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楼蘭妃の憂鬱
教育的指導を行いました(キース視点) ※
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✳︎✳︎✳︎
今回はキース視点です
✳︎✳︎✳︎
玄関先の騒ぎを聞きつけ、やおら立ち上がった伯爵を制し、ローレンスの部屋から優雅に螺旋階段を降りて行った夫人。小柄で地味な印象の女性だったが、その後ろ姿がオーガキングより大きく見えたのは何故だろう。
「玲那皇子。お久しぶりですわ」
「おお、義母上殿!ローレンスは、ローレンスはこちらに」
バッ!
馬鹿力で門番を引きずりながら、ズカズカと上がり込もうとする龍神。しかしその歩みは、夫人が勢いよく扇を開く音で凍りついた。邸内が、水を打ったようにしんと静まる。
「ほほほ。異な事を仰る。私は貴方に義母などと呼ばれる義理はございません」
「は…」
「自分の妻や子を守れぬような男に、どれほどの価値が?」
夫人は「さ、お客人がお帰りですよ」と家人に声を掛け、再びしずしずとローレンスの部屋へ戻り、ガチャリと内鍵が掛かる音がした。終始穏やかで、にこやかな物腰。しかし今の彼女には、王国騎士団が全軍で立ち向かっても、勝てる気がしない。
階段の踊り場に取り残されたリドゲート伯と俺、そして玄関先でへたりと座り込む玲那皇子こと元従魔の黒龍は、家令に促され、サロンに通された。
「皇子、いやレナード。リディアはああなったら終わりだ」
長身痩躯のリドゲート伯が、背中を丸め、小さくなって震えている。
ローレンスが家出して約二週間。およそここまでの事情は何となく伝わってきた。ローレンスは詳しい話はしたがらないが、リディア夫人にはぽろぽろと結婚生活の不満を話しているらしい。夫人は「二人で乗り越えなさい」と嗜めてはいるが、リドゲート伯によれば、それらは以前彼が「やらかした」ことと酷似しており、
「レナード、悪いことは言わん。なりふり構わず平身低頭、赦しを乞うのだ。でなければ、30年経っても結婚生活はずっと地雷原のままだ」
なるほど。夫人の怒りは、子を守る母親の怒りだけでなく、夫に対する古き怒りも上乗せされているということか。
一方の龍神レナードも、自分の母親にコテンパンに説教されて来たらしい。
「母上があんなにお怒りになったのは、初めてだ…」
右も左も分からず嫁いで来た妻を、何も教えずひたすら監禁陵辱に及ぶとは、言語道断だそうだ。それを聞いて、リドゲート伯も気色ばんだ。つい今しがた、ドア越しとはいえ壮絶な出産に立ち会ったのだ。しかもこれで第三子。自分の息子が、これまで二度、慣れない土地で同じことを経験したかと思うと、平静ではいられないだろう。
「…もう良い。過ぎたことを論じても仕方あるまい。レナードも、今夜は客間で休むといい。今後のことはまた後日。キース殿、我が家のいざこざに巻き込んで済まなかった。この礼は必ず」
そう言って、リドゲート伯も執務室に引っ込んで行った。
とんだ痴話喧嘩に巻き込まれてしまった。こうなっては長居は無用だ。さっさとお暇して、寮でジャスパーを補給しよう。
「それでは」
と席を立とうとした途端、制服の裾を引かれ、再びソファーにすとんと身を沈める羽目になった。
「キース殿…」
チャコールグレイの肌に、白銀の絹糸。紅い瞳の、人間離れした美貌。人化した若き龍神が、捨てられた子犬のような目で、俺を見ていた。
家令は気を利かせて俺に帰るよう声を掛けたが、結局俺は、龍神レナードの相談に乗ることにした。ロームを使い、彼を嗾けて、ローレンスとの縁を結ばせた負い目もある。乗り掛かった船だ。家令はローレンスの出産に続き、婿の相談にまで乗ろうという俺に甚く恐縮していたが、もののついでだ。
