13 / 28
第13話
しおりを挟む
「カンパーイ!!!!」
最初の一杯は『とりあえず生』ということで、ジョッキ4つが様々な思惑を込めてぶつかった。
とりわけ細川は、雛実の隣に座る木浦の存在が気に入らなくて仕方なかった。
「木浦~、お前最近だいぶ板についてきたよなぁ食品部門。」
「そうですか?細川さんにそう言ってもらえると自信がつきますよ。」
「ほんとよぉ~、木浦君の噂はよく聞くんだから。仕事は早いし、接客もいいって。おまけに男前だし。あ、細川さんと比べたらまだまだですよぉ。」
雛実は発言しないまま、3人で木浦についての褒め合いが始まる。雛実は頷くだけだが、木浦を見る他の2人の目が全く違っていることに気がついた。
細川は、持ち上げながらも『まだまだ甘っちょろい』とでも言いたげな目でみている。
高垣は絶え間なく上目遣いをして、女性としてのアピールをしている。
両者の姿勢に木浦もおそらく気づいているのだろう。やり切れなさにジョッキの中身は早くも空っぽになっていた。
「……木浦さん、何か飲みます?」
さり気なく聞いた雛実に、
「あ、うん、ありがとう。雛実ちゃんはいつも何飲んでるの?」
と、酔いが少し回っているのか赤ら顔でいつもより更に優しいトーンで聞き返された。
ーードキっ……。
わかりやすく雛実が恥ずかしがった。
目が、照れたのだ。
その様子が面白くない細川は、
「雛実ちゃんは焼酎だよな。芋の。ね?」
と、身を乗り出して雛実の顔を覗き込んだ。
細川の大人気ない態度に木浦は驚いたが、雛実は、
「あ、あぁ、そうですよ。私、芋の焼酎が好きなんです。だから、水割りでも頼もうかな。」
と、ニコッと笑ってオーダーした。
ーーっな、何なの!?……この子、もしかして……!
そんな雛実と細川の様子に驚いたのは、もちろん高垣である。
33歳、彼氏いない歴10年。
伊達に苦酒を味わってきていないのだ。
間違いなく、細川の現在のターゲットは雛実であると気づいた高垣は、(これはいただけないわっ)と、目を細めた。
「じゃ、僕も雛実ちゃんと同じものにしようかな。」
グイッと美味しそうに水割りを流し込む雛実を見て、木浦も同じものをオーダーした。
「木浦さんっ、ナイスっ!」
何がナイスなのかわからないが、とにかくこの場が盛り上がれば何でもいい雛実は、木浦にハイタッチを求めた。
(とにかくこの席が楽しく終わればいいわ。)と。
《パンっ》と、若い2人の手のひらがぶつかり合い、細川も高垣も目を見張った。
ぶつかり合った後、僅かに木浦が雛実の手をなぞったからだ。
雛実もその瞬間、『ゾクっ』として、思わず「っあ」と声が漏れてしまった。
不覚にも、その雛実の声は男性社員2人の下半身を高ぶらせていた。
普段は温和で”男”のサガを強調しない木浦。だが、思わぬ自身の反応に、
(雛実ちゃんを……もっと乱してみたい……。)
と野望が芽生えてしまった。
それは細川にしても同じで、
(絶対に今夜いただくっ!)
と、鼻息荒くなったのは言うまでもない。
最初の一杯は『とりあえず生』ということで、ジョッキ4つが様々な思惑を込めてぶつかった。
とりわけ細川は、雛実の隣に座る木浦の存在が気に入らなくて仕方なかった。
「木浦~、お前最近だいぶ板についてきたよなぁ食品部門。」
「そうですか?細川さんにそう言ってもらえると自信がつきますよ。」
「ほんとよぉ~、木浦君の噂はよく聞くんだから。仕事は早いし、接客もいいって。おまけに男前だし。あ、細川さんと比べたらまだまだですよぉ。」
雛実は発言しないまま、3人で木浦についての褒め合いが始まる。雛実は頷くだけだが、木浦を見る他の2人の目が全く違っていることに気がついた。
細川は、持ち上げながらも『まだまだ甘っちょろい』とでも言いたげな目でみている。
高垣は絶え間なく上目遣いをして、女性としてのアピールをしている。
両者の姿勢に木浦もおそらく気づいているのだろう。やり切れなさにジョッキの中身は早くも空っぽになっていた。
「……木浦さん、何か飲みます?」
さり気なく聞いた雛実に、
「あ、うん、ありがとう。雛実ちゃんはいつも何飲んでるの?」
と、酔いが少し回っているのか赤ら顔でいつもより更に優しいトーンで聞き返された。
ーードキっ……。
わかりやすく雛実が恥ずかしがった。
目が、照れたのだ。
その様子が面白くない細川は、
「雛実ちゃんは焼酎だよな。芋の。ね?」
と、身を乗り出して雛実の顔を覗き込んだ。
細川の大人気ない態度に木浦は驚いたが、雛実は、
「あ、あぁ、そうですよ。私、芋の焼酎が好きなんです。だから、水割りでも頼もうかな。」
と、ニコッと笑ってオーダーした。
ーーっな、何なの!?……この子、もしかして……!
そんな雛実と細川の様子に驚いたのは、もちろん高垣である。
33歳、彼氏いない歴10年。
伊達に苦酒を味わってきていないのだ。
間違いなく、細川の現在のターゲットは雛実であると気づいた高垣は、(これはいただけないわっ)と、目を細めた。
「じゃ、僕も雛実ちゃんと同じものにしようかな。」
グイッと美味しそうに水割りを流し込む雛実を見て、木浦も同じものをオーダーした。
「木浦さんっ、ナイスっ!」
何がナイスなのかわからないが、とにかくこの場が盛り上がれば何でもいい雛実は、木浦にハイタッチを求めた。
(とにかくこの席が楽しく終わればいいわ。)と。
《パンっ》と、若い2人の手のひらがぶつかり合い、細川も高垣も目を見張った。
ぶつかり合った後、僅かに木浦が雛実の手をなぞったからだ。
雛実もその瞬間、『ゾクっ』として、思わず「っあ」と声が漏れてしまった。
不覚にも、その雛実の声は男性社員2人の下半身を高ぶらせていた。
普段は温和で”男”のサガを強調しない木浦。だが、思わぬ自身の反応に、
(雛実ちゃんを……もっと乱してみたい……。)
と野望が芽生えてしまった。
それは細川にしても同じで、
(絶対に今夜いただくっ!)
と、鼻息荒くなったのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
【R18】お父さんとエッチした日
ねんごろ
恋愛
「お、おい……」
「あっ、お、お父さん……」
私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。
それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。
【R18】短編集【更新中】調教無理矢理監禁etc...【女性向け】
笹野葉
恋愛
1.負債を抱えたメイドはご主人様と契約を
(借金処女メイド×ご主人様×無理矢理)
2.異世界転移したら、身体の隅々までチェックされちゃいました
(異世界転移×王子×縛り×媚薬×無理矢理)
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
【R18】やがて犯される病
開き茄子(あきなす)
恋愛
『凌辱モノ』をテーマにした短編連作の男性向け18禁小説です。
女の子が男にレイプされたり凌辱されたりして可哀そうな目にあいます。
女の子側に救いのない話がメインとなるので、とにかく可哀そうでエロい話が好きな人向けです。
※ノクターンノベルスとpixivにも掲載しております。
内容に違いはありませんので、お好きなサイトでご覧下さい。
また、新シリーズとしてファンタジーものの長編小説(エロ)を企画中です。
更新準備が整いましたらこちらとTwitterでご報告させていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる