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21、司の期末試験
しおりを挟む(試験なんて嫌いだァー!カキカキ、カキカキ!→書き終わった。いやぁ、不定期連載とか書いておきながら、妄想が止まらなかった。つか、もう一気に投稿しちゃええええ!!!)
⬛︎司サイド
試験勉強期間のなんと、憂鬱なことか。大好きな部活もなく、ただひたすら勉強勉強。それだけでも勘弁してくれと思うのに、陽斗が突然俺に勉強を教えると言い出した。突然の宣言にキョトンとした俺だったが、コントローラーを取られ、テーブルの上に教科書を並べられる。
陽斗は、学年トップクラスの秀才だ。普段、勉強などしないが、常にテストでは満点近い。本人曰く、授業を真面目に聞いているからだと。確かに中間テストはお世話になった。多分陽斗がいなかったら、赤点だっただろう。
今回の期末テスト勉強しているかと聞かれて、してないと言ったのが悪かったのか、何故かスイッチが入っているようだ。
陽斗に勉強大丈夫なのかと尋ねると、問題ないと自信満々にそう言う。さすが秀才。まぁ、最近部活を頑張って復習や予習なんてしていなかったから、陽斗からの申し出はありがたかった。だが、数分後俺は、頼むと言ったことを後悔することに・・・。
最初から、ハイスピードの詰め込み具合で、すぐにギブアップすると、鬼のような顔をして凄んできて、殺されるかと思ったぐらいだ。美人の迫力は凄かった。夕飯まで勉強漬けだし、食べてからもすぐに勉強、そして朝起きると、早朝勉強。ハッキリ言って地獄である。試験勉強を始めて、1日目なのにすでに屍状態だった。
授業中も、欠伸をしようものなら、ハリセンで頭を叩かれるし、先生に根回しして全ての問題は俺に当てるという地獄のような仕打ち。
答えられなかったら、みんなに笑われるから、必死で考えるしかなくて、アイツは可愛い顔をして鬼だ。悪魔だ。親友の俺に対してこの仕打ち。しかし家に帰っても、ほぼ俺の家に泊まっているから、逃げ場がない!
速攻部屋に連れ込まれて、夕飯が出来るまでこれまた先生が、作ってくれたプリントを解かされる。先生は、頼られると弱くて、しかも陽斗が上手い具合にのせるから、張り切って毎日山ほど渡されてしまう。
一応、それらを陽斗がピックアップして効率よく理解出来る工夫をしてくれるから、助かっているけど、本当、休む暇もないし、ゲームも一切許されなかった。
文句をいうと、今までサボっていたから、基礎がなってない!まずはソレをつけろ!それから、応用だ!と鬼気迫る勢いで言われ、スパルタと化している。
父さんが作ってくるご飯だけが、唯一の楽しみで、毎回涙を流しながら食べてしまう。オロオロする父さんだが、
「飛鳥さん、期末テストを乗り越えるためには、今は我慢してください。」
というと、素直に椅子に座らされている。うううっ、頭ナデナデして欲しかったのにぃ!!
この時の俺は、精神がすでにヤバいところまできてたから、人の温もりが欲しかった。だけど、父さんに抱きつこうとすると、すかさず陽斗が邪魔してくる。俺の父さんなのにぃ!
「鬼っ!鬼畜!悪魔っ!」
って思わず叫んだら、
「ヒッ!」
俺は、死んだふりをした。
それほど、怖かったのだ。この前凄まれた時より怖かった。
でも、さすが学年一の秀才くん。教え方も上手くて、基礎が出来てくると引っ掛け問題も少しずつ解けるようになって行って、勉強の面白さが分かってきた。だから前みたいにスパルタじゃなくて、緩急つけて勉強を進めてくれるように。学校で毎回ある小テストは、80点後半をキープ出来ているし、たまになら、100点を取ることもあって、その時は嬉しくて父さんにプリントを見せに行く。
そうすると、とっても嬉しそうに褒めてくれるんだ。陽斗も出来ると褒めてくれるけど、やっぱり父さんに褒めてくれるほうが嬉しい。よく頑張ったなって大きな手で、頭を撫でてくれるんだ。父と子長年2人でやってきたから、俺たちは普通の親子より仲がいいと思う。反抗期なんてなかったしな。そんな余裕は、俺達にはなかったというのが正解か。
親父が亡くなって、本当に父さん苦労したから。お金とか家のローンとかは、保険や払わなくてよかったりして何とかなったけど、まだ幼い俺を抱えての生活は苦労していた。
なるべく俺には見せないようにしていたけど、仕事から帰ってきて、夜遅くまで学校に提出する書類や準備とか忙しそうにしていた。でもある日突然、パタって仕事を辞めて、在宅ワークの仕事に変えた時は驚いたなぁ。
それが、俺との時間を取るためだって知って嬉しかった。
俺も親父が死んで、落ち込んでいたから、学校から帰ると大好きな父さんが出迎えてくれて。
そうだよな。部活だけ頑張っていたけど、父さんに楽をさせてあげたい安心させたいのなら、勉強を頑張てちゃんと無事に卒業しないといけないよな。
ヨッシャ!頑張るぞ!あと残り1週間!陽斗、ビシバシ頼むぜ!
