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第4話
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僕はアーベル・アードラー。男爵家の三男。今は実家の男爵家に籍があるけども、もうすぐ兄上が父上から男爵位を継げば、平民になる。
5歳の時。聖教会で洗礼を受けて、司祭に告げられたのがユニークスキル「キャンドルサービス」だった。しかし、前代未聞のスキルで効果も分からない。しばらく教会に預けられて、蝋燭を使っていろいろ実験をされたけど、すべて不発だったそうだ。時の司祭には、ユニークスキルについては周囲に伏せた方が良かろうということで、そのまま放流された。
そんな僕は、幼馴染のベンヤミン・バルシュミーデに誘われて、学園卒業後に冒険者となった。彼は騎士爵家の四男、剣を持たせたら同級生で一番強い。僕は風魔法がちょっと使えるくらい。果たして僕なんか、冒険者でやって行けるのかどうか怪しい限りだったけど、特に決まった進路もなく、彼の提案に乗ることにした。
僕たちが拠点にしたのは、王都から少し離れたチェルハ村。のどかな農村では、駆け出し冒険者向けの仕事しかなかったが、僕たちはそれで十分だった。ベンは魔物を倒すことで剣術スキルに磨きを掛けたり、魔物を上手に解体して売ったり。僕は珍しい薬草を採取して鑑定スキルや調薬スキルを上げたり。毎日が充実して、それはそれは楽しかった。
そんなのどかな生活が一変したのは、偶然唇がぶつかった時。
『剣術Lv1を取得しました』
『身体強化Lv1を取得しました』
『火属性魔法Lv1を取得しました』
脳内でそんな声がこだまして、僕はベンの持つスキルを習得した。同時にベンも、鑑定と調薬と風属性魔法を覚えたらしい。僕のユニークスキル「キャンドルサービス」って、キスでスキルを与え合うものだったらしい。新しく覚えたスキルは意外と役に立った。事故チューではあったけど、お互いwin-winなアクシデントだったと思う。
しかしその後。
「それ、他のことでも感染っちゃったら、マズくね?」
ベンの言葉で、僕たちはキス以上の「その先」を試してみることになった。幸いベンの家は騎士の家系で、男同士で「抜きっこ」することを知っていた。僕は彼に教えられるまま、お互いのペニスをくっつけて擦り合ったり、彼のものを後ろで受け入れた。そしてベンが僕の中で射精した途端、
『剣術Lv8を取得しました』
『身体強化Lv5を取得しました』
『火属性魔法Lv3を取得しました』
僕は改めて、ベンのスキルを彼の現在のレベルで習得することとなった。ちなみにベンは僕のスキルを習得することはなかった。
検証の結果、僕のキャンドルサービスのスキルは、キスならレベル1で双方のスキルをお互いが習得できること、そして「抜きっこ」なら注がれる方にだけ、保持者本人の現行レベルでスキルがコピーされるようだ。これは後日、僕からもベンに「抜きっこ」でスキルを注いだから間違いない。
その後、僕らは何事もなかったかのように、冒険者稼業に精を出した。僕らはお互いにスキルを渡し合ったけど、だからって僕が急に剣術で頭角を表すこともないし、ベンが易々と調薬をこなすこともない。やっぱり、自力で積み上げて来たことや得意なことは変わらないのだ。だけど、僕も戦闘に参加できるようになったし、ベンも採集や解体に鑑定スキルを役立てられるようになった。
スキル「キャンドルサービス」の効果は分かった。分かったのが、チェルハ村で同居しているベンとの間で良かった。司祭様には、ユニークスキルのことは周りに伏せた方が良いだろうと言われたみたいだけど、本当にその通りだ。僕がキスや抜きっこでスキルを分け与えることが出来ると知られれば、どこかの偉い人か悪い人に囲われて、一生知らない人とキスや抜きっこをさせられるか、もしくは危険だと見做されて、処分されていたかもしれない。
一方で、このまま行けば僕は、ロクに女の子とお付き合いできないかもしれない、と心配している。長年幼馴染で全幅の信頼を置けるベンと違って、僕のスキルの秘密を守ってくれる誠実な女の子かどうか、お付き合いする前にどうやって確かめたらいいんだろう。また、相手の女の子が誠実であっても、知る人が増えればそれだけ秘密が漏れる可能性が高くなる。現に僕は、ベンから強力な剣術をコピーしてもらった。僕がもし女の子とお付き合いしたら、彼女はある日いきなり剣の達人に変わる可能性が高い。すると、遅かれ早かれ僕のスキルのことが知れ渡ってしまうのではないか、と。
いや、まだ起こってもいないことをくよくよ心配しても仕方ない。僕らは駆け出し冒険者だ。今はお付き合いどころか、まだ女の子の手も握ったことのない僕だけど、そのうち冒険者として頭角を表せば、いつか女の子にモテる日も来るだろう。その時に悩めばいい。貴族学園の同期は、結婚した奴や、既に子供まで生まれた奴もいるけど、焦るな僕。今はこつこつ実績を積んで、冒険者としての実力を付けよう。悔しくなんかないぞ。決して。
