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最終話
しおりを挟むああ、診療所の先生ですよね?
この島に1年だけいた……名前、なんでしたっけ?
長く働いてらした平先生は覚えてるんですが、その先生にはあまりお会いしたことがなくて……
えーと、今、その先生がどこにいるかですか?
さぁ、知りませんよ。
この島から出た形跡がない?
いやいや、そんなわけないでしょう?
こんな田舎の島、いたらすぐにわかりますって。
そんなに広くもないですし、みんな知り合いみたいなものですから……
だから、知りませんよ。
どこにいるかなんて……
この先生、何かしたんですか?
え……?
先生じゃない?
違う?
医者じゃない?
え……?
どういうことです?
え?
ちょっと意味がわからないんですけど……
それじゃぁ、本当は別の人が来るはずだったのに、その人になりすましていたってことですか?
いや、私はその、生理不順で月に一度くらいしか診てもらったことがなくて…………
だから、詳しくは知りませんよ。
いつもお薬処方していただいて、それで終わりです。
変なことは別にされませんでしたけど……
っていうか、その人、誰だったんですか?
お医者さんじゃなかったんですか?
それに看護師の多田さんや受付の滝川さんは?
あの人たちも騙されていたんですか?
ええ、そうですよね。
あの二人はずっと前から……平先生がいらした時から診療所にいましたし、この島出身の方達ですもんね。
当然知り合いですから、わかってますよ、それくらい。
じゃあ、お二人もあの人が新しいお医者さんだって信じてたってことですか?
1年も?
うわぁ……なんですかそれ、怖い。
それで、その人は何かの病気だったんですか?
……え?
自分を美容外科の医師だと思い込んでいた……?
うわぁ……なんですかそれ、怖い。
そんな人、世の中にいるんですか?
自分を全くの別人だと思い込んでるなんて…………怖いですね。
あなたも、実は刑事さんじゃなかったりして……って、そんなわけないか……
うふふ、冗談ですよ。
(了)
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お読みいただきありがとうございました!
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こちらそこ、コメント頂きありがとうございます。