「私はもう、愛想を尽かされてしまったのだろうか…」
一年で見違えるように成長した龍神だが、しょぼくれていると本当にあの小さな翼蛇の印象のままだ。一年前の卒業パーティーでは、皇国の皇子として下にも置かない扱いで遇された彼だが、今日は義父母のリドゲート夫妻に「レナード」と呼び捨てされ、リドゲート家における著しい地位の失墜を見せつけられる。
まあ、俺としても、彼の気持ちは分からなくもない。俺がもしこの龍神ならば、彼同様、愛するジャスパーをそうと分からないように監禁し、余計な知恵を付けさせず、毎日セックス漬けにして、味わい尽くすだろう。仕事第一のリドゲート家と違い、ケラハーは恋愛至上主義のため、流石に妊娠出産でやらかすことはないだろうが、逆に妻にかまけてばかりで地雷を踏みまくるのは得意中の得意だ。他人事ではない。
だがそんな俺でも言える。
「皇子。男女の仲を取り持つのもセックスなら、男女の仲を違えるのもセックス。そして仲直りもセックスなのです」
「セックス…!」
「結婚を前にした私が皇子にアドバイス出来ることは限られていますが、これだけは言えます。女性は、ちゃんと気持ちよくしてあげれば、絶対に離れて行かないと」
若き皇子は雷に打たれたように目を見開いている。コイツ一年前、多分童貞だったな。
自分でも相当下衆なことを言っている自覚はある。だが大抵、男はセックスさえ上手ければ、多少下衆でも女は離れられない。これは経験則でもあるし、何かと出張の多い騎士団の中では常識だ。逆も言える。男も女も、結局床上手が勝つのだ。異論は認める。
「と言うわけで、僭越ながら普段の営みを拝見致したく。ローム」
場所を客間のベッドルームに移す。俺の手の中で待機していたローム2とローム3は、早速ベッドの上で龍神とローレンスに擬態した。
「おお、これはまさしく…!」
いつもの通り、白い肌に水色の髪、そして水色の瞳。だが一方は、長身長髪の麗人、ローレンス。その彼に、同じく長髪の精悍な美丈夫、レナードが覆い被さる。
断じて、先ほど見た人妻ローレンスの寝顔が色っぽかったから、どんな様子で啼かされているのか、興味があったわけじゃない。これはカウンセリング。そう、カウンセリングだ。後でこっそり寮室で再現してみるかなどと、無粋な考えは抱いていない。ほんの少ししか。
しばらくお預けだったせいか、当の龍神レナードはハァハァと息を荒げ、身を乗り出してロームたちの擬態を凝視している。そして時折、俺の方を「ローレンスを見るな」という目で睨みつけて来るが…
これは酷い。
彼のセックスは、酷いとしか言いようがなかった。まずほとんど前戯がない。いきなりローレンスにのしかかって盛っている。ローレンスもローレンスだ。余程相性がいいのか流されやすいのか、ロクに抵抗できないまま、あっという間に陥落している。そうか、レナード魅了持ってたな。媚薬の粘液を使うロームとはまた違ったチートで、メスを発情させているのかもしれない。
そして極め付けはあれだ。レナードの股間に鎮座しているトゲ棍棒、それも二本。後退るローレンスを捕まえて容赦なくブチ込み、ガッツガツ犯している。最初は『あっ♡あっ♡』と甘い嬌声だったものが、すぐさま『ら”めッ!!ら”めぇッ!!』と悲鳴に代わり、後は『い”や”あ”あ”あ”あ”ッ!!ゆ”る”し”て”え”ぇぇッ!!!』の絶叫が続く。あ、イボちんぽ抜いたらすぐさま次の挿れんのか。ローレンスの奴、すっかりトんで、『イ°☆や°ッ☆』などと壊れた嬌声を漏らしながら、白目を剥いて痙攣している。
「…いつもこんな感じなんですか」
「見るな、と言いたいところだが!そうだな、ローレンスはいつもこうして歓んで」
「皇子。これでは拷問です」
「何ィっ!!!」
レナードは再び、雷に打たれたように目を見開いている。コイツ絶対童貞だったな。
