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第一章

人の心を持ってないって周りは言ってる

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なんの発展しない話し合い。
三人が説明しないせいで、みんなが雑談に入っている。
─── 神獣たちの話ではこのあとが控えているというのに。

「おーい、キュリオ。お前がこの計画のリーダーだろ。みんな揃ったんだから早く説明しろよ」
「え? キュリオってウチの?」
「そうそう」
「チーターのキュリオかよ!」
「ほかの二人はどこの誰だよ」

私の言葉に、それまで遠回しという形で会話に参加していたテーブルから驚きの声があがった。
そりゃあ、サーバーが違うため合同チャットでしか絡みがなかったから仕方がないんだけどね。
アイツら、自己紹介もしてないのか。

「お前ら、自己紹介くらいしろよ。それとも他己紹介されたいか?」
「俺たちは他己紹介タコでもいいぞ」
「んだ」
「ンダンダ」
「ウガンダ」
「フガフガ」

いつもの流れになっていく私たち。
それに笑いが含まれていった。


みんなからの情報は特になかった。
私は神獣たちから情報を得ていたが、そちらの情報は伝えていない。
意地が悪いというわけではなく、どこまで情報を出せるかが分からないからだ。
そして……キュリオは私に説明した以上のことは伝えていない。

「それで~? をどうするの? 私たちの雑用をしてもらって良いわけ~」
「とりあえずさあ、お茶淹れてよ。喉かわいたんだからさあ」
「役に立たないんだから、気ぐらい利かせなよ」

その一瞬で周囲の空気が冷えた。

「止めろ、撫子!」
永遠とわもバカなこと言ってんじゃねえよ」
「えー? だって役立たずじゃん」
「だいたい、なんでここにいるのよ」
「そうそう。不参加なら出てけって」
「お前らの方がな」

永遠とわと撫子、正確には『大和撫子』というアバターたちは性格の悪さではロミンのはるか斜め上をいく。
特に撫子の方はパートナーが最強ランクに入る強さを持っており、性格悪の根性悪で有名な荒らしアバターだ。
そのため正論を吐くロミンより嫌われている。
見た目は二人とも大学生くらい。
ただオツムの出来は小学生以下のようだ。
周囲の様子から、私が入る前にすでに一戦交えたということか。

《あれは放っておけば大丈夫です》
〈何かあるの?〉
《精神が壊れています》
〈そういえばゲーム中でも煽りが酷かったな。弱いアバターがルールを破られて抗議したら『弱いお前が悪い』って嘲笑ってた〉
《最低ですね》
〈あれはロミンと同じかそれ以上の悪女だね。な~にがだ。名前負けしてるじゃん。あっちの永遠とわはただの荒らし。撫子が絡んだ一件に合同チャットで『泣き寝入りしろ。ヴァーカ!』って言ってさ。相手が自分と同じギルメンだったらしいけど、個チャで『泣き言言いたいなら死んでから言え』って送ったらしいよ〉
《酷い話ですね》
〈人の心を持ってないって周りは言ってる。あの二人のせいでゲームをやめていく人が増えたんだ〉

たぶん、それが原因で三人はこんな強硬手段にでたんだと思う。
数万円の課金者ですら離れたくらいだ。
─── そう考えたら、この二人が一番の原因じゃない。
この二人にはキュリオたちと一緒に責任とってもらいたいわ。

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