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第8章 後日談 円卓会議編
(71)夜会
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長い夢を見ていた気がする。目が覚めたら、オスカーの書斎のベッドの上だった。オスカーから、これまで起きたこととこれからのことについて、説明を受けた。どうやら、天使族の隠れ里に拉致されたことも、そこでモンスターみたいな姿に変身して大暴れしたことも、その後みんなとその、セックスしたことも、夢じゃないらしい。うう。黒歴史。
そしてこれからは、あのモンスターに変身した原因である真祖の因子っていうのが消えるまで、四人がかりで代わる代わるお相手していただく、ということだそうだ。いや、確かにみんなといい雰囲気ではあるんだけど、その、ナイジェル公認ってことでいいんだろうか。今度こそ愛想尽かされたらどうしよう。
しかしオスカーによると、これが不死種のメレディスに顕現してたら討伐しかなかった訳で、淫魔の俺に引き継がれたことで、むしろこの国にとってはラッキーだったらしい。俺の仕事は、因子が弱まって消えるまでヤりまくる、もしくは消えなければ出来るだけ長生きして不死種に因子を顕現させない、ということだそうだ。何だそれ…。
というわけで、学園卒業から半年、マガリッジ領の伯爵邸で引き籠もっていた俺は、人間界に出ようと王都に上京したところ、数ヶ月の紆余曲折を経て、王太子宮の官吏として働きつつ、後宮の宮殿の一つに囲われることとなった。解せぬ。
✳︎✳︎✳︎
王宮で開かれた、とある夜会。王宮所属の騎士団は、大体警備に駆り出される。とはいえ、騎士の出立ちで警備に当たるのは、近衛の仕事。俺たち王太子直属の騎士は、出席者に混じってそれとなく警戒や情報収集に当たる。そもそも、ナイジェルも俺も、ラファエルもロドリックも貴族の一員だ。同じような連中が、会場に何人も紛れている。
今回の夜会は規模の大きなものだ。全国から多種多様な貴族が集まる。それこそ普段おいそれとご尊顔を拝めない当代の辺境伯やら、木っ端官吏を務める末端の下級貴族まで。何せ今夜は、長らく姿を見せなかった魔王と王妃が揃ってお出ましなのである。
全員が固唾を飲む中、魔王、王妃、王太子が揃って登壇した会場は、大いに沸いた。魔王殿下と王妃殿下は、王太子殿下とほとんど変わらないような若々しさで、お互いを見つめ合い、一見して仲睦まじさが見て取れる。これまで魔王の名代として、このような夜会を取り仕切って来た王太子殿下も、柔らかい表情で彼らを見守っている。簡単な挨拶が済むと、パーティーは和やかなムードで滑り出した。
「よう!どうよ、元気か?」
背後から不意に声を掛けられ、面食らった。地方の領主の下級官吏に収まった友人である。
「ひっさしぶり!元気そうじゃん」
「お、お前ら探したぞ」
友人がもう一人。プチ同窓会だ。大規模な夜会の場とはいえ、俺たちは一瞬で学園時代に戻った。肩を抱き合い、拳を突き合わせて、屈託なく笑い合う。このような貴族だらけの夜会に相応しいマナーではないが、彼らは俺のような中堅貴族の子息に対して、気さくに接してくれる。コミュ障の俺にとって、貴重な友達だ。
「で、どうしちゃったんだよ、それ」
それ、とはどのことを指すのか。確かに今の俺は、学園時代と全く違う。外見もかなり変わったし、仕事は花形部署と言われる王太子付きの騎士。パーシーとも互角にやりあってるって噂も立ってるし。学園時代の友人からすれば到底信じられないだろう。
「いやまぁ、色々、イメチェン?」
「イメチェンで済むかよ…」
「お前の噂でもちきりだぞ」
「うっそ、そんなに?」
