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4章 聖地内戦終結
雪に閉ざされた世界。
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「さてさて~、ここは全人類の憧れ、水の聖地ですよ~。じーーっくり見て行って下さい? ただせいぜい頑張って……待合室で凍死しないようにしてくださいな。ふふっ」
ノーティスの笑い声が吹雪の中で響く。
もうすでに、完全に視界が雪に閉ざされていたっ!
びゅおおおおっ!
室内には白銀の雪と突風が吹き荒れている。
そこは……猛吹雪に閉ざされた、零下の世界ができあがっていた。
「おいおい……まさか奴ら、〝ドリーミング・コンキスタ(夢見花園)″まで使用すると言うのかっ!? あの人数なのだぞっ。しかもここは奴らの最も守るべき聖域なのだというのにっ!?」
ギリンガムが右往左往するっ!
その眼は恐怖に怯えていた。
「やべぇ……やべぇぞギリンガムっ! これは予想外だぜっ。ここは水の神の聖域。水の魔法以外が使えねえなんてやっべぇなんてもんじゃねえよっ!」
ここは蒼の聖域。
炎を出したくてもマナがないので出せない。
木も風もそして火までもが全て水に侵された、神聖なる水の領域。
「はぁはぁ……。このままでは体温もすぐに下がるなっ! なんとかせんといかんっ」
「短期決戦か……逃げるか。そのどっちかだぜっ!」
「逃げるぅ? 馬鹿を言えっ! 逃げれば負けに等しいのだっ。やるしかないぞ傭兵っ。かかって来いっ、ノーーーーーティーーースっ!」
そういきり立ち、ギリンガムが叫んだものの……見渡す景色は白ばかり。
キョロキョロとギリンガムが辺りを見回すが、敵がどこにいるのかさえ掴みきれない。
一つだけ分かったのは、口を開けただけで口内に雪が入って、とても鬱陶しいという事。
「ぺっ。しかし奴らめ、こんな大技をよくもあの人数で使えるもんだなっ! 天候を変えるなどという大技は最難度っ! 極大魔法じゃないかっ。少し舐めておったわ……」
「……そりゃまっ、ノーティスが居るからな」
「ほぉ、ノーティスとやらはそれ程、すさまじい魔力を持っているのか? このレベルの物は戦場でも滅多にお目にかかれん特大魔法だぞっ!? 宮廷魔術師でも選抜の選りすぐり。それが30でも、30分持たんと言えるのにっ。冷静に考えればそうだ……少し待ってみるのも、良いかもしれんな?」
この世界で最も上位に位置する魔法。
それが天候を変える力である。
水の魔法でもなんの魔法でも維持し続けようとすると、そのMPがガリガリと削られるのだ。
当然、自然災害規模を維持するならその傾向は強くなる。
この〝ドリーミング・コンキスタ(夢見花園)〟を維持している以上は今、ノーティスのMPは0コンマ秒の速さで消えているはずっ!
だが……。
「いやっ。あいつば恐らく……〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を持ってる。多分待っても無駄だぜギリンガム。春まで眠りにつきたいなら別だがよっ」
「〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″……だと? ははっ、何を馬鹿な。あれは水の民筆頭しか持たない特殊な物っ! あのマッデン……。人類の全てのクソをかき集めた時に放つ、異臭と同じ臭いを放つクソのデブっ! あのイカれクズゴミがそれをあの女になんぞ渡すわけがないっ!」
「はぁ……はぁっ。だが事実、な。はっきりと見たんだよ、俺はさっ」
ヴィン・マイコンが寒そうに上腕をさすりながら地団駄を踏むっ!
「なに……? ふむ……いや、だが。いかに傭兵王のお前が言う事でもにわかには信じられないな。でも仮にそうだとするならば、奴の本当の出自が限られていくぞ」
「そんなもんどうだって良いっ! あの女の股ぐらがどっち向いて開いてようと何だってんだっ!? なんか無いのかギリンガムっ。今はなんとか……あぁクソっ! こういう時にレキが居れば問題ないんだがなっ」
苛立ちを隠せないヴィン・マイコンっ!
