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第5章 王宮編
(32)※ 就職後の日常
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結局土曜日の日中は、ナイジェルにこてんぱんに抱かれた。俺の発情は、かなり満たされた。思い返せば先週の土曜、彼に抱かれてから異常に眠かった気がする。彼はあの時、俺を自分の番だって決めたらしい。俺がまだ他の男に抱かれたことがないと知って、猛烈に種付けしたくなったそうだ。結局あの眠気は、転移を繰り返した疲れや急激なレベルアップのせいではなく、彼の種付けセックスによって、俺の身体が発情の準備をしていたのではないか、という推論になった。
「発情は隠しておけよ。じゃないと、王都中の獣人に狙われるぞ」
怖いこと言うなよ。でも待てよ、じゃあ俺が王都を離れても、獣人のセフレには事欠かなかったかも知れないってことか。ということは、人間界への脱出も可能だったんじゃ…
「お前、良からぬことを考えてないか」
ぎくっ。
しかし発情が治まったら、今度は俺の番だ。俺だってオスだ、誰かを抱きたい衝動はある。しかも目の前に、こないだメス堕ちさせたばかりの美しい男がいる。
「なあ…いいだろ?」
「お前の欲求は、際限がないから駄目だ」
「そんなこと言うなよ。一緒に気持ち良くなろうぜ?」
「あ、もう…馬鹿」
何だかんだ、一度俺の味を占めてしまったナイジェル。魔眼から放たれる魅了の魔力に抗えず、結局恥じらいながらも応じる。ああ、燃えてきた。俺が彼にブッ挿して、彼のが俺にブッ挿さって…
「ああっ、ああっ、ああっ、」
注げば注ぐほど、彼はぐずぐずに壊れていく。肚の隷属紋が、うっすらとピンク色の光を帯びている。めちゃくちゃ卑猥だ。もう消し方も覚えたから、どんどん媚薬漬けにしてやる。そら、狂え狂え。
「へあっ…あ…は…」
王宮では、バリバリと理知的に仕事をこなす、俺の上司。ニコリともせず、誰にも媚びず、裏でサイレンと揶揄されても決して誇りを失わない孤高の虎が、妖艶な甘い歌声を奏でながら、俺の下で派手にイキ顔を晒して、アヘっている。たまらん。
ああ、また出る。この中に、注ぐ、注ぐ、注ぐ…!
「そら、飲め!」
「ひぎッ!!あ”、あ”、あ”…!!!」
そしてナイジェルのが、どくどくと注がれてくる。ああ、快い…!
「もうお前には、二度とヤらせない」
ナイジェルは激おこだ。俺が明け方まで限界キメセクをぶちかました結果、彼は日曜日、使い物にならなかった。ごめんて。ちょっとナイジェルの精が美味しくて、あとちょっと、もう一口ってやってたら、その。
だが今の俺には、魅了が使い放題だ。彼は魅了で俺に惚れたわけではなかったし、隷属紋が現れても消せるようになった。ヤりたくなったらガッツリ魅了、そして壊れて廃人になるまで、媚薬セックス。うん、人生が俄然楽しくなってきた。
ニチャア…と嗤う俺を見て、ずりずりとベッドの端に逃げるナイジェル。
「俺は一体何を間違えたんだ…」
時既に遅し。
月曜日、俺は先週と同じように王宮に出勤し、淡々と仕事をこなした。まだ辞令を保留してもらっている身なので、正確にはナイジェルや部下たちと同じ仕事をさせてはもらえないが、ラフィとロドリックが人手の足りていない部署から、ちょこちょこ仕事をもらってきてくれる。
「財務部から、助かったとお礼を言われましたよ」
ラフィが嬉しいことを言ってくれる。すぐに尻尾振って喜んじゃう俺、チョロい。
あれからナイジェルとも良い感じだ。先週は、もう彼とは終わらせないといけないと、内心悲壮感に押しつぶされそうになりながら、ここから逃げることしか考えていなかったが、今日は仕事中にちょっと目が合うだけで、ニヤけてしまいそうになる。はっ、いかんいかん。仕事に集中しなければ。王宮には魑魅魍魎もたくさんいるだろう。王太子や部下にも気が許せない。だけど、彼がいるなら、ここに留まってもいい。人間界は、行こうと思えば、いつでも行けるしな。
