Heart ~比翼の鳥~

いっぺい

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第六章 誕生の日・晶

第17話 後編(※)

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「はぁ…っ、あぁんっ…う…っん……」

 狭いシングルベッドの上。二人分の重みで軋むスプリングの音が、直人の甘い声で掻き消される。


 白い胸に顔を埋め突起を吸い上げながら、晶は下方へ手を伸ばした。先走りで濡れ光る直人の分身をひと撫でしただけで、すぐにその手は秘所へと向かう。いつもより早い段階でぬるりと侵入してきた晶の指に、直人は戸惑った。

「…あ…っふぅ……晶…、早…い…。ど…したの……んっ…」

 内壁を弄る指の動きに声を上擦らせる。
 両の突起を唾液まみれにして顔を離した晶は、直人の耳朶を甘噛みし、熱い吐息を吹き掛けながら囁いた。

「…今日は…中だけでお前をイかせたい……。口や手で高めるんじゃなくて、俺のだけで…感じさせたいんだよ。…間違いなくお前は俺のものなんだって…その証が欲しいんだ……」

 低く籠ったその声だけでも刺激として感じるのだろう。直人は白い喉を晒して呼吸を乱す。


「……俺ので感じる直人のすべてが欲しい……」


 受け入れ易くする為に内側から揉み込んでいた指を抜いて、晶は直人の顔を覗き込む。

「構わねぇか…?」

 先刻の涙で腫れぼったくなった瞼を薄く開いて、濡れた銀の瞳がコクリと頷く。

「俺も…晶ので愛されたい…。晶に愛されてる実感が欲しい…。俺は…晶のものだから……」

 その言葉に晶は目を細めると、身体をずらして直人の両膝を肩に担ぎ上げた。腰の下にクッションを敷き入れ、角度の付いた蕾に自身をゆっくりと沈める。

「あっ、はあぅっ…っっ!」

 じりじりと体内を侵食していく熱さに身を捩る。全て納まった晶の大きさに、直人の背筋を震えが走った。

 晶は静かに動き出す。内壁を擦り上げるように引き、そして突く。直人が一番感じるポイントに狙いを定めて、強く突き入れた。

「ああっっ!」

 直人の身体が大きくしなる。湧き上がる快感の波が一気に押し寄せ、直人の感覚を浸していく。
 愛しい人の顔に浮かぶ艶めいた悩ましげな表情を確認して、晶はポイントを外さぬよう気を付けながら律動を開始した。一定のリズムで繰り返されるピストンが、間断の無い刺激を与える。

「あっ、あっ、ん、はぁっ、ぁあっ」

 口を衝く喘ぎも、同じリズムを刻んで部屋の中に響いた。


 純粋で清らかな存在が淫猥に乱れる様は、えも言われぬ美しさを醸し出す。
 どうか今だけは、愛を欲する己の欲求に貪欲であれと啓示を受けたかのように、素直に身を任せるのだ。まるでそれが、最も自然で尊いものであるかのように。


 休みなく直人の中を犯しながら、晶は彼の面に顔を寄せて問い掛ける。

「直人、どう…? …俺を感じるか?」

 もはや自分の意思で抑えることなど出来ない艶声の隙間を衝いて、快楽の世界に囚われた直人が問いに答えようと言葉を振り絞る。

「んっ、あっ、ぅん、い…い、あ…きらっ、かん…じ…っ、あんっっ」

 分身の先端からトロトロと溢れ出す蜜が、直人が感受する狂おしいまでの快感の激しさを物語る。
 下腹を伝った粘液が蕾の周りまで流れ落ち、晶が動く度に淫らな水音を立てた。繋がった部分に纏い付き、幾筋もの糸を引く。
 晶は直人の中心に触れてみる。溢れる先走りは多く、時折白濁も混じるものの、分身は彼の悦びを体現せんと熱く硬く張り詰めていた。いつ達してもおかしくないほど十二分に高まった身体。それを持て余しながら、なおも愛されたいとこらえるその人が堪らなく愛おしい。

 濡れた喘ぎを零し続ける恋人の唇に軽く口付けて、晶は一層深く激しく腰を打ち付ける。額から滴る汗が直人の下腹へと落ち、艶色の体液と混ざり合った。
 前立腺を擦られながら最奥まで貫かれ、いよいよ絶頂を迎えつつある直人の声が一段と高いものに変わる。晶もまた、彼の中で弾け飛びそうな自身の脈動に、限界が近いことを知った。

「…も、だめ…っ、イっ…ク…っっ」

「なお…と…。俺…も、一緒に…な?」

 己の肩をきつく掴んでいた直人の手を剥がすと、指を絡ませるようにして握り締める。

「あっ、はあぁっっ、イク…っ、あき…らっ、あきらっっ」

「ここに…いるっ、なおと…っ」

 姿を求めるかのように名を呼ぶ直人に、身体をピタリと重ねて確かな存在を伝える晶。

 熱せられた二人の中心が、直人の腹筋の内と外でほぼ同時に猛った欲望を解き放った。


 そうだ、お前は俺のもの
 そして、俺もお前だけのもの
 愛している
 いつまでも、ずっと―――



 ★★★次回予告★★★

真剣に直人を想うようになった晶。だからこそ悩みます。真実を伝えるべきなのか……。
そしてそれを案ずる秀一の心中は――。
レアキャラ、秀一の親友が登場します。
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