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遊園地
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某舞浜の遊園地。
俺は友人たちと遊びに来ていた。
奏「あっ、あのゲームやろうぜ!」
奏の差す方向には手のひらサイズの小さいボールを当たり穴に入れたらぬいぐるみが貰えるアトラクションがあった。
沢山の穴に3.4個の当たり穴。
非常に盛り上がりを見せてて楽しそうだ。
○○「俺はやらん。ぬいぐるみ当たっても家に置くスペースはない。」
優介「俺もパス~」
奏「え~~俺一人だけ?はずいじゃん、一緒にやろうよ!」
とは言っても俺達は頑として譲らなかったもんだから奏一人で挑戦することに。
バンバンバンッ
軽快な音をたてながら転がるもなかなか入らない。まあ、すぐ入ったら向こうも商売にならないから仕方ないか。
奏「う~~ん!入らない!!」
表情豊かな彼は爽やかなイケメンフェイスをクシャッとして悔しがる。
それでも絵になる。
解せぬ。
なんだかんだでラスト一球…
奏「いっけーー!」
バンッバンッバンッ
気合いを入れすぎた球は思い切り跳んでいきあらぬ方向へ飛んでいく。
奏「あーーっ」
優介「やっちったなあ…」
明らかにガックリした奏と諦め顔の優介。ところが…
反対側に跳んでいった球は一番遠い当たり穴の近くにバウンドしていくではないか!
奏「えっ、ええ!?」
○○「ワンチャンいけるんじゃね!?」
優介「キタコレ!」
ずっとニアミスもなかったゲームで飽きがきていた外野の俺達もさすがに興奮していく。
奏「頼む!頼む!!」
バンバンットントトッ
止まりそうな穴は当たり穴の2つ隣の穴。どう転んでも外れ穴である。
奏「あ~~っ」
察した奏はガックリ膝をつき結果がわかる前に絶望している。
が、
ババンッ
奏「え?」
○○「は?」
優介「えええッ!!!」
隣からきた豪速球の球が奏の投げた球に当たりバウンド。
物の見事に奏の投げた球は当たり穴に落ちていった。
その後店員さんもマニュアルをチェックしたが今回の一球は当たり判定になるらしく奏は見事ぬいぐるみをゲットした。
優介「やったね!」
奏「でも、俺が貰って良かったのかなあ…」
○○「まあ、彼もいらないって言ってくれてたから素直に貰っとけよ。」
あの豪速球を投げた男の人は俺達の当たりを素直に喜び快く譲ってくれた。
奏「そうかな!じゃ、リュックにしまっとくわ!」
ニコッと笑って王道イケメンの彼はササッとしまって次のアトラクションに向けて歩き出す。そんな、優しい彼には気にするからこれは言わないが…
本来俺達が割り込まなきゃあの彼の一球は当たり穴に入ってた気がするけどな。
ーーー
何時間か経って昼御飯を食べる俺ら。
俺は追加メニューを頼むため席を立った。
今は超満員で空いている席はない。
マジで入った時間早くてラッキーだったな。
○○「あれ?」
俺はチラッと見えた見覚えのある男を追っかける。
○○「あの~~」
………
笹野「本当、ありがとうございました。」
○○「いえいえ。」
奏「さっきはありがとうございました!」
さっき、景品を譲ってくれた彼の名前は笹野さんと言うようで俺は俺達の空いていた席に彼を案内した。
笹野「あれは、奏さんのものですから。気にしないでくださいね。」
奏「ですがっ」
笹野さんはそう言い募る奏に対し手で制し大きなカバンからあるものを取り出す。
優介「それはっ」
笹野さんが取り出したのは奏と別のものであるが景品のぬいぐるみ。
奏「笹野さんもゲットしたんですか!」
笹野「私は球技ゲーム得意なんですよ。」
奏はそんな笹野さんを眩しそうにみる。
あーあーそんなことしたら…
笹野「でも、奏さんの持つぬいぐるみを狙ってたのですがなかなか入らなくて残念でした。」
曰く2球目で今持つ景品はなんなくゲットしたが3球目以降で奏の景品を狙ったものの残念ながらゲットできなかったようだった。
奏「じゃあ、これあげます!交換しましょ?」
笹野「え?いいのですか!」
笹野さんはクールな顔を綻ばせ喜ぶ。
彼はちゃっかり目当てなものをゲットして嬉しそう。
でも俺は知ってる。
彼は奏のプレイを凝視してたということに。
また、奏が本来狙ってた景品をわざわざ獲得していたという事実に。
奏が元々持ってたぬいぐるみを愛おしそうに触ってることに。きっと欲しいのはぬいぐるみだ。
笹野さんはどこからどこまで計算したことなのやら。
奏と笹野さんは2人の世界に入ってて端から見れば親友のように盛り上がりをみせている。
バカップルか!
まあ、幸せそうだから傍観者に回っておくことにしよう。
最終的には連絡先を交換し、別れた。
でも、笹野さん。
奏「良かったあ!このぬいぐるみ妹が欲しがってたヤツなんだよね!妹喜ぶだろうなあ~~!」
妹の笑顔を想像してだらしなくエヘヘと笑う奏。
その可愛いぬいぐるみ、イケメンの奏が本気で欲しがるのか疑問に思わなかったのか?
