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5、な、な、な〜〜〜っ!

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(なかなか雄っぱいにたどり着かない!ガッテム!わぁおわ、確実にお気に入りが増えていて、嬉しい限りです。またカキカキしなきゃ!)


な、何を考えてっ!

ちょっと動揺してしまって焦ってしまう。ガタッと立ち上がると、洗濯の途中だったとベランダに行き、洗濯を干す。全て干し終えるとリビングに戻った。陽斗くんが泊まりに来ている時も変におもてなしをすることは無く自然体にしているから、こうやって客である陽斗くんを放置してても問題ない。

陽斗はるとくんは、司の部屋にいっているようだ。家事を全て終え、リビングに行くと陽斗くんも降りてくる。
「天気いいから、お布団干しちゃいました。司の分も。」
さっきまでの妖しい笑みはなく、いつもの爽やかな笑顔にホッとした。

そんな遥斗くんが、
「飛鳥さんのお布団も干しましょう。本当にいい天気なんですよ?」
というと、俺の部屋に向かっていく。は?俺の分?いやいやいや!既に俺の部屋は把握されているから、迷うことなくドアに手を掛けられ、焦った。

「い、いやいや!陽斗くん、俺のは大丈夫だから!」
だけど、声を掛けるのがひと足遅く部屋に入られてしまう。中年のオッサンの部屋は、臭いに決まっている。綺麗にするように心がけているけど、自分の部屋はなんか手を抜いてしまうというか。

慌てて部屋に入ると、じっくり内部を見られていて恥ずかしくなった。

「こら!そんなに見ない!オッサンの部屋なんかこんなもんだよ。布団はいいから、な、出よう!」
声をかけるが、俺の声を無視して奥に向かうと、位牌と遺影を見つけられ、手を合わせてくれる。

静かな時間が流れ、顔を上げると、
「司のお父さんですか?」
「・・・ああ。」
「司、そっくりですね。」
「ああ、本当に・・・ありがと、手を合わせてくれて。」
「・・・、俺、今日司が、部活って知ってました。」
「え?」
突然、意味不明なことを言われる。陽斗くんは、さっき見た真剣な眼差しをして、まだ16歳という年齢の割に大人びた表情をしていた。

「今、飛鳥さんの大切な人に、告白をしました。これからは、僕が飛鳥さんを守りますって。」
「な、なにを・・・言っている?」
「僕は、飛鳥さんが好きです。愛しているんです。」
陽斗くんが、何を言っているか分からない。俺を好き?愛している?冗談だろ?
「そんなタチの悪い冗談、言うんだな。」
彼を見ていられなくて目を逸らしながら、そういった。お願いだ、そうだと言ってくれ。

だけど、無常にも陽斗くんは、無かったことにしたかった俺の気持ちを逃がしてはくれなかった。
「僕の気持ち、否定しないでください!無かったことにしないで!どんな思いで、ここにいて、どんな想いであなたの大切な人に告白したと思っているんですか!

僕は本気で、あなたが好きだ!どうしようもないくらい、あなたに会いたくて会いたくて、どうしようもない僕の気持ちを否定しないで!」

涙をポロポロ流しながら、俺の胸に抱きついてきた。それを避けることもせずに、迎え入れると、済まないと抱きしめる。本当に俺は最低なことをしてしまった。

息子と同じ年の陽斗くんの気持ちを軽く考えしまって、いや違う。俺の心を守りたかったんだ。これまての関係が崩れてしまうんじゃないかと、息子との関係も含めて打算で行動してしまった結果、泣かせてしまった。

「ごめんな・・・陽斗くん。君の告白に真剣に取り合わなかった。ごめん。俺は、まだ司の父親のことを愛しているんだ。だから陽斗くんの気持ちは、嬉しいけど、答えられない。」
そう答えた瞬間、

「嬉しかったの?!僕の告白!」
顔を上げて、そう聞いてくる。涙で瞳を潤み、キラキラと輝かせて。その反応が予想外すぎて、思わず嬉しかったと返してしまった時には、もう遅かった。

「良かった!本当に嬉しい!少しでもチャンスがあるんなら、頑張れる!これから、覚悟しててね!飛鳥さん!絶対惚れさせて見せるから!」

そう嬉しそうに言うと、背伸びをしてチュッと唇に掠めるようなキスをされてしまった。

「な、な、な、な~~~~~~っ、何をする?!」
顔を真っ赤になって、叫ぶ。さっきまで大泣きしていたのに、悲しそうな顔はしておらず、自分の唇に指を這わせながら、
「ファーストキス♡捧げちゃった♡♡」
嬉しそうに微笑まれる。その顔は、とても厭らしくて妖艶って感じの色気ある顔をしていた。

「覚悟してください。僕、諦めませんから!」
そう俺に宣言すると、今日は帰ります。また来ますね!って俺の目の前から、去っていった。

呆然とする俺。一体、今、何が起こったのだろうか??

あの子は一体誰だ?本当に陽斗くんなのか??


しばらく放心状態だったが、窓の外をみると確かにいい天気だった。ノロノロと、布団を干して、ふと横をみるとアイツと目が合う。

「ごめん、お前以外に唇許してしまった・・・。」
ほんの少し触れたと思うぐらいの軽いものだったが、今度は絶対油断しない!
午後からは、考えないために徹底的に掃除をして、俺の部屋も片付け、匂いも気をつけたし、うん!大丈夫!

・・・って、何が大丈夫なんだよ!もう入れないに決まってるだろ!

夕方に、ヘトヘトになって帰ってきた司を出迎えて、風呂に行かせる。あー疲れたって言う司にケーキを出すと、
「あれ?これどうしたの?珍しいね。」
考えもせずに出してしまったが、下手な言い訳など俺に出来るはずもなく、
「あ、ああ、今日陽斗くんが、いつも泊まらせてもらっているお礼なんだって持ってきてくれた。親御さんが持たせてくれたらしい。」
「ふーん。そか、アイツ俺の好みも知ってるから、助かるわ。お、結構うまっ!」
嬉しそうにパクパク食べている司を見て、ほっと胸を撫で下ろした。

今日起こったことは、司には内緒にしておこう。うん。



その日は、何故か無意識に唇を触れてしまうことが多く、司から指摘されるまで気が付かなかった。

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