任務を忘れて、しばし歓談に浸る。彼らとは一年ぶりだ。半年も領地に引きこもり、王都に出てからは目まぐるしく時間が過ぎ。碌に手紙にも返事をしないまま、不義理を働いてしまった。しかしそんな俺に、彼らは変わらぬ友情を向けてくれる。つい嬉しくなって、前と同じ調子でへらりと笑うと、友人や周りの貴族が息を呑む。ちょ、いくら噂の的になってるとはいえ、そんな反応しなくても…。
やがてそんな俺たちを目ざとく見つけて、遠くから大男が一直線に歩いて来る。
「ここに居やがったのか」
パーシーは人懐っこくニッと笑った。普段は動きやすい服で模擬戦ばかりやっているが、こうして盛装すると目を瞠るほどの美丈夫だ。ちょっとドキッとして視線を逸らすと、ニヤニヤしながら肩を抱かれる。
「おいっ、パーシーっ…!」
「悪ィ悪ィ。何だお前ら、メイナードのダチかよ?」
「「!!!」」
友人たちは皆、ガチガチに硬直している。彼は猛犬と渾名される筆頭公爵家の後継。めちゃめちゃ有名人だ。
「あ…プ、プレイステッド閣下におかれましては…」
貴族の方の友人が下を向いたまま声を絞り出すが、パーシーが「ああ、そういうのナシだ」と制する。そして
「恋人のダチは俺のダチだ。な、メイナード?」
彼はニヤリとしながら、俺の髪にキスを落とす。
「ちょ、おま…っ!」
髪を押さえながら距離を取ろうとする俺の手首を掴んで、パーシーは耳元で囁く。
「…悪ィ虫が付かねェように、牽制しとかねェとな?」
そう言うと、「邪魔したな!」と言いつつ会場へと紛れて行った。
「メイナード、お前…」
呆然とする友人ズが、多分真っ赤になっているであろう俺に、何とも言えない視線を投げよこす。
「ち、違うんだ。これには深い訳が…」
自分で言いながら、訳って何だ、何と弁解すればいいんだと、あーだのうーだの唸っている間に、今度は背後から腰を抱かれる。
「ああ、驚かせたね。楽しんでる?」
「ヒッ!オ、オスカー…じゃない、殿下…」
俺を含めて周囲の全員が固まっている。彼は魔王夫妻を置いて絶対的権力者で、夜会の時は輝く美貌に冷たい笑みを浮かべ、決して壇上から降りて来なかった。らしい。
「ふふ。抜け駆けを許すほど、僕は心が広くないんだ」
その彼が、わざわざ末席まで足を運んで、部下とはいえ一人の若者を抱き寄せ、愛しそうに髪を撫でる。
「スウィーニー准男爵家のスチュアート君、そしてソーウェル商会のシルヴェスター君、だったかな。くれぐれも、メイナードをよろしくね」
そう言って、彼は要人の待つ貴賓席へと去って行った。周囲の時は止まったままだ。みんな口をパクパクさせている。やがて正気に帰った友人がポツリとこぼす。
「王太子殿下の覚えがめでたいって噂は聞いたが、ここまでとは聞いてねぇぞ…」
「顔と名前、覚えられてたよな。け、消される…?!」
その一角だけお通夜のようになってしまった。
オスカーが通った後は、海が割れたかのように視界が広がっている。その先には、マガリッジ伯爵夫妻の姿があった。彼がこのような夜会に現れるのは随分久しぶりのことで、その美貌も相俟って、彼らは魔王夫妻に次いで注目の的だ。多くの貴族は彼らを遠巻きにしてひそひそと噂話を咲かせているが、一部の勇気ある…というか空気の読めない貴族に捕まり、質問攻めに遭っている。
そのマガリッジ伯ことメレディスは、人波が分かれた先に俺の姿を見つけ、話し相手との会話をさっと切り上げると、妻のミリアムの手を引いて、まっすぐこちらへ向かって来た。
「お前も来ていたのか」
「父上、義母上。私は警備です」
あんまり大声で言っちゃいけないんだけどね。
「あら、ご学友ですの」
義母のミリアムが彼らに声を掛ける。一見学園の美少女にしか見えない彼女に、友人たちはしどろもどろになっている。
「父のマガリッジ伯メレディスだ。メイナードを、よろしく頼む」
