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第三章 新月の夜
第26話 生生流転
しおりを挟む「死んだ?」
「我が主様が?」
「飛鳥様が?」
「なぜだ?」
「最後にお見えになったのはいつだ?」
5匹……と言っていいのだろうか、蕪妖怪たちは円陣を組みながら相談を始めた。
(こいつら、胴上げとか、円陣とか…………小さいのに体育会系だな)
蕪のサイズとしては、一般的なスーパーで見るより大きいサイズではあるが、人間の俺からみたら小さい。
しかし、その体から生えている腕はボディービルダー並みのムッキムッキだった。
そのアンバランスな体と、一つ目というのが妖怪らしく気持ち悪いがこの際それはどうでもいい。
長い話し合いの結果が出たのか、蕪妖怪たちは話し合いが終わるのを待っていた俺たちの方を一斉に見た。
「おい、そこの白髪の男!!」
「な、なんだ!!」
「お前が飛鳥様の孫だというのなら、我らはお前を通すことはできぬ」
「は? なんでだよ!! 早くしないと、玉藻が…………」
「その玉藻のせいだ」
蕪妖怪の1匹が、代表して甲高い声で話した話は、その声とは裏腹に恐ろしい話だった。
「この先の殺生石は、男の声がするとその強い妖力によって、結界を破ろうと話しかけてくるのだ。男は近づいてはいけないのだ。骨抜きにされて、死んでしまうぞ。封印を強めたいなら、女に生まれることだ」
「は!? そんなことできるわけないだろう!?」
「じゃあ、帰るのだ」
そう言って、蕪妖怪たちは俺たちの行く手を塞ごうと一列に並んで肩を組み壁を作る。
(ここまで来て、なんて理不尽な!!)
確かに、神社で狛六も言っていた。
男は殺生石に近づいてはいけないと。
だけど、俺が行かなきゃ、封印を強めることができない。
もたもたしていたら、あの玉藻の一部が封印を解きにきてしまう。
「颯真、いいことを思いついたよ!!」
俺がどうするか困っていると、ユウヤは突然ぽんっと手を打って、とんでもないことを言い出した。
「女の子になろう!!」
「は!?」
「刹那と入れ替わるんだ」
「は!?」
俺はついにユウヤがおかしくなったと思ったが、どうやら刹那はその意図がわかったようで…………
「ユウヤ……あんたまさか、私の体に颯真を入れるつもり?」
「さすが刹那! その通りだよ!」
ユウヤはさすが刹那だと、オーバーリアクションで褒め称えているが、俺は全然理解ができない。
「え、待って。話が見えないんだが……」
俺の話なんて聞いちゃいない刹那は、ガシッと俺の両肩を掴んで、目を見つめて言った。
「仕方がないわね……颯真、私の体に変なことしたら許さないからね?」
「いや、待て!! 意味がわからない!!」
だんだんと、刹那の顔が近づいてくる。
刹那の白檀の香りが、俺を包み込んだ————————
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