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キースの婚活

美味しく頂こう ※

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 今夜もベッドに並んで座る。昨日一昨日と宿で同じ事をしたが、今日は予行演習ではない。目の前に、侍女に丁寧に身体を揉みほぐされ、頬を上気させたジャスパーがいる。

「顔、赤いね。疲れたかい?」

「いえっ、そのっ…マッサージが、気持ちよくて、ちょっと恥ずかしくて…」

 目元を赤らめて、微かにはふりとため息をつく。君は俺の忍耐力を試そうとしているのか。

「ふふ。聞こえていたよ。君の肌が美しいって、侍女がはしゃいでいるのを」

「!あ、えっと、駄目ですよね、騎士団に入るのに、生っちろい肌では…ひゃっ」

 だがしかし。

「どんな風に触られたの?」

「どんな…風にって…あっ…」

 今夜は我慢などしない。目の前にあるローブの合わせから、右手を滑り込ませる。すぐに慎ましい飾りを捉えると、彼は小さく啼いた。たじろぐ彼に抵抗する隙を与えず、素早く抱き寄せて唇を奪う。

「ふ…んっ…」

 ゆっくりと押し倒しながら何度かついばんでいると、碧玉の瞳が熱く潤み、粘度の低い唾液が唇から溢れる。ジャスパーが、俺のキスで感じている。ああ、何という甘さだ。ロームの体液とは違う、ジャスパーの味。二人のものが混ざったものを彼の口に押し込むと、こくりと喉を鳴らして飲み込む様子が、下半身にビンビン来る。

 口の端から伝った唾液を追って、唇を首筋に滑らせる。耳元、首元、それから鎖骨、胸。ジャスパーは、いきなり性感帯に手を伸ばすと萎縮するタイプだ。身体を密着させ、あやすように撫でさすりながら、じわじわと弱点を突いていく。まるで警戒心の強い小動物を手懐ける感覚で。

 それとなく確認するのは、脇。俺は何を隠そう、脇フェチだ。意識高くツルリと手入れされた脇もいいし、処理の甘い脇も初心な感じでいい。しかしジャスパーは男だ。体毛の薄い彼のそこは、ひそやかに茂みを湛え、僅かに甘酸っぱい香りがする。女の匂いじゃない。中等部の頃に嗅ぎ慣れた、少年と大人の間のオスの匂いだ。だけどそれが、たまらなくそそる。

「キース、様…」

 肌の味と香りを満喫していると、彼はそっと腕を回し、上擦った声で俺を呼んだ。彼のものが腹に当たる。君ももうすっかり勃ち上がってるんだな。俺もバキバキだ。俺のと一緒に手で包んで擦ってやると、彼は呆気なく精を吐く。もう彼のローブはすっかりはだけて、細身だが瑞々しい裸体が顕になっている。俺もローブを投げ捨てる。お互い、生まれたままの姿で、遮るものは何もない。

 改めて、彼の裸体をじっくりと視姦する。白くて無垢な、だけどロームの擬態したそれとは違う、温かみのある肌色。亜麻色の髪に、ほんのりそばかすが浮いた頬が、少しいとけない印象を与える。しかし薄い桜色だった乳首もペニスも、本物は鮮やかに色付いていて、遥かに艶かしい。そして吐き出した精は、しっかりとオスの香り。どこか浮世離れした中性的なロームも美しいが、肉感的な生身のジャスパーの色香には及ばない。

 彼も俺の裸体を凝視している。特に股間にそそり立つ息子を。擬態したロームの色味と比べると、かなりグロテスクに思われるかと心配したが、杞憂だったようだ。すっかり物欲しそうな顔をしている。

ほぐすよ」

 俺は香油を取り出して、指で慣らすことにした。毎晩ローム相手にやっていることとはいえ、生身の彼のアナルを余すところなく味わいたい。しかし、横からロームがずずずっと割り込んで来て、そのまま中まで侵入し、あっという間に準備を整えてしまった。初めて俺の指で前立腺を責めぇの、イかせぇの、おねだりさせぇの、俺の甘美な計画は露と消えてしまったが、ロームは浄化と前戯、発情を一気にこなす。

「あっ、ロームっ、やだっ」

 内側からの快楽に悶える彼の下腹は、中から押されてボコボコと波打つ。菊門からは粘液がトロリと流れ出て。ロームは「準備完了」とばかりに中でうごうごと蠢いて、ジャスパーの後孔をパクパクさせる。有能か。

「はっ、ああん、もうっ、…キース様…っ」

 間近でその様子をガン見していた俺を、ジャスパーは腰を揺らして誘惑する。こうなったらもう、れるしかない。

「あ、あ、あぁ…」

 俺はロームごと、それを中に押し込んだ。痛いほどガチガチだが、全部収め切るまですのは勿体無い。しかし、彼の中は熱く、容赦無くキツくうねる。甘い啼き声もヤバい。俺は彼の唇を塞いで、性急に奥を目指した。そして根元まで入ったと思った瞬間、俺も彼も同時に果てた。



