つかぬ事を聞きますが、彗神子さんに一卵性双生児の家族が居るのはご存じですか。」と岡田。
「えっ? 彗神子に双子の家族って姉妹ってこと? まさか、それは初耳だ。見たことも聞いたことも無いですよ。生まれてすぐに死んだとかそういうことですか。だとしても、知らないですね。」とナカタ。
岡田は彗神子の事について、この場でこれ以上聞くことは無理があると判断した。とりあえず、ナカタ漁業在籍していることは確かなようだ、と思った。
「そうですか。わかりました。ところで、ナカタさんと直接お話しするのに携帯番号を教えてもらうことは出来ませんか」と岡田。
「いいですよ。非通知設定をしていないので、そちらに着信番号が出ているはずですが、その番号が私の番号です。」とナカタ。
「あっ、いえ、会社の登録番号に電話をしたら転送されて今繋がっているので、そちらの携帯番号は出ていないのです。お手数ですが教えてください。」と岡田。
「あぁ、そうでしたか、ちょっと待って下さいね。自分の携帯番号を人に教えることなんてそんなにないもので、覚えられなくてね。携帯の裏に書いて貼ってあるんですよ。」と言い、しばらくして「090-〇〇〇〇△△△△ですね」と返事があった。
「どうも、ありがとうございました。また、何かあったら連絡しますのでよろしくお願いします。」と岡田。
「はい。何があったかわかりませんが、彗神子のことをよろしくお願いします。八日に竜が島に行きますので、そう伝えて下さい。」とナカタ。
「はい、わかりました。失礼致します。」と岡田は言い、ナカタが電話を切るのを待って電話を切った。
「齋藤 彗神子はナカタ漁業のもので間違いないようだ。それにナカタさんとはやはり親戚のようだな。双子の件は知らなかったようだが・・・」と岡田は中西に言った。「そうですね・・・。とりあえず、今のところ必要な事の裏は全て取れましたね。どうしますか、新潟に戻りますか」中西が言った。
「うん。そうだな。帰る前に伊藤さんに連絡してあっちの進行状況を聞いてみよう。高田での旧姓時代の尾崎世末子とその母親の世来子の暮らしぶりも気になるが、上越方面に署の方で用事が無いようだったら戻るとするか・・・。」と岡田と言い、伊藤に電話を掛けた。その時、伊藤は万代橋の下に居た。大竹巡査と梶原巡査と共に他の証拠が何かないかを警察犬を引き連れ探していた。
「もしもし、伊藤警部補ですか、こちらは岡田です。」
「伊藤だが、裏は取れたか。」
「はい。今は糸魚川のナカタ漁業の前に居ます。本人は富山沖で航海中なので電話でしか話せませんでしたが、齋藤 彗神子はナカタ漁業の従業員で間違いないです。それからナカタさんとは親戚ですね。後で署で詳しく報告しますが、母親の世末子が通院していた病院の記録を持っていた当時の主治医の息子さんで上越大学の黒井誠さんにも会えました。当時の記録も残っています。音声が残ったテープもですね。確証はないのですが、録音されたテープの証言で彗神子は双子の可能性があるということがわかりました。
それから六日町での彗神子の事も色々とわかりました。どうしましょうか、私はこちらで何か他に調べた方が良いですか」と岡田。
「なんだって、それはすごい。しかし、その件についても裏を取る必要があるな。しかし、今は戻って来て欲しい。その黒井 誠さんが持っていた記録を明日、見せたい人が居る。鑑識の結果も出ると思うから、今日中に新潟に戻って来て欲しい。」と伊藤。
「わかりました。では、これから新潟に戻ります。」と岡田は言い電話を切った。それを聞いていた中西は素早く車を新潟市に向けて走り始めた。元来た道を戻り北陸自動車道に入ると一気に新潟に向けて加速した。走り屋としての気が急いた。これからが腕の見せ所である。レクサスRXお前の出番だと中西は心の中で呟いた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる