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番外編 インキュバスの能力を得た俺が、現実世界で気持ちいい人生を送る話
(12)告白
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「あのさ…変な話するけど、聞いてくれる?」
ベッドの中で腕枕をしながら、俺は年末からの話をした。自分が淫魔になった夢を見たこと。そしたらその淫魔の能力が手に入ったこと。今の大学に受かったのも、琉海を助けた時に使ったのも、淫魔の力。セックスの時に、琉海が俺のザーメンでイき狂うのも。
元々エロかったから、淫魔の力が手に入ったのか。それとも淫魔の力で人格が変わってしまったのか。俺は気持ちいいセックスをするために、大学に来た。だから、最初琉海と付き合い始めた時、後腐れなくヤれるセフレが欲しかった。それは本音だ。だけど琉海と身体を重ねるたびに、俺はどんどんハマって行った。そもそも俺が初めて抱いたのが琉海だ。我ながら、拗らせた童貞の執着は凄まじい。ボディガードだから、彼氏役だから、セフレ役だからと何だかんだ言い訳しながら、四六時中べったりと彼に張り付く。
一方で、半分淫魔になったせいか、性欲が止まることを知らない。普段は翌日に支障がない程度に琉海を抱き、精を受け取っているわけだが、正直あれでは小腹も満たされない。彼の限界まで抱くと、ようやく腹六分目と言ったところか。だがそれでは、彼の日常生活がままならない。毎日自家発電でやり過ごしてはいるが、他の人間の精も欲しい。そういう意味で、藤川はちょうどいい供給源なんだが…
「えっと…信じらんないと思うけどさ…」
俺だって自分で話してて、荒唐無稽だと思う。そして要は、「浮気を許せ」って言ってるようなもんだ。我ながら、何というクズだろう。だが琉海は、
「うん、わかった」
と言って、穏やかに微笑んだ。あの、変な作り笑いじゃなくて、ちゃんと自然なヤツ。だけどこれはアレだ、ロトの時と同じだ。信じてないな。
「例えばさ…」
俺は手のひらの上に、水の塊を出す。そして消す。
「…何、今の…」
氷柱も出せる。氷の壁や、黒い雷の球とかも。ああ、目に見えるスキルが少ないの、もどかしいな。あとそれから、俺のアパートに転移。
「分かった?」
反応がないので顔を覗いてみると、琉海はフリーズしている。面白い。今はこの部屋は物置なので殺風景だ。戻ろう。
「…何、今の…」
「というわけで、ロトもこの力で当てました」
「滅茶苦茶だよ…」
琉海が若干、最初に会った時の砕けた調子に戻った。
「でも、その力で俺のこと、助けてくれたんだよね。…ありがとう」
彼は鼻先を俺の胸に寄せて、甘えてくる。お前、その力でガッツリ魅了されてんだけど…まあいいか。あの夢の中の淫魔の気持ちも、ちょっと分かる。彼が本当に俺に惚れているのかどうか、甚だ怪しい。だけど琉海をこの腕の中に捕まえておく為なら、例え今後解き方が分かったとしても、俺は絶対にこの魅了を解かない。
「でさ。交換留学なんだけど、琉海、行くの」
「弓月と一緒に居ていいなら、行かない」
俺の腕の中で小さく呟く。彼は俺の胸の匂いを嗅ぐのが好きだ。匂いフェチめ。そしてそんな俺も、琉海の髪の匂いを嗅いでいる。もちろん匂いフェチだ。
「藤川が推薦書くって言ってる。だから、琉海が行きたいなら、俺も行くけど」
「本当?」
琉海は、上目遣いで見上げてくる。行きたいらしい。
「じゃあ早速、願書出して来るか。琉海、自動車学校いつ行く?」
「え、あ、クルマ…でもそんなお金…」
「だから、働いて返すとかしょっぱいこと言うなって」
「だって」
「そんな琉海さんに、残念なお知らせがあります」
俺はスマホを取り出し、とあるアプリを開いた。
「こないだ、琉海にいくつかアカウント取ってもらって、投資始めたじゃん?」