そうして、俺は毎日ギリギリまで自分を追い込み、試験当日の朝を迎えた。昨日の夜は、睡眠を取ることが大切と早めに寝させられた。そのおかげで、しっかりと熟睡することが出来て頭もスッキリしている。
こんなに早く起きたのは、初めてだ。隣を見ると、まだ陽斗が寝ている。寝顔見るの初めてだな。いつも俺が起きる時には起きているし。
毎日嫌ってほど、陽斗といるけど何故か馬が合うというか、こんなに一緒にいてもストレスを感じない。普通こんな風に親友の家に入り浸らないと思うけど、陽斗は、俺ん家が大好きらしい。
しっかし、ほんとコイツの顔可愛いよなぁ。この前男から告白されていたぞ。しかもモデルもしているというイケメン。速攻振っていたけど。
ちなみに陽斗は、学校一の美人だって噂されているのを俺は、知っている。そして俺がその彼氏だということも。
それはマジ勘弁。
俺は、普通に健気で可憐な子が好きなんだ。守りたくなるようなそんな子。父さんみたいな子がいれば、最高なんだけど。
陽斗は、虫除けになると言って訂正しないから、時々嫉妬のこもった目で見られるの最悪なんだぞ?先輩からだって、時々お前いいよなぁって言われて、俺がどんな目にあっているか。
よし、起きよう。洗面所で顔を洗ってリビングに行くと、
父さんがお弁当を詰めていた。
「おはよう、父さん。」
声をかけると、一瞬固まって、ギギギと俺をみてくる。
「つ、つかさ?」
「ん?そだよ。どうしたの?」
「えええええーーーーーッ!なんで起きているんだ?!1人で起きたのか?え、え?今日雨が降るのか?」
大騒ぎする父さんをみて、頬が膨れる。
「俺が、1人で起きたのそんなに驚くことかよ!」
突っ込むと、
「そうは言うが、お前が産まれてこのかた一度もそんなことなかったぞ!」
それに関しては、何も言えなかった。
「でも、司偉いな。遅くなったけど、おはよう。こうやって大切な息子が成長するのを感じで、俺は嬉しいよ。」
そう言って優しく微笑み、頭を撫でてくれる。
「今日からのテスト、頑張ってくるから。」
照れながらそう言うと、おう、頑張ってこい。って応援してくれた。
俺は椅子に座って、父さんが弁当を準備したり、朝ごはんの準備をするのを見て、
「いつもありがとう。」
そうポツリと呟くと、聞こえてたようで嬉しそうにニコニコしていた。
そうこうしていると陽斗がバタバタと音がすると思ったら、
「飛鳥さん!大変です!司が、いない!」
って慌てて飛び込んできたのをみて、俺たちは大笑いする。陽斗は、逆に俺が起きているのをみて、目を白黒させていたけど、それも面白くて涙まで出てしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして、1週間の期末テストは終わり、机の上でベタァと突っ伏した。
「や、やっと終わった・・・。」
俺と同じようにクラスの連中も、突っ伏していたが、じわじわと終わったことに、喜びの声が聞こえてくる。
陽斗が、
「よく、頑張った。」
そう一言言ってくれた。
「陽斗のおかげだよ。ありがとう!先生にもお礼を言って来てもいいか?」
頷くのを見てから、職員室にいる先生にお礼を言うと、嬉しそうに喜んでくれた。あとは、結果次第だけど、絶対今まで以上の点数が取れるはずだ。
陽斗と一緒に家に帰ると、すぐパタパタと駆け寄ってきて、
「お疲れ様、よく頑張った。」
と言ってくれた。
それが、嬉しくて、
「陽斗が、教えてくれたから・・・。それに父さんが美味しいご飯作ってくれたし、今日のお弁当もすっげぇ美味しかった。ありがとう、父さん。大好きだよ。」
照れくさかったけど、そう言うと抱きしめてくれる。
頭を撫でてくれて、「俺も大好きだよ。」と返してくれて、頑張って良かったとそう思った。
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