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【IN場】新概念をたくさん出しても読者が無理なく理解できるようにする工夫
しおりを挟むまず、言葉の意味をそろえておきたい。
・新概念:読者が初めて知る概念
・場:「ある規格化された対象(standardized object=SO)」の座標や、対象間の関係性を把握するための「特殊な環境」
ex空間場:「SO=物体」。時間を無視すると、縦横高さという指標で座標が把握できる。SO間の関係性(距離)も、縦横高さという指標によって表される。
・無理なく理解できる:3秒以上考え込むことなしに、一旦は理解できること
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さて、「場」という言葉が厄介。なんやねんこいつと。
ただ、「場」の概念は個人的にはめっちゃ有用だし今後の議論にも入ってくるので、あなたと認識をすり合わせておきたい。
例えば「ポケモンバトル」。これは場の一種。技・特性・持ち物などをもつポケモン(SO)が1v1または2v2をする。対象間の関係性は、タイプ相性がわかりやすいだろう。
例えば「恋バナ」。SOはそこにいる人+話題に上がる人。関係性は、そりゃもう人間関係、それも「恋」とかいうややっこしいやつ。把握が難しい場ですよホント。
ーーーーー
ひとまず雰囲気レベルでいいので、「場」の認識をそろえさせてもらった。
では、「新概念をたくさん出しても読者が無理なく理解できるようにする」という目的に対して、どう活用するか。
現時点での私の解は、
①「人間が物事を理解するときの『場』の力学を知り、それに従うように作品の中に情報をちりばめる」
②その『場』は、Information Network場(IN場)である。
③IN場のSOは「情報」。主な力学は「論理的関連性」「感情的関連性」「比喩的関連性」「抽象具体的関連性」「五感的関連性」。
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さっそくInformation Network場の考察に入るが、まずイメージから。
「網目が不均等な網」。以上。
なんやねんそれと。いまから具体的に説明するからちょっと耐えてほしい。
まず、網目(つまり網と網の交差点)=1つの情報。そして、網目と網目をつなぐ線の部分が、「関連性」。
で例えば、「リンゴ」と「バナナ」は近い網目にあるけど、「リンゴ」と「ボボボーボ・ボーボボ」はそれより遠い。すべての情報が均等な距離・太さでつながっているわけがない。
ーーーーー
一旦IN場のイメージが済んだところで、じゃあ人はどのように新しい物事を理解するのか。
IN場を用いて言うと「すでに自分が知っている事柄との関連性を見出し、自分のもつIN場のどこかに位置づける」ことではないか。
A「ねぇねぇ、グァバって知ってる?」
B「なにそれ知らない」
A「なんかイチゴみたいな味で~、南国果実なんだよ!」
B「へ~」
ここでBさんが「イチゴ」と「南国」を知っているとすると、BさんのもつIN次元にグァバが「味はイチゴに近い。じゃあちょっと酸っぱくて甘い」「南国果実ってことは、マンゴーとかパイナップルと地理的に近い?」という形で位置付けられるだろう。よっぽどのことがないかぎり、「へ~、ってことはグァバは半導体製造において必須レベルの技術なんだ」とIN次元に位置付けられることはない。
「グァバ」がBさんのIN次元に入りこみ、「誰かボクチンと繋がって~」と懇願する。「イチゴ」が「やれやれ、似た味同士仲良くしようぜ」と「グァバ」に橋をかける。「パイナップル」も「近いところで作られてるし仲良くしようぜ」と「グァバ」に橋をかける。
グァバは孤独ではなくなり、BさんのIN次元の中に居場所を得た。
ーーーーー
ここまでが「場の形と変化を理解する」基礎研究だとしたら、ここからが「場を活用する」応用研究。
先に確認しておくが、小説家にとって、いやSF作家にとって、いや私にとって「読者にとっての新概念を出す」目的は大きく3つ。
①思いついたからとりあえず知ってほしいよぉぉぉぉ!!!(目ウルウル懇願)
②読者がより深いカタルシスを得るための下準備(よいしょよいしょ)
③読者ひいては社会のなにかしらの「認識」を変える(世界変えるぞ!!!)
このために、何がなんでも読者に新概念を理解してもらう必要がある。なにが!なんでも!
しかし、難しい説明だと読者は離れてしまう。それじゃあ①②③は達成されない。「無理なく」理解してもらうことが重要なのだ。
そのために、「うまい橋のかけ方を知り描写に活かす」ことが重要だと今は考えている。
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それが先ほどいった「論理的関連性」「感情的関連性」「比喩的関連性」「抽象具体的関連性」「五感的関連性」。
これら5つの「橋」を、読者がすでに持つIN次元と新概念の間に架けてあげればよいのではと。
具体的に見てみる。
①「論理的関連性」:宇宙でさ、「ビッグバン(既存の知識)」の後に、「インフレーション(新概念)」が起きたんだよ
②「感情的関連性」:「パルポス(新概念)」に触れるとね、なんだか「子供のころの春の日のような懐かしさを覚えるんだ(既存の知識)」
③「比喩的関連性」:「女性が【この化粧品は爆盛れる!】(新概念)」と言っているのは、「男性が【このデッキならガチで勝てる】(既存の知識)」みたいなもんだよ。
④「抽象具体的関連性」:「ホログラフィック原理(新概念)」って知ってる?ひろくいうと宇宙がどうなっているのかっていう「宇宙論(既存の概念)」のひとつなんだけど。
⑤「五感的関連性」:「あの祠(新概念)」にいくとね!「辺りが真っ暗になってぬるい風が吹くの(既存の概念)」
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一つ留意すべきなのは、読者層によって「この橋は渡りにくいな…」「この情報はどんな橋もかけにくいな…」という指向性があることだ。
たとえば普段から「深い感情」を扱う作品を読んでいる人は、新概念が感情的関連性によって既存概念と橋をかけてくれれば理解しやすいだろう。しかし論理的関連性という橋をかけられたら理解しにくい。
また、そもそもじゃあ「ロボットアームVI型」のような機械機械した情報には、いくら丁寧に小説内で口酸っぱく橋がかけられていても、その読者のIN次元に強固に位置付けられることはないだろう。そもそも「ロボットアームVI型」に橋をかけられるような情報が少ない。
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結論としては、
①想定している読者のIN次元を仮定してみる (特に、すでにどんな情報をもっているか、どんな橋なら渡って新概念を取り込みやすいか
②①に基づいて、それを小説描写や絵に落とし込む
あたりが今の私の思考結果である。
言うは易し、行うは難しすぎる…
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