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第10話※ レンジャーのアールト2

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「お、お邪魔しま~す…」

 そこは、古びた一軒家。元は薬師の工房だったのだろうか。入り口には小さなカウンター、その奥に調剤室。かたわらの扉からは、日当たりのいいリビング。

「さあ、座って。まず、スライム素材の話だったね」

 先日カフェに同伴した時のアールトも魅力的だったが、小ざっぱりした普段着のアールトはまた別腹だ。エルフって奴ぁ、素朴でシンプルな服でもイケメンである。「森の精霊の末裔」感が半端ない。当然、普段のレンジャーの装備も凛々しくて至高。フィギュアにしたい。フィギュアにして飾りたい。

 彼は、ドワーフの大人たちに聞いていた高慢なエルフ像とはかけ離れていた。冷徹で狡猾とは真逆、いつも穏やかな笑みを湛え、見習いでペーペーな俺にも分け隔てなく気さくに接してくれる。俺のひいひい爺ちゃんよりも長生きなのに、偉そうな態度一つ見せず、俺がアールト様やアールト先生と呼ぼうとすると、「よしてくれ。私も君から学んでいるのだから、先生はお互い様だよ」と優しく嗜める。そんなん惚れてまうやろ。漢気に。ちなみに、神と呼ぼうとすると顔を引き攣らせて強く止められた。俺的には、神が一番しっくり来るんだけどな。なんせエルフ様だもの。

 彼はフラスコに入れたスライムゼリーと、魔石を粉にしたものを運んできた。

「君も知っての通り、スライムは核を取り出すとゼリー状となり、やがて水となって自然に還る」

 スライムゼリーは、水に戻る前の、核を取り出してまだ間もない状態のものだ。市販のローションは、これを濾過して香料などを加えたもので、時間が経つとただの水になる。

「スライムは、魔素の多い水溜まりから発生する。つまり、水に魔素を加えたものがスライムだと考えられる」

 そう言いながら、アールトはフラスコに魔石粉を少量加えた。すると、フラスコの中のゼリーは、粘性を取り戻した。

「可逆性があるんですね!」

「その通り。この仕組みを利用して、錬金術では様々な試みが加えられていたんだよ。まあ、錬金術自体、100年くらい前にはすっかり下火になってしまったんだけどね」

 ふおおお、錬金術!

「ですよね。金とか作れるわけないですもんね」

「…君は何故そう思うの?」

「いや、何ていうか、…勘?」

 アールトの鋭いツッコミに怯む。異世界でも同じような試みがあって、とうに頓挫したんですよ、などとは言えない。そもそも金は錬成するもんじゃなくて、安定した重金属だし。

「ふふ。君の勘は当たるからね。そういうことにしておこう」

 彼は微笑みながら、それ以上の追求はして来ない。例の根付けの時もそうだ。「見知らぬ旅人さんが」という怪しいソースを、そのままにしておいてくれる。アールトの半分は優しさで出来ている。

「そして不思議なことなんだけど、ただの水に魔石を混ぜても、スライムにはならないんだ。元々スライムゼリーであった水にしか反応しないんだよ」

 もう一つ、水に魔石粉を落としたフラスコを優しく振りながら。これはエルフが100年単位で観察して、スライムに変化しないことを確認しているらしい。

「ふぅん。やっぱアミノ酸とかですかね」

 生命の誕生と言えばアミノ酸だ。以前彗星か何かでアミノ酸が発見されて、地球外生物の存在の可能性がどうとかニュースで見たような。

「アミ…何だって?」

「あっ、いやっ、えっと」

 アミ、いやあの、オキアミ?などと苦しい言い訳をしていると、「何故地の果ての海洋生物を?」などとツッコまれてしまう。いかん。墓穴を掘りまくりだ。

「ふふ、まあいいよ。というわけで、スライムゼリーには魔石粉を混ぜることで、様々な固さに固定することが可能なんだけど、理解できたかな」

「はいっ!」

 もう、それさえ聞ければ今日は上々。魔石粉のコストさえ度外視すれば、潤滑ジェルから樹脂の代わりまで、幅広く応用が効きそうだ。先日鉱山に出かけた時、馬車にタイヤやクッションがないことに絶望したものだが、これで一気に解決出来るかもしれない。当然オナホ開発も捗るだろう。ああ、俺の夢が。夢が広がる。