そこへ、彫像のような麗人が、凄絶な美貌でもって微笑みかける。寡黙な彼は、手短に挨拶を済ませると、義母と共にホール中央に足を運び、そのままダンスの輪に加わり、衆目を集める。義母の目はハートマークだ。存分に楽しんでいただきたい。
石化していた友人二人は、ぎぎぎ、といった感じで再起動した。
「…なんか、メイナードの周りって…」
「…ヤベぇな…」
「え、ちょ、俺のせいじゃ」
別に俺の咎でもないのに、訳も分からず弁解をしようとすると、そこにナイジェルが通りかかる。
「分かっているな?」
「うん、そろそろだと思う。さっきから魔眼に引っかかってる」
「油断するなよ」
ナイジェルは短く告げると、俺の隙を付いて頬に手を当て、口付ける。
「ちょっと!」
「油断するなと言った」
彼は一瞬微笑むと、そのまま足早に会場の中に溶け込んで行った。友人は再び石化していた。
「お前、ナイジェル・ノースロップの愛人って噂、本当だったんだ…」
「てか、プレイステッド様と王太子殿下と…どゆこと…?」
俺はひたすら俯いて黙秘する。ああ、居たたまれない。
その瞬間、シャンデリアの影がキラリと光った。転移スキルで繋がった小さな穴から、刃物が射出される。残念ながら、その転移と攻撃予測線は、事前に魔眼で捕捉済みだ。小さく氷壁を展開してナイフを弾くと、素早く拾って投げ返す。取ってて良かった投擲スキル。
「ちょっと行って来るね。パーティー楽しんで」
そう告げて、俺はナイフの飛んだ先へ転移する。転移スキルは、行ったことがある場所と目視できる場所に跳ぶことができる。
跳んだ先で捕まえたのは、天使族の残党だった。楽園もただ、オスカーや王宮が従順に従うとは思っていない。常にいずこからか監視が付いている。高度な結界術を持つ天使族は、隠密にも適している。ただし、捕まえてしまえばこっちのもんだけど。こうして、出席者にほとんど気付かれないうちに、天使族のテロを防ぎ、夜会は無事終了した。
その後、噂を聞きつけた他の友人たちが王都に集まり、酒場で同窓会がてら根掘り葉掘り質問攻めに遭い、しどろもどろになって困惑したのは、また別のお話。
そしてこれからは、あのモンスターに変身した原因である真祖の因子っていうのが消えるまで、四人がかりで代わる代わるお相手していただく、ということだそうだ。いや、確かにみんなといい雰囲気ではあるんだけど、その、ナイジェル公認ってことでいいんだろうか。今度こそ愛想尽かされたらどうしよう。
しかしオスカーによると、これが不死種のメレディスに顕現してたら討伐しかなかった訳で、淫魔の俺に引き継がれたことで、むしろこの国にとってはラッキーだったらしい。俺の仕事は、因子が弱まって消えるまでヤりまくる、もしくは消えなければ出来るだけ長生きして不死種に因子を顕現させない、ということだそうだ。何だそれ…。
というわけで、学園卒業から半年、マガリッジ領の伯爵邸で引き籠もっていた俺は、人間界に出ようと王都に上京したところ、数ヶ月の紆余曲折を経て、王太子宮の官吏として働きつつ、後宮の宮殿の一つに囲われることとなった。解せぬ。
✳︎✳︎✳︎
王宮で開かれた、とある夜会。王宮所属の騎士団は、大体警備に駆り出される。とはいえ、騎士の出立ちで警備に当たるのは、近衛の仕事。俺たち王太子直属の騎士は、出席者に混じってそれとなく警戒や情報収集に当たる。そもそも、ナイジェルも俺も、ラファエルもロドリックも貴族の一員だ。同じような連中が、会場に何人も紛れている。
今回の夜会は規模の大きなものだ。全国から多種多様な貴族が集まる。それこそ普段おいそれとご尊顔を拝めない当代の辺境伯やら、木っ端官吏を務める末端の下級貴族まで。何せ今夜は、長らく姿を見せなかった魔王と王妃が揃ってお出ましなのである。