いや、分かるんだ。俺だって許されるなら、ジャスパーをアホほど堪能したい。どこにも逃さずガッチリ監禁して、泣いてもわめいても許さず、俺のエクスカリバーで奥の奥までボコ殴りして、二十四時間「ん”ほ”ぉ」言わせたい。だがそんな妄想を実行に移せば、二億%の確率で振られるではないか。そもそも犯罪だ。だから俺は、ジャスパーを抱き潰した後、こっそりロームをアレしているのだから。
「皇子。そもそもヒトと龍、オスとメスでは、房事の作法も善い場所も違います」
「しかしローレンスは気持ち良いと…」
「何事も加減というものがあります。それではローレンスが最も歓ぶパターンを、ロームに再現してもらいましょう」
その一言で、二人のロームはぴたりと動きを止める。そして先ほどまでの悩ましい空気は何だったのかというほどの無表情となり、しばらく硬直していたが、やがて何事も無かったかのように、初々しく営みが始まった。
まず驚いたのは、レナードが翼蛇の姿に戻ったことだ。指ほどの太さしかない幼い蛇が、ローレンスの胸元や首筋を甘えるように擽ると、彼は聞いたこともないような優しい声で、『こら』などと嗜める。そのうち、耳や乳首などの弱点を突かれ、声に色が乗って来ると、満を持してレナードが人化、そして流れるようにキス。最初は啄むような優しいものから、次第に深く。時折兄弟のように笑い合いながら、しかしキスが深くなるにつれ、ローレンスがメスの顔に変貌して行く姿が生々しい。
ローム、分かっていたけど、お前本当にやるな。
普段は前戯をほとんどすっ飛ばして、いきなりガッツリ本番に及ぶレナードは、目を皿のようにして、ロームたちの手本を見ていた。巧みなペッティング、そして体位の入れ替え、69へのスムーズな誘導。
ここで気付いたのが、レナードのそれが、先ほどのトゲ棍棒ではなく、人間のペニスになっていたことだ。しかもローレンスのものよりかなり小ぶり。お前、ちんこの形変えられるのかよ。チート過ぎだろ。まあ、人に化けられるくらいだ。局部の形くらい変えられても、おかしくないか。
しかしそれが、フェラ初心者のローレンスには合っていたようだ。辿々しく奉仕する様が、非常に唆る。一方レナードも、ローレンスを絶妙に導きながら、アナルを器用に解している。これほどの技巧は、一度目にしたくらいでは身に付かないだろうが、腐っても万物の頂点の一角、龍神だ。頑張って目指して頂きたい。
さて、すっかり受け入れる体制が整ったローレンスに、いよいよレナードが挿入。人間にしても控えめなペニスは、ローレンスの中にスムーズに飲み込まれて行った。
「…あれでは物足りないのではないか?」
俺が思っていることと同じことを、横で見ているレナードが呟く。しかしローレンスの反応は、先ほどの無理やり巨根をブチ込まれた時より、遥かに好感触だった。
『あっすごっ…♡ そこっ…♡ あ、あ、レナード、気持ちぃッ…!!』
挿入前にトロットロに溶かされたローレンスは、たったの数ストロークでぴくぴくと痙攣し、マジイキしていた。そうか、あの大きさだと、ちょうど前立腺に当たるのか。トゲ棍棒での強制絶頂限界アクメも見どころがあったが、子供のようなちんぽでゆるゆると突かれるだけで、腰を揺らしながら連続イキをキメるローレンスが、言葉にならないくらいエロい。
しかし、これまであのトゲ棍棒で散々可愛がられて来たローレンスだ。そんなもので満足するはずがない。何度も絶頂を繰り返し、腹を白濁で汚しながら、しかし腰つきはどんどん淫靡さを増して行く。ついに彼は、口付けを落とすレナードの肩に手を添えて押し退け、潤んだ瞳で見つめながら懇願した。
『レナード…もっと奥まで、来て…』
やっべ。見てる俺らも相当股間がキツいわけだが、今一瞬暴発しかけた。レナード役のロームは、ニヤリと笑って逸物のサイズを変える。太さはそのままで、より長く。
