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後日談
俺の騎士団生活(完) ※
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✳︎✳︎✳︎
今回はキース視点です。
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天使だ。天使が降って来た。
ある日俺たちは、いつも通りに哨戒を行っていた。斥候が魔物の群れを発見したということで、部隊の主力を率いて南下する。すると、普通なら共に行動するはずのない魔物が群れを成している。擬似スタンピードだ。辺りには、魔物を誘き寄せる臭気が漂っていた。
凶暴化している魔物と交戦していると、東からは傭兵と見られる者共が、西からは南東の敵国の部隊が現れた。今回の奇襲はかなり洗練されている。少ない手勢で、こちらの諜報部に動きを悟られる前に的確に攻め入って来た。第三騎士団を相手取るにはあまりに弱いが、一部隊を叩くなら十分な戦力だ。既に斥候が後方に伝令を飛ばしてはいるが、俺はヴィンスを本邸に遣いに寄越した。母上の手勢なら、本隊を動員するよりも早く救援に駆けつけられるだろう。それまでは今この場の戦力で、持ち堪えなければならない。
だがしかし、ヴィンスが連れ戻ったのはジャスパーだった。
三方を囲まれ、じりじりと後退しながら縮小陣形を取って睨み合っていたその時。不意に足元からチリチリと氷が迫り上がり、見る間に城壁のような氷壁に視界を阻まれる。直後、ドスドスドスという轟音と地響き、そして魔物や兵士の阿鼻叫喚の声。
「キース様、皆様、お怪我はありませんか!」
頭上から聞こえたのは、愛しいジャスパーの声。ヴィンスを背に舞い降りる彼の姿は、天使以外の何者でもなかった。
一瞬遅れて騎士たちの鬨の声が湧く。そしてジャスパーがもみくちゃにされる前に、俺は彼を腕の中に閉じ込めて、熱く唇を重ねた。
氷壁を解除した後の周囲の様子は、まさに悲惨だった。見える限りの広範囲で、森には無数の巨大な氷柱が刺さり、ほとんどの魔物は絶命し、傭兵団は我先に逃げ帰り、敵国の兵士は完全に戦意を喪失していた。負傷の激しい兵士を捕虜として預かり、他は解放する。心優しいジャスパーのことだ。人間への攻撃は、極力避けたのだろう。しかもその捕虜たちは、騎士団の負傷者とともに、あっという間にエリアハイヒールで完治してしまった。
それからは、総出で魔物の解体祭りだ。売れる素材と食べられる素材を剥ぎ取り、残った部位は全て焼却する。ここでもジャスパーが小さく氷壁を作ってくれたおかげで、安全に焼却処分することができた。これでしばらく、魔物の活動も鈍くなるだろう。素材は騎士団の重要な収入であり、彼らのボーナスにもなる。先ほどまであわや全滅の危機にあった騎士たちのテンションは最高潮だ。ジャスパーは、「若奥様」「姐さん」などと呼ばれて困惑していたが、そうとも。彼こそが、俺の自慢の嫁だ。
夕刻になり、防衛拠点の天幕まで戻ると、後は祝宴。野郎共は、分かりやすく肉が好きだ。魔物の肉は魔力を豊富に含み、高級食材とされる。領都から持ち出した干し肉とは比べ物にならない。これが隊員全員の胃袋を満たして余りある。しかもジャスパーが凍らせてくれたので、しばらくこの拠点では高級肉が食べ放題だ。さすがに夜番があるので、全員が酔いしれるほどの酒は出せないが、皆戦いの興奮と勝利の喜び、そして思わぬ臨時収入と酒池肉林に大はしゃぎしていた。
うっかり目を離した隙に、ジャスパーはむくつけき男共に揉みくちゃにされ、こっそりと捕虜の下まで逃げのびて、ちまちまと炙り肉を齧っていた。彼らは、表面上は和やかに「ええ」とか「そうですね」とか会話している。しかし、魔道具で魔力と身体を拘束されている捕虜たちは、彼が一人で魔物の大群を殲滅し、自軍の完璧な奇襲作戦を完膚なきまでに叩き潰した悪夢のような戦略破壊兵器であることと、その後自分たちをも一気に全回復させた慈愛の天使であること、そして魔力切れの片鱗も見せずに水や氷を惜しげもなく供給し、捕虜の分も肉を取り分け、愛想良く饗すことに、ひどく混乱している。
「ここにいたのかい、ジャスパー」
「キース様」
声を掛けると、彼は嬉しそうに頬を染めて立ち上がる。
「悪いね。食事の途中だったかな?」
「いいえ、もうお腹いっぱいで」
野郎共に随分勧められたのだろう。騎士よりもずっと食の細い彼は、腹を軽くさすって苦笑していた。
