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最強の札
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鴨井さんと話した日、諭は珍しく、私より早く帰宅していた。
いつもよりザワザワと忙しそうで、私に何か言うことがあるけど言えない、みたいな、焦れったい動きをしていた。
きっと、鴨井さんの事だろう。
何せ、これはもう命の問題に関わるのだから。
諭は子供は27歳くらいで作ろうと言っていた。(私は何歳でもあなたの子供は御免です)
今は25歳。
まあ、25も27も変わらないだろう。
ただ、今の諭に子供がいるというのは信じがたい。ましてや浮気相手がひっきりなしにいる父親など、子育てに悪影響極まりない。
「依子…俺、ちょっと1週間くらい帰れないかも。」
ーー鴨井さんと何か進展があったのね。
「寂しいかもしれないが、待っていてほしい…」
ーー何を戯けたことをっ。今更…
「俺がもつかどうかが心配だな…うん…やっぱり…無理かもしれない…」
そう言うなり、いきなりソファに私を押し倒し、激しいキスをしてきた。
「今日は、3回くらいイケるかな…」
途方に暮れてしまうようなセリフを発し、言葉通り、ソファ、お風呂、ベッドと3回の行為をこなした。
ベッドでコトを終えると、避妊具の始末もせずにバタンと倒れて寝息を立てた諭。
この人の中に、『心』とかあるのだろうか?
胸を裂いたら、中身は精密な機械でした~なんて、近未来的なことはないだろうけど。
抱かれる私も私。
多分、今日、鴨井さんと話したから。
僅かに残る、嫉妬の棘が真紅の薔薇の棘となり得たかったのかもしれない。
なんて、訳がわからないが。
翌朝、諭はスーツを来て、ボストンバッグにリュックを背負い、出て行った。
(鴨井さん、諭をお願いします!)
私は諭が出て行った玄関ドアに向かい、両手を合わせて祈った。
1週間きっちり、諭は帰ってこなかったが、1週間きっちり後、帰ってきた。
「依子~~!ただいま~~!!会いたかったよぉ~~!!」
と、ドアを開けるなり私にハグをする。
何で帰ってきた?
まさか、鴨井さんに酷いことをさせたんじゃ…
「もうさぁー、怖すぎなんだよー!みんなデッカい声出して体力ある奴らばっかで、俺なんか落ちこぼれ状態で・・」
「さ、諭?あの、どこに行ってたの?」
「あっれー、言わなかったっけ?会社の研修でさ、山寺で1週間精神を鍛えるってやつがあってって話。」
は?なんだそりゃ?
てっきり鴨井さんを労わるために出て行ったと思ってたのに…
「あ、やべ。依子には言ってなかったか…」
おいっ!!
ってことは、別の女にはわざわざ報告してるってわけねっ。
だったらあの3回も、その女とすりゃいいでしょうに!
「ま、いっか。無事にクリアできたしさっ。1週間も我慢したんだ。依子からご褒美貰えるのを楽しみにしてたんだぁ」
ススーッと私の背後に回り、後ろから胸をつついてくる諭。
でも、私はこれから仕事。
できません。
しません。
「ちぇー、休んじゃえばいいじゃん。旦那が帰ってきたんだからさ。ね、依子ぉ」
「バイバイっ」
私は思い切り諭の腕を振り払い、出勤した。
帰宅した諭の顔を見てわかった。
鴨井さんはきっと、諭に話していない。
メールを送っただなんて、信憑性にかける。
いくら諭でも、自分に子供が出来たと知れば、それなりに動揺するはずだ。
だが、その様子は感じられない。
私はその夜、再度離婚を切り出そうと思った。
鴨井さんの話をして、トドメをさす。
明日は私の誕生日。
待ち望んだプレゼントを、ようやく貰えそうだ。
お願いします。お願いします。
いつもよりザワザワと忙しそうで、私に何か言うことがあるけど言えない、みたいな、焦れったい動きをしていた。
きっと、鴨井さんの事だろう。
何せ、これはもう命の問題に関わるのだから。
諭は子供は27歳くらいで作ろうと言っていた。(私は何歳でもあなたの子供は御免です)
今は25歳。
まあ、25も27も変わらないだろう。
ただ、今の諭に子供がいるというのは信じがたい。ましてや浮気相手がひっきりなしにいる父親など、子育てに悪影響極まりない。
「依子…俺、ちょっと1週間くらい帰れないかも。」
ーー鴨井さんと何か進展があったのね。
「寂しいかもしれないが、待っていてほしい…」
ーー何を戯けたことをっ。今更…
「俺がもつかどうかが心配だな…うん…やっぱり…無理かもしれない…」
そう言うなり、いきなりソファに私を押し倒し、激しいキスをしてきた。
「今日は、3回くらいイケるかな…」
途方に暮れてしまうようなセリフを発し、言葉通り、ソファ、お風呂、ベッドと3回の行為をこなした。
ベッドでコトを終えると、避妊具の始末もせずにバタンと倒れて寝息を立てた諭。
この人の中に、『心』とかあるのだろうか?
胸を裂いたら、中身は精密な機械でした~なんて、近未来的なことはないだろうけど。
抱かれる私も私。
多分、今日、鴨井さんと話したから。
僅かに残る、嫉妬の棘が真紅の薔薇の棘となり得たかったのかもしれない。
なんて、訳がわからないが。
翌朝、諭はスーツを来て、ボストンバッグにリュックを背負い、出て行った。
(鴨井さん、諭をお願いします!)
私は諭が出て行った玄関ドアに向かい、両手を合わせて祈った。
1週間きっちり、諭は帰ってこなかったが、1週間きっちり後、帰ってきた。
「依子~~!ただいま~~!!会いたかったよぉ~~!!」
と、ドアを開けるなり私にハグをする。
何で帰ってきた?
まさか、鴨井さんに酷いことをさせたんじゃ…
「もうさぁー、怖すぎなんだよー!みんなデッカい声出して体力ある奴らばっかで、俺なんか落ちこぼれ状態で・・」
「さ、諭?あの、どこに行ってたの?」
「あっれー、言わなかったっけ?会社の研修でさ、山寺で1週間精神を鍛えるってやつがあってって話。」
は?なんだそりゃ?
てっきり鴨井さんを労わるために出て行ったと思ってたのに…
「あ、やべ。依子には言ってなかったか…」
おいっ!!
ってことは、別の女にはわざわざ報告してるってわけねっ。
だったらあの3回も、その女とすりゃいいでしょうに!
「ま、いっか。無事にクリアできたしさっ。1週間も我慢したんだ。依子からご褒美貰えるのを楽しみにしてたんだぁ」
ススーッと私の背後に回り、後ろから胸をつついてくる諭。
でも、私はこれから仕事。
できません。
しません。
「ちぇー、休んじゃえばいいじゃん。旦那が帰ってきたんだからさ。ね、依子ぉ」
「バイバイっ」
私は思い切り諭の腕を振り払い、出勤した。
帰宅した諭の顔を見てわかった。
鴨井さんはきっと、諭に話していない。
メールを送っただなんて、信憑性にかける。
いくら諭でも、自分に子供が出来たと知れば、それなりに動揺するはずだ。
だが、その様子は感じられない。
私はその夜、再度離婚を切り出そうと思った。
鴨井さんの話をして、トドメをさす。
明日は私の誕生日。
待ち望んだプレゼントを、ようやく貰えそうだ。
お願いします。お願いします。
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