「あんっ♡ あんっ♡ んふっ♡ んんっ♡」

 ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ。

 そこからはもう、なりふり構わずジャスパーを味わった。昨夜、甘々ラブラブセックスの予行演習をしていたはずが、全て吹っ飛んだ。屈曲位で種付けプレス。しかし彼の身体はしなやかに俺を飲み込み、ベッドの軋みとともに俺の息子を容赦無くしごく。

 ああ、凄い。全然違う。肉だ。生身の肉体だ。あのジャスパーが、俺の下で、俺を咥え込んで喘いでいる。

 これまで散々、彼に擬態したロームを味わい、犯し、陵辱し尽くしたと思っていたのに、俺はまだ彼のことを全然分かっていなかった。透き通るような水色の髪、アクアマリンのような瞳、真っ白な肌。姿形こそジャスパーだが、ロームはこの世のものとは思えない、まるで妖精のようだった。だけど目の前の彼は、生身の男だ。線は細いが貧相というほどでもなく、伸びやかで瑞々しい肢体を持つ。ペニスだって標準サイズはあるだろう。多少甘い顔立ちだが、それなりにめかし込めば女だって不自由しないはずだ。何より頭脳はずば抜けている。どこに出仕したって、そのうち頭角を表して、エリート街道を進んで行くだろう。

 その男が、俺の下でメスの顔をして、陶然とアヘってよがる。

「んふぅぅ…ッ!!!♡♡♡」

 彼の腹からは、彼が吐き出したザーメンがシーツに流れ落ちている。俺も何度も注いだ。だけどまだ出る。まだ足りない。言い知れない愉悦が陰嚢からせり上がり、俺のペニスはまた射精の準備に入る。

「キース、様っ、駄目っ…」

 そろそろ限界が近いだろうか。これまで従順にセックスを受け入れていたジャスパーが、可愛い抵抗を始めた。

「いやぁぁ!駄目、駄目、やめてくださいッ!!」

 ははは。俺を煽っているつもりか。可愛いやつめ。さあ、とびきり熱いのをくれてやろう。

 どちゅどちゅどちゅどちゅ。

「ジャスパー。いいね、行くよ?」

 俺は激しく腰を叩きつけ、一番奥でブッ放した。

「あああああ!!!」

 ジャスパーは断末魔のように泣き叫んだ後、ふつりと意識を飛ばした。



 ああ、初夜。初夜だ。初夜っていいな。初夜は最高だ。

「うぶっ、ご、んぼッ、んごッ」

 抱き潰したジャスパーの世話は、彼の体内に潜んでいたローム1アンに任せ、俺は余韻に浸りながら2ドゥ3トロワとお代わりプレイだ。ジャスパーに扮した2ドゥをバックから突きながら、俺に扮した3トロワに口を犯させる。いいな。いつかジャスパーを輪姦したいものだ。現実には、彼の方が先にダウンしてしまうので、とても二人目三人目の俺まで相手をさせることは出来ないのだが。

「そーら、旦那様おちんぽだ。お嫁さん、マンコで、しっかり、奉仕、するんだ、ぞッ!」

 ゴリッ、ゴリッ、ゴリッ。

 最後は奥の奥、突き当たりを突き破って先っぽで犯し、向こう側にザーメンを届けてやる。

「おごッ、ん”ぼァッ…!!!」

 2ドゥは腕をピンと立て、弓なりになって激しく絶頂した。同時に3トロワも彼の髪を掴み、喉奥にブッ放している。あー、たまらん。出る出る。まだ出る。

 本人と結ばれたからと言って、ロームで萎えるかと思ったら、全然そんなことはなかった。むしろジャスパーの味を知ったからこそ、ロームがより味わい深いまである。ああ、これからどうしよう。毎晩こんな贅沢を楽しんでいいのか。しかもまだ、俺の愛欲は止まるところを知らない。ロームにはこれからも様々な形で協力してもらわねば。



 ひとしきり楽しんだら、もう夜が明けて来た。手乗りサイズのスライムに戻った2ドゥ3トロワを連れて、続きの間に戻る。ベッドの上には、俺の姿をした1アンが、ジャスパーに添い寝していた。いつもどうやっているのかは分からないが、ベトベトだったはずのシーツや身体は綺麗になっている。

 やがて1アンも手乗り大に戻り、三匹仲良く枕元でプルプルしている。俺はさっきまで1アンが占めていた場所にそのまま滑り込み、彼の隣でシーツを引き上げる。

 ジャスパーは一瞬身じろぎをした後、またすうすうと寝息を立てて深い眠りに落ちて行った。彼の体温と、肌の香りが心地いい。やっと手に入れた、俺の嫁。朝には堂々と両親に紹介できるだろう。俺は彼の髪にキスを落とし、心地良い疲労感に四肢を投げ出した。
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