「じゃあ、ちょっと夜風に当たって来ようか」
「あ、はい」
俺はジャスパーの手を取って、森へ連れ出した。騎士共は、「ごゆっくり」とか「ひゅー」とか騒いでいるが、ジャスパーは何の事だか分かっていない。
「わあ…」
拠点から少し森に入ると、そこには幻想的に光る小さな水場があった。ここには魔力を帯びた小さな生物が棲んでいる。魔物と呼ぶにはあまりに無害で、妖精とはまた違うらしい。これが夏場ならば、蛍と見間違えることもあるだろう。
「いつか君に、これを見せたかったんだ」
「素敵です、キース様」
彼は瞳を輝かせて、繊細な光の飛び交う様子を観察している。学問の中でも、特に自然科学を好む彼の琴線に触れたようだ。
「ジャスパー。今日の君は、まるで天使のようだった」
「天使って、そんな」
背後から肩を抱き、髪に口付けながら囁く。
「僕が君を守るって誓ったのに…君は僕の守護天使だ」
「あのっ、運んでくれたのは、ヴィンスで…はぁっ…」
よしよし。感じているぞ。
ここは騎士たちの中でお馴染みの発展場だ。生命の危機を感じて興奮すると、男はどうしても生存本能が強く働いてしまう。騎士の中には既婚の者も独身の者もいるが、多くの者は騎士団の中で特定のパートナーを持ち、また持たない者もお互い誘い合って、欲を発散する。「夜風に当たる」とは、その隠語だ。
「あれはっ、ぼ、僕だけの力じゃなく、て、ロームが、んッ♡」
「ロームがどうしたの?」
胸をまさぐりながら耳を食んでいると、彼は腰が砕けそうになりながら、内ポケットからロームを取り出した。夜目であっても、ロームは鈍い色をして、ぷるりとも動かないのが分かる。
「あの時、ロームが僕の姿になって、一緒に氷壁と氷嵐を手伝ってくれたんです。そしたら、小さく固くなって…一つにまとまって、こんなふうに」
攻撃の手を緩めてやると、彼は手のひらの上のロームを愛おしそうに撫でた。悔しいが、ロームのお陰で窮地を救われたのは間違いない。
「それじゃあ、ロームに魔力を注いであげないとね…」
俺は、ロームを包むようにして彼の手を握り、右腕で彼を抱き寄せ、深く口付けた。
ずぞぞぞぞぞッ
しばらく手を繋いだまま濃厚に口内を蹂躙していると、手の内のロームが急に活動を始めた。彼はジャスパーの袖の中に潜り込み、素早く胴体を伝う。
「あ、やっ…!」
ジャスパーが唇を離し、ひどく狼狽する。腰を抱く俺の手の下を通過して、ロームがどこに向かって何をしようとしているのかは明白だ。わざと「くちっ、くちっ」という音を立て、俺に「準備中」と知らせて来る。腰を逃がそうとするジャスパーの膝を割り、背後の大木に押し付け、顎を掴んで唾液が滴るような激しいキス。さあ、たっぷり「夜風に当たらせて」いただこう。
「んあああッ!!♡」
背後から一気に貫くと、挿入と共に彼は勢い良く射精した。いわゆるトコロテンだ。
「いやぁぁッ♡、いやぁッ♡、キース、しゃまッ♡、誰か、来ちゃうッ♡」
大木にしがみつきながら、彼は振り向き様に濡れた瞳で訴える。だが身体は正直だ。下履きと一緒に下ろされたドレスパンツから覗く小ぶりな尻は、俺のペニスをぐっぽりと咥え込み、へこへこと貪欲に揺れている。お望み通りに快いところを擦ってやれば、「ひグッ♡」と啼いてメスイキし、その度に快感激弱クソ雑魚マンコをきゅんきゅん締め付ける。
昼間の戦闘、そして血の匂いに塗れながらの解体。辺境育ちの彼も、平気で解体に加わっていたが、あれは性的な興奮をもたらす。ジャスパーも男だ。非日常の命のやりとりに、身体は素直に発情している。しかも、誰が来るか分からない状況で、情欲に歯止めが効かない様子だ。「いや」などと平気で嘘を吐く悪い子には、たっぷり仕置きしてやらねば。
わざと水音を立てるように、背後からじゅぷじゅぷと捏ね回しながら注ぐこと3回。そして、
「ひぎあぁあッ!!♡♡ おぐッ!!♡♡ おぐらめ”ッ!!♡♡」
ジャスパーを抱え、エキベンスタイルでぐぽぐぽと最奥を抜きまくること3回。俺の首にすがりつき、「深ぁ”ッ♡」「イッぢゃ♡」「ぎーずじゃま♡」などと、呂律の回らない舌で可愛く囀るのを堪能した俺は、朦朧とする彼に適当に服を着せ、マントを掛けて横抱きにし、拠点に戻る。
宿営地では、宴もたけなわだった。騎士共が口々に囃し立てようとするのを制し、
「では今夜はこれで自由行動とする。俺は天幕で休む。皆も英気を養うように」
と宣言し、テントに戻った。
