真理の詩(ことわりのうた)

第６話 ＜永遠＞と＜虚空＞のその先

高次元の世界の高次元の存在
＜永遠＞と＜虚空＞がやりとりをしている。

「すべての執着・煩悩から解放され、
すべてから自由になったぞ」
＜永遠＞が強すぎず弱すぎず主張をする。

「そしてどうなった？」
＜虚空＞が受け入れ問う。

「『無』がありありと見えた」
＜永遠＞が落ち着いて答える。

「ほう。この＜虚空＞のことがわかったのかい？」
＜虚空＞も落ち着いて聞き、落ち着いて問う。

「ああ。むなしくもあるが、とても落ち着いているな」
＜永遠＞も穏やかさを崩さず答える。

「そうだね。それでその先は？」
＜虚空＞は理解を得て嬉しいが
特に表立っては出さず、
さらに＜永遠＞に問う。

「本当の自由だ。
すべてから自由になり、
そこに『無』を見て
その上で改めてどうするか、
どうしたいか、どんな思いを抱くか、
本当の自由を得るところだ」
＜永遠＞は悠久の明るい未来にそぐわないくらい
穏やかに答える。

「何を得たい？」
＜虚空＞は核心を突く。

「ただ知りたい。考えたい。
それだけかもしれんな」
＜永遠＞は答えを出した。

「手段的だが、それでいい。
我々が生命と言えるかどうかはともかく
生の目的なんてそんなものだよ。
良い答えだ」
＜虚空＞は人で言えば笑顔で応じた。

＜永遠＞もそれに応じて
＜虚空＞とはまた違う＜永遠＞らしい
笑顔に当たるものを＜虚空＞に返した。