 それにしても、随分前にすたれて久しい錬金術。この世界にもかつては存在した、という話は聞いたことがあるが、まさかそれを修めた本人に教えを乞うことが出来るなんて。

「あのっ、何とお礼をすればいいか…」

 俺は手土産に、街の菓子店からナッツの詰まったクッキーを持って来たが、こんなものでは謝礼に足りない。

「ふふ。じゃあ、ここからはお茶にしようか」

 アールトは、手土産のクッキーと一緒に、複雑な香りのする薬草茶を出してくれた。

「君の持って来たそれ、新しいタリスマンだね。鑑定しても?」

「はい、是非!」

 俺は、思い出せる限りのキャラ、もとい神仏や梵字、ルーンなどのシンボルを、木彫りで再現してみた。何となく、パワーが宿ったように感じるものも、そうでないものもあったが、鑑定のスキルを持たない俺には分からない。女将さんに見てもらえば分かるかも知れないが、未知のテクノロジー?をあまり多くの人に知られるのは良くない。アールトにそうアドバイスを受け、俺もその通りだと思い、次、彼に会ったら鑑定してもらおうと、心待ちにしていたのだ。

「おや…防毒・麻痺、状態異常回復。これは凄いね」

「あ、それは薬師如来と言って、医師の師と呼ばれる神仏で…」

 神と仏は違うと言っても、彼には伝わらない。とりあえず「神仏」で一括りにしている。「種類の違う信仰の混合」みたいなニュアンス。

 俺の「見知らぬ旅人さん」の話を真剣に聞いてくれるアールトに嬉しくなって、いつもつい饒舌になってしまう。こんな前世のゲーオタ知識でよければ、いくらでも役立ててもらいたい。特に今日は、工房の面々やカフェの客を気にせず、思いっきりオタクネタが披露出来る。何でも聞いてくれ。こんなヨタ話が、錬金術のお礼になるなら、いくらでも…



「ふふ。ようやく効いて来たかな」

 凄く近いのに、どこか遠くから、声が聞こえる。蜂蜜のようにトロリと甘い、アールトの声。霞む視界を、懸命に焦点を合わせれば、そこには完璧な造形美を湛えたエルフの御尊顔。

「てぇてぇ…」

「君は時々、意味の分からないことを言うね」

 彼はちょっと困った顔をする。そんな顔も美しい。

「ところでさっき、金は作れるわけがないと言い切ったよね。それはどうして?」

「え、だって…金は安定した物質で…水銀から作るとかそういうんじゃ…」

 だって水銀って金の精錬に使うだけで、別の物質だし。ほら、水兵リーベって…ああもう、もっと化学を勉強しとけば良かった。

「水夫が船を愛好することと、一体どういう関係が?」

「だからぁ、電子と陽子と中性子がこう…くるくるって…。クォーク?」

 温かい海に揺蕩たゆたうように、思考が上手くまとまらない。いや、思考が働いていても、俺自身がちゃんと理解してないんだから、理路整然と説明出来るはずがない。

「…なるほど。ならば、もっと話しやすくしようか」

 アールトの唇が妖しい弧を描き、俺は陰部にじわりと快感を感じた。ダメだ、思考が溶ける。

「あんっ…」

「さっきのアミノサンって、あれは何?」

「…俺も良く知らない…有機、化合物、としか」

「ユウキカゴウブツとは?」

「…たしか、炭素が入ったナンか…ああもう、俺、文系で…化学なんて、受験ぶりで…あっ…」

 何だろう、気持ちいい。ちんこ握られてる…?

「よく分からないが、専門外ということか。いいだろう。じゃあ、今日ここに来た目的は?」

「え…あ…スライムで、オナホ…」

 俺はゆるゆると扱かれる心地よさに腰を揺らしながら、オナホについて詳しく説明した。

「なるほどね。スライムのことを尋ねて来て、そうだとは思ったけど、やはりか」

「…バレてました?サーセン…」

 俺はヘラリと愛想笑いする。てか、俺、全裸?ここ、どこ。これ、どんな状況?