彼からは、発情が始まったらいつでも部屋に来いと誘われている。だが、「満たされたら、ヤりたくなる」というと、彼は面白いくらいに動揺した。そして今日は月曜日。俺は身支度を済ませ、メレディスを待つ。
暗い部屋の中、隅のカーペットがふわりと輝いたと思ったら、音もなく彼が現れた。相変わらず、何と声を掛けていいのか分かりません、といった表情をしている。可愛い。いつもの通り、ハグとキスで出迎えると、ベッドへと誘った。
「今日のお前は幸せそうだな。よかった」
静かで情熱的なセックスの後、彼は微笑みながらそう言った。こないだの不安定な俺を、心配して。彼の笑顔を見たのは初めてだったが、神の花園もかくや、というような美しさ。思わず甘い香りを錯覚する。ああ、俺にはナイジェルという恋人がいるのに、こんなの恋に落ちない方が無理だ。いや、彼にだって妻がいるじゃないか。
「メレディス、義母上とは」
俺は慌てて話題を変えた。すると彼は、「あ、忘れてた」みたいな顔をしている。おいおい。
彼と義母とは、かつては普通に営みがあったはずだ。生きるためとはいえ、彼は母ミュリエル亡き後、間を置かずに竜人族の彼女を娶り、俺の二つ下には弟がいる。ただ、漏れ聞いたところによると、現在は夫婦として睦み合うような関係ではなく、義母は竜気功という竜人専用のスキルで、彼に限界まで精気を分け与えているらしい。
通常、男は精を放出し、女は精を受け止めるように出来ている。彼が伴侶として女性を求めるのは自然なことだが、生きるために多量の精気を必要とする彼にとっては、もしかしたらその選択自体が間違いなのかもしれない。ただし。
「男の体液の中では、精液に一番精が含まれています。ならおそらく、義母上ならば愛液に最も精が含まれているのではないかと」
「!」
メレディスは、「その発想はなかった」という顔をしている。同じ精気を分けてもらうなら、気力と体力を限界まで消費する苦しいやり方じゃなくて、気持ち良い方がいいに決まってる。彼は最後、頬を染めながら「ありがとう」と言って去って行った。もしかしたら、近いうちに年の離れた弟妹ができるかもしれない。
「発情は隠しておけよ。じゃないと、王都中の獣人に狙われるぞ」
怖いこと言うなよ。でも待てよ、じゃあ俺が王都を離れても、獣人のセフレには事欠かなかったかも知れないってことか。ということは、人間界への脱出も可能だったんじゃ…
「お前、良からぬことを考えてないか」
ぎくっ。
しかし発情が治まったら、今度は俺の番だ。俺だってオスだ、誰かを抱きたい衝動はある。しかも目の前に、こないだメス堕ちさせたばかりの美しい男がいる。
「なあ…いいだろ?」
「お前の欲求は、際限がないから駄目だ」
「そんなこと言うなよ。一緒に気持ち良くなろうぜ?」
「あ、もう…馬鹿」
何だかんだ、一度俺の味を占めてしまったナイジェル。魔眼から放たれる魅了の魔力に抗えず、結局恥じらいながらも応じる。ああ、燃えてきた。俺が彼にブッ挿して、彼のが俺にブッ挿さって…
「ああっ、ああっ、ああっ、」
注げば注ぐほど、彼はぐずぐずに壊れていく。肚の隷属紋が、うっすらとピンク色の光を帯びている。めちゃくちゃ卑猥だ。もう消し方も覚えたから、どんどん媚薬漬けにしてやる。そら、狂え狂え。
「へあっ…あ…は…」
王宮では、バリバリと理知的に仕事をこなす、俺の上司。ニコリともせず、誰にも媚びず、裏でサイレンと揶揄されても決して誇りを失わない孤高の虎が、妖艶な甘い歌声を奏でながら、俺の下で派手にイキ顔を晒して、アヘっている。たまらん。
ああ、また出る。この中に、注ぐ、注ぐ、注ぐ…!
