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第三章
しおりを挟む下男たちが鍵で牢屋を開けると、松嵜世啻人は二人の少女に手枷を付けさせた。
暴れる加恋の腕が当たり、下男たちは痣を作ったが後ろ手にした鉄の手枷は人を動けなくするに十分だった。
世啻人は房内に入り、コートを脱いで下男に渡す。すぐさま全裸になり、下半身を怒張させた。
「いや、助けて!だれかぁ!」
亜里沙の悲鳴が房内に響く。世啻人の腕が亜里沙のセーラー服の首元を掴み頭から脱がす。スカートも剥ぎ取る。
そして純白のブラジャー、ショーツをも破り捨てた。老人は興奮状態の獣と化していた。
世啻人は亜里沙の青く未熟な太腿を掴んででんぐり返すと、朱色の花びらを思わせる小さな女陰に男茎をずぶずぶと挿入した。
内臓を裂く激痛に亜里沙は悲鳴を上げ続けた。加恋は親友に対して行われる加虐に目を見開いて罵詈雑言を浴びせた。
世啻人は構わず亜里沙の膣内へピストンを続けた。駅弁のような体位で尻を抱え込みひたすら挿入を続ける。
コンクリートには赤黒い血がこぼれ落ち、亜里沙は目を剝いた状態で腰から全身を揺らす。
小さな乳房の下の肋骨が痙攣するように上下する。
内臓をかき乱すような一方的な行為は単純な痛みのレベルを超えて鈍痛に変わっていった。
やがて亜里沙の目から輝きは失せ、口からは唾液が垂れた。
世啻人は亜里沙の腹の中に射精すると、燃え滾る陰茎を抜き取った。
少女の身体は頭から崩れ落ち、全身を震わせながら下呂を吐き出した後、気絶した。
――ああ、いつも笑っていた花が散ってしまった。
「亜里沙…亜里沙…。」
加恋は亜里沙に近づいて様子を見たが完全に意識がない。小さく呼吸しているかも定かでなかった。
加恋は友人の恐ろしい姿にガチガチと歯を鳴らした。
気が付くと老人はローブを着込み、満足そうに笑みを浮かべて部屋から出ていくのだった。
次はおまえだ。加恋はそう言われた気持ちがした。
次に入ってきたのは松嵜重男だった。ワックスで前髪をアップになでつけた七三ヘアーにサングラス。重男のいで立ちは異様だった。
「次は俺の番だからね。」
重男はヘラヘラと遊びの延長のような調子で話しかけるのだった。
加恋は男が近寄らないように唯一自由な足で蹴ろうとした。
「触るな。近寄るな。」
叫ぶ。加恋は何をされようとも心の中で決して負けてやらないと強く誓った。
どんな苦境だって心までは奪えない。それが彼女の生きてきた証であり、誇りであった。
松嵜重男は距離を取ると、いつの間にか肩にかけていたボストンバッグのようなものをごそごそと探っていた。
そして後ろ向きのまま、上半身だけをクルッと加恋に向けた。
そのときだった。加恋の顔に粉末が当たった感触があった。
目に、鼻に、口に粘膜質に衝突した顆粒が溶けていく。
直後、加恋の意識が表面層から沈み込んでいった。
重男が投げた薬物はスコポラミン。
外国で自白剤として作られたが、顔などの粘膜質から成分を吸収すると意識を失い、使用者の意のままに動く操り人形となる。
その使用目的は金の窃盗はもちろん、婦女暴行にもおよぶ。
「さあ、服を脱いで、下着までね。」
重男の言葉に虚ろな目をした加恋は従ってしまう。自白剤の作用だ。加恋はセーラー服を手枷のついた手で引っ張り脱いでいく。
「あー、手枷が邪魔だなぁ。ちょっとこれ外しちゃって。」
下男を呼び、手枷を外す。松嵜重男は手慣れた様子で遊戯に興じていた。
加恋は、命じられたように自分の手で、乳房や性器を露出させていく。
生まれたままの姿になった彼女は曖昧なまま次の指示を待つ。
そんな少女に重男はレザー製のボンデージ器具を取り出し、取り付けていく。
「はい、手を挙げてね。ばんざーい。」
意識の鈍化した加恋は言われるままに両手を上げる。
重男は二の腕に腕輪を付け、上腕拘束用のアームクラッチバンドを背中から巻きつけていく。
パチンとリングをとめると背中と二の腕の器具は繋がった。
しかし、これだけだと腕は自由に動いてしまう。そこで手枷を背中に回したアームクラッチバンドと繋げると、背中よりも短いバンドは上腕と手首を同時に締め上げる。
これで腕は拘束した。上半身には首輪とハーネスが取りつけられ、黒いレザーがピンク色の乳首のコントラストを強調する。