自他共に認める重度のシスコン野郎な奏を振り向かせるのは難易度激高だと思うんだが。
○○「良かったな。奏。」
優介「妹ちゃん喜ぶで~~!」
奏「お兄ちゃんすぐ帰るからな~~!!」
妹に電話をしている奏を見て、
さすがに、腹黒笹野さん幸あれ!!と願わずには…いられなかった。
~~~~~~
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今後もよろしくお願いいたします。
俺は友人たちと遊びに来ていた。
奏「あっ、あのゲームやろうぜ!」
奏の差す方向には手のひらサイズの小さいボールを当たり穴に入れたらぬいぐるみが貰えるアトラクションがあった。
沢山の穴に3.4個の当たり穴。
非常に盛り上がりを見せてて楽しそうだ。
○○「俺はやらん。ぬいぐるみ当たっても家に置くスペースはない。」
優介「俺もパス~」
奏「え~~俺一人だけ?はずいじゃん、一緒にやろうよ!」
とは言っても俺達は頑として譲らなかったもんだから奏一人で挑戦することに。
バンバンバンッ
軽快な音をたてながら転がるもなかなか入らない。まあ、すぐ入ったら向こうも商売にならないから仕方ないか。
奏「う~~ん!入らない!!」
表情豊かな彼は爽やかなイケメンフェイスをクシャッとして悔しがる。
それでも絵になる。
解せぬ。
なんだかんだでラスト一球…
奏「いっけーー!」
バンッバンッバンッ
気合いを入れすぎた球は思い切り跳んでいきあらぬ方向へ飛んでいく。
奏「あーーっ」
優介「やっちったなあ…」
明らかにガックリした奏と諦め顔の優介。ところが…
反対側に跳んでいった球は一番遠い当たり穴の近くにバウンドしていくではないか!
奏「えっ、ええ!?」
○○「ワンチャンいけるんじゃね!?」
優介「キタコレ!」
ずっとニアミスもなかったゲームで飽きがきていた外野の俺達もさすがに興奮していく。
奏「頼む!頼む!!」
バンバンットントトッ
止まりそうな穴は当たり穴の2つ隣の穴。どう転んでも外れ穴である。
奏「あ~~っ」
察した奏はガックリ膝をつき結果がわかる前に絶望している。
が、
ババンッ
奏「え?」
○○「は?」
優介「えええッ!!!」
隣からきた豪速球の球が奏の投げた球に当たりバウンド。
物の見事に奏の投げた球は当たり穴に落ちていった。
その後店員さんもマニュアルをチェックしたが今回の一球は当たり判定になるらしく奏は見事ぬいぐるみをゲットした。
優介「やったね!」
奏「でも、俺が貰って良かったのかなあ…」
○○「まあ、彼もいらないって言ってくれてたから素直に貰っとけよ。」
あの豪速球を投げた男の人は俺達の当たりを素直に喜び快く譲ってくれた。
奏「そうかな!じゃ、リュックにしまっとくわ!」
ニコッと笑って王道イケメンの彼はササッとしまって次のアトラクションに向けて歩き出す。そんな、優しい彼には気にするからこれは言わないが…
本来俺達が割り込まなきゃあの彼の一球は当たり穴に入ってた気がするけどな。
ーーー
何時間か経って昼御飯を食べる俺ら。
俺は追加メニューを頼むため席を立った。
今は超満員で空いている席はない。
マジで入った時間早くてラッキーだったな。
○○「あれ?」
俺はチラッと見えた見覚えのある男を追っかける。
○○「あの~~」
………
笹野「本当、ありがとうございました。」
○○「いえいえ。」
奏「さっきはありがとうございました!」
さっき、景品を譲ってくれた彼の名前は笹野さんと言うようで俺は俺達の空いていた席に彼を案内した。
笹野「あれは、奏さんのものですから。気にしないでくださいね。」
奏「ですがっ」
笹野さんはそう言い募る奏に対し手で制し大きなカバンからあるものを取り出す。
優介「それはっ」
笹野さんが取り出したのは奏と別のものであるが景品のぬいぐるみ。
奏「笹野さんもゲットしたんですか!」
笹野「私は球技ゲーム得意なんですよ。」
奏はそんな笹野さんを眩しそうにみる。
あーあーそんなことしたら…
笹野「でも、奏さんの持つぬいぐるみを狙ってたのですがなかなか入らなくて残念でした。」
曰く2球目で今持つ景品はなんなくゲットしたが3球目以降で奏の景品を狙ったものの残念ながらゲットできなかったようだった。
奏「じゃあ、これあげます!交換しましょ?」
笹野「え?いいのですか!」
笹野さんはクールな顔を綻ばせ喜ぶ。
彼はちゃっかり目当てなものをゲットして嬉しそう。
でも俺は知ってる。
彼は奏のプレイを凝視してたということに。
また、奏が本来狙ってた景品をわざわざ獲得していたという事実に。
奏が元々持ってたぬいぐるみを愛おしそうに触ってることに。きっと欲しいのはぬいぐるみだ。
笹野さんはどこからどこまで計算したことなのやら。
奏と笹野さんは2人の世界に入ってて端から見れば親友のように盛り上がりをみせている。
バカップルか!
まあ、幸せそうだから傍観者に回っておくことにしよう。
最終的には連絡先を交換し、別れた。
でも、笹野さん。
奏「良かったあ!このぬいぐるみ妹が欲しがってたヤツなんだよね!妹喜ぶだろうなあ~~!」
妹の笑顔を想像してだらしなくエヘヘと笑う奏。
その可愛いぬいぐるみ、イケメンの奏が本気で欲しがるのか疑問に思わなかったのか?
自他共に認める重度のシスコン野郎な奏を振り向かせるのは難易度激高だと思うんだが。
○○「良かったな。奏。」
優介「妹ちゃん喜ぶで~~!」
奏「お兄ちゃんすぐ帰るからな~~!!」
妹に電話をしている奏を見て、
さすがに、腹黒笹野さん幸あれ!!と願わずには…いられなかった。
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