全員が固唾を飲む中、魔王、王妃、王太子が揃って登壇した会場は、大いに沸いた。魔王殿下と王妃殿下は、王太子殿下とほとんど変わらないような若々しさで、お互いを見つめ合い、一見して仲睦まじさが見て取れる。これまで魔王の名代として、このような夜会を取り仕切って来た王太子殿下も、柔らかい表情で彼らを見守っている。簡単な挨拶が済むと、パーティーは和やかなムードで滑り出した。
「よう!どうよ、元気か?」
背後から不意に声を掛けられ、面食らった。地方の領主の下級官吏に収まった友人である。
「ひっさしぶり!元気そうじゃん」
「お、お前ら探したぞ」
友人がもう一人。プチ同窓会だ。大規模な夜会の場とはいえ、俺たちは一瞬で学園時代に戻った。肩を抱き合い、拳を突き合わせて、屈託なく笑い合う。このような貴族だらけの夜会に相応しいマナーではないが、彼らは俺のような中堅貴族の子息に対して、気さくに接してくれる。コミュ障の俺にとって、貴重な友達だ。
「で、どうしちゃったんだよ、それ」
それ、とはどのことを指すのか。確かに今の俺は、学園時代と全く違う。外見もかなり変わったし、仕事は花形部署と言われる王太子付きの騎士。パーシーとも互角にやりあってるって噂も立ってるし。学園時代の友人からすれば到底信じられないだろう。
「いやまぁ、色々、イメチェン?」
「イメチェンで済むかよ…」
「お前の噂でもちきりだぞ」
「うっそ、そんなに?」
任務を忘れて、しばし歓談に浸る。彼らとは一年ぶりだ。半年も領地に引きこもり、王都に出てからは目まぐるしく時間が過ぎ。碌に手紙にも返事をしないまま、不義理を働いてしまった。しかしそんな俺に、彼らは変わらぬ友情を向けてくれる。つい嬉しくなって、前と同じ調子でへらりと笑うと、友人や周りの貴族が息を呑む。ちょ、いくら噂の的になってるとはいえ、そんな反応しなくても…。
やがてそんな俺たちを目ざとく見つけて、遠くから大男が一直線に歩いて来る。
「ここに居やがったのか」
パーシーは人懐っこくニッと笑った。普段は動きやすい服で模擬戦ばかりやっているが、こうして盛装すると目を瞠るほどの美丈夫だ。ちょっとドキッとして視線を逸らすと、ニヤニヤしながら肩を抱かれる。
「おいっ、パーシーっ…!」
「悪ィ悪ィ。何だお前ら、メイナードのダチかよ?」
「「!!!」」
友人たちは皆、ガチガチに硬直している。彼は猛犬と渾名される筆頭公爵家の後継。めちゃめちゃ有名人だ。
「あ…プ、プレイステッド閣下におかれましては…」
貴族の方の友人が下を向いたまま声を絞り出すが、パーシーが「ああ、そういうのナシだ」と制する。そして
「恋人のダチは俺のダチだ。な、メイナード?」
彼はニヤリとしながら、俺の髪にキスを落とす。
「ちょ、おま…っ!」
髪を押さえながら距離を取ろうとする俺の手首を掴んで、パーシーは耳元で囁く。
「…悪ィ虫が付かねェように、牽制しとかねェとな?」
そう言うと、「邪魔したな!」と言いつつ会場へと紛れて行った。
「メイナード、お前…」
呆然とする友人ズが、多分真っ赤になっているであろう俺に、何とも言えない視線を投げよこす。
「ち、違うんだ。これには深い訳が…」
自分で言いながら、訳って何だ、何と弁解すればいいんだと、あーだのうーだの唸っている間に、今度は背後から腰を抱かれる。
「ああ、驚かせたね。楽しんでる?」
「ヒッ!オ、オスカー…じゃない、殿下…」
俺を含めて周囲の全員が固まっている。彼は魔王夫妻を置いて絶対的権力者で、夜会の時は輝く美貌に冷たい笑みを浮かべ、決して壇上から降りて来なかった。らしい。
「ふふ。抜け駆けを許すほど、僕は心が広くないんだ」
その彼が、わざわざ末席まで足を運んで、部下とはいえ一人の若者を抱き寄せ、愛しそうに髪を撫でる。
