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番外編
朝にいちゃいちゃするだけのお話 ( 書籍化記念SS )
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エミリア:元ご奉仕メイド。現在は王城で騎士団メイドとして働く。大好きなランドルフ(通称ラルフさま)と結婚して王都の屋敷で暮らし、幸せいっぱい。
ランドルフ:騎士団長、次期侯爵。巨根過ぎてご奉仕メイドに逃げられまくっていたが見事エミリアを射止める。大好きなエミリアと結婚して王都の屋敷で暮らし、幸せいっぱい。ドSだったが結婚して丸くなってきた。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
私エミリアの朝は、大抵腕まくらで起きる。
結婚してから、朝起きるとラルフさまが後ろから抱きしめてくださる頻度が増えた。
この逞しい腕が安心するのだけど、お腹に乗っかっていると重い……!
お仕事の日でも、朝食前にランニングをして体力作りをしたいのに。いくら鍛えている私でもラルフさま相手じゃ抜け出せないのが悔しい。
しかし気持ちよさそうな寝息が聞こえるから、起こすのも忍びない。
だから私は寝返りを打って、ラルフさまの寝顔を堪能するのが日課になっている。
――この寝顔に一目惚れしたんだよなぁ……。
配属先が決まって騎士団メイド長に挨拶をした帰り道の中庭にある木陰で眠っているところを見つけたんだっけ。
本当に睫毛が長くて、顔立ちも整っている。この神秘的な黒髪も、艶やかで美しい。
そういえばあの頃よりも、随分ラルフさまのこと詳しくなった。
自然に笑った時に少し目尻が下がるところとか、髪を触るとちょっと硬い毛なのが、私くらいしか知らないと思うと、ちょっと、……いやかなりキュンとしてしまう。
こんなにも素敵な夫ができるとは、以前の私に話してもきっと信じないだろうなぁ。
もちろん顔立ちじゃなくて、意地悪だけど本当は心底優しい、その中身が一番好き。
溢れる想いが止められなくて、ラルフさまの胸板に頬ずりをすると、先ほどまでよりも強く抱きしめられた。
「起きてたのか……」
「おはようございます、ラルフさま。起こしてしまってすみません」
起こすつもりはなかったので、眉を下げて謝る。するとラルフさまは、ふっと柔らかい笑みを浮かべた。
――あ、また目尻が下がってて可愛い……っ!
「おはよう、エミリア」
額にキスが落とされ、いつも通り私のことを大好きって眼差しでラルフさまが見つめてくる。
その熱視線が、あまりに幸せで。でもどこか気恥ずかしくて。
照れ隠しで、つい口を尖らせて可愛くないことを聞いてしまう。
「毎朝抱きしめてくださるのは嬉しいですけど、寝る前は少しだけ離れていますよね!? どうして寝てる最中に抱きしめるんですか? 私は抱き枕じゃありませんっ!」
「っふ。抱き枕にしているつもりはないんだが。……寝ている最中にエミリアがコロコロ転がっていくものだから、ベッドから落ちないよう捕まえておいている」
「え、ええっ!?」
――まさかの私が原因!? 確かに寝返りは打つほうだけど、そんな心配をしてくださっていたの!?
恥ずかしすぎて、思わず顔がぼっと熱くなる。
そんな私を見て、ラルフさまはくすくすと笑いながら呟く。
「後は、お前の体温が子どもみたいに高くてあったかいからだ」
「え!?」
「それに石鹸のいい香りもする」
そう言うと、私の首筋に顔を埋めて、息を大きく吸った。
「……ひゃ、嗅がないでください……んぅっ」
息が吐かれたと思えば、鎖骨に強く口付けられて、跡を残される。
そして私の上に覆いかぶさるような体勢になったラルフさまを、うらめしげに見上げる。
「ちょっとラルフさま! そんなところに跡をつけたら、髪の毛を結べなくなるじゃないですか~っ!」
頬を膨らませていると、なぜか私の胸元で肩を震わせているラルフさま。
次第に揺れ幅を大きくなり、いよいよ声を出して笑い始めた。
「ら、ラルフさま……?」
珍しく大笑いしている夫に戸惑い、心配になって肩をさする。
すると段々と私まで可笑しくなってきて、一緒に笑ってしまった。
「ふふっ。もう、なんでそんなに笑って……?」
「っいや、改めてエミリアは、怒っても可愛いなと思って……」
「わっ」
急に背中に腕が回ってきたかと思えば、抱き上げられて私がラルフさまの身体の上に覆いかぶさる体勢になった。
近い位置にあるラルフさまの頬に口付けすれば、すぐに後頭部をおさえられて、唇を奪われる。
触れるだけの優しいキス。彼をぎゅっと抱きしめて胸板に耳を当てると、心臓の音がする。
「このままもう少しだけ、二度寝するか」
「そうですね」
ラルフさまのウッディな香りと体温に包まれて、安心からか眠気が襲ってくる。
この平和な時間がずっとずっっと続きますように。瞼を閉じながら、心の中で女神さまに祈った。
エミリア:元ご奉仕メイド。現在は王城で騎士団メイドとして働く。大好きなランドルフ(通称ラルフさま)と結婚して王都の屋敷で暮らし、幸せいっぱい。
ランドルフ:騎士団長、次期侯爵。巨根過ぎてご奉仕メイドに逃げられまくっていたが見事エミリアを射止める。大好きなエミリアと結婚して王都の屋敷で暮らし、幸せいっぱい。ドSだったが結婚して丸くなってきた。
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私エミリアの朝は、大抵腕まくらで起きる。
結婚してから、朝起きるとラルフさまが後ろから抱きしめてくださる頻度が増えた。
この逞しい腕が安心するのだけど、お腹に乗っかっていると重い……!