寒さはすでに、彼の末梢神経を汚染し始めている。
その時だったっ!
ヒュンっ!
氷の刃が、ヴィン・マイコンの斜め後ろから飛んできたっ!
「クッ!?」
「……っ!?避けた」
その氷の末路に一番驚いたのはノーティスだっ!
「ふふっ、どうやらヴィン・マイコンという男はもう、何と言うか……異次元らしいですね。ですが、先ほどの一撃。かなり惜しい気配がしました。これは身体能力の低下が原因か、それとも……」
考え込むノーティス。
この状態になって少し、余裕が出てきている。
白銀の世界の中でさえ艶めく、シロガネの髪を触りながら……舌なめずりして笑う。
「少し実験と行きますか」
舌を出し笑うと……魔法をヴィン・マイコンに打ち込み始めたっ!
色とりどりに。
ヒュンっ!ヒュンヒュウっ!
「……」
火水風土。全ての魔法が飛んでくるっ!
「ふぃっ、よっせっ! おっ、火はありがてえなっ! アッチっ!?」
ヴィン・マイコンは運動がてら、飛んでくる全てを的確で完全に避けていっている。
「だがクソアマが……調子に乗りやがってっ! 見えてんだよてめぇっ。そんなでっかいモンぶら下げてりゃあ、嫌でも見えるっつぅんだ。かぁっ……ぺっ!」
華麗に避けながら悪態をつき、一点を睨むヴィン・マイコンの目は、険しい。
ヴィン・マイコンは魔法を避けながらも攻撃に転じようとはしないのだ。
ただひたすらに逃げ惑うのみ。
「どうした物か……。全ての攻撃が見切られている? いや、唯一氷だけは光明がありそうですね。だがそれは、この状態ならまぁ仕方ないはず……か?」
広がる猛吹雪を見るノーティス。
確かに白に白を重ねれば、人間誰しも見えにくくなって当たり前だ。
だが……何か腑に落ちないノーティス。
ヒュンっ!
「……。うぃいっ、さっむ」
「あの針ですら……なぜ? どうやって避けているっ!? 視界が完全に閉ざされているのにっ!?」
ノーティスはまた、透明な針を投げていた。
だがヴィン・マイコンにはあっさりと、避けられてしまったのだっ!
しかも……。
「動きは同じ……。前回も。今回さえも。明らかにおかしいとは分かる。何かを見落としているのだろうに……なぜっ」
ノーティスが眉根を寄せ、歯ぎしりする。
だが心で疑問が形になりはしない。
どこかでこそりと、疑惑という小さな虫。
それが這っている感触だけがは分かった。
「……。やべぇっ。怖ぇ」
ヴィン・マイコンの足がすくむ。
この状況は実際彼にとっては、かなりまずい状態である。
その様子を見やり、ギリンガムが苦笑いした。
「お前の能力……。手の内までは聞かんが、この状況は苦手と見えるな。まぁ無理もない。敵がどこにいるかも分からないのだ、恐怖するのも仕方ないだろう。そこらを探せば私の部下の亡骸に盾がある。使うのを認めるぞ……ヴィン・マイコン」
うなずくギリンガム。
なぜなら彼も盾が手放せない。
今まで彼は完全に、ノーティスに無視されているが……。
そのおかげで命が救われているのだ。
むしろノーティスの攻撃が全てギリンガムへと標準を絞っていたならば、彼はすぐにでも絶命していただろう。
「いや、分かってるんだぜ、ノーティスの居場所は……よ。ギリンガム」
……。
「……?」
一瞬……負けず嫌いがこじれたのかとギリンガムが疑う。
だがどうやらヴィン・マイコンの顔つきから言って、マジらしい。
伝説の傭兵が指し示す方向。
それに目をやりながら、ギリンガムが更に問う。
「なっ何っ!? お前じゃあ、水の民の居場所も分かるのかっ!?」
「エッ? あぁ、まぁな。だが知っても意味がないぞギリンガムっ。だってもうアイツらは尻尾巻いて……」
そう言ってヴィン・マイコンは、自分の言葉をもう一度整理してみる。
「……ん?そうか、そうだそうだっ! おい耳を貸せっ」
ノーティスの笑い声が吹雪の中で響く。
もうすでに、完全に視界が雪に閉ざされていたっ!