指揮官の天幕は一人部屋だ。簡易なデスクと応接セット、そして寝台がある。
寝台は、天幕に設置するには大型のものだ。俺が指揮を執るようになって替えた。俺は互いに慰め合うパートナーを持たない代わりに、ここでロームを介してジャスパーと夜な夜な睦み合う必要がある。別邸のベッドと大きさが違うと、「通信」に齟齬が生まれる。
今夜はこのベッドに、満を持して本人をご招待だ。これまでジャスパーを連れて遠征に出かけ、青姦で立ちバック、からのエキベン、その他諸々を繰り返し妄想してきたわけだが、毎度「連れて行く理由がない」として母上から却下され続けた。それが思わぬ形で実現してしまった。この天幕セックスもそうだ。大いに楽しまなければなるまい。
ベッドに横たえたジャスパーから、ブーツや衣服を剥ぎ取る。彼は「や…」などと形ばかりの抵抗を見せたが、先ほどの情交で身体は火照り、瞳はトロリと濡れている。陰部では、ロームが「いつでもOK」とばかりに活発に蠢いている。
「愛してるよ…僕の天使」
彼の膝を抱え、正常位から改めてずぷぷ、と身を沈めると、
(あ、や、ダメっ…ですッ…!♡)
彼は我に返った様子で、声を潜めて俺の動きを抑えようとする。だが、熟れ切った肉体は、俺のちんぽを美味そうにヌプヌプと飲み込んでいる。
丈夫に作ってあるといえど、所詮布一枚。天幕の中には、外の喧騒と焚き火の炎のゆらめきが届き、足音や人影がひっきりなしに付近を通過する。当然、天幕の上ではヴィンスが警戒に当たり、防音結界も敷いてあるため、外の音声は内に届くが中の音声は外に漏らさない。俺が可愛いジャスパーの喘ぎ声を他の野郎に聞かせる訳はないのだが、ジャスパーはそれを知らない。
天幕に引っ込んだ夫夫が中で何を営むかなんて、誰しもが百も承知だが、俺しか知らない純情なジャスパーは、誰に聞かれるか分からない(と思っている)この状況に、ひどく感じている。
(んッ♡、んッ♡、んッ♡、んぁッ♡)
一生懸命に引き結んだ唇からは、俺の動きに合わせて絶えず嬌声が漏れ、感じまいとすればするほど、まんこがトロトロに蕩けていく。俺はそんな彼の中を、小さいストロークでコツコツとノックする。弱いところを、ごく優しく、しかし執拗に、繰り返し繰り返し。そして蓄積した快感が、やがて…
(あ、やっ…来ちゃう…来ちゃうッ…!!!)
ジャスパーは、両手で口をぎゅっと押さえたまま、涙をぽろぽろ溢しながら全身を震わせ始めた。さあ、これでドライでイキっ放しの連続絶頂アクメマンコの完成だ。うおー、キッツキツ。さあ、今晩も存分に楽しもう。レッツパーリナイ。
(きっ、きーしゅしゃっ、止ま”、どまっでッ…)
どちゅどちゅと軽快なリズムにゆさゆさと揺さぶられながら、ジャスパーが必死に口を押さえてガン泣きしている。馬鹿を言ってはいけない。ここからが本番だ、止まれるわけないだろう。
(頑張ってね?ジャスパー。でないと、聞こえちゃうからね)
優しい声色で言い放つと、彼は絶望したように目を見張り、同時に俺をぎゅんと締め付けて、またアクメした。ご褒美に、そこからまた一段ギアを上げてやる。わざと水音を立て、ベッドが軋むように、体重を掛けながら大きめのストロークで、跳ねるようにどっちゅどっちゅと。雄膣を抉る強度が格段に跳ね上がり、ジャスパーは白い喉を晒すように仰け反りながら痙攣を繰り返す。
「い”…♡ ひッ…♡」
おいおい、声出ちゃってるぞ。頑張れ。天幕の周りを騎士たちが談笑しながら歩き回るのが聞こえるたび、そちらに目を向けながら(ひぐッ)とかビクビク感じてるのがたまらん。そんなん狙って突くしかないだろ。あーもう、いちいちアクメして締め付けるからだゾ?
そのうち祝宴も終わりを迎え、二次会三次会と焚き火を囲んでしっぽり飲んでいた奴らも三々五々天幕に戻って行った。後は夜勤の見張りを残すのみ。だがお楽しみはここからだ。勝利の余韻を天幕で発散する者もいれば、森に入って「夜風に当たる者」もいる。当然、わざわざ他人の天幕の近くで事に及ぶ者も。
「ちょ、ここ」「いいから」
外から聞こえて来るのは、若手騎士二人の声。一人は二年目の真面目君、一人は中堅のチャラ男風だ。カチャカチャとベルトを外す音、何かを囁き合う低い声、そして卑猥な水音と色の乗った喘ぎ声。
「!!」
ジャスパーは、彼らの情事に反応して、ギュッと身を竦めた。すぐそこで始まる他人のセックスに驚いたのと、彼らと同じように自分の営みも聞こえてしまうのではないかという恐れ。
だが。
どちゅん!
