31 / 38
第31話
しおりを挟む
ふぅ~、気持ちいい……こんなにゆったりと眠れたの、いつぶり…………ん?
なんか、お腹すいてきたぁ……母さん何用意してたんだろ?
…………ん?
…………あ、れ?
…………ひぇっ!?えっ?
やだっ!ヤバくない!?
私……寝ちゃった……
「何時?!今、何時なのよっ!?」
「お前、うるさい。」
「は?」
真っ暗な和室。
こんな夜にこの部屋に入れる人物は私以外にただ1人。
「あと、お前のメシ、なんだありゃ?」
「ぐっ」
少しずつ目が慣れてきて、恐る恐る声がする方向に顔を向ける。
(……や、やはり……)
「きょ、今日は、こちらにお戻りだったんですね……」
不覚にも、声が裏返ってしまう。しかも敬語……あ、そっか、私、お世話係だから敬語で間違いないのか。
「お前の初仕事だからな。お手並み拝見といきたいとこだったが」
「だったが?」
「疑問形で返すな。戻ってみたらお前の姿はないし、冷蔵庫の中のタッパーに飯があったからあっためてみりゃ、全部同じ味だし。しかも、お前、あれ全部素麺みたいな味だったぞ。お前はあれが好きなのか?麺つゆってやつ。」
麺つゆ……確かに全てのメニューに使用しました!が、生姜もいれたし、片栗粉ってのも使ったし。
「いや、あれはその……い、今からまだまだ作るつもりだったんだけど、お布団の準備してたらいつの間にか……ね、寝てしまいまして……」
「へぇ?メインはまだ他にあったってわけ?」
その時、夫の息がゾワゾワって耳にかかり、私は震えた。
「やだっ!近っ!いつの間にっ」
電気が消えていてよかった。
多分今顔が真っ赤だ。
「夜のマッサージも仕事にあると行ったはずだが。」
「えっ?な、なんのこと?」
「惚けるな。最初に言ったはずだ。なんせ月150万の仕事なんだからな。疲れ果てるまで働いてもらわないと。」
夫はそう言うと、ガシッと私の腕を捉え、自分の首筋に沿わせた。
えぇぇっ!本気で!?
「と、とんだお戯れを……」
「この辺りがいつも重たいんだ。丁寧にやってくれ。」
「はい?……あ、なるほど、そ、そっちのマッサージね」
「なんだ?お前はどっちのマッサージを想像していたんだ?」
「どっちのって、そりゃぁ夜のマッサージときたら」
「きたら?」
はっ、ぶんぶん、これは所謂誘導尋問系だ。
ダメだっ流されるなっ。
「ふくらはぎとか、足裏かなぁって。ほら、一日中歩いてると疲れがたまるでしょ?」
うん、うまい。かわせた。
私だって、夜のセルフマッサージはふくらはぎ中心だもん。
「俺はあまり歩かない。どちらかといえばデスクワークだ。だから、首がよく痛んで頭痛になったりもする。」
「頭痛に?偏頭痛みたいな?」
「偏頭痛?あぁ、まぁ、そんな感じだろうな。」
「じゃあ、目もゴロゴロしたり?」
「あぁ、たまにあるな。奥から押されるような痛み。」
なんだ、意外と普通じゃないの。構えて損したわ。
偏頭痛持ちだなんて。
やっぱり同じ人間なんだわね。
私はそのまま夫の首筋から肩甲骨にかけてをほぐし始めた。
なんか、お腹すいてきたぁ……母さん何用意してたんだろ?
…………ん?
…………あ、れ?
…………ひぇっ!?えっ?
やだっ!ヤバくない!?
私……寝ちゃった……
「何時?!今、何時なのよっ!?」
「お前、うるさい。」
「は?」
真っ暗な和室。
こんな夜にこの部屋に入れる人物は私以外にただ1人。
「あと、お前のメシ、なんだありゃ?」
「ぐっ」
少しずつ目が慣れてきて、恐る恐る声がする方向に顔を向ける。
(……や、やはり……)
「きょ、今日は、こちらにお戻りだったんですね……」
不覚にも、声が裏返ってしまう。しかも敬語……あ、そっか、私、お世話係だから敬語で間違いないのか。
「お前の初仕事だからな。お手並み拝見といきたいとこだったが」
「だったが?」
「疑問形で返すな。戻ってみたらお前の姿はないし、冷蔵庫の中のタッパーに飯があったからあっためてみりゃ、全部同じ味だし。しかも、お前、あれ全部素麺みたいな味だったぞ。お前はあれが好きなのか?麺つゆってやつ。」
麺つゆ……確かに全てのメニューに使用しました!が、生姜もいれたし、片栗粉ってのも使ったし。
「いや、あれはその……い、今からまだまだ作るつもりだったんだけど、お布団の準備してたらいつの間にか……ね、寝てしまいまして……」
「へぇ?メインはまだ他にあったってわけ?」
その時、夫の息がゾワゾワって耳にかかり、私は震えた。
「やだっ!近っ!いつの間にっ」
電気が消えていてよかった。
多分今顔が真っ赤だ。
「夜のマッサージも仕事にあると行ったはずだが。」
「えっ?な、なんのこと?」
「惚けるな。最初に言ったはずだ。なんせ月150万の仕事なんだからな。疲れ果てるまで働いてもらわないと。」
夫はそう言うと、ガシッと私の腕を捉え、自分の首筋に沿わせた。
えぇぇっ!本気で!?
「と、とんだお戯れを……」
「この辺りがいつも重たいんだ。丁寧にやってくれ。」
「はい?……あ、なるほど、そ、そっちのマッサージね」
「なんだ?お前はどっちのマッサージを想像していたんだ?」
「どっちのって、そりゃぁ夜のマッサージときたら」
「きたら?」
はっ、ぶんぶん、これは所謂誘導尋問系だ。
ダメだっ流されるなっ。
「ふくらはぎとか、足裏かなぁって。ほら、一日中歩いてると疲れがたまるでしょ?」
うん、うまい。かわせた。
私だって、夜のセルフマッサージはふくらはぎ中心だもん。
「俺はあまり歩かない。どちらかといえばデスクワークだ。だから、首がよく痛んで頭痛になったりもする。」
「頭痛に?偏頭痛みたいな?」
「偏頭痛?あぁ、まぁ、そんな感じだろうな。」
「じゃあ、目もゴロゴロしたり?」
「あぁ、たまにあるな。奥から押されるような痛み。」
なんだ、意外と普通じゃないの。構えて損したわ。
偏頭痛持ちだなんて。
やっぱり同じ人間なんだわね。
私はそのまま夫の首筋から肩甲骨にかけてをほぐし始めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
577
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる