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第47話 未来から来た理由
しおりを挟む「やっと見つけた!!」
「えっ!? 魔法幼女!?」
どうにか解放され、遊園地に戻ろうとしていた俺の頭上に、魔法幼女が浮いていた。
俺にはそんな性癖は全くないのだが、頭上にいるもんで、幼女のうさぎさんパンツが丸見えだった。
「まったく! どこに行っていたのパパ!! 探したんだからね!!」
「探したんだからね……って、俺を落としたのはお前じゃないか……」
「それはそうだけど……」
魔法幼女はふわりと地上に降りると、頬を膨らませて口を尖らせる。
「急にいなくなるなんて聞いてなかったわ! ダメじゃない、ちゃんとどこにいるか私に報告してくれないと……」
「いや、俺だって急に連れて行かれたわけだし……」
そもそも、なんで俺がそんな報告しなきゃならんのだ。
それに、どうやって報告するんだよ。
その手段すら知らないのに……
「まぁいいわ。それより、パパ、私が未来から来たパパの娘だって話をしに来たのよ————って、あれ? よく考えたら、こちらの世界では初めましてよね? どうして、私が魔法幼女だって知ってるの?」
し、しまった!
すっかり忘れてた!!
あの時俺は狐の仮面をつけてたから、魔法幼女とは会っていないことになっているんだった!!
「あー……えーと、その、ママにちらっと聞いたんだよ! それより、俺は信じられないんだけど、本当に未来から来たのか?」
理央のこととか、ダブルデートに浮かれて忘れてたけど、よく考えたら俺はこの魔法幼女が本当に未来の娘なのかどうかも確認できていない。
あの場にいなかったことになっているから、守夜美月に聞くこともできなかったし……
「本当よ、信じられないのも無理はないけれど……私は今から10年後の未来から来たの。こう見えて、5歳よ」
「いや、年相応だよ見た目は……」
その割に口調は妙に大人びているというか、おませさんって感じだけど……
「とにかく、私がここに来たのには理由があるの。それを説明するためにこの時代のパパを探してた……。一つ目の任務は無事に完了したと思ってたんだけど……なかなか難しいものね。一つ変更すると、他で別の悪いことが起こっちゃう……まぁ、とにかく今から私がする話を聞いて欲しいの」
魔法幼女はこの時代へ来た理由を話し始めた。
* * *
「な、なんだよそれ……そんなことって……!!」
「信じられないかもしれないけど、これは事実よ」
魔法幼女の話によると、俺が紅家に連れて行かれていた間に、暴れていた怪人族と戦う魔法少女の姿を目撃した人物がいて、その人物は魔法少女の正体に気づいてしまったらしい。
本来なら、あの花火大会の時にそれが起こるはずだったのだが、魔法幼女が魔法少女の変身バッチを勝手に持ち出したおかげで、回避できた。
しかし、今回の目撃された現場には未来で知らされていた数と違う多くの怪人族が現れてしまったため、代わりに怪人を退治しようとした魔法幼女だけの手には追えなかったのだ。
だから、魔法少女に手伝ってもらおうと連れて行ったのだという。
それに、俺にもファン様としてサポートをお願いしたかったのだとか……。
それが実際には俺は行方不明になってしまったし、仕方がないから親子二人で怪人を退治して来たらしい。
それで、その現場を目撃されたというわけだ。
そして、その目撃した人物というのがなんと、上下部長。
上下部長はあの日、魔法少女を助けずに撮影を続けていた日に俺が気を失わせていたため、記憶が飛んでいたそうなのだが、つい先日急に全てを思い出して、守夜美月が魔法少女ではないかと疑い始めていたところだったらしい。
「明日の夜、上下がカメラを持ってママを訪ねてくるわ……生配信で事実を確認しに来るの……————魔法少女に直撃インタビューって銘打ってね」
この生配信の映像のせいで、守夜美月が魔法少女であることが世間にバレてしまう。
最初は正義の味方としてもてはやされるのだが、魔法幼女がいる10年後の未来で事件が起こる……
過去に魔法少女が退治した紅家の怪人族の子供が成長し、その映像を見て魔法少女を引退した守夜美月を殺しに現れる————
「私はそれを阻止するために、この時代に来たの。お願い、パパ……ママを助けて」
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