「んぎいいいいッ!!!」
いやぁ。ぎゅんぎゅんに締め付けるものだから、つい奥までぶち抜いてしまったよ。参ったな。さあ、後は奥をぐぽぐぽ抜いて、いっぱい楽しもうか。
奴らも分かってる。わざと天幕の至近距離で、俺らに「聞かせる」ことで、お互い楽しもうというわけだ。それにしても新人、君グイグイ行くな。ビッチそうな見た目のチャラ男がマジ泣きしている。部下の相関関係はそれとなく把握しているつもりだが、詳しい床事情までは首を突っ込んでいない。いいな、その「イけ」とか「飲め」とか、シンプルなヤツ。声しか聞こえないが、眉ひとつ動かしてない感がたまらん。俺もやろう。
だが。
「へあ”ッ♡ イぎッ♡ ひぅ”ッ♡」
当のジャスパーは、トんでしまってそれどころではなさそうだ。仕方ない。今夜はこのまま奥をぐぽぐぽハメハメしよう。
翌朝。俺たちは揃って目覚め、朝の訓練に顔を出した。昨夜は夜風に当たりすぎた者や、勝利に酔って親交を深め過ぎてしまった者も多かったようだが、概ね通常通りだ。
この分隊は三日後までの駐留予定だが、俺はジャスパーと共に一足先に領都まで戻ることにした。
元々騎士団は、団長などいなくても回るように出来ているのだ。そもそも本来の団長は父上が軍部大臣と兼任していて、母上はその代行で実質団長職、だが魔の森の哨戒や演習には滅多と携わらず、通常は自前の侍女軍団を遊撃隊として率い、有事の際には将軍として采配を振るうこととなっていた。俺は次期団長として団員との顔合わせ兼指揮見習いとして毎度哨戒演習に送り出されていただけであって、これは母上がジャスパーを独占したいがための嫌がらせに過ぎない。よって、俺などいなくとも、分隊長は通常通り騎士をまとめ、通常通り哨戒や演習を終えて戻って来るだけだ。
特に今回は、隣国の突発的な工作を報告するために、迅速に戻る必要がある。それもあるが、今朝からジャスパーが少しよそよそしい。いつもと同じく穏やかな笑顔なのだが、肩を抱こうとしても腰を抱こうとしても、にこやかに振り払われるのだ。
やりすぎたかもしれない。
いや、調子に乗って天幕の中で、明け方まであんあん啼かせたのはマズかったかも知れないが、それは彼が魔力切れを起こさなかったからなのだ。昨日、ロームがジャスパーを助けて力を使い果たして一体に集約されてしまったが、そのせいで魔力の吸収効率が落ちたようだ。ロームはジャスパーが魔力切れになるまで、俺とジャスパーの精力を無限に回復させる。イってもイっても気を失うことが出来ず、延々と激しいプレイにアヘりまくったジャスパー。つい一昨日まで、ジャスパーを優しく抱き潰してからローム相手に徹底的に陵辱の限りを尽くしていたのだが、そのノリでパコっちゃったら、つい…。
それにしても、ローム一体ではまずい。ジャスパーがなかなか魔力切れを起こさないのもあるが、一体だけだと夜の「通信」が出来ないではないか。これは大問題だ。領都に戻ったらすぐさまジャスパーと別邸に籠もり、二体に殖えるまで励まねば。
領都に帰った俺たちは、早速事の次第を報告した。ジャスパーがヴィンスに連れられて俺たちに加勢する直前に、母上と遊撃隊が東に誘き出されたのも、隣国の陽動作戦だった可能性が高い。幸い無傷の完封で終わったが、捕虜も含めた今後の「お話し合い」は、軍部大臣たる父上や外務大臣などの仕事となるだろう。
というわけで、小難しい話は上に丸投げし、俺たちはさっさと別邸に籠もった。しかしジャスパーが可愛く拗ねているものだから、久々に「例の部屋」と「例のチョーカー」を発動。素直になるまで、徹底的に可愛がった。特に「イけ」「飲め」などの短い命令が気に入ったようで、「見せろ」とか「開け」とか「咥えろ」とか、新たな境地を開拓した。期待の新人君、また機会があれば、天幕の近くで励んで欲しいものだ。
誤算だったのは、三日後。早速ロームが二体に殖えたこと。同時に母上が領都に戻り、早々に次の駐留に蹴り出されたこと。しかしジャスパーが、新種の薬草採取の名目で、時折駐留に帯同するようになったこと。そして、夜風に当たったり天幕で声を殺しながら愛し合うのが、彼のお気に入りになったことだ。
なお、あの電撃の救出劇の後、ジャスパーは「氷帝」「殲滅の戦乙女」「氷嵐の戦姫」などと渾名されるようになったが、彼は俺だけの「マイスイートエンジェル」だ。これは譲れない。
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こちらをもちまして、本編および後日談は完結です。
本作にお付き合い下さり、誠にありがとうございました!
