我儘暴君と言われる王太子の婚約者になったけど私は愛し続けます！

始まり

「お前が私の宿題をやればいい！」

眩しい光と共に微睡みから目を覚ます。





目の前には真っ黒な黒曜石のようにキラキラ光る髪。赤いルビーのような瞳。

綺麗な顔を歪ませ不快を全面に出し、見下ろす男。



「貴方様は…」

「ふんっ、驚いてるようだがしっかり処理しておくようにっ」


おまけのように小言を添えて立ち去るーー



あのベルサーチ=バド=フォンデーテ殿下その人が目の前にいた。









落ち着こう。


突き飛ばされて擦りむいた体を魔法で癒し立ち上がると遠巻きに眺めているクラスメートを無視して自身の部屋に戻る。


バタン

鏡を見れば、薄いグラデーションのかかった水色の長い髪を携えた全体的に淡く、幸薄そうな儚げな美人さんがこちらを見つめていた。


「本当に現実だ…な…」

柔らかそうなほっぺをみゅーんみゅーんと美人さんの顔を引っ張る私。


彼の名前はエルフィム=マクファード。


女を嫉妬させる程の透き通った肌。儚げ美人で女性に生まれたら傾国のうんたらになれたであろう。
そして才色兼備。先程使った魔法、武術、勉学全てが高水準で非の打ち所のない人。



(まあ、魔法が簡単に使えた辺りでなーんとなく察してはいたが…。)



私はどうやら物語の世界に転移？してしまったようだった。