「スウィーニー准男爵家のスチュアート君、そしてソーウェル商会のシルヴェスター君、だったかな。くれぐれも、メイナードをよろしくね」
そう言って、彼は要人の待つ貴賓席へと去って行った。周囲の時は止まったままだ。みんな口をパクパクさせている。やがて正気に帰った友人がポツリとこぼす。
「王太子殿下の覚えがめでたいって噂は聞いたが、ここまでとは聞いてねぇぞ…」
「顔と名前、覚えられてたよな。け、消される…?!」
その一角だけお通夜のようになってしまった。
オスカーが通った後は、海が割れたかのように視界が広がっている。その先には、マガリッジ伯爵夫妻の姿があった。彼がこのような夜会に現れるのは随分久しぶりのことで、その美貌も相俟って、彼らは魔王夫妻に次いで注目の的だ。多くの貴族は彼らを遠巻きにしてひそひそと噂話を咲かせているが、一部の勇気ある…というか空気の読めない貴族に捕まり、質問攻めに遭っている。
そのマガリッジ伯ことメレディスは、人波が分かれた先に俺の姿を見つけ、話し相手との会話をさっと切り上げると、妻のミリアムの手を引いて、まっすぐこちらへ向かって来た。
「お前も来ていたのか」
「父上、義母上。私は警備です」
あんまり大声で言っちゃいけないんだけどね。
「あら、ご学友ですの」
義母のミリアムが彼らに声を掛ける。一見学園の美少女にしか見えない彼女に、友人たちはしどろもどろになっている。
「父のマガリッジ伯メレディスだ。メイナードを、よろしく頼む」
そこへ、彫像のような麗人が、凄絶な美貌でもって微笑みかける。寡黙な彼は、手短に挨拶を済ませると、義母と共にホール中央に足を運び、そのままダンスの輪に加わり、衆目を集める。義母の目はハートマークだ。存分に楽しんでいただきたい。
石化していた友人二人は、ぎぎぎ、といった感じで再起動した。
「…なんか、メイナードの周りって…」
「…ヤベぇな…」
「え、ちょ、俺のせいじゃ」
別に俺の咎でもないのに、訳も分からず弁解をしようとすると、そこにナイジェルが通りかかる。
「分かっているな?」
「うん、そろそろだと思う。さっきから魔眼に引っかかってる」
「油断するなよ」
ナイジェルは短く告げると、俺の隙を付いて頬に手を当て、口付ける。
「ちょっと!」
「油断するなと言った」
彼は一瞬微笑むと、そのまま足早に会場の中に溶け込んで行った。友人は再び石化していた。
「お前、ナイジェル・ノースロップの愛人って噂、本当だったんだ…」
「てか、プレイステッド様と王太子殿下と…どゆこと…?」
俺はひたすら俯いて黙秘する。ああ、居たたまれない。
その瞬間、シャンデリアの影がキラリと光った。転移スキルで繋がった小さな穴から、刃物が射出される。残念ながら、その転移と攻撃予測線は、事前に魔眼で捕捉済みだ。小さく氷壁を展開してナイフを弾くと、素早く拾って投げ返す。取ってて良かった投擲スキル。
「ちょっと行って来るね。パーティー楽しんで」
そう告げて、俺はナイフの飛んだ先へ転移する。転移スキルは、行ったことがある場所と目視できる場所に跳ぶことができる。
跳んだ先で捕まえたのは、天使族の残党だった。楽園もただ、オスカーや王宮が従順に従うとは思っていない。常にいずこからか監視が付いている。高度な結界術を持つ天使族は、隠密にも適している。ただし、捕まえてしまえばこっちのもんだけど。こうして、出席者にほとんど気付かれないうちに、天使族のテロを防ぎ、夜会は無事終了した。
その後、噂を聞きつけた他の友人たちが王都に集まり、酒場で同窓会がてら根掘り葉掘り質問攻めに遭い、しどろもどろになって困惑したのは、また別のお話。
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