5歳の時。聖教会で洗礼を受けて、司祭に告げられたのがユニークスキル「キャンドルサービス」だった。しかし、前代未聞のスキルで効果も分からない。しばらく教会に預けられて、蝋燭を使っていろいろ実験をされたけど、すべて不発だったそうだ。時の司祭には、ユニークスキルについては周囲に伏せた方が良かろうということで、そのまま放流された。
そんな僕は、幼馴染のベンヤミン・バルシュミーデに誘われて、学園卒業後に冒険者となった。彼は騎士爵家の四男、剣を持たせたら同級生で一番強い。僕は風魔法がちょっと使えるくらい。果たして僕なんか、冒険者でやって行けるのかどうか怪しい限りだったけど、特に決まった進路もなく、彼の提案に乗ることにした。
僕たちが拠点にしたのは、王都から少し離れたチェルハ村。のどかな農村では、駆け出し冒険者向けの仕事しかなかったが、僕たちはそれで十分だった。ベンは魔物を倒すことで剣術スキルに磨きを掛けたり、魔物を上手に解体して売ったり。僕は珍しい薬草を採取して鑑定スキルや調薬スキルを上げたり。毎日が充実して、それはそれは楽しかった。
そんなのどかな生活が一変したのは、偶然唇がぶつかった時。
『剣術Lv1を取得しました』
『身体強化Lv1を取得しました』
『火属性魔法Lv1を取得しました』
脳内でそんな声がこだまして、僕はベンの持つスキルを習得した。同時にベンも、鑑定と調薬と風属性魔法を覚えたらしい。僕のユニークスキル「キャンドルサービス」って、キスでスキルを与え合うものだったらしい。新しく覚えたスキルは意外と役に立った。事故チューではあったけど、お互いwin-winなアクシデントだったと思う。
しかしその後。
「それ、他のことでも感染っちゃったら、マズくね?」
ベンの言葉で、僕たちはキス以上の「その先」を試してみることになった。幸いベンの家は騎士の家系で、男同士で「抜きっこ」することを知っていた。僕は彼に教えられるまま、お互いのペニスをくっつけて擦り合ったり、彼のものを後ろで受け入れた。そしてベンが僕の中で射精した途端、
『剣術Lv8を取得しました』
『身体強化Lv5を取得しました』
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僕は改めて、ベンのスキルを彼の現在のレベルで習得することとなった。ちなみにベンは僕のスキルを習得することはなかった。
検証の結果、僕のキャンドルサービスのスキルは、キスならレベル1で双方のスキルをお互いが習得できること、そして「抜きっこ」なら注がれる方にだけ、保持者本人の現行レベルでスキルがコピーされるようだ。これは後日、僕からもベンに「抜きっこ」でスキルを注いだから間違いない。
その後、僕らは何事もなかったかのように、冒険者稼業に精を出した。僕らはお互いにスキルを渡し合ったけど、だからって僕が急に剣術で頭角を表すこともないし、ベンが易々と調薬をこなすこともない。やっぱり、自力で積み上げて来たことや得意なことは変わらないのだ。だけど、僕も戦闘に参加できるようになったし、ベンも採集や解体に鑑定スキルを役立てられるようになった。
スキル「キャンドルサービス」の効果は分かった。分かったのが、チェルハ村で同居しているベンとの間で良かった。司祭様には、ユニークスキルのことは周りに伏せた方が良いだろうと言われたみたいだけど、本当にその通りだ。僕がキスや抜きっこでスキルを分け与えることが出来ると知られれば、どこかの偉い人か悪い人に囲われて、一生知らない人とキスや抜きっこをさせられるか、もしくは危険だと見做されて、処分されていたかもしれない。
一方で、このまま行けば僕は、ロクに女の子とお付き合いできないかもしれない、と心配している。長年幼馴染で全幅の信頼を置けるベンと違って、僕のスキルの秘密を守ってくれる誠実な女の子かどうか、お付き合いする前にどうやって確かめたらいいんだろう。また、相手の女の子が誠実であっても、知る人が増えればそれだけ秘密が漏れる可能性が高くなる。現に僕は、ベンから強力な剣術をコピーしてもらった。僕がもし女の子とお付き合いしたら、彼女はある日いきなり剣の達人に変わる可能性が高い。すると、遅かれ早かれ僕のスキルのことが知れ渡ってしまうのではないか、と。
いや、まだ起こってもいないことをくよくよ心配しても仕方ない。僕らは駆け出し冒険者だ。今はお付き合いどころか、まだ女の子の手も握ったことのない僕だけど、そのうち冒険者として頭角を表せば、いつか女の子にモテる日も来るだろう。その時に悩めばいい。貴族学園の同期は、結婚した奴や、既に子供まで生まれた奴もいるけど、焦るな僕。今はこつこつ実績を積んで、冒険者としての実力を付けよう。悔しくなんかないぞ。決して。
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