今回はキース視点です。
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天使だ。天使が降って来た。
ある日俺たちは、いつも通りに哨戒を行っていた。斥候が魔物の群れを発見したということで、部隊の主力を率いて南下する。すると、普通なら共に行動するはずのない魔物が群れを成している。擬似スタンピードだ。辺りには、魔物を誘き寄せる臭気が漂っていた。
凶暴化している魔物と交戦していると、東からは傭兵と見られる者共が、西からは南東の敵国の部隊が現れた。今回の奇襲はかなり洗練されている。少ない手勢で、こちらの諜報部に動きを悟られる前に的確に攻め入って来た。第三騎士団を相手取るにはあまりに弱いが、一部隊を叩くなら十分な戦力だ。既に斥候が後方に伝令を飛ばしてはいるが、俺はヴィンスを本邸に遣いに寄越した。母上の手勢なら、本隊を動員するよりも早く救援に駆けつけられるだろう。それまでは今この場の戦力で、持ち堪えなければならない。
だがしかし、ヴィンスが連れ戻ったのはジャスパーだった。
三方を囲まれ、じりじりと後退しながら縮小陣形を取って睨み合っていたその時。不意に足元からチリチリと氷が迫り上がり、見る間に城壁のような氷壁に視界を阻まれる。直後、ドスドスドスという轟音と地響き、そして魔物や兵士の阿鼻叫喚の声。
「キース様、皆様、お怪我はありませんか!」
頭上から聞こえたのは、愛しいジャスパーの声。ヴィンスを背に舞い降りる彼の姿は、天使以外の何者でもなかった。
一瞬遅れて騎士たちの鬨の声が湧く。そしてジャスパーがもみくちゃにされる前に、俺は彼を腕の中に閉じ込めて、熱く唇を重ねた。
氷壁を解除した後の周囲の様子は、まさに悲惨だった。見える限りの広範囲で、森には無数の巨大な氷柱が刺さり、ほとんどの魔物は絶命し、傭兵団は我先に逃げ帰り、敵国の兵士は完全に戦意を喪失していた。負傷の激しい兵士を捕虜として預かり、他は解放する。心優しいジャスパーのことだ。人間への攻撃は、極力避けたのだろう。しかもその捕虜たちは、騎士団の負傷者とともに、あっという間にエリアハイヒールで完治してしまった。
それからは、総出で魔物の解体祭りだ。売れる素材と食べられる素材を剥ぎ取り、残った部位は全て焼却する。ここでもジャスパーが小さく氷壁を作ってくれたおかげで、安全に焼却処分することができた。これでしばらく、魔物の活動も鈍くなるだろう。素材は騎士団の重要な収入であり、彼らのボーナスにもなる。先ほどまであわや全滅の危機にあった騎士たちのテンションは最高潮だ。ジャスパーは、「若奥様」「姐さん」などと呼ばれて困惑していたが、そうとも。彼こそが、俺の自慢の嫁だ。
夕刻になり、防衛拠点の天幕まで戻ると、後は祝宴。野郎共は、分かりやすく肉が好きだ。魔物の肉は魔力を豊富に含み、高級食材とされる。領都から持ち出した干し肉とは比べ物にならない。これが隊員全員の胃袋を満たして余りある。しかもジャスパーが凍らせてくれたので、しばらくこの拠点では高級肉が食べ放題だ。さすがに夜番があるので、全員が酔いしれるほどの酒は出せないが、皆戦いの興奮と勝利の喜び、そして思わぬ臨時収入と酒池肉林に大はしゃぎしていた。
うっかり目を離した隙に、ジャスパーはむくつけき男共に揉みくちゃにされ、こっそりと捕虜の下まで逃げのびて、ちまちまと炙り肉を齧っていた。彼らは、表面上は和やかに「ええ」とか「そうですね」とか会話している。しかし、魔道具で魔力と身体を拘束されている捕虜たちは、彼が一人で魔物の大群を殲滅し、自軍の完璧な奇襲作戦を完膚なきまでに叩き潰した悪夢のような戦略破壊兵器であることと、その後自分たちをも一気に全回復させた慈愛の天使であること、そして魔力切れの片鱗も見せずに水や氷を惜しげもなく供給し、捕虜の分も肉を取り分け、愛想良く饗すことに、ひどく混乱している。
「ここにいたのかい、ジャスパー」
「キース様」
声を掛けると、彼は嬉しそうに頬を染めて立ち上がる。
「悪いね。食事の途中だったかな?」
「いいえ、もうお腹いっぱいで」
野郎共に随分勧められたのだろう。騎士よりもずっと食の細い彼は、腹を軽くさすって苦笑していた。
「じゃあ、ちょっと夜風に当たって来ようか」
「あ、はい」
