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第48話 魔法少女を救え!
しおりを挟む「助けて……って、そりゃぁ助けるけど!! 具体的に俺は何をしたらいいんだ? 上下部長をぶん殴ればいいのか!?」
「いや、それだけじゃ解決しないわ……! パパはママとお付き合いしているのだから、それだと余計にママが魔法少女だって確信が揺るがないものになっちゃうでしょう?」
「くそ……それなら、一体どうすれば……殺すか?」
「やめてよ! パパが犯罪者になるのはダメよ!! ママと結婚できなくなっちゃうよ!」
「え……なんで……?」
「だって、おじいちゃま……ママのパパ、刑事さんだもん」
「そ……そうなんだ」
知らなかった。
そうか、お義父さんは刑事か……挨拶の時殴られたらどうしよう————って、今それはどうでもいい!!
問題は、どうやって上下部長に生配信をやめさせるかだ……。
「魔法幼女、方法を考えるのには、もっと詳しく状況を知った方がいい。一体明日の何時何分に、上下部長はどうやってくるんだ? あと、その映像って見れたりするのか?」
「映像は未来に行かないと見れないけど……いつ来るかはわかるわ」
魔法幼女によると、上下部長が守夜家に訪ねてくるのは明日の夜7時頃。
運悪く、明日のこの時間帯、守夜美月の家族は外出していて、家に一人なのだとか……そこへ突撃してきた上下部長と魔法少女を見守る会の部員数名が家に無理やり押し入り、守夜美月が魔法少女である証拠をつかむということだった。
「普段なら、その時間怪人族が人を襲っている確率が高いから、魔法少女であるママも家にはいないはずなんだけど……なぜか明日から急にほとんど怪人族は出現しなくなるの。怪人族がどこかで出現さえしてくれていたら、もしかしたらこんなことには……って、思うんだけど…………どうして現れないのか、理由はわからなくて————」
「それは————」
紅家の女王が、人間を奴隷にすることを全面的に禁止したからだ。
さっき紅家で、そういう決まりにすると紅会長が言っていた。
古い考え方は捨てて、新しい時代を理央と一緒に作っていくつもりらしい。
これでもう、怪人族が人間を襲うことはないし、守夜美月も魔法少女をやらなくて済むと思ってたんだけど……
まさか、それが逆に魔法少女の正体が世間にバレるきっかけになってしまうなんて————
「とにかくその時間までに、ママは魔法少女じゃないって、上下が思ってくれればいいと思うんだけど……」
「魔法少女じゃないと、証明すればいいのか……それは確かに」
俺と魔法幼女は必死に考えた。
だが、早く手を打たなければという焦りからか、中々いい案が浮かばない。
「お、メースケじゃん! 何やってんだよ、こんな夜中に」
「……扇?」
偶然にも、コンビニの袋をぶら下げて歩く扇と出会った。
「えっ!? 何その子、魔法少女……? ——なんか縮んだ?」
「いや、魔法少女が縮むわけないだろ……お前こそ、なんでこんなところにいるんだ? こんな夜中に……」
「見てわかるだろー? コンビニ行って来たんだよ。ここ俺の家の近所だし」
そういえば、扇に会ったのは人質生活から解放された日以来だな……
————ん、待てよ?
「なぁ、扇……お前さ、ナイトの力ってやつで、俺そっくりに変身できたよな?」
「あぁ、そうだよ? またやって見せようか? ナイトパワーっ!!」
「いや、今やらんでいい!!」
止めたのだけど、あっという間に扇の体はキラキラしたたくさんの星に包み込まれ、俺と全く同じ姿に変身してしまった。
「す、すごい! ナイト様の力、こんな間近で見たのは初めてよ!」
魔法幼女は感動して、年相応に瞳をキラキラと子供らしく輝かせていた。
俺の姿になって代わりに魔法少女とイチャイチャしようとしていたのは腹が立つが、これは使える。
おかげで俺はある作戦を思いついた。
「扇、お前…………魔法少女にならないか?」
「……え?」
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