『あっ、ああ…っ!!♡♡』
ローレンスの声が一段高くなる。愛液で濡れたペニスが、ぬめぬめと出入りする様が非常にエロい。それに合わせて、いやらしく腰をくねらせて良い声で啼くローレンスがめっちゃエロい。そしてローレンスがイく度に眉を顰めつつ、まだまだ余裕でぐっちょぐっちょ突きまくっているレナード役のロームが、クッソ羨ましい。
当のレナードは、当初俺がローレンスの濡れ場を見ることに対して警戒し威嚇していたが、今となってはベッドの上で繰り広げられる目眩く情事に釘付けで、気を抜くとすぐにでも参戦しそうな勢い。ダメだぞ。ロームは俺とジャスパー専用だ。他のオスのイカ臭いアレでアレされてはかなわない。
そのうち、彼らの営みはどんどん盛り上がって行った。ローレンスは、細くて長い人間ちんぽに満足できなくなり、気付いたらトゲ棍棒を咥えてあんあん啼いていた。
『来てっ…!来て、レナードッ…もっとぉッ!♡♡♡』
彼は細い腰をなりふり構わず振って、レナードに寵愛を求めている。もう中に何度も精を受け入れ、結合部も腰回りもいろんな体液でべっちょべちょだが、セックスは未だに終わる気配を見せない。
「いつもは早々に気を遣って、もうやめろと懇願されている頃だが…」
「焦らすのがポイントみたいですね」
この一年で、身体は随分と開発が進んでいるようだ。ならば後はメンタル的なことだろう。最初は物足りないくらいのヌルいセックスから、欲しがるたびに欲しいものを与える。水は生きて行く上で無くてはならないものだが、無理やり飲まされるのは拷問だ。しかし砂漠においては、一滴の水に歓喜し、むしゃぶりつく。いつしかローレンスを貫くそれは、もはや腕のような巨根に変わっていた。黒光りする鱗に覆われた凶悪なそれが、彼の腹の上の方までボコボコと突き上げているのが見て取れる。しかしローレンスは、涙を流しながら『ああ、いいッ!! ♡♡いいッ!!♡♡』と、恍惚と受け入れている。龍の体って凄いな。
さて、この調子では終わりそうにないので、この辺りで切り上げよう。レナードは不服そうだったが、ローレンスの攻略法は一通り理解出来たはずだ。
「そうだ、最後に」
俺はロームに、「ロームならローレンスをどう攻略するか」、見せてもらうことにした。するとレナードの姿をしたロームの背中から無数の触手が生えて、後はいつものジャスパーと同じ運命を辿った。無数の触手に四肢を拘束され、アナルには入るだけ突っ込まれ。ペニスを吸われ乳首を吸われ、身体中舐め回されながら、口から媚薬をごっくんおかわり。その状態で、更にレナードが背後から襲いかかる。地獄絵図だ。龍神レナードは、なぜか胸の前で合掌し、その光景を涙を流しながら見つめていた。
「尊い…」
尊いかよ。うーんこの。
しばらくしてキリの良いところで(どんなところかは言えない)、俺は伯爵邸を辞した。息子が痛い。寮室に帰ったら、とりあえず一発抜こう。そして俺も、ロームにジャスパー攻略の最適解を教えてもらおう。何で今まで気付かなかったのか。
それにしても、ちんこの形を変えられるのはズルいな。小さくするのは無理でも、大きくする方向なら、ロームに手伝ってもらえば、あるいは。ああ、夢が広がる。学園までの短い馬車移動の中、俺の脳内はジャスパーの痴態で埋め尽くされていた。
✳︎✳︎✳︎
ちなみにロームは、過去ローレンスに貸し出された時点で既にローレンスのアレでアレしております。
今回はキース視点です
✳︎✳︎✳︎
玄関先の騒ぎを聞きつけ、やおら立ち上がった伯爵を制し、ローレンスの部屋から優雅に螺旋階段を降りて行った夫人。小柄で地味な印象の女性だったが、その後ろ姿がオーガキングより大きく見えたのは何故だろう。
「玲那皇子。お久しぶりですわ」
「おお、義母上殿!ローレンスは、ローレンスはこちらに」
バッ!