俺はジャスパーの手を取って、森へ連れ出した。騎士共は、「ごゆっくり」とか「ひゅー」とか騒いでいるが、ジャスパーは何の事だか分かっていない。
「わあ…」
拠点から少し森に入ると、そこには幻想的に光る小さな水場があった。ここには魔力を帯びた小さな生物が棲んでいる。魔物と呼ぶにはあまりに無害で、妖精とはまた違うらしい。これが夏場ならば、蛍と見間違えることもあるだろう。
「いつか君に、これを見せたかったんだ」
「素敵です、キース様」
彼は瞳を輝かせて、繊細な光の飛び交う様子を観察している。学問の中でも、特に自然科学を好む彼の琴線に触れたようだ。
「ジャスパー。今日の君は、まるで天使のようだった」
「天使って、そんな」
背後から肩を抱き、髪に口付けながら囁く。
「僕が君を守るって誓ったのに…君は僕の守護天使だ」
「あのっ、運んでくれたのは、ヴィンスで…はぁっ…」
よしよし。感じているぞ。
ここは騎士たちの中でお馴染みの発展場だ。生命の危機を感じて興奮すると、男はどうしても生存本能が強く働いてしまう。騎士の中には既婚の者も独身の者もいるが、多くの者は騎士団の中で特定のパートナーを持ち、また持たない者もお互い誘い合って、欲を発散する。「夜風に当たる」とは、その隠語だ。
「あれはっ、ぼ、僕だけの力じゃなく、て、ロームが、んッ♡」
「ロームがどうしたの?」
胸をまさぐりながら耳を食んでいると、彼は腰が砕けそうになりながら、内ポケットからロームを取り出した。夜目であっても、ロームは鈍い色をして、ぷるりとも動かないのが分かる。
「あの時、ロームが僕の姿になって、一緒に氷壁と氷嵐を手伝ってくれたんです。そしたら、小さく固くなって…一つにまとまって、こんなふうに」
攻撃の手を緩めてやると、彼は手のひらの上のロームを愛おしそうに撫でた。悔しいが、ロームのお陰で窮地を救われたのは間違いない。
「それじゃあ、ロームに魔力を注いであげないとね…」
俺は、ロームを包むようにして彼の手を握り、右腕で彼を抱き寄せ、深く口付けた。
ずぞぞぞぞぞッ
しばらく手を繋いだまま濃厚に口内を蹂躙していると、手の内のロームが急に活動を始めた。彼はジャスパーの袖の中に潜り込み、素早く胴体を伝う。
「あ、やっ…!」
ジャスパーが唇を離し、ひどく狼狽する。腰を抱く俺の手の下を通過して、ロームがどこに向かって何をしようとしているのかは明白だ。わざと「くちっ、くちっ」という音を立て、俺に「準備中」と知らせて来る。腰を逃がそうとするジャスパーの膝を割り、背後の大木に押し付け、顎を掴んで唾液が滴るような激しいキス。さあ、たっぷり「夜風に当たらせて」いただこう。
「んあああッ!!♡」
背後から一気に貫くと、挿入と共に彼は勢い良く射精した。いわゆるトコロテンだ。
「いやぁぁッ♡、いやぁッ♡、キース、しゃまッ♡、誰か、来ちゃうッ♡」
大木にしがみつきながら、彼は振り向き様に濡れた瞳で訴える。だが身体は正直だ。下履きと一緒に下ろされたドレスパンツから覗く小ぶりな尻は、俺のペニスをぐっぽりと咥え込み、へこへこと貪欲に揺れている。お望み通りに快いところを擦ってやれば、「ひグッ♡」と啼いてメスイキし、その度に快感激弱クソ雑魚マンコをきゅんきゅん締め付ける。
昼間の戦闘、そして血の匂いに塗れながらの解体。辺境育ちの彼も、平気で解体に加わっていたが、あれは性的な興奮をもたらす。ジャスパーも男だ。非日常の命のやりとりに、身体は素直に発情している。しかも、誰が来るか分からない状況で、情欲に歯止めが効かない様子だ。「いや」などと平気で嘘を吐く悪い子には、たっぷり仕置きしてやらねば。
わざと水音を立てるように、背後からじゅぷじゅぷと捏ね回しながら注ぐこと3回。そして、
「ひぎあぁあッ!!♡♡ おぐッ!!♡♡ おぐらめ”ッ!!♡♡」
ジャスパーを抱え、エキベンスタイルでぐぽぐぽと最奥を抜きまくること3回。俺の首にすがりつき、「深ぁ”ッ♡」「イッぢゃ♡」「ぎーずじゃま♡」などと、呂律の回らない舌で可愛く囀るのを堪能した俺は、朦朧とする彼に適当に服を着せ、マントを掛けて横抱きにし、拠点に戻る。
宿営地では、宴もたけなわだった。騎士共が口々に囃し立てようとするのを制し、
「では今夜はこれで自由行動とする。俺は天幕で休む。皆も英気を養うように」
と宣言し、テントに戻った。
指揮官の天幕は一人部屋だ。簡易なデスクと応接セット、そして寝台がある。