お仕事の日でも、朝食前にランニングをして体力作りをしたいのに。いくら鍛えている私でもラルフさま相手じゃ抜け出せないのが悔しい。
しかし気持ちよさそうな寝息が聞こえるから、起こすのも忍びない。
だから私は寝返りを打って、ラルフさまの寝顔を堪能するのが日課になっている。
――この寝顔に一目惚れしたんだよなぁ……。
配属先が決まって騎士団メイド長に挨拶をした帰り道の中庭にある木陰で眠っているところを見つけたんだっけ。
本当に睫毛が長くて、顔立ちも整っている。この神秘的な黒髪も、艶やかで美しい。
そういえばあの頃よりも、随分ラルフさまのこと詳しくなった。
自然に笑った時に少し目尻が下がるところとか、髪を触るとちょっと硬い毛なのが、私くらいしか知らないと思うと、ちょっと、……いやかなりキュンとしてしまう。
こんなにも素敵な夫ができるとは、以前の私に話してもきっと信じないだろうなぁ。
もちろん顔立ちじゃなくて、意地悪だけど本当は心底優しい、その中身が一番好き。
溢れる想いが止められなくて、ラルフさまの胸板に頬ずりをすると、先ほどまでよりも強く抱きしめられた。
「起きてたのか……」
「おはようございます、ラルフさま。起こしてしまってすみません」
起こすつもりはなかったので、眉を下げて謝る。するとラルフさまは、ふっと柔らかい笑みを浮かべた。
――あ、また目尻が下がってて可愛い……っ!
「おはよう、エミリア」
額にキスが落とされ、いつも通り私のことを大好きって眼差しでラルフさまが見つめてくる。
その熱視線が、あまりに幸せで。でもどこか気恥ずかしくて。
照れ隠しで、つい口を尖らせて可愛くないことを聞いてしまう。
「毎朝抱きしめてくださるのは嬉しいですけど、寝る前は少しだけ離れていますよね!? どうして寝てる最中に抱きしめるんですか? 私は抱き枕じゃありませんっ!」
「っふ。抱き枕にしているつもりはないんだが。……寝ている最中にエミリアがコロコロ転がっていくものだから、ベッドから落ちないよう捕まえておいている」
「え、ええっ!?」
――まさかの私が原因!? 確かに寝返りは打つほうだけど、そんな心配をしてくださっていたの!?
恥ずかしすぎて、思わず顔がぼっと熱くなる。
そんな私を見て、ラルフさまはくすくすと笑いながら呟く。
「後は、お前の体温が子どもみたいに高くてあったかいからだ」
「え!?」
「それに石鹸のいい香りもする」
そう言うと、私の首筋に顔を埋めて、息を大きく吸った。
「……ひゃ、嗅がないでください……んぅっ」
息が吐かれたと思えば、鎖骨に強く口付けられて、跡を残される。
そして私の上に覆いかぶさるような体勢になったラルフさまを、うらめしげに見上げる。
「ちょっとラルフさま! そんなところに跡をつけたら、髪の毛を結べなくなるじゃないですか~っ!」
頬を膨らませていると、なぜか私の胸元で肩を震わせているラルフさま。
次第に揺れ幅を大きくなり、いよいよ声を出して笑い始めた。
「ら、ラルフさま……?」
珍しく大笑いしている夫に戸惑い、心配になって肩をさする。
すると段々と私まで可笑しくなってきて、一緒に笑ってしまった。
「ふふっ。もう、なんでそんなに笑って……?」
「っいや、改めてエミリアは、怒っても可愛いなと思って……」
「わっ」
急に背中に腕が回ってきたかと思えば、抱き上げられて私がラルフさまの身体の上に覆いかぶさる体勢になった。
近い位置にあるラルフさまの頬に口付けすれば、すぐに後頭部をおさえられて、唇を奪われる。
触れるだけの優しいキス。彼をぎゅっと抱きしめて胸板に耳を当てると、心臓の音がする。
「このままもう少しだけ、二度寝するか」
「そうですね」
ラルフさまのウッディな香りと体温に包まれて、安心からか眠気が襲ってくる。
この平和な時間がずっとずっっと続きますように。瞼を閉じながら、心の中で女神さまに祈った。
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