その画面には、見たこともない桁の数字が並んでいた。
「その、調子乗ってたら、桁が大分増えちゃってさ。多分一生働いても、返すとか無理かなって…」
「…」
琉海が、本日二回目のフリーズに突入した。大丈夫、とあるツテで税理士さんとか頼んであるから。配当なんかは税金でかなりゴッソリ行かれるだろうけど、それでもある程度余裕のある生活は送れると思う。
「弓月は滅茶苦茶だよ…」
二回目の滅茶苦茶、頂きました。
「そ。琉海を逃がさないために、俺だって必死なの」
彼は「そんな言い方、ズルい」と言って、俺の胸に顔を埋めた。
「あともう一つ、大事な話がある」
琉海が「まだあるの」って顔をしている。
「俺は、琉海しか抱かない」
「!」
正確には、「抱けない」のだ。気持ち的にも、欲求という点でも。一度コイツの肉体を知ってしまうと、男を見ても女を見ても勃たない。いや、正確には彼しか抱いたことはないんだが、あらゆるエロコンテンツで充電していた俺が言うんだから間違いない。どうしても琉海と比べると、見劣りしてしまう。そして他にも、深刻な原因が。
そう。向こうの世界と同じように、俺がセックスで経験値を得ると同時に、俺が精を注いだ人間のステータスも上がるっぽい。こちらの世界にはレベルの概念はないが、彼の能力値はあちらの世界の基準に照らし合わせると、レベル七十程度。例えば戦闘力で言えば、恐らく軍人並みに達しているものと思われる。試しに空き缶を握らせてみると、あっけなくクシャッと握りつぶしてしまった。リンゴとかでも行けそうだ。
「…」
琉海、三度目のフリーズ。
「というわけで、こっちでセフレ作るのは、許してもらえると、その…」
俺は自分のケツを指差しながら、言った。病気とか、絶対もらってこないから。来ても治せるけど。
再起動後、琉海からはまた「滅茶苦茶だよ」頂きました。どうも最近勉強が捗るなって思ってたそうだ。すまん。
「…その代わり俺のこと、ちゃんと構って」
今朝から遠慮なくスリスリと甘えるようになった琉海が、そっぽを向いて拗ねる。小悪魔め。俺たちは一日こうして、学校をサボって甘々と過ごした。
ベッドの中で腕枕をしながら、俺は年末からの話をした。自分が淫魔になった夢を見たこと。そしたらその淫魔の能力が手に入ったこと。今の大学に受かったのも、琉海を助けた時に使ったのも、淫魔の力。セックスの時に、琉海が俺のザーメンでイき狂うのも。
元々エロかったから、淫魔の力が手に入ったのか。それとも淫魔の力で人格が変わってしまったのか。俺は気持ちいいセックスをするために、大学に来た。だから、最初琉海と付き合い始めた時、後腐れなくヤれるセフレが欲しかった。それは本音だ。だけど琉海と身体を重ねるたびに、俺はどんどんハマって行った。そもそも俺が初めて抱いたのが琉海だ。我ながら、拗らせた童貞の執着は凄まじい。ボディガードだから、彼氏役だから、セフレ役だからと何だかんだ言い訳しながら、四六時中べったりと彼に張り付く。
一方で、半分淫魔になったせいか、性欲が止まることを知らない。普段は翌日に支障がない程度に琉海を抱き、精を受け取っているわけだが、正直あれでは小腹も満たされない。彼の限界まで抱くと、ようやく腹六分目と言ったところか。だがそれでは、彼の日常生活がままならない。毎日自家発電でやり過ごしてはいるが、他の人間の精も欲しい。そういう意味で、藤川はちょうどいい供給源なんだが…
「えっと…信じらんないと思うけどさ…」
俺だって自分で話してて、荒唐無稽だと思う。そして要は、「浮気を許せ」って言ってるようなもんだ。我ながら、何というクズだろう。だが琉海は、
「うん、わかった」
と言って、穏やかに微笑んだ。あの、変な作り笑いじゃなくて、ちゃんと自然なヤツ。だけどこれはアレだ、ロトの時と同じだ。信じてないな。
「例えばさ…」
俺は手のひらの上に、水の塊を出す。そして消す。
「…何、今の…」
