はじめまして、妖精です。穴がなくなって迷子なので同居してもよろしいでしょうか?

タマモ

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偶然か、必然か、 39話

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 夢見心地でまぶたを上げれば、目の前には綺麗な金色が広がっていた。

 いつもとは違う柔らかな肌触りに不思議に思えば、徐々に視界がはっきりとなりその正体を映し出して行った。

「……まじか」

 そこには、俺の腕の中で眠るレイナがいた。

 昨日の記憶をぼんやりと思い出してみれば、俺は相当酔っていたみたいだ。どうやらそのまま眠ってしまったらしい。
 しかも、曖昧ではあるがかなり恥ずかしい事を話していたような気もする。

 ……最悪だ。やっちまったな。

 今までなら酔っ払って帰って来たとしても誰もいないのでやりたい放題だったのだ。
 レイナと暮らし始めてからは一応酒もある程度セーブしてはいたつもりだ。…まぁ、レイナ曰く酔っ払って帰ってきた俺はセーブしていても面倒らしいのだが。

 昨日は久しぶりに会う友達との同窓会だったこともあり、飲み過ぎないよう最初は気をつけていた。…がしかし、いろんな事件があったりもして、最終的には何も考えずにただただ楽しんで酔っ払ってしまっていたのだ。

 そんなわけで、今の俺はパンツ一丁。
 そこら辺には脱ぎ散らかした服や靴下がある。

 そんな姿のまま、俺は今、部屋着姿の美少女をあろうことか抱きしめているわけだ。

「……んんー、これはまずいな」

 これは、非常にまずい。
 男なら皆そうだろう。パンイチで柔肌を感じてしまえば非常にまずいことになるのだ。

 というか、何だこの事後のような光景は。
 だいぶムラっとくるんだが。

 そして、目の前のレイナからは何度か嗅いだことのある甘くてぼうっとしてしまうような、男には刺激的すぎる匂いがする。

 ……うん、正直に言おう。俺は今、だいぶムラムラしてしまっている。

「…うわ、まだこんな時間かよ」

 変な時間に目が覚めたらしい。時計は朝の5時を指していた。
 レイナを起こそうと思ったが、気持ち良さそうに寝ている姿を見れば、まだ時間も早いしなんだか悪い気がしてきてしまう。

 しかし、そんなことも言ってられないのだ。

「……」

 なぜなら俺の下半身が、限界を迎えようとしているからだ。

 一応言い訳をさせてもらう。
 朝だから、ということも考慮していただきたい。
 久しぶりの女性の柔肌を感じたのだから当たり前だと思って欲しい。
 あとレイナの匂いも身体もなんかエロすぎるのが悪いと思う。

 ……というか、だ。
 さっきからずっと思っていたんだが、こいつ、

 ………ノーブラじゃね?

 いや、わかる。
 寝る時はつけたくないよなブラジャーなんて。
 俺だってなんなら1人の時は全裸で寝ることもあったわけだし。

 だが、しかし、今は着けていてほしかった。

 前にチラッとみたブラジャーのサイズはやっぱ間違いじゃないんだなぁ、やらけぇなぁ、気持ち良いなぁ、なんて、無限に意識を注いでしまうほど、俺の裸の腹の上には立派なオッパイがのしかかっているのだ。

 そして、下着と一緒に買った部屋着も可愛らしいちょっとふわふわした素材で、それも相まってめちゃくちゃ肌触りが最高なのだった。

 下がショートパンツではなく長ズボンなのがまだ救いではある。
 ショートパンツだったら終わってた。多分、俺の欲は爆発していたことだろう。
 
「……レイナ、ごめん起きて?」

 そんなことを考えていれば、結局俺はレイナを起こそうとするのだった。

「……あれ、けんじ、さん?」
「…はい、憲司さんです」
「…んぅ、おはよう、ごじゃいます」
「……」

 レイナを自分の身体から引き剥がすと、その衝撃で起きてくれたようだった。
 そして、目の前で重たそうな瞼をゆっくり開けて俺がいることを確認してそう言った。

 ……なにこれ、可愛すぎるだろ。

 普段のレイナからは想像もつかないようなそんな無防備な姿に、心臓を一瞬にして鷲掴みにされた俺。

 え、「ごじゃいます」って言った?え、ていうかなにその仕草やば。
 あのレイナが、眠そうに目をこすりながら舌足らずな口調でそんなことを言うのだから、俺のテンションはおかしなことになっていた。

 レイナはいつも俺より早く起きていて、俺が起きた頃にはいつものしっかりとした姿で朝ご飯の準備をしている。
 なので彼女の寝顔も寝起きの無防備な姿も、今までみたことがなかったのだ。

 それが、コレ、ときた。
 普段は見れないような彼女の爆発的なギャップに、おかしくなるのも無理はないだろう。
 ますます危機を感じた俺は、溢れる気持ちをぐぐっとなけなしの理性で押さえつけて、そして、その場から急いで離れようとソファーから立ちあがろうとする。

「……ちょ、うわっ?!!」
 
 ———のだが、どうして、こうなったのだろうか。

 やはり俺の身体はどうやらレイナの攻撃にかなりやられていたらしい。

 立ちあがろうとした足には力が入らずふらっとそのまま倒れていくと、いつのまにか再びソファーに沈んだ俺は彼女に覆い被さっていた。

「……」
「……ご、ごめん」

 目の前には鼻がぶつかりそうなほど、近くにある驚いた表情の綺麗な顔。

 そして、片手に感じる柔らかいナニか。


「…ははっ、柔らか」


 そう、俺は今、どこぞのラブコメのごとく、思いっきりレイナの胸を触っていた。

 そして男ってやつはどうしようもない生き物なわけで。一度触ってその感触を味わえば、勝手にその手は動いてしまうもので。
 久しぶりに感じた女の子特有の温もりにひどく感動してしまうのだった。


「憲司さん、まじでキモイです」

 
 彼女の魔法の言葉なんて全く気にならないほど、最高のラッキースケベを堪能できたそんな清々しい朝。

 ———勿論、数秒後にはお決まりのビンタを盛大にくらうのでした。

「……」
「……すみませんでした」

 あぁ、今日もいい一日が始まりそうだ。

 ありがとうラッキースケベの神様。ありがとうレイナのオッパイ。

 ありがとう、ノーブラ。
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