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第三話

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カカオについて調べてみると、ココという木の実が似ていた。卵型の果実で中に大きな種があるが、食用としては用いられていない、とあった。
そりゃ、普通には食べられないだろうね。色んな工程と甘さがないと食べられる物ではない。

「目標はチョコレートを作ること!」

まずは何から始めればいいか部屋で考えていると、メイドからお父様が呼んでいるという知らせがきた。

さっそくお父様がいる執務室に向かった。

「失礼します、ベリルです」

「ああ、ベリルか…大切な話がある」

疲れているように見えるお父様、重い口を開けて言った。

「明日からおまえの母親となる人と妹が来る」

「え…」

来たな、やっぱりこの展開ですか。妻思いで優しい父親だと思っていたけど、所詮は貴族の男か。幻滅すると同時に、この国から出たいという気持ちが強くなった。

「急なことで申し訳ないが、早く迎えてあげたいんだ」

何が早く迎えてあげたいよ、お母様より愛人が大切だって言ってるようなものよね。

「…承知しました、他に用がないのであれば失礼します」

腑に落ちないが、私が何を言っても意味がないだろうと理解を示した。

「あ…」

何か言いかけたお父様だが、聞こえない
ふりをして部屋を出た。

貴族社会では普通のことなのよね。
漫画と小説の中しか知らないけど。

この人はそんなことする人じゃないなんて、期待はしちゃいけないものね。

翌日の朝、玄関にはもう2人の姿があった。
昨日の夜に伝えたってこと?私の承諾なんて関係なく、今日来ることは決まっていたようにしか思えない。

とりあえず悪い印象を与えても良いことないだろうし、挨拶しますか。

「リーレイ伯爵家、長女のベリル・リーレイと申します」

カテーシーで挨拶をした。

「こちらはルーシー、そしてベリルの妹となるサーシャだ」

家門の説明がないってことは庶民だったってこと?

「これからよろしくね、ベリル様」

お父様よりいくつか若く見える。お母様が綺麗系だから、てっきり妖艶な人か、可愛らしい人が愛人かと思ってたけど、平凡な顔とスタイルにしか見えない。

「なんで、あんたが姉なの!?」

ぴょこっと跳ねたように見えるくらい、可愛らしい女の子が強い口調で私を睨んだ。
母親が平凡な顔なのに、娘は可愛すぎないか?この2人の遺伝子あるのかと疑いたくなる。ツインテールにしたピンクの髪がぴょんぴょんと揺れている。

「ベリルが4月生まれで、サーシャは6月生まれだ。先に生まれた方が姉に決まっているだろう?」

納得していないサーシャを見つめながら、同い年なの!?ほとんどお母様との結婚と同時に愛人にしてたようなもんじゃない!この男、仕事が忙しくて家にいないのかと思ってたけど、愛人に会いに行っていていなかったのね!


「これからよろしくお願いします」 

顔を引き攣りながら挨拶をして、さっさとその場を離れた。

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