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山村京二

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第1章:春休みに起きた出来事

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さて本題に入りますが、このブログを立ち上げたのはある日記を祖父母の家で発見したことから始まりました。私が中学3年の時です。春休みのはじめくらいだったと思いますが、自宅から近所だったことから祖母に『ステーキが食べたい』とねだって連れて行ってもらう約束でした。その日は祖父が畑仕事に出ていたので、家には祖母と私の二人だけでした。弟はその時部活に行っていたので、一緒ではなかったと思います。

お目当てのステーキをたらふく食べて満足した私は、仏壇のある部屋の隣の和室で昼寝をすることにしました。居間で祖母が何やら喋っていたようですが、多分、買い物に行ってくるから、帰るまでは留守番をしてほしい、というような話だったのではないかと思います。

うとうとしながら昼のワイドショーが流れるテレビをぼんやり見つめていたのですが、仏壇のほうから人の声が聞こえたような気がしたんです。『ばぁちゃんかい?』と声を掛けましたが、当然20分以上前に祖母は買い物に出ていきましたのでそんなはずはありません。

気のせいだと思い、またぼんやりテレビを眺めながらうつらうつらしていると、不意に押し入れのほうが気になったのです。ホラー特集で聞いたことがあるような『誰かに見られている気がする』というやつです。祖父母の家は古い家で、日本人形やなくなった家族の写真が飾ってあるような和室でしたので、どうせ気のせいだと思っていたんです。いつも祖父母の家に来るとそんな気はしていたから。

その時です。

ガタガタっと何かが音を立てて落ちたような気がしました。その音は先ほど誰かの視線を感じた押し入れから聞こえているのは間違いありませんでした。『飼い猫のタマかな?』と思い何のけなしに押し入れの戸を開けるとあるものがパタンと私の足元に転がってきました。


古い日記帳でした。この写真は感染症が流行り出す前位に撮影したので、3・4年前くらいに撮影したものです。かなり傷んでいて、いくつかのページは落ちた衝撃でバラバラになってしまいました。『なんだこれ』と思って座布団を引っ張り出してそーっとページをめくりながら読んでみました。すると、祖父が戦争が終わり、学校に通い始めたくらいに書き始めた日記帳であるということが、何となく文面から読み取れました。

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『本日、剛が風邪こじらせ医務室にて寝込む』

『幸代の母の弁当は、ご飯が多くてなお美味い』
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そんな中学生の僕にとってはどうでもいい、ありふれた日常というよりも、今で言えばSNSの一言のような文章が走り書きで記されていました。『じいちゃんもこんな学生時代があったんだなー』なんて飛ばし読みしていると、1枚のページが破れて落ちかけたギリギリのところで、リングにぶら下がっている状態になったページを開きました。

そのページを開いたとき右肩の下のほうがゾクッとしたのを覚えています。怖いというよりも『これはなんだ?』という疑問と突拍子もない文面に少し驚いたというのが適当かもしれません。そこには次のように書かれていました。

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怖気(おぞ)ケルハ敵国ニアラズ。真ニ怖気ルハ人ノ念ニアリ。恨ミツラミ交ワリ得モ言ワレヌタルヤ、恋(こい)コガレタルヤ、ソノ念ハ万里ヲ渡リケル。今コレヲ読ミ入ル其方(そなた)ニモ我ガ実ニ降リカカリシ事柄ヲ伝エン。
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