寝台は、天幕に設置するには大型のものだ。俺が指揮を執るようになって替えた。俺は互いに慰め合うパートナーを持たない代わりに、ここでロームを介してジャスパーと夜な夜な睦み合う必要がある。別邸のベッドと大きさが違うと、「通信」に齟齬が生まれる。
今夜はこのベッドに、満を持して本人をご招待だ。これまでジャスパーを連れて遠征に出かけ、青姦で立ちバック、からのエキベン、その他諸々を繰り返し妄想してきたわけだが、毎度「連れて行く理由がない」として母上から却下され続けた。それが思わぬ形で実現してしまった。この天幕セックスもそうだ。大いに楽しまなければなるまい。
ベッドに横たえたジャスパーから、ブーツや衣服を剥ぎ取る。彼は「や…」などと形ばかりの抵抗を見せたが、先ほどの情交で身体は火照り、瞳はトロリと濡れている。陰部では、ロームが「いつでもOK」とばかりに活発に蠢いている。
「愛してるよ…僕の天使」
彼の膝を抱え、正常位から改めてずぷぷ、と身を沈めると、
(あ、や、ダメっ…ですッ…!♡)
彼は我に返った様子で、声を潜めて俺の動きを抑えようとする。だが、熟れ切った肉体は、俺のちんぽを美味そうにヌプヌプと飲み込んでいる。
丈夫に作ってあるといえど、所詮布一枚。天幕の中には、外の喧騒と焚き火の炎のゆらめきが届き、足音や人影がひっきりなしに付近を通過する。当然、天幕の上ではヴィンスが警戒に当たり、防音結界も敷いてあるため、外の音声は内に届くが中の音声は外に漏らさない。俺が可愛いジャスパーの喘ぎ声を他の野郎に聞かせる訳はないのだが、ジャスパーはそれを知らない。
天幕に引っ込んだ夫夫が中で何を営むかなんて、誰しもが百も承知だが、俺しか知らない純情なジャスパーは、誰に聞かれるか分からない(と思っている)この状況に、ひどく感じている。
(んッ♡、んッ♡、んッ♡、んぁッ♡)
一生懸命に引き結んだ唇からは、俺の動きに合わせて絶えず嬌声が漏れ、感じまいとすればするほど、まんこがトロトロに蕩けていく。俺はそんな彼の中を、小さいストロークでコツコツとノックする。弱いところを、ごく優しく、しかし執拗に、繰り返し繰り返し。そして蓄積した快感が、やがて…
(あ、やっ…来ちゃう…来ちゃうッ…!!!)
ジャスパーは、両手で口をぎゅっと押さえたまま、涙をぽろぽろ溢しながら全身を震わせ始めた。さあ、これでドライでイキっ放しの連続絶頂アクメマンコの完成だ。うおー、キッツキツ。さあ、今晩も存分に楽しもう。レッツパーリナイ。
(きっ、きーしゅしゃっ、止ま”、どまっでッ…)
どちゅどちゅと軽快なリズムにゆさゆさと揺さぶられながら、ジャスパーが必死に口を押さえてガン泣きしている。馬鹿を言ってはいけない。ここからが本番だ、止まれるわけないだろう。
(頑張ってね?ジャスパー。でないと、聞こえちゃうからね)
優しい声色で言い放つと、彼は絶望したように目を見張り、同時に俺をぎゅんと締め付けて、またアクメした。ご褒美に、そこからまた一段ギアを上げてやる。わざと水音を立て、ベッドが軋むように、体重を掛けながら大きめのストロークで、跳ねるようにどっちゅどっちゅと。雄膣を抉る強度が格段に跳ね上がり、ジャスパーは白い喉を晒すように仰け反りながら痙攣を繰り返す。
「い”…♡ ひッ…♡」
おいおい、声出ちゃってるぞ。頑張れ。天幕の周りを騎士たちが談笑しながら歩き回るのが聞こえるたび、そちらに目を向けながら(ひぐッ)とかビクビク感じてるのがたまらん。そんなん狙って突くしかないだろ。あーもう、いちいちアクメして締め付けるからだゾ?
そのうち祝宴も終わりを迎え、二次会三次会と焚き火を囲んでしっぽり飲んでいた奴らも三々五々天幕に戻って行った。後は夜勤の見張りを残すのみ。だがお楽しみはここからだ。勝利の余韻を天幕で発散する者もいれば、森に入って「夜風に当たる者」もいる。当然、わざわざ他人の天幕の近くで事に及ぶ者も。
「ちょ、ここ」「いいから」
外から聞こえて来るのは、若手騎士二人の声。一人は二年目の真面目君、一人は中堅のチャラ男風だ。カチャカチャとベルトを外す音、何かを囁き合う低い声、そして卑猥な水音と色の乗った喘ぎ声。
「!!」
ジャスパーは、彼らの情事に反応して、ギュッと身を竦めた。すぐそこで始まる他人のセックスに驚いたのと、彼らと同じように自分の営みも聞こえてしまうのではないかという恐れ。
だが。
どちゅん!
