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⒊
しおりを挟む「私たちはね、通話の魔道具を持っているの。映像付きのやつよ。仲が良かった私たちのために、両家の親が買い与えてくれたの。確かに王都の学園と領都の学校では習うことは違うわ。でも、その魔道具でお互いのわからないことを教えあってたの。だから直接会えなくても寂しくなかった。でも私の両親が亡くなり、兄が当主となって公爵家は態度が変わったの」
公爵家は私を格下と見下しはじめた。
『給料を支払う必要のない使用人』と嘲笑っていたのだ。
借金を踏み倒す代わりに嫁として引き取ってやるのだと。
あの最低最悪な婚約破棄騒動。
それは公爵家が借金を全額耳を揃えて返し、慰謝料を上乗せにして我が家へ支払うため。
「お芝居だったの。上手だったでしょう? でもね、真っ直ぐだったあなたの目が濁り、歪んだ目になっていなければもっと前に気付いたはずだわ。私たちの両親が公爵に殺されたという事実を。私たちの結婚後に兄を亡き者にして、正当な後継者の私を女当主にして乗っ取る計画だと」
つーっと右目から涙がつたう感触を頬に感じた。
「正当な方法で公爵家の罪を暴き、私たちを救ってくれていたら……。私はあなたが差し伸べてくれた手に、笑顔で重ねることができたのに……」
「もう……ダメなのか?」
「あなたの手は罪なき家族の血で染まってしまった。あなたの命令で地下牢に残されていた一家は……処刑されたのよ」
そういって、彼が来る前に読んでいた一部の新聞をみせる。
そこには五日前に公開処刑された一家の……並んで吊り下げられた姿が紙面一面に掲載されていた。
『無実の罪を着せられた一家、王子の命により処刑執行される』
『助命の嘆願も届かず』
『王家にとって我らの生命は塵芥と同じ!』
王家を憎む見出しが紙面を飾る。
届けられた新聞十社で特集が組まれている。
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