「やはり君も、私に邪な気持ちを抱いていたわけだ。…こうされたかったんだろう?」

 とんでもない。俺の中で、エルフ様は別格だ。

「…イエス、美エルフ、ノータッチ」

 俺は、散漫になった思考をかき集め、ビシッとハンズアップを決めた。

「…は?」

「イエス、美エルフ、ノータッチ」

 アールトは目を丸くして、半口を開けている。俺は、変態紳士の矜持を伝えるべく、宣言を繰り返した。ああ、エルフは間抜け面すら絵になる。

「…何となく察したよ。君は私に対して、邪な気持ちはないと言いたいのかな」

「イエス、美エルフ、ノータッチ」

「まあいい。君がどんなつもりだろうと、身体は従順みたいだからね」

 にゅちっ、にゅちっ。彼の手が、俺のペニスを滑らかに扱き出した。

「あっ…あっ…」

「ほら、本当はこれが知りたかったんだろう?媚薬入りのローション。気に入ったかい?」

「はぁっ…」

 おれのおちんぽは、エロフの手技で呆気なく昇天した。



「本当だ。君、凄く名器なんだね」

「あえ?えへぇ…」

 くちっ、くちっ。

 あれ、俺、何でそこ、イジられてんの。

「痛くないだろう?弛緩剤入りのジェル。これでディルクのも入ったって言うんだから…ああ、ここかな」

「ひうっ」

 俺の腰が勝手に跳ねる。そこ、ダメなとこ。てか、え、アールトってマジでエロフなん?

「さあ、そろそろいいかな。君にはもっと従順になってもらわないと、ね?」

 朦朧とする頭で、しかしはっきり分かるのは、着痩せしたアールトの締まった肢体。脱いだら逆三、腹筋バキバキだ。そして初めて見るのが、エロフのおちんぽ様。他の種族と比べて、色素が薄いのが逆にエロい。細めだけど長い。そしてちゃんと剥けてるのに、カリがない。つるんとしている。敢えて誤解を恐れずに言うなら、バナナのような、ギョニソのような。それでいて、非常に美麗。

「ふつくしい…」

 力の入らない手で、思わず合掌する。おちんぽ様、てぇてぇ。

「ふふ。やはりそのつもりだったんじゃないか。さあ、くれてやろう」

「ふァッ…」

 にゅぐぐ。狭い入り口をこじ開けて、ナカを押し拡げて侵入して来る感覚は、どのおちんぽ様も同じだ。だけど、にゅぐっ、にゅぐっと小刻みに押し込まれる感覚が、ディルクともフロルとも違う。肉の質感はズンと響くのに、形が滑らかなせいか、引っ掛かりがなくてスルスル入る。あの引っ掛かりが善いと言えば善いんだけど、これはこれで———

「あっ、あっ、あっ、」

「はは、凄いな。本当に名器だ。ディルクが執着するのも分かるよ」

 すごい。すごい。きもちい。硬いのにスムーズで、気持ち良さしか感じない。にゅるっ、にゅるっと抵抗なく出し入れされて、気が付けば随分奥まで責められてる。あっすごっ、これマジか…。

「へぁッ、あっ、しゅごっ、きもちっ」

「気持ちいいね、コンラート。さあ、君の秘密、正直に教えてくれるかな」

「い、言いま、しゅ、何でも、あヒッ」

 ゆっさゆっさと揺さぶられながら両乳首を摘まれて、俺は脚をピンと突っ張らせてナカイキした。俺を見下ろすアールトが、微笑みの仮面を取り払って、オスの顔をしている。やっべ、イケメンエロい。

「君の持つ神仏の知識、ボンジやシンゴン。それは誰から教わった?」

「あっ、しょれっ、ゲ、ゲー、ムッ、ゲームれ…」

遊戯ゲーム?冗談は良くないな」

「あヒァ!」

 乳首をつねられ、またアクメする。ぬぐぬぐと出入りするエルフちんぽが気持ち良すぎてたまらない。火力は弱めなんだけど、これずっと沸騰したまま降りられないヤツ。快感が蓄積されて、あ、ヤバい、また。

「あッ、あんッ、らってッ、ゲー、ゲッ☆、あいィッ☆」

「くッ…!何というッ…!」

 俺のメスイキに合わせて、アールトが中のものをグンと太くする。そして俺の両横に手を付き、ずくずくと本気ピストンで突き上げたかと思うと、一気に射精した。

「イ”あああ!!!」

 しゅごい。なっがいのを奥までブッ込まれて、あつあつザーメンをブッ掛けられて。俺は涙と唾液を垂れ流しながら、何度も背筋を弓形ゆみなりに反らせ、絶頂を重ねた。ヤバい、脳から変な汁がドバドバ出てる。