馬鹿力で門番を引きずりながら、ズカズカと上がり込もうとする龍神。しかしその歩みは、夫人が勢いよく扇を開く音で凍りついた。邸内が、水を打ったようにしんと静まる。
「ほほほ。異な事を仰る。私は貴方に義母などと呼ばれる義理はございません」
「は…」
「自分の妻や子を守れぬような男に、どれほどの価値が?」
夫人は「さ、お客人がお帰りですよ」と家人に声を掛け、再びしずしずとローレンスの部屋へ戻り、ガチャリと内鍵が掛かる音がした。終始穏やかで、にこやかな物腰。しかし今の彼女には、王国騎士団が全軍で立ち向かっても、勝てる気がしない。
階段の踊り場に取り残されたリドゲート伯と俺、そして玄関先でへたりと座り込む玲那皇子こと元従魔の黒龍は、家令に促され、サロンに通された。
「皇子、いやレナード。リディアはああなったら終わりだ」
長身痩躯のリドゲート伯が、背中を丸め、小さくなって震えている。
ローレンスが家出して約二週間。およそここまでの事情は何となく伝わってきた。ローレンスは詳しい話はしたがらないが、リディア夫人にはぽろぽろと結婚生活の不満を話しているらしい。夫人は「二人で乗り越えなさい」と嗜めてはいるが、リドゲート伯によれば、それらは以前彼が「やらかした」ことと酷似しており、
「レナード、悪いことは言わん。なりふり構わず平身低頭、赦しを乞うのだ。でなければ、30年経っても結婚生活はずっと地雷原のままだ」
なるほど。夫人の怒りは、子を守る母親の怒りだけでなく、夫に対する古き怒りも上乗せされているということか。
一方の龍神レナードも、自分の母親にコテンパンに説教されて来たらしい。
「母上があんなにお怒りになったのは、初めてだ…」
右も左も分からず嫁いで来た妻を、何も教えずひたすら監禁陵辱に及ぶとは、言語道断だそうだ。それを聞いて、リドゲート伯も気色ばんだ。つい今しがた、ドア越しとはいえ壮絶な出産に立ち会ったのだ。しかもこれで第三子。自分の息子が、これまで二度、慣れない土地で同じことを経験したかと思うと、平静ではいられないだろう。
「…もう良い。過ぎたことを論じても仕方あるまい。レナードも、今夜は客間で休むといい。今後のことはまた後日。キース殿、我が家のいざこざに巻き込んで済まなかった。この礼は必ず」
そう言って、リドゲート伯も執務室に引っ込んで行った。
とんだ痴話喧嘩に巻き込まれてしまった。こうなっては長居は無用だ。さっさとお暇して、寮でジャスパーを補給しよう。
「それでは」
と席を立とうとした途端、制服の裾を引かれ、再びソファーにすとんと身を沈める羽目になった。
「キース殿…」
チャコールグレイの肌に、白銀の絹糸。紅い瞳の、人間離れした美貌。人化した若き龍神が、捨てられた子犬のような目で、俺を見ていた。
家令は気を利かせて俺に帰るよう声を掛けたが、結局俺は、龍神レナードの相談に乗ることにした。ロームを使い、彼を嗾けて、ローレンスとの縁を結ばせた負い目もある。乗り掛かった船だ。家令はローレンスの出産に続き、婿の相談にまで乗ろうという俺に甚く恐縮していたが、もののついでだ。
「私はもう、愛想を尽かされてしまったのだろうか…」
一年で見違えるように成長した龍神だが、しょぼくれていると本当にあの小さな翼蛇の印象のままだ。一年前の卒業パーティーでは、皇国の皇子として下にも置かない扱いで遇された彼だが、今日は義父母のリドゲート夫妻に「レナード」と呼び捨てされ、リドゲート家における著しい地位の失墜を見せつけられる。