びゅおおおおっ!
室内には白銀の雪と突風が吹き荒れている。
そこは……猛吹雪に閉ざされた、零下の世界ができあがっていた。
「おいおい……まさか奴ら、〝ドリーミング・コンキスタ(夢見花園)″まで使用すると言うのかっ!? あの人数なのだぞっ。しかもここは奴らの最も守るべき聖域なのだというのにっ!?」
ギリンガムが右往左往するっ!
その眼は恐怖に怯えていた。
「やべぇ……やべぇぞギリンガムっ! これは予想外だぜっ。ここは水の神の聖域。水の魔法以外が使えねえなんてやっべぇなんてもんじゃねえよっ!」
ここは蒼の聖域。
炎を出したくてもマナがないので出せない。
木も風もそして火までもが全て水に侵された、神聖なる水の領域。
「はぁはぁ……。このままでは体温もすぐに下がるなっ! なんとかせんといかんっ」
「短期決戦か……逃げるか。そのどっちかだぜっ!」
「逃げるぅ? 馬鹿を言えっ! 逃げれば負けに等しいのだっ。やるしかないぞ傭兵っ。かかって来いっ、ノーーーーーティーーースっ!」
そういきり立ち、ギリンガムが叫んだものの……見渡す景色は白ばかり。
キョロキョロとギリンガムが辺りを見回すが、敵がどこにいるのかさえ掴みきれない。
一つだけ分かったのは、口を開けただけで口内に雪が入って、とても鬱陶しいという事。
「ぺっ。しかし奴らめ、こんな大技をよくもあの人数で使えるもんだなっ! 天候を変えるなどという大技は最難度っ! 極大魔法じゃないかっ。少し舐めておったわ……」
「……そりゃまっ、ノーティスが居るからな」
「ほぉ、ノーティスとやらはそれ程、すさまじい魔力を持っているのか? このレベルの物は戦場でも滅多にお目にかかれん特大魔法だぞっ!? 宮廷魔術師でも選抜の選りすぐり。それが30でも、30分持たんと言えるのにっ。冷静に考えればそうだ……少し待ってみるのも、良いかもしれんな?」
この世界で最も上位に位置する魔法。
それが天候を変える力である。
水の魔法でもなんの魔法でも維持し続けようとすると、そのMPがガリガリと削られるのだ。
当然、自然災害規模を維持するならその傾向は強くなる。
この〝ドリーミング・コンキスタ(夢見花園)〟を維持している以上は今、ノーティスのMPは0コンマ秒の速さで消えているはずっ!
だが……。
「いやっ。あいつば恐らく……〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を持ってる。多分待っても無駄だぜギリンガム。春まで眠りにつきたいなら別だがよっ」
「〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″……だと? ははっ、何を馬鹿な。あれは水の民筆頭しか持たない特殊な物っ! あのマッデン……。人類の全てのクソをかき集めた時に放つ、異臭と同じ臭いを放つクソのデブっ! あのイカれクズゴミがそれをあの女になんぞ渡すわけがないっ!」
「はぁ……はぁっ。だが事実、な。はっきりと見たんだよ、俺はさっ」
ヴィン・マイコンが寒そうに上腕をさすりながら地団駄を踏むっ!
「なに……? ふむ……いや、だが。いかに傭兵王のお前が言う事でもにわかには信じられないな。でも仮にそうだとするならば、奴の本当の出自が限られていくぞ」
「そんなもんどうだって良いっ! あの女の股ぐらがどっち向いて開いてようと何だってんだっ!? なんか無いのかギリンガムっ。今はなんとか……あぁクソっ! こういう時にレキが居れば問題ないんだがなっ」
苛立ちを隠せないヴィン・マイコンっ!