「そら、飲め!」
「ひぎッ!!あ”、あ”、あ”…!!!」
そしてナイジェルのが、どくどくと注がれてくる。ああ、快い…!
「もうお前には、二度とヤらせない」
ナイジェルは激おこだ。俺が明け方まで限界キメセクをぶちかました結果、彼は日曜日、使い物にならなかった。ごめんて。ちょっとナイジェルの精が美味しくて、あとちょっと、もう一口ってやってたら、その。
だが今の俺には、魅了が使い放題だ。彼は魅了で俺に惚れたわけではなかったし、隷属紋が現れても消せるようになった。ヤりたくなったらガッツリ魅了、そして壊れて廃人になるまで、媚薬セックス。うん、人生が俄然楽しくなってきた。
ニチャア…と嗤う俺を見て、ずりずりとベッドの端に逃げるナイジェル。
「俺は一体何を間違えたんだ…」
時既に遅し。
月曜日、俺は先週と同じように王宮に出勤し、淡々と仕事をこなした。まだ辞令を保留してもらっている身なので、正確にはナイジェルや部下たちと同じ仕事をさせてはもらえないが、ラフィとロドリックが人手の足りていない部署から、ちょこちょこ仕事をもらってきてくれる。
「財務部から、助かったとお礼を言われましたよ」
ラフィが嬉しいことを言ってくれる。すぐに尻尾振って喜んじゃう俺、チョロい。
あれからナイジェルとも良い感じだ。先週は、もう彼とは終わらせないといけないと、内心悲壮感に押しつぶされそうになりながら、ここから逃げることしか考えていなかったが、今日は仕事中にちょっと目が合うだけで、ニヤけてしまいそうになる。はっ、いかんいかん。仕事に集中しなければ。王宮には魑魅魍魎もたくさんいるだろう。王太子や部下にも気が許せない。だけど、彼がいるなら、ここに留まってもいい。人間界は、行こうと思えば、いつでも行けるしな。
彼からは、発情が始まったらいつでも部屋に来いと誘われている。だが、「満たされたら、ヤりたくなる」というと、彼は面白いくらいに動揺した。そして今日は月曜日。俺は身支度を済ませ、メレディスを待つ。
暗い部屋の中、隅のカーペットがふわりと輝いたと思ったら、音もなく彼が現れた。相変わらず、何と声を掛けていいのか分かりません、といった表情をしている。可愛い。いつもの通り、ハグとキスで出迎えると、ベッドへと誘った。
「今日のお前は幸せそうだな。よかった」
静かで情熱的なセックスの後、彼は微笑みながらそう言った。こないだの不安定な俺を、心配して。彼の笑顔を見たのは初めてだったが、神の花園もかくや、というような美しさ。思わず甘い香りを錯覚する。ああ、俺にはナイジェルという恋人がいるのに、こんなの恋に落ちない方が無理だ。いや、彼にだって妻がいるじゃないか。
「メレディス、義母上とは」
俺は慌てて話題を変えた。すると彼は、「あ、忘れてた」みたいな顔をしている。おいおい。
彼と義母とは、かつては普通に営みがあったはずだ。生きるためとはいえ、彼は母ミュリエル亡き後、間を置かずに竜人族の彼女を娶り、俺の二つ下には弟がいる。ただ、漏れ聞いたところによると、現在は夫婦として睦み合うような関係ではなく、義母は竜気功という竜人専用のスキルで、彼に限界まで精気を分け与えているらしい。
通常、男は精を放出し、女は精を受け止めるように出来ている。彼が伴侶として女性を求めるのは自然なことだが、生きるために多量の精気を必要とする彼にとっては、もしかしたらその選択自体が間違いなのかもしれない。ただし。
「男の体液の中では、精液に一番精が含まれています。ならおそらく、義母上ならば愛液に最も精が含まれているのではないかと」
「!」
メレディスは、「その発想はなかった」という顔をしている。同じ精気を分けてもらうなら、気力と体力を限界まで消費する苦しいやり方じゃなくて、気持ち良い方がいいに決まってる。彼は最後、頬を染めながら「ありがとう」と言って去って行った。もしかしたら、近いうちに年の離れた弟妹ができるかもしれない。
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