「さあ、ゆっくり寝て足を開いて。Mの形にして。」
加恋はおとなしく足を大きく開いていく。足の付け根で盛り上がった股間からピンク色の蕾と肛門が差し出される。
さらに重男は太腿に巻きつけたレザーの足枷と、ハーネスから伸びた吊りベルトを金属リングで繋ぎ、強制M字開脚の形にした。
仕上げに加恋の口に開口マスクを付けた。これは金属の円筒を口に差し込み、強制的に口を開かせるSM器具である。
加恋は抵抗をするどころか自分が率先して行動させられた。しかもそれに自分が気づかないという恐怖。
彼女はたった今、屈辱を受けているのだ。男は少女の身体も心も虐げていった。
重男は加恋の白い口を便所のように扱い、三度目の絶頂を迎えていた。加恋の口の中は度重なる射精で魚のような異臭を放っていた。
「相変わらずの趣味だな、重男よ。」
シルクサテン生地のローブを着た世啻人は呆れていった。
「女はレザーの光沢で縛り上げるのが一番美しいんですよ。」
その人形のように細い身体は一人の欲望にまみれてレザーのベルトが節々に食い込んでいた。
ことが終わると忌まわしい開口マスクは外されていた。
「いやだわこの女、気持ち悪い。奴隷のマゾヒストだわ。」
蝶子が汚いものを見るように顔をしかめて言った。そして靴の裏で加恋の腹を軽く蹴った。
まるで犬を虐待するように。加恋は条件反射的に身をよじるが薬の効果と全身を縛られているため身動きが取れない。
「蝶子や、やめなさい。暴力は許していないぞ。」
「ご、ごめんなさい…お爺様、つい。」
世啻人は蝶子に優しく微笑んだ。蝶子は世啻人に懐いているらしく、大叔父の後ろに回りローブを片手で握った。
「蝶子は正解だ。奴隷だよ。希望を持ってひととなりの人生を送っていた生娘が、他人の都合でこの世の底に落とされる。なんてかわいそうな事だろうか。」
世啻人の表情はうすらいのように冷たく張り付き、その声は不気味なほど淡々していた。蝶子は世啻人の言葉に聞き入っている。
「人間は奪うか奪われるか、どちらかひとつだ。さあ龍児、お前はどっちだ。」
大叔父の眼光が示し合わせたかのように龍児の顔を射抜いた。
「龍児よ。この娘だが、お前の中学生時代のクラスメイトに似てないか。いやよく似てると思うぞ。ムカデ競争の練習でお前を弾劾した、あの嘘泣きの上手い娘に似ているなぁ。」
とたんに松嵜龍児の頭の中に中学二年生の記憶が蘇った。
龍児は小さなころから親の言いつけに従い勉学に励んできた。
父親と同じ国立大学に入り、エリート街道を進む。それが龍児が生まれたときから義務付けられた当然の未来だった。
結果を出しても褒められることもない当たり前の努力。いつしか龍児の胸の奥には真っ黒い膿が溜まっていくのだった。
中学生時代の彼の生活は過酷の一言である。彼の人生で女性は恐怖の対象だった。
優性思想の父親に嫌気がさした母親は家を去り、龍児は女性を性対象として見ることを知らずに育った。
思春期に疼きだした股間の生理現象を嫌悪した。
射精を体験したときには自分は病気に罹ったのではないかとさえ思った。
周りに知られないように匂い立つ下着を洗濯する。性について何も教えなかった放任主義の父親の落ち度でもあるだろうし、周りに知識を共有できるような友人も居なかった。
少年にとって女子というものは小学生のころから背が高く、教師を味方につけて言葉で他人を嘲る存在だった。
中学校の体育大会の練習で、男女合同のムカデ競争を行ったときだ。
ふとしたきっかけで、彼の肘が後ろにいた女子の胸に触った。
少年は性の芽生えの根源を知り、胸がじんじんと熱くなるのを経験した。
もう一度知りたい。この胸の奥から湧き出すものを味わいたい。彼は何度となく肘を後ろに振ったが、柔らかい感触はなかった。
学校のクラスでは女子の弾劾裁判が行われていた。しくしくと涙を流す女子生徒と怒れる取り巻きの女たち。
中学生の龍児はムカデ競争のポジションを変えるように決められ、クラス全体から変態と言われた。
校舎の中の授業中、休み時間とあらゆる所から彼を侮蔑する声が聞こえてくる気がする。
ついに少年の交感神経は痙攣をはじめ、呼吸は荒くなり、それを押さえようとすると息ができなくなった。
少年の口からボソボソと出てくるのは「死ね、お前たちみんな死ね。死ね…死ね…。」という呪いを吐き出す言葉だった。