氷柱も出せる。氷の壁や、黒い雷の球とかも。ああ、目に見えるスキルが少ないの、もどかしいな。あとそれから、俺のアパートに転移。
「分かった?」
反応がないので顔を覗いてみると、琉海はフリーズしている。面白い。今はこの部屋は物置なので殺風景だ。戻ろう。
「…何、今の…」
「というわけで、ロトもこの力で当てました」
「滅茶苦茶だよ…」
琉海が若干、最初に会った時の砕けた調子に戻った。
「でも、その力で俺のこと、助けてくれたんだよね。…ありがとう」
彼は鼻先を俺の胸に寄せて、甘えてくる。お前、その力でガッツリ魅了されてんだけど…まあいいか。あの夢の中の淫魔の気持ちも、ちょっと分かる。彼が本当に俺に惚れているのかどうか、甚だ怪しい。だけど琉海をこの腕の中に捕まえておく為なら、例え今後解き方が分かったとしても、俺は絶対にこの魅了を解かない。
「でさ。交換留学なんだけど、琉海、行くの」
「弓月と一緒に居ていいなら、行かない」
俺の腕の中で小さく呟く。彼は俺の胸の匂いを嗅ぐのが好きだ。匂いフェチめ。そしてそんな俺も、琉海の髪の匂いを嗅いでいる。もちろん匂いフェチだ。
「藤川が推薦書くって言ってる。だから、琉海が行きたいなら、俺も行くけど」
「本当?」
琉海は、上目遣いで見上げてくる。行きたいらしい。
「じゃあ早速、願書出して来るか。琉海、自動車学校いつ行く?」
「え、あ、クルマ…でもそんなお金…」
「だから、働いて返すとかしょっぱいこと言うなって」
「だって」
「そんな琉海さんに、残念なお知らせがあります」
俺はスマホを取り出し、とあるアプリを開いた。
「こないだ、琉海にいくつかアカウント取ってもらって、投資始めたじゃん?」
その画面には、見たこともない桁の数字が並んでいた。
「その、調子乗ってたら、桁が大分増えちゃってさ。多分一生働いても、返すとか無理かなって…」
「…」
琉海が、本日二回目のフリーズに突入した。大丈夫、とあるツテで税理士さんとか頼んであるから。配当なんかは税金でかなりゴッソリ行かれるだろうけど、それでもある程度余裕のある生活は送れると思う。
「弓月は滅茶苦茶だよ…」
二回目の滅茶苦茶、頂きました。
「そ。琉海を逃がさないために、俺だって必死なの」
彼は「そんな言い方、ズルい」と言って、俺の胸に顔を埋めた。
「あともう一つ、大事な話がある」
琉海が「まだあるの」って顔をしている。
「俺は、琉海しか抱かない」
「!」
正確には、「抱けない」のだ。気持ち的にも、欲求という点でも。一度コイツの肉体を知ってしまうと、男を見ても女を見ても勃たない。いや、正確には彼しか抱いたことはないんだが、あらゆるエロコンテンツで充電していた俺が言うんだから間違いない。どうしても琉海と比べると、見劣りしてしまう。そして他にも、深刻な原因が。
そう。向こうの世界と同じように、俺がセックスで経験値を得ると同時に、俺が精を注いだ人間のステータスも上がるっぽい。こちらの世界にはレベルの概念はないが、彼の能力値はあちらの世界の基準に照らし合わせると、レベル七十程度。例えば戦闘力で言えば、恐らく軍人並みに達しているものと思われる。試しに空き缶を握らせてみると、あっけなくクシャッと握りつぶしてしまった。リンゴとかでも行けそうだ。
「…」
琉海、三度目のフリーズ。
「というわけで、こっちでセフレ作るのは、許してもらえると、その…」
俺は自分のケツを指差しながら、言った。病気とか、絶対もらってこないから。来ても治せるけど。
再起動後、琉海からはまた「滅茶苦茶だよ」頂きました。どうも最近勉強が捗るなって思ってたそうだ。すまん。
「…その代わり俺のこと、ちゃんと構って」
今朝から遠慮なくスリスリと甘えるようになった琉海が、そっぽを向いて拗ねる。小悪魔め。俺たちは一日こうして、学校をサボって甘々と過ごした。
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