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13、陽斗の知らない驚くべく事実

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(攻め視点だと受けのガチムチが少しでも伝わってくれると信じて、カキカキ。そこまで表現出来てなくて不満です。)


⬛︎陽斗サイド


お昼ご飯を食べると、またゲームをする。容量のいい僕は、初めてしたゲームなのにいい所まで来ることが出来た。そんな僕に悔しそうにしている司。

「俺は、お前をコテンパンにしてやるから、今はちょっと下に行ってこい!」
と、追い出されてしまった。まだまだ子どもだなと笑ったが、はたと気が付いた。

下に行ってこい?
つまり、司のお父さんのここに?
途端にドキドキしてきたけど、もっとあの人と話したい。あの人の心地のいい声を聞いて、あのいい匂いを嗅ぎたい。そう思って、階段を降りて1階に行く。リビングの中から、
「わぁ、これあのお店のお菓子だ・・・!す、すごい、なかなか手に入らないことで有名なのに!?あ、こっちもこの前テレビでやってたやつだ!
す、すごい・・・陽斗くん、ありがとう!」
嬉しそうに声を弾ませる可愛い人の声が聞こえてきた。

甘いもの好きなんだ。司のお父さん・・・、いや、飛鳥さん。

凛々しい顔立ちなのに言動が可愛らしい飛鳥さんに、胸が高鳴った。コンコン・・・一応ノックをすると、
「陽斗くん?いいよ、入って。」 
許可を貰ったから、リビングに入った。

ふわっと香る飛鳥さんの匂い。

頬が熱くなる。そんな俺に近づいてくると、
「陽斗くん、これみて、これ!こんな高級なもの本当に貰っても大丈夫なのか?」
そう言いながら、菓子折りの箱を見せてくる。持ってきたけど、一回も中身を見なかったから、初めてみたそれは確かに有名店のロゴがあった。

「あ、それ遊びに行くっていったら、両親がそれぞれ買ってきてくれたんです。だから、大丈夫です。」
「うわぁ、親御さんにありがとうって言っておいてくれる?本当、こんな美味しそうなものを頂いて申し訳ないけど、テレビで見て美味しそうだなって思ってたから、嬉しい!」
嬉しそうに頬を赤く染める飛鳥さんが、可愛すぎて、可愛すぎてどうにかなってしまいそうだ。

「陽斗くんは、甘いもの平気?」 
「はい。そこまで多くは食べれませんが、好きですよ。」
そう言うと、一緒に食べようと声をかけられる。
「あの子は、甘いものが得意じゃないから。俺的に、こんな美味しそうなものを食べないなんて、信じられないけど。だから、2人で食べよう?」
いたずらっ子のように瞳を輝かせていて、吸い込まれるように見てしまう。

テーブルで、嬉々として取り分ける飛鳥さん。

手土産の中身は、チョコのテリーヌと色とりどりの綺麗な焼き菓子だった。花柄のクッキーの中央にジャムが入っていて、嬉しそうに頬張る飛鳥さん。
僕も食べると、確かに美味しい。見た目に反して、程よい甘さと酸味を感じ、テリーヌは、ラズベリーソースが入っているようだ。

こんなお菓子、父さんと母さんが、本当に買ってきてくれたのか?にわかには、信じられないが、こんなに嬉しそうに食べてくれる飛鳥さんをみると、あの2人に心の中で感謝した。

それから、暫く飛鳥さんとお話して、至福な時間を過ごしていると、ドタバタと司が降りてきて、リベンジするぞ!と無理やり飛鳥さんと引き離されてしまった。むぅと頬を膨らませると、すぐさまコントローラーを渡される。

だが、基本的に素直な司は、僕のフェイントに対応できずに、惨敗。当然の結果である。なぜだぁ~~~~っ!と嘆き悲しむ司に、アドバイスをすると、ガシッと解放されなくなってしまい、大変な思いをした。

遅くなる前に帰宅するべく玄関で靴を履く僕に、飛鳥さんが、またおいでといってくれる。司が、バス停まで送ってくれて、
「今度は、絶対負けない!今度は、家に泊まってやろうぜ!」
そう言った。
「い、いいのか!?!」
思わず、食いついた。まさかそんな反応をされると思って見なかった司は、驚いたが、もちろん!
勝ち逃げは許さないっ!って言ってきたから、いそいそと日取りを決めてもらう。

