私と離婚してください。

浮気相手

諭の浮気に気づいたのは、結婚して3ヶ月経ってから。

友達に連れていかれた合コンで、ベロベロになってしまい、お持ち帰りされてしまったらしい。

実際現場見てないし、諭も記憶曖昧だし、どっちが先に誘ったかなんてわからない。
だけどさ、3ヶ月で合コン誘われるって、どんだけ隙だらけなんだよって。
平手打ち３回お見舞いしてやりました。

でもこの仕打ちは2度とやりたくない。
だって、打った後の自分の手のひら、ジンジンして、めちゃくちゃ痛いの。
それに、諭には逆効果で、
「依子に打たれるなんて、なんか感激する。嫉妬の証って感じ。愛だね、愛！」
って、本当に感涙しちゃってるしさ。

そもそもお互いまだ学生なのに、勝手にうちに転がり込んで来た諭を両親も認めてて、
「同棲は許さん。だから、入籍しろ。」
と、迫った父親に、諭は
「依子さんを、僕にください。幸せにします。」
と、ご丁寧に正座して土下座しちゃってさっ。
結局、父と諭の間で結婚が決まっちゃったんだよね。

諭は幼馴染だし、幼稚園の時から知ってるし、まして家は同じ地区。徒歩3分。
父親同士は近所の飲み友だし。
母親同士は井戸端会議の常連だし。

私と諭が結婚するのに、他者からの障害など皆無だった。

私と諭が付き合ったきっかけは、大学入って初めての夏休み。長年片思いしてた先輩に振られちゃって、沈み込んでいたところを諭が見つけてくれたこと。

とにかく優しく労ってくれる諭が頼もしく見えて、外は灼熱の太陽が照らしているのに、私にくっついて離れない諭を、信じようと思ってしまったんだ。

後から聞いた話では、
諭は私がフられるのをわかってて待ってたらしい。
わざと先輩が彼女といちゃついてる場所を私が通りかかるように、私の友人も巻き込んで、仕掛けていたらしい。
もちろん、その事を知ってから、友人だと思ってた涼子とは距離を置いてるんだけど。
だってさ、浮気相手2人目は、この涼子なんだよ。

はじめっから涼子は諭をかっこいいとか言ってだし、結局私にあんな事したのは、諭に良く見られたかったからで。
若さゆえに捻れた恋をしてたんだろう。

そして、未だに私と友達だからと主張し、3人で飲もうと諭を騙し、まんまと酔わし、これまたベロベロになってお持ち帰りされた顚末。

この時はもう、私のこめかみには青筋が立ち、ワナワナと拳を震えさせて、顔面パンチをお見舞いしてやりました。
ただ、やっぱり変なＳっ気がある諭には逆効果なこともわかっていたから、諭の母親に相談して、私はお姑さんを味方につけました。

「依子ちゃんに確認しないで、地獄の底まで騙されるあんたが悪い」

と、ピシャリと言ってくれたお義母さん。
私は大好きです。