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第4章:突然の悲劇
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次の日もバーバラは家事を分担してくれた。ベビーシッターとして働き始めてから3日目、マリアは思い切って例の少女の声をバーバラに相談しようと思った。
『あの・・・ちょっと相談してもいいですか?』
マリアは家事を終えてダイニングテーブルで一休みしているバーバラに声をかけた。バーバラはタンクトップに短パンというラフな格好で扇風機の風に当たっていた。
『どうしたの?あ、昨日は激しすぎちゃったかしら』相変わらず卑猥な表現で自分たちのセックスを茶化すバーバラに『いや、そうじゃなくて・・・』マリアは返答に困りながらも続けた。
『夜中、日付が変わったくらいなんですが、女の子の声がする気がして。自分の勘違いだと思ったんですが、昨日も一昨日も同じような事が起きていて。お二人の寝室の奥の部屋から聞こえているみたいなんですよ』
マリアはゆっくりとした口調で昨晩の出来事を思い出しながらバーバラに説明した。すると突然バーバラはダイニングテーブルを叩いて叫んだ。
『そんなことあるわけないでしょ!あの部屋は使ってないから!変なこと言わないでよ!私の家がゴーストハウスだとでも言いたいの!?いい加減にしてよ!』
ものすごい剣幕で詰め寄るバーバラにマリアは咄嗟に謝ることしかできず、ピーターが気をつけろと言っていたのはこのことかと思い出した。このことはバーバラには話が出来ないと悟ったマリアは、『子供たちをお昼寝させてきます。』と言い残してその場から逃げた。
夕方になり、いつもならバーバラと夕食の準備を始める時間だが、バーバラは大きな旅行鞄を抱えてマリアにこう言った。『あんたが変なこと言うから気分が悪くなったわ。1週間くらい旅行に行くからピーターに伝えておいてちょうだい。家事はあなたも出来るわよね?ま、今まで私は一人でやってたんだから出来てもらわらないと困るんだけど』そう言い残すとピーター宛だという手紙を封筒に入れてマリアに手渡すと、バーバラはどこかへ出かけてしまった。
自分のせいでバーバラが出て行ってしまったことをどうやってピーターに話そうかと考えているとしばらく時間が流れた。すっかり日も落ちたころ、聞きなれたトラクターのエンジン音が遠くから近づいていることに気づいた。
ダイニングテーブルに座り手渡された封筒を置き、ピーターが入ってくるのを待った。
『帰ったぞ』いつものように仕事から帰ったピーターが玄関から入ってくると子供たちが迎えた。すぐに気づいたピーターは『バーバラはどこ行った?』とマリアに尋ねると、ダイニングテーブルに置かれた封筒を見て『あー、そういうことか。意外と早かったな。全く困ったもんだ。』そう言ってバスルームで顔を洗ってからダイニングテーブルに腰掛けた。
大きな手でバーバラが残した封筒をパタパタと叩きながら、ピーターはマリアにこう話した。
『あいつは昔から気性が激しくてな。いつもはいい女なんだがスイッチが入るとこうだ。それでも俺が惚れて結婚したんだが、なかなか機嫌を取るのも大変だよ。なぁに、1週間もすれば帰ってくるさ。その間は家事と子供たちの世話が大変だと思うけど、俺も手伝うよ。あ、俺の世話は大丈夫だぞ。ガッハハハハ!!!』
ピーターなりの気遣いだったのだろうが、マリアはそれどころではなかった。なぜなら例の少女の声をピーターに相談すべきか判断できなかったからだ。相談できないとすればピーターが仕事に出ている間は自分一人でこの家にいなければならない。そうなれば、頼る人はいないと思ったからだ。バーバラがなぜあそこまで激昂したのか分からない中で、ピーターにこの話を切り出すことは出来なかった。
とりあえず様子を見ようと考えたマリアは、いつものように寝室に入った。今日はいつもの様にバーバラの声は聞こえないので、いつもより早い時間に眠ることが出来た。
翌朝、起きてこないピーターを寝室に呼びに行くと、彼は首を吊っていた。
『あの・・・ちょっと相談してもいいですか?』
マリアは家事を終えてダイニングテーブルで一休みしているバーバラに声をかけた。バーバラはタンクトップに短パンというラフな格好で扇風機の風に当たっていた。
『どうしたの?あ、昨日は激しすぎちゃったかしら』相変わらず卑猥な表現で自分たちのセックスを茶化すバーバラに『いや、そうじゃなくて・・・』マリアは返答に困りながらも続けた。
『夜中、日付が変わったくらいなんですが、女の子の声がする気がして。自分の勘違いだと思ったんですが、昨日も一昨日も同じような事が起きていて。お二人の寝室の奥の部屋から聞こえているみたいなんですよ』
マリアはゆっくりとした口調で昨晩の出来事を思い出しながらバーバラに説明した。すると突然バーバラはダイニングテーブルを叩いて叫んだ。
『そんなことあるわけないでしょ!あの部屋は使ってないから!変なこと言わないでよ!私の家がゴーストハウスだとでも言いたいの!?いい加減にしてよ!』
ものすごい剣幕で詰め寄るバーバラにマリアは咄嗟に謝ることしかできず、ピーターが気をつけろと言っていたのはこのことかと思い出した。このことはバーバラには話が出来ないと悟ったマリアは、『子供たちをお昼寝させてきます。』と言い残してその場から逃げた。
夕方になり、いつもならバーバラと夕食の準備を始める時間だが、バーバラは大きな旅行鞄を抱えてマリアにこう言った。『あんたが変なこと言うから気分が悪くなったわ。1週間くらい旅行に行くからピーターに伝えておいてちょうだい。家事はあなたも出来るわよね?ま、今まで私は一人でやってたんだから出来てもらわらないと困るんだけど』そう言い残すとピーター宛だという手紙を封筒に入れてマリアに手渡すと、バーバラはどこかへ出かけてしまった。
自分のせいでバーバラが出て行ってしまったことをどうやってピーターに話そうかと考えているとしばらく時間が流れた。すっかり日も落ちたころ、聞きなれたトラクターのエンジン音が遠くから近づいていることに気づいた。
ダイニングテーブルに座り手渡された封筒を置き、ピーターが入ってくるのを待った。
『帰ったぞ』いつものように仕事から帰ったピーターが玄関から入ってくると子供たちが迎えた。すぐに気づいたピーターは『バーバラはどこ行った?』とマリアに尋ねると、ダイニングテーブルに置かれた封筒を見て『あー、そういうことか。意外と早かったな。全く困ったもんだ。』そう言ってバスルームで顔を洗ってからダイニングテーブルに腰掛けた。
大きな手でバーバラが残した封筒をパタパタと叩きながら、ピーターはマリアにこう話した。
『あいつは昔から気性が激しくてな。いつもはいい女なんだがスイッチが入るとこうだ。それでも俺が惚れて結婚したんだが、なかなか機嫌を取るのも大変だよ。なぁに、1週間もすれば帰ってくるさ。その間は家事と子供たちの世話が大変だと思うけど、俺も手伝うよ。あ、俺の世話は大丈夫だぞ。ガッハハハハ!!!』
ピーターなりの気遣いだったのだろうが、マリアはそれどころではなかった。なぜなら例の少女の声をピーターに相談すべきか判断できなかったからだ。相談できないとすればピーターが仕事に出ている間は自分一人でこの家にいなければならない。そうなれば、頼る人はいないと思ったからだ。バーバラがなぜあそこまで激昂したのか分からない中で、ピーターにこの話を切り出すことは出来なかった。
とりあえず様子を見ようと考えたマリアは、いつものように寝室に入った。今日はいつもの様にバーバラの声は聞こえないので、いつもより早い時間に眠ることが出来た。
翌朝、起きてこないピーターを寝室に呼びに行くと、彼は首を吊っていた。
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