まあ、俺としても、彼の気持ちは分からなくもない。俺がもしこの龍神ならば、彼同様、愛するジャスパーをそうと分からないように監禁し、余計な知恵を付けさせず、毎日セックス漬けにして、味わい尽くすだろう。仕事第一のリドゲート家と違い、ケラハーは恋愛至上主義のため、流石に妊娠出産でやらかすことはないだろうが、逆に妻にかまけてばかりで地雷を踏みまくるのは得意中の得意だ。他人事ではない。
だがそんな俺でも言える。
「皇子。男女の仲を取り持つのもセックスなら、男女の仲を違えるのもセックス。そして仲直りもセックスなのです」
「セックス…!」
「結婚を前にした私が皇子にアドバイス出来ることは限られていますが、これだけは言えます。女性は、ちゃんと気持ちよくしてあげれば、絶対に離れて行かないと」
若き皇子は雷に打たれたように目を見開いている。コイツ一年前、多分童貞だったな。
自分でも相当下衆なことを言っている自覚はある。だが大抵、男はセックスさえ上手ければ、多少下衆でも女は離れられない。これは経験則でもあるし、何かと出張の多い騎士団の中では常識だ。逆も言える。男も女も、結局床上手が勝つのだ。異論は認める。
「と言うわけで、僭越ながら普段の営みを拝見致したく。ローム」
場所を客間のベッドルームに移す。俺の手の中で待機していたローム2とローム3は、早速ベッドの上で龍神とローレンスに擬態した。
「おお、これはまさしく…!」
いつもの通り、白い肌に水色の髪、そして水色の瞳。だが一方は、長身長髪の麗人、ローレンス。その彼に、同じく長髪の精悍な美丈夫、レナードが覆い被さる。
断じて、先ほど見た人妻ローレンスの寝顔が色っぽかったから、どんな様子で啼かされているのか、興味があったわけじゃない。これはカウンセリング。そう、カウンセリングだ。後でこっそり寮室で再現してみるかなどと、無粋な考えは抱いていない。ほんの少ししか。
しばらくお預けだったせいか、当の龍神レナードはハァハァと息を荒げ、身を乗り出してロームたちの擬態を凝視している。そして時折、俺の方を「ローレンスを見るな」という目で睨みつけて来るが…
これは酷い。
彼のセックスは、酷いとしか言いようがなかった。まずほとんど前戯がない。いきなりローレンスにのしかかって盛っている。ローレンスもローレンスだ。余程相性がいいのか流されやすいのか、ロクに抵抗できないまま、あっという間に陥落している。そうか、レナード魅了持ってたな。媚薬の粘液を使うロームとはまた違ったチートで、メスを発情させているのかもしれない。
そして極め付けはあれだ。レナードの股間に鎮座しているトゲ棍棒、それも二本。後退るローレンスを捕まえて容赦なくブチ込み、ガッツガツ犯している。最初は『あっ♡あっ♡』と甘い嬌声だったものが、すぐさま『ら”めッ!!ら”めぇッ!!』と悲鳴に代わり、後は『い”や”あ”あ”あ”あ”ッ!!ゆ”る”し”て”え”ぇぇッ!!!』の絶叫が続く。あ、イボちんぽ抜いたらすぐさま次の挿れんのか。ローレンスの奴、すっかりトんで、『イ°☆や°ッ☆』などと壊れた嬌声を漏らしながら、白目を剥いて痙攣している。
「…いつもこんな感じなんですか」
「見るな、と言いたいところだが!そうだな、ローレンスはいつもこうして歓んで」
「皇子。これでは拷問です」
「何ィっ!!!」
レナードは再び、雷に打たれたように目を見開いている。コイツ絶対童貞だったな。
いや、分かるんだ。俺だって許されるなら、ジャスパーをアホほど堪能したい。どこにも逃さずガッチリ監禁して、泣いてもわめいても許さず、俺のエクスカリバーで奥の奥までボコ殴りして、二十四時間「ん”ほ”ぉ」言わせたい。だがそんな妄想を実行に移せば、二億%の確率で振られるではないか。そもそも犯罪だ。だから俺は、ジャスパーを抱き潰した後、こっそりロームをアレしているのだから。
「皇子。そもそもヒトと龍、オスとメスでは、房事の作法も善い場所も違います」
「しかしローレンスは気持ち良いと…」
「何事も加減というものがあります。それではローレンスが最も歓ぶパターンを、ロームに再現してもらいましょう」
その一言で、二人のロームはぴたりと動きを止める。そして先ほどまでの悩ましい空気は何だったのかというほどの無表情となり、しばらく硬直していたが、やがて何事も無かったかのように、初々しく営みが始まった。
まず驚いたのは、レナードが翼蛇の姿に戻ったことだ。指ほどの太さしかない幼い蛇が、ローレンスの胸元や首筋を甘えるように擽ると、彼は聞いたこともないような優しい声で、『こら』などと嗜める。そのうち、耳や乳首などの弱点を突かれ、声に色が乗って来ると、満を持してレナードが人化、そして流れるようにキス。最初は啄むような優しいものから、次第に深く。時折兄弟のように笑い合いながら、しかしキスが深くなるにつれ、ローレンスがメスの顔に変貌して行く姿が生々しい。
ローム、分かっていたけど、お前本当にやるな。
普段は前戯をほとんどすっ飛ばして、いきなりガッツリ本番に及ぶレナードは、目を皿のようにして、ロームたちの手本を見ていた。巧みなペッティング、そして体位の入れ替え、69へのスムーズな誘導。
ここで気付いたのが、レナードのそれが、先ほどのトゲ棍棒ではなく、人間のペニスになっていたことだ。しかもローレンスのものよりかなり小ぶり。お前、ちんこの形変えられるのかよ。チート過ぎだろ。まあ、人に化けられるくらいだ。局部の形くらい変えられても、おかしくないか。
しかしそれが、フェラ初心者のローレンスには合っていたようだ。辿々しく奉仕する様が、非常に唆る。一方レナードも、ローレンスを絶妙に導きながら、アナルを器用に解している。これほどの技巧は、一度目にしたくらいでは身に付かないだろうが、腐っても万物の頂点の一角、龍神だ。頑張って目指して頂きたい。
さて、すっかり受け入れる体制が整ったローレンスに、いよいよレナードが挿入。人間にしても控えめなペニスは、ローレンスの中にスムーズに飲み込まれて行った。
「…あれでは物足りないのではないか?」
俺が思っていることと同じことを、横で見ているレナードが呟く。しかしローレンスの反応は、先ほどの無理やり巨根をブチ込まれた時より、遥かに好感触だった。
『あっすごっ…♡ そこっ…♡ あ、あ、レナード、気持ちぃッ…!!』
挿入前にトロットロに溶かされたローレンスは、たったの数ストロークでぴくぴくと痙攣し、マジイキしていた。そうか、あの大きさだと、ちょうど前立腺に当たるのか。トゲ棍棒での強制絶頂限界アクメも見どころがあったが、子供のようなちんぽでゆるゆると突かれるだけで、腰を揺らしながら連続イキをキメるローレンスが、言葉にならないくらいエロい。
しかし、これまであのトゲ棍棒で散々可愛がられて来たローレンスだ。そんなもので満足するはずがない。何度も絶頂を繰り返し、腹を白濁で汚しながら、しかし腰つきはどんどん淫靡さを増して行く。ついに彼は、口付けを落とすレナードの肩に手を添えて押し退け、潤んだ瞳で見つめながら懇願した。
『レナード…もっと奥まで、来て…』
やっべ。見てる俺らも相当股間がキツいわけだが、今一瞬暴発しかけた。レナード役のロームは、ニヤリと笑って逸物のサイズを変える。太さはそのままで、より長く。
『あっ、ああ…っ!!♡♡』