寒さはすでに、彼の末梢神経を汚染し始めている。
その時だったっ!
ヒュンっ!
氷の刃が、ヴィン・マイコンの斜め後ろから飛んできたっ!
「クッ!?」
「……っ!?避けた」
その氷の末路に一番驚いたのはノーティスだっ!
「ふふっ、どうやらヴィン・マイコンという男はもう、何と言うか……異次元らしいですね。ですが、先ほどの一撃。かなり惜しい気配がしました。これは身体能力の低下が原因か、それとも……」
考え込むノーティス。
この状態になって少し、余裕が出てきている。
白銀の世界の中でさえ艶めく、シロガネの髪を触りながら……舌なめずりして笑う。
「少し実験と行きますか」
舌を出し笑うと……魔法をヴィン・マイコンに打ち込み始めたっ!
色とりどりに。
ヒュンっ!ヒュンヒュウっ!
「……」
火水風土。全ての魔法が飛んでくるっ!
「ふぃっ、よっせっ! おっ、火はありがてえなっ! アッチっ!?」
ヴィン・マイコンは運動がてら、飛んでくる全てを的確で完全に避けていっている。
「だがクソアマが……調子に乗りやがってっ! 見えてんだよてめぇっ。そんなでっかいモンぶら下げてりゃあ、嫌でも見えるっつぅんだ。かぁっ……ぺっ!」
華麗に避けながら悪態をつき、一点を睨むヴィン・マイコンの目は、険しい。
ヴィン・マイコンは魔法を避けながらも攻撃に転じようとはしないのだ。
ただひたすらに逃げ惑うのみ。
「どうした物か……。全ての攻撃が見切られている? いや、唯一氷だけは光明がありそうですね。だがそれは、この状態ならまぁ仕方ないはず……か?」
広がる猛吹雪を見るノーティス。
確かに白に白を重ねれば、人間誰しも見えにくくなって当たり前だ。
だが……何か腑に落ちないノーティス。
ヒュンっ!
「……。うぃいっ、さっむ」
「あの針ですら……なぜ? どうやって避けているっ!? 視界が完全に閉ざされているのにっ!?」
ノーティスはまた、透明な針を投げていた。
だがヴィン・マイコンにはあっさりと、避けられてしまったのだっ!
しかも……。
「動きは同じ……。前回も。今回さえも。明らかにおかしいとは分かる。何かを見落としているのだろうに……なぜっ」
ノーティスが眉根を寄せ、歯ぎしりする。
だが心で疑問が形になりはしない。
どこかでこそりと、疑惑という小さな虫。
それが這っている感触だけがは分かった。
「……。やべぇっ。怖ぇ」
ヴィン・マイコンの足がすくむ。
この状況は実際彼にとっては、かなりまずい状態である。
その様子を見やり、ギリンガムが苦笑いした。
「お前の能力……。手の内までは聞かんが、この状況は苦手と見えるな。まぁ無理もない。敵がどこにいるかも分からないのだ、恐怖するのも仕方ないだろう。そこらを探せば私の部下の亡骸に盾がある。使うのを認めるぞ……ヴィン・マイコン」
うなずくギリンガム。
なぜなら彼も盾が手放せない。
今まで彼は完全に、ノーティスに無視されているが……。
そのおかげで命が救われているのだ。
むしろノーティスの攻撃が全てギリンガムへと標準を絞っていたならば、彼はすぐにでも絶命していただろう。
「いや、分かってるんだぜ、ノーティスの居場所は……よ。ギリンガム」
……。
「……?」
一瞬……負けず嫌いがこじれたのかとギリンガムが疑う。
だがどうやらヴィン・マイコンの顔つきから言って、マジらしい。
伝説の傭兵が指し示す方向