この体験が龍児の女性へのトラウマを形成した。
龍児はボンデージ器具で縛られ、意識の曖昧な加恋を見て劣情を抱いた。
この感情はなんだ。あの少女に対してふつふつと湧いてくるこの感情は。
龍児は加恋にトラウマの原因となった女子生徒を見ていた。
自分を押さえつけ、校舎の中の嬲り者にしたあの女。
嘘泣きが好きで被害者ぶるのが上手いあの女を好きなようにしてやる。
龍児は街の中で女子中学生を見ると気分が悪くなり、同時に暴力的な欲情が込み上げてくる意味が分かった。
これは復讐だ。男の鬱屈していた精神に目の前の少女は自分を解放してくれるヤコブの梯子のようだった。
龍児は意識のない加恋を貪りつくした。
M字開脚をした淫売の恥丘に生えた綿毛を掴み、性器と肛門が見えるように持ち上げる。
処女の裂け目にゆっくりと陰茎を添えると、膣圧を切り裂いてずぶずぶと挿入した。
女の腹を掴み幾度も幾度も出し入れする。処女の血がペニスを伝い流れてきた。
「骨格に肉が付いていない。芋虫のようなぼてっとした足。くびれのない胴体。形の整ってない乳房。おまえはまるで奇形児みたいだなぁ…。」
十四歳のときに潜めていた激情を龍児は今、自らが復讐の神となり実行した。
蛇の肋骨みたいに細くうねる肌を舐め、乳首を噛み、体中に印を残す。
全身をくまなく凌辱する。それは糸にかかった蝶を蜘蛛が少しずつ咀嚼していくさまを見ているようだった。
「そうだ龍児。お前には人生をやり直すチャンスが残っている。過去に奪われた矜持は奪い返せ。」
老人は手を叩いて喜んだ。大叔父の拍手の中で、龍児は新しい自分に生まれ変わっていくような快感を感じていた。
人間の心を捨て、他社から奪い、覇道を突き進む。大叔父の言った人間になるとはこういうことなのだ。
「叔父さん、ありがとうございます。この女、俺のペットにして飼っていいですか。」
「よいとも。いくらでも劣情のはけ口にするがいい。」
龍児は狼の雄たけびのように吠えた。
もはや汚していない所はないというほどに、加恋の体という体を貪り、穴という穴に射精した。
気が落ち着くと、膀胱に溜まっていた小便を膣内にジョロジョロと排出した。
少女の膣内は尿瓶と化し、恥部からはぶくぶくという泡とともに尿が逆流してきた。
アンモニア臭がコンクリートに生暖かく沁み込んでいく。龍児は口の端を釣り上げて狂ったように笑った。
加恋は浮遊する意識の中で涙を流した。人間の矜持を奪う屈辱とはこんなに簡単に行われるのか。
心を破壊されるような仕打ちを受けて、今までと同じように生きることができるだろうかと思った。
1日が終わる。加恋は未だに薬の副作用で上の空だった。
頭から不意に冷水を浴びせかけられる。下男たちがホースで自分達の身体をぞんざいに洗い流していた。
皮肉にもそのおかげで加恋は意識を取り戻した。頭が痛み吐き気がする。
そうだ…私も亜里沙も犯されたんだ。服は剝がされ身体はもう生娘じゃない。
大事なものを奪われたことを膣の傷みが物語っていた。
「亜里沙!?」
少女はまず友人を案じた。房内に裸のままで転がっている亜里沙を見つける。
「亜里沙…亜里沙!!」
「うう…痛い…お腹が痛い…。」
亜里沙は下腹部を苦しそうに抑えたまま呻きをあげている。その手は小刻みに震えていた。
加恋はただその手を握りしめることしかできなかった。下男はいなくなり加恋と亜里沙だけが残った。
「あ…加恋…。」
亜里沙はやっと口を開いて言った。
「大丈夫だよ加恋、少し落ち着いたわ…。」
少女は目の下に隈を作ったまま強がりを言った。加恋にはわかる。だって親友だから。
亜里沙は穏やかな顔で続けた。
「加恋…、あなたが…。私たちには生きる意味があったって証明して…。」
亜里沙の言葉はどこか寂しげだった。
「何を言ってるの。亜里沙こそ元気出して。」
加恋は力を入れすぎると壊れてしまいそうな友人の手を優しく握った。そのまま時だけが過ぎていく。
体液の沁みついた監獄で、加恋と亜里沙は互いの身を案じながら寄り添っていた。
ここの夜はひどく寂しく、恐ろしい。
こんな夜は二人でいないと心が砕けそうだった。
いつかのアカシアの木の下のように身を寄せあって二人は眠った。
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