「んぎいいいいッ!!!」
いやぁ。ぎゅんぎゅんに締め付けるものだから、つい奥までぶち抜いてしまったよ。参ったな。さあ、後は奥をぐぽぐぽ抜いて、いっぱい楽しもうか。
奴らも分かってる。わざと天幕の至近距離で、俺らに「聞かせる」ことで、お互い楽しもうというわけだ。それにしても新人、君グイグイ行くな。ビッチそうな見た目のチャラ男がマジ泣きしている。部下の相関関係はそれとなく把握しているつもりだが、詳しい床事情までは首を突っ込んでいない。いいな、その「イけ」とか「飲め」とか、シンプルなヤツ。声しか聞こえないが、眉ひとつ動かしてない感がたまらん。俺もやろう。
だが。
「へあ”ッ♡ イぎッ♡ ひぅ”ッ♡」
当のジャスパーは、トんでしまってそれどころではなさそうだ。仕方ない。今夜はこのまま奥をぐぽぐぽハメハメしよう。
翌朝。俺たちは揃って目覚め、朝の訓練に顔を出した。昨夜は夜風に当たりすぎた者や、勝利に酔って親交を深め過ぎてしまった者も多かったようだが、概ね通常通りだ。
この分隊は三日後までの駐留予定だが、俺はジャスパーと共に一足先に領都まで戻ることにした。
元々騎士団は、団長などいなくても回るように出来ているのだ。そもそも本来の団長は父上が軍部大臣と兼任していて、母上はその代行で実質団長職、だが魔の森の哨戒や演習には滅多と携わらず、通常は自前の侍女軍団を遊撃隊として率い、有事の際には将軍として采配を振るうこととなっていた。俺は次期団長として団員との顔合わせ兼指揮見習いとして毎度哨戒演習に送り出されていただけであって、これは母上がジャスパーを独占したいがための嫌がらせに過ぎない。よって、俺などいなくとも、分隊長は通常通り騎士をまとめ、通常通り哨戒や演習を終えて戻って来るだけだ。
特に今回は、隣国の突発的な工作を報告するために、迅速に戻る必要がある。それもあるが、今朝からジャスパーが少しよそよそしい。いつもと同じく穏やかな笑顔なのだが、肩を抱こうとしても腰を抱こうとしても、にこやかに振り払われるのだ。
やりすぎたかもしれない。
いや、調子に乗って天幕の中で、明け方まであんあん啼かせたのはマズかったかも知れないが、それは彼が魔力切れを起こさなかったからなのだ。昨日、ロームがジャスパーを助けて力を使い果たして一体に集約されてしまったが、そのせいで魔力の吸収効率が落ちたようだ。ロームはジャスパーが魔力切れになるまで、俺とジャスパーの精力を無限に回復させる。イってもイっても気を失うことが出来ず、延々と激しいプレイにアヘりまくったジャスパー。つい一昨日まで、ジャスパーを優しく抱き潰してからローム相手に徹底的に陵辱の限りを尽くしていたのだが、そのノリでパコっちゃったら、つい…。
それにしても、ローム一体ではまずい。ジャスパーがなかなか魔力切れを起こさないのもあるが、一体だけだと夜の「通信」が出来ないではないか。これは大問題だ。領都に戻ったらすぐさまジャスパーと別邸に籠もり、二体に殖えるまで励まねば。
領都に帰った俺たちは、早速事の次第を報告した。ジャスパーがヴィンスに連れられて俺たちに加勢する直前に、母上と遊撃隊が東に誘き出されたのも、隣国の陽動作戦だった可能性が高い。幸い無傷の完封で終わったが、捕虜も含めた今後の「お話し合い」は、軍部大臣たる父上や外務大臣などの仕事となるだろう。
というわけで、小難しい話は上に丸投げし、俺たちはさっさと別邸に籠もった。しかしジャスパーが可愛く拗ねているものだから、久々に「例の部屋」と「例のチョーカー」を発動。素直になるまで、徹底的に可愛がった。特に「イけ」「飲め」などの短い命令が気に入ったようで、「見せろ」とか「開け」とか「咥えろ」とか、新たな境地を開拓した。期待の新人君、また機会があれば、天幕の近くで励んで欲しいものだ。
誤算だったのは、三日後。早速ロームが二体に殖えたこと。同時に母上が領都に戻り、早々に次の駐留に蹴り出されたこと。しかしジャスパーが、新種の薬草採取の名目で、時折駐留に帯同するようになったこと。そして、夜風に当たったり天幕で声を殺しながら愛し合うのが、彼のお気に入りになったことだ。
なお、あの電撃の救出劇の後、ジャスパーは「氷帝」「殲滅の戦乙女」「氷嵐の戦姫」などと渾名されるようになったが、彼は俺だけの「マイスイートエンジェル」だ。これは譲れない。
✳︎✳︎✳︎
こちらをもちまして、本編および後日談は完結です。
本作にお付き合い下さり、誠にありがとうございました!
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