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第二十三話
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私は今、ルーノア王国の謁見室へ通されている。
カテーシーの状態でルーノア王を待っていると、声が聞こえて来た。
「顔を上げてくれたまえ」
顔を上げると、うん…なるほど、サーシャが伯爵様をお父様にしたい理由がよーくわかった。
ルーノア王は大きな椅子に腰掛けていたが、背は小さく、お腹が出ていた。
「ルーノア王に挨拶を申し上げます」
「よいよい、堅苦しい挨拶はなしなし。そなたがチョコレートを作っている者なのか?」
王というだけあって体は小さくても威厳があるのかと思ったら、なんというか軽い感じの人だ。
「は、はい、その通りでございます」
「そのチョコレートを他国に売る気はないかい?
ぶっちゃけちゃうとさ、魔石が高いのよー、うちで魔石取れたら最高なんだけど、他国から取り寄せてるからお金ないのよー」
この人この国の王なの?と疑問に思うが、周りをちらりと見ると普通の顔をしているということは、これが平常運転なんだろう。
「チョコレートを他国に販売し、利益を国が欲しいということでしょうか?」
回りくどい駆け引きは苦手なため、ストレートに疑問を投げかけた。
「そうそう!話がわかる子で助かるよー。作り方はそなたの商団しか知らんと言うからわざわざ呼んだんだ」
「お話はわかりました。しかし、陛下の大切になされておられる王女様に家族を壊された身としては、この国にいることさえ悩んでいる状態です」
「ん?なんと?わしの可愛いサーシャが何かしたかの?」
何も知らないとは呆れる。それともクレイルン王国が報告していないのかな?
いやいや、可愛がってる娘なら、逐一報告されるものじゃないの?
「私の父、リーレイ伯爵家に養女として迎え入れ、驚くほど自由気ままに過ごされています」
「養女!?わしの可愛いサーシャが養女!?どういうことだ!?」
うわぁ…サーシャの性格は父親似ね、会話をするのが疲れる。
プンプンしているルーノア王に、宰相らしき人がコソコソと何やら耳打ちをしている。
「なんだと!?この話は本当だと!?
今すぐサーシャを呼び戻せ!」
怒り狂うルーノア王は、チョコレートの話など忘れてしまったようだ。
その後はサーシャのことで頭がいっぱいなってしまい、そのまま私は帰ることになった。
この国も長くはいられないかもしれないな…
カテーシーの状態でルーノア王を待っていると、声が聞こえて来た。
「顔を上げてくれたまえ」
顔を上げると、うん…なるほど、サーシャが伯爵様をお父様にしたい理由がよーくわかった。
ルーノア王は大きな椅子に腰掛けていたが、背は小さく、お腹が出ていた。
「ルーノア王に挨拶を申し上げます」
「よいよい、堅苦しい挨拶はなしなし。そなたがチョコレートを作っている者なのか?」
王というだけあって体は小さくても威厳があるのかと思ったら、なんというか軽い感じの人だ。
「は、はい、その通りでございます」
「そのチョコレートを他国に売る気はないかい?
ぶっちゃけちゃうとさ、魔石が高いのよー、うちで魔石取れたら最高なんだけど、他国から取り寄せてるからお金ないのよー」
この人この国の王なの?と疑問に思うが、周りをちらりと見ると普通の顔をしているということは、これが平常運転なんだろう。
「チョコレートを他国に販売し、利益を国が欲しいということでしょうか?」
回りくどい駆け引きは苦手なため、ストレートに疑問を投げかけた。
「そうそう!話がわかる子で助かるよー。作り方はそなたの商団しか知らんと言うからわざわざ呼んだんだ」
「お話はわかりました。しかし、陛下の大切になされておられる王女様に家族を壊された身としては、この国にいることさえ悩んでいる状態です」
「ん?なんと?わしの可愛いサーシャが何かしたかの?」
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いやいや、可愛がってる娘なら、逐一報告されるものじゃないの?
「私の父、リーレイ伯爵家に養女として迎え入れ、驚くほど自由気ままに過ごされています」
「養女!?わしの可愛いサーシャが養女!?どういうことだ!?」
うわぁ…サーシャの性格は父親似ね、会話をするのが疲れる。
プンプンしているルーノア王に、宰相らしき人がコソコソと何やら耳打ちをしている。
「なんだと!?この話は本当だと!?
今すぐサーシャを呼び戻せ!」
怒り狂うルーノア王は、チョコレートの話など忘れてしまったようだ。
その後はサーシャのことで頭がいっぱいなってしまい、そのまま私は帰ることになった。
この国も長くはいられないかもしれないな…
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