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第5話 謎の仮面男
しおりを挟む「おかしいな……魔法少女現れないぞ? 本当にここであってるんですか? 部長」
「ハァハァ……過去の目撃情報から推測して、ここだと判断したんだ……ハァハァ……やはりまだデータが足りなかったか?」
怪人に吹き飛ばされたせいで痛む体をなんとか引きずって、部長が予想した場所に行くと、何台ものカメラにドローンまで用意されていて、魔法少女を見守る会は、なんとしてでも魔法少女の姿をとらえようとしていた。
扇は集合時間に遅れて来た俺がボロボロの姿なのを見て、
「どうしたメースケ! 怪人にでも襲われたか?」
っと、笑い飛ばした。
その通りだよ!っとこの状況で言えるはずもない。
いくらカメラに顔ははっきりと映らないとしても、追い回されて、後をつけられてしまったら、魔法少女の正体がわかってしまう。
やはり俺がなんとかしなければ……
「……部長、魔法少女ならここへ来る途中に見ました」
「なんだって? それは本当かい? ハァハァ……新入り君!!」
「もう怪人と戦った後だったみたいなんで、今日はもう現れないんじゃないでしょうか? いや、現れないでしょう!! 帰りましょう!! さぁ、ほら、先輩方も!!」
俺は嘘の目撃情報を伝え、この日はなんとか魔法少女を見守る会の魔の手は解散ということにさせた。
しかし、いつか本当にこの部長の予想が当たってしまう可能性は十分にある。
それに、この会の他にも魔法少女の存在をこの目で見ようとしている輩はたくさんいるかもしれない。
本当は今すぐこの会を辞めたいが、残ってここに集まって来る情報を集めようと思った。
* * *
入学から2ヶ月が過ぎた頃、守夜美月とはいまだに話したことがなかった。
同じクラスになったとは言え、2年間ずっと片思いしていたんだ。
自分から話しかけることなんて絶対できないし、席も離れているから授業で同じ班になることもなかった。
その代わり、俺は放課後、彼女の魔法少女の活動を守ろうと、常に部長が予想した場所に魔法少女が行かないように工作したり、気づかれないよう機材に異常を起こしたりしてやり過ごしていた。
だが、何度も俺は魔法少女より先に怪人に遭遇することもあり、場合によってはこの前のように彼女が現れるのが遅く、俺が助けなければならない状況もある。
そのことに気がついた俺は、怪人と戦うにはどうしたらいいかを研究した。
部室にはさすが魔法少女を守る会という名前なだけあって、怪人族に関する資料もあり、勉強は得意じゃないのに、彼女のためだと思うとすんなりと知識が頭の中に入って行く。
それと同時に筋トレも始めた。
「おかしい。ここ最近、何者かが我々のこの会の邪魔をしているように思えてならない……!! ハァハァ」
しかし、流石に部長たちは気づき始めた。
「それに、知っているか? 一般の目撃者の話によると、最近は魔法少女の他にもう一人謎の仮面をつけた男が現れるというじゃないか……ハァハァ」
謎の仮面をつけた男————そう、それは俺である。
彼女を助けるために、怪人に襲われている人にはどうしても姿を見せなくてはならないこともあり、俺は通販で仮面を買った。
フルフェイスだと夏場暑そうだし、何より持ち運びが面倒だから目元だけを隠す仮面舞踏会とかで昔の貴族がしていそうなやつだ。
仮面に合わせて、黒いマントとかも買ってある。
決して、コスプレではない。
断じて、あれのコスプレではない。
「魔法少女にとっては、味方かもしれない……ハァハァ……でも、我々、魔法少女を見守る会にとっては敵だ!!!」
「そうだ!! そうだ!!」
「仮面の男を許すな!!」
部長たちはかなり怒っている。
その仮面の男が俺だ、なんて絶対に言えない。
そして、その日の夜。
俺は仮面をつけ、いつものように先回りして魔法少女をこっそり見守っていたが…………
「キャーっ!!! 誰か!! 誰か助けてええええ!!」
「アハハハハハハ!!! 大人しくしろ人間!!」
「そうだ! そうだ! 俺たち怪人族の奴隷となるのだぁぁ」
この日は怪人が、一つの現場に2人いた。
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