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龍神雨【ロリババア/ショタジジイ一人用台本】
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(龍神。ツノと時代がかった口調が特徴で、数百年生きている。かつて愛した人間を失っており、その人間の遺言に従って、願いを叶えている。)
龍:なんじゃ、騒々しい……ふむ。七夕か。時が過ぎるのはあっというまだな……人間が、我の沢に願いを流しに来たのか。
龍:ふん……どの願いも、物欲や愛欲にまみれた醜いものよ。本来の七夕とは変わったものだな。
龍:む……貴様。我の事が、見えるというのか? 何者だ。……ただの里のものだと? ふむ。何やら先祖か、前世かの因縁があるようだな。
龍:それで? 願いはなんだ? 不老不死と死者蘇生以外ならば、何でも叶えてしんぜよう。学業、商売、武運、良縁でもよい。
龍:「好きな人はいるが、自分の力で叶えるからいい」……だと? 我の力を断るのか?
龍:むう。楽でいいが、不愉快だな。我が、なんの対価も無しに願いを叶えてやると言っているのに。
:
龍:どうして、願いを叶えるのか、だと? そんなことはどうだっていいだろう。貴様には関係のないことだ。
龍:なに? 理由を聞くことが貴様の願い? 下らないことで、願いを叶える機会を逃すというのか?
龍:そこまでするのならば、いいだろう……古い話だ。
龍:我は数百年を生きる龍だが、最初の百年は大いに荒れていた。この川の主をしていたが、守るどころか力を使ってばかりで、ニンゲンや生き物から様々なものを奪っていたのだ。
龍:だが……訪れた一人のニンゲンと出会い、我は己をかえりみるようになった。そのニンゲンは、まだ若いというのに……里のため、我を説得に来たのだ。
龍:最初は冷たく追い返した。しかし、挫けぬニンゲンは何度も訪れて、そのたびに「その力があれば、様々なものを救える」と我に語りかける。
龍:酷いときには握り飯を持ってきて、一緒に食えと座り込んでしまったこともあったな。フフ。
龍:まあ、そのニンゲンが――愉快で。我も人の形をとり、ともに過ごすようになったのだ。
龍:話すうちに、ぽつりとニンゲンがこぼしたのだが。本当は、我を倒すつもりで来たらしい。しかし、まあ、その……惚れてしまったのだと。殺すのが惜しいと、そう言っていた。
龍:「そばに居て欲しい」と、口説かれた。くだらない。くだらない感情だが、暇つぶしにはなる。我はそのニンゲンと、生きた。
:
龍:わかっているだろう? 神やあやかしと、ニンゲン。生きる時間の違い。我も例外ではない……ニンゲンとともに死ねるほど、愚かでも、ない。
龍:だが、長寿のおかげで、ニンゲンの死を看取ることができたのは、悪くなかった。
龍:枯れ枝のような手を握ると、ニンゲンは嬉しそうに微笑んだ。そして我に、言ったのだ。
龍:「願いを叶えてくれてありがとう、これからも、誰かを助けてやってくれ」と。最後まで、能天気なニンゲンであった。
:
龍:……死の間際の願いを、断るほど冷酷ではない。我が頷くのを見て、ニンゲンは逝った。
龍:それからだ。ニンゲンが死んだ、この日。祈りに来たものの願いを叶えてやっているのは。
龍:コホン。これで、いいだろう。何も、別に……たいした話ではない。貴様の願いは本当にこれでよかったのか?
龍:……ならば、よい。だが、神として何もしないのは名がすたる。……せいっ!
龍:今、貴様の想い人にまじないをかけた。貴様の家の前で大雨に打たれるというものだ。貴様は傘を差し出してもいいし、家にあげてもいい。好きにしろ。
龍:我が与えた好機を逃すでないぞ。
龍:ではな……ふん。
龍:なんじゃ、騒々しい……ふむ。七夕か。時が過ぎるのはあっというまだな……人間が、我の沢に願いを流しに来たのか。
龍:ふん……どの願いも、物欲や愛欲にまみれた醜いものよ。本来の七夕とは変わったものだな。
龍:む……貴様。我の事が、見えるというのか? 何者だ。……ただの里のものだと? ふむ。何やら先祖か、前世かの因縁があるようだな。
龍:それで? 願いはなんだ? 不老不死と死者蘇生以外ならば、何でも叶えてしんぜよう。学業、商売、武運、良縁でもよい。
龍:「好きな人はいるが、自分の力で叶えるからいい」……だと? 我の力を断るのか?
龍:むう。楽でいいが、不愉快だな。我が、なんの対価も無しに願いを叶えてやると言っているのに。
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龍:どうして、願いを叶えるのか、だと? そんなことはどうだっていいだろう。貴様には関係のないことだ。
龍:なに? 理由を聞くことが貴様の願い? 下らないことで、願いを叶える機会を逃すというのか?
龍:そこまでするのならば、いいだろう……古い話だ。
龍:我は数百年を生きる龍だが、最初の百年は大いに荒れていた。この川の主をしていたが、守るどころか力を使ってばかりで、ニンゲンや生き物から様々なものを奪っていたのだ。
龍:だが……訪れた一人のニンゲンと出会い、我は己をかえりみるようになった。そのニンゲンは、まだ若いというのに……里のため、我を説得に来たのだ。
龍:最初は冷たく追い返した。しかし、挫けぬニンゲンは何度も訪れて、そのたびに「その力があれば、様々なものを救える」と我に語りかける。
龍:酷いときには握り飯を持ってきて、一緒に食えと座り込んでしまったこともあったな。フフ。
龍:まあ、そのニンゲンが――愉快で。我も人の形をとり、ともに過ごすようになったのだ。
龍:話すうちに、ぽつりとニンゲンがこぼしたのだが。本当は、我を倒すつもりで来たらしい。しかし、まあ、その……惚れてしまったのだと。殺すのが惜しいと、そう言っていた。
龍:「そばに居て欲しい」と、口説かれた。くだらない。くだらない感情だが、暇つぶしにはなる。我はそのニンゲンと、生きた。
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龍:わかっているだろう? 神やあやかしと、ニンゲン。生きる時間の違い。我も例外ではない……ニンゲンとともに死ねるほど、愚かでも、ない。
龍:だが、長寿のおかげで、ニンゲンの死を看取ることができたのは、悪くなかった。
龍:枯れ枝のような手を握ると、ニンゲンは嬉しそうに微笑んだ。そして我に、言ったのだ。
龍:「願いを叶えてくれてありがとう、これからも、誰かを助けてやってくれ」と。最後まで、能天気なニンゲンであった。
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龍:……死の間際の願いを、断るほど冷酷ではない。我が頷くのを見て、ニンゲンは逝った。
龍:それからだ。ニンゲンが死んだ、この日。祈りに来たものの願いを叶えてやっているのは。
龍:コホン。これで、いいだろう。何も、別に……たいした話ではない。貴様の願いは本当にこれでよかったのか?
龍:……ならば、よい。だが、神として何もしないのは名がすたる。……せいっ!
龍:今、貴様の想い人にまじないをかけた。貴様の家の前で大雨に打たれるというものだ。貴様は傘を差し出してもいいし、家にあげてもいい。好きにしろ。
龍:我が与えた好機を逃すでないぞ。
龍:ではな……ふん。
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