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最終章:遺言書

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玲子があの家に引っ越ししてからちょうど1年が経った頃、あの家は遺言書にしたがって新平の父の会社の持ちものになった。それを機に、新平の父は仕事の拠点を大家の家に移して、広い営業所を手に入れた。

また、遺言書には、京都から大家が引っ越してきた際に手切れ金として受け取った代々の宝物を、離れの床下に埋めてあることも記されていた。新平の父がリフォームを兼ねて床下を調べたところ、江戸時代ごろの小判や巻物が出てきた。これも遺言書にしたがって、半分を国へ寄付する事、半分を新平の父が受け取ることが決まった。

ただ、遺言状を確認した新平の父は、一つだけ玲子たちに伏せていることがあった。遺言書にはこのように書かれていた。

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土地や建物については不動産管理会社に権利を委譲する。その後の利益については一切の権利を同会社へ委譲する。

条件として、工藤玲子様に対して、10年間家賃を免除する事。ただし、工藤玲子様がその後の賃貸契約を解除する場合はその限りではない。その後の賃貸物件としての利用は、同会社の任意に運用できるものとする。

離れに埋蔵してある一切の金品は、半分を国への寄付とし、半分を息子に贈与するものとする。

富樫恵理子
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