ドキドキ、また飛鳥さんに会える!しかも、お泊まりだなんて・・・。

今度の金曜日。嬉しくて嬉しくて、たまらなかった。

家に帰ると、珍しく父さんと母さんが出迎えてくれて、驚く。いつもは、夜遅くならないと帰ってこないのに。
「お、おかえり!陽斗!」
「で、で、どうだったのかしら?お友達の家は?楽しかった?」
鬼気迫る勢いの如く、矢継ぎ早に質問される。

「ほらほら、おふたりとも。帰ってきたばかりなのだから、まずはお手を洗わせであげてください。お茶を用意致しますね。」
トメさんが、後ろから声をかけてくれ、父さんと母さんは、そうねと言いながら渋々とリビングの方へ行った。

な、なんだったんだ?!

手を洗っていると、トメさんがやって来て、
「初めてのお呼ばれにおふたり、気になってしょうがないのですよ。坊ちゃんが、心配で心配で仕事にもいかず、結局お休みにされたのですよ?」
「え?!休んだの?仕事!」
「はい。だから、ちゃんとおふたりに今日の思いを素直に伝えてあげてくださいまし。」
そう言うと、洗面所から出ていく。

今日朝食の時の様子、そして帰ってきたときの慌てた顔、全てが初めてみる両親の姿で信じられないけど、お菓子のこともあるから、ちょっと信じてみようかなと思った。

夕飯を食べながら、高校に入って友達が出来たこと。この前、親友って言って貰ったこと、嬉しかったこと、そしてお菓子を食べたことを伝えて、父さんと母さんにお土産持たせてくれてありがとうと、恥ずかしかったけどちゃんと言うことが出来た。

いつもの僕なら絶対に言えなかった言葉。

俺の言葉を、真面目な顔をして聞いてくれて、ありがとうと伝えた瞬間、いきなり泣かれてしまった。突然のその号泣に何が何だか分からなくて、パニックになった。

あらあらしょうがない人達ですねと、トメさんがティッシュを持ってくる。

「坊ちゃんは、信じられないかもしれませんが、おふたりは坊ちゃんを愛しているのですよ。お互い素直な性格ではないので、表にはなかなか表わしませんが、授業参観とか仕事先から脱走しようとして、大暴れもしたとか。」
な、なにそれ!

「それに、帰ってきても既に坊ちゃんは、お休みになっておられ、寂しかったおふたりは、夜な夜な寝顔をみて額にキスを落とすのが、楽しみだったそうです。」
・・・まじ?

今までの愛のない家族と思っていたの、俺だけ?

俺が今まで2人のことをどう思っていたのかを伝え、疑問に思っていたことも全て言うと、顔面蒼白になって弁明された。色々今までのことを全て聞くと、完璧に家庭内のすれ違いが起こっていたようだ。

本当に仕事だったらしく、お互い俺や姉ちゃんを不自由させないように頑張ってきたらしい。もちろん不倫とかもしていないし、恋人もいないとのこと。号泣しながら、俺への愛情を包み隠さず伝えてくれる父さんと母さんは、いつもの感情を感じさせない冷たい大人ではなく、暖かい気持ちをもった愛情溢れる両親だった。

高校生にもなって恥ずかしいけど、長年すれ違っていた家族と分かり合えて、涙がポロリと一筋流れたのは、咄嗟に俯いて隠したけど、両親に気が付かれて抱きしめられそうになって慌てて部屋に逃げ込む羽目に。

ベッドに飛び込むと、今日1日色んなことがありすぎて、忘れられない日となった。初めて親友の家に遊びに行った日、心が初めてときめいて初めて恋をした日、そして、両親の愛を知った日。まさか、司の家に遊びに行って、こんな濃ゆい一日になるなんて、思わず笑いが込み上げてくる。


ありがとう、司。飛鳥さんと出会わせてくれて。

初恋は実らないとか言うけど、絶対僕のお嫁さんになってもらうよ。飛鳥さん!


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