「はぁっ、はぁっ、…とんでもないな、このメス穴…」

「へへ…エロフの子作り汁、てぇてぇ…」

 いつもシュッとして余裕なエルフが、本能剥き出しでガッついて中出し。マジてぇてぇ。数ある薄い本の中でも、エルフのオスがさかる場面は稀なのに、それを二次元ではなく三次元で、しかも直に種付けされるとか。マジてぇてぇ。

「…そうか。君がその気なら…」

 アールトは不敵に笑うと、俺からペニスを引き抜いて抱き上げ、軽々と裏返した。

「素直になるまで、身体に訊くだけだ」

 ずにゅり。

「はヒッ☆」



 ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ。

「で、タンソとは何だい?」

「ら、らからッ、『僕の船』のッ、『ク』れッ、『ク』れぇッ」

 ちょうど土下座をしているような俺に、背後からアールトが…いや違うな。まるですっぽりと覆われるかのようにして、絶えず抜き差しされている。バックはヤバい。長いのが更に奥まで届いて、ナカイキが止まらない。

「『ク』とは何だ、『ク』とは。もっと分かりやすく説明しなさい」

 ぬこぬこぬこぬこ。

「らっ、イヤ!イヤモんッ、あッい”ッ…!!」

「ええい、この淫乱ネズミめ。アクメだけは一丁前だ、なッ…!」

 どくん!

「イぎぁ…ッ!!!」

 さっきからずっとこの調子だ。腹の奥まで入り込んだアールトが、無理難題を押し付けては、俺を追い詰めて問答無用で中出し。こんなの拷問だ。気持ち良すぎて、頭がバカんなっちまう…。

「はぁっ、は、ははっ。そうか。まだ教える気にならないか。仕方ないな…」

 背後で、アールトが何かを呷っている気配がする。

「も、もう、ゆるじでクレメンス」

「クレメンス?それはクレメンス侯爵領のことか?それともクレメンス朝…?」

「あっ違っ、そういう事じゃ、」

「言え」

 ぬこぬこぬこぬこ。

「あ”ッ待っ、イぐ、イッぐ…!!!」

 いつの間にか元気を取り戻したアールトに、俺はまたトップスピードで犯された。



 ———…ラート。

「コンラート。起きなさい」

「ふぇ…」

 身体を揺すられて覚醒すれば、室内はもうオレンジに染まっていた。

「よく眠っていたね」

「?!お、俺ッ…」

 俺はいつの間にか、ソファの上に寝かされていた。アールトは俺と歓談していた時の姿のままで、背後のデスクにはランプが灯されており、書き物をしていたようだ。

「ふふ。よほど疲れていたんだろう。君はいつも頑張っているからね」

 あろうことか、俺はお茶を頂きながら寝落ちしたらしい。彼は気を利かせて、リラックス効果のある薬草茶を淹れてくれたそうだ。「日頃の疲れが取れたのなら良かったよ」と微笑む彼に、まさかクソエロい夢を見ていたなど、口が裂けても言えない。

「あっあのっ、どうお詫びしたらいいのか…」

「お詫びなんていいよ。それより、また君が作ったもの、見せてくれるかい?」

「それはもう、こちらこそ…ッ!」

 てぇてぇ。エルフてぇてぇ。オナホを見せる訳には行かないが、スライムを加工すればいろんなものが出来そうだ。俺はせめてものお礼に、今日持って来たフィギュアやタリスマンを、全てアールトに進呈した。アールトは遠慮したが、後からいくらでも作れるからいいのだ。

「じゃあ、また」

 明日も仕事だということで、俺は急いでアールト宅を辞去した。何より、人ん家で居眠りした上にエロい夢を見てしまって、大変バツが悪い。そしてそれがすんごく良かったもんだから、尚更たたまれない。

 今夜は屋台飯を買って、さっさと寝よう。寝て忘れよう。こんなエロい夢を見るのは、やはり欲求不満だからだ。明日からは、急いでオナホの開発を進めなければ。待て次号!
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