ローレンスの声が一段高くなる。愛液で濡れたペニスが、ぬめぬめと出入りする様が非常にエロい。それに合わせて、いやらしく腰をくねらせて良い声で啼くローレンスがめっちゃエロい。そしてローレンスがイく度に眉を顰めつつ、まだまだ余裕でぐっちょぐっちょ突きまくっているレナード役のロームが、クッソ羨ましい。
当のレナードは、当初俺がローレンスの濡れ場を見ることに対して警戒し威嚇していたが、今となってはベッドの上で繰り広げられる目眩く情事に釘付けで、気を抜くとすぐにでも参戦しそうな勢い。ダメだぞ。ロームは俺とジャスパー専用だ。他のオスのイカ臭いアレでアレされてはかなわない。
そのうち、彼らの営みはどんどん盛り上がって行った。ローレンスは、細くて長い人間ちんぽに満足できなくなり、気付いたらトゲ棍棒を咥えてあんあん啼いていた。
『来てっ…!来て、レナードッ…もっとぉッ!♡♡♡』
彼は細い腰をなりふり構わず振って、レナードに寵愛を求めている。もう中に何度も精を受け入れ、結合部も腰回りもいろんな体液でべっちょべちょだが、セックスは未だに終わる気配を見せない。
「いつもは早々に気を遣って、もうやめろと懇願されている頃だが…」
「焦らすのがポイントみたいですね」
この一年で、身体は随分と開発が進んでいるようだ。ならば後はメンタル的なことだろう。最初は物足りないくらいのヌルいセックスから、欲しがるたびに欲しいものを与える。水は生きて行く上で無くてはならないものだが、無理やり飲まされるのは拷問だ。しかし砂漠においては、一滴の水に歓喜し、むしゃぶりつく。いつしかローレンスを貫くそれは、もはや腕のような巨根に変わっていた。黒光りする鱗に覆われた凶悪なそれが、彼の腹の上の方までボコボコと突き上げているのが見て取れる。しかしローレンスは、涙を流しながら『ああ、いいッ!! ♡♡いいッ!!♡♡』と、恍惚と受け入れている。龍の体って凄いな。
さて、この調子では終わりそうにないので、この辺りで切り上げよう。レナードは不服そうだったが、ローレンスの攻略法は一通り理解出来たはずだ。
「そうだ、最後に」
俺はロームに、「ロームならローレンスをどう攻略するか」、見せてもらうことにした。するとレナードの姿をしたロームの背中から無数の触手が生えて、後はいつものジャスパーと同じ運命を辿った。無数の触手に四肢を拘束され、アナルには入るだけ突っ込まれ。ペニスを吸われ乳首を吸われ、身体中舐め回されながら、口から媚薬をごっくんおかわり。その状態で、更にレナードが背後から襲いかかる。地獄絵図だ。龍神レナードは、なぜか胸の前で合掌し、その光景を涙を流しながら見つめていた。
「尊い…」
尊いかよ。うーんこの。
しばらくしてキリの良いところで(どんなところかは言えない)、俺は伯爵邸を辞した。息子が痛い。寮室に帰ったら、とりあえず一発抜こう。そして俺も、ロームにジャスパー攻略の最適解を教えてもらおう。何で今まで気付かなかったのか。
それにしても、ちんこの形を変えられるのはズルいな。小さくするのは無理でも、大きくする方向なら、ロームに手伝ってもらえば、あるいは。ああ、夢が広がる。学園までの短い馬車移動の中、俺の脳内はジャスパーの痴態で埋め尽くされていた。
✳︎✳︎✳︎
ちなみにロームは、過去ローレンスに貸し出された時点で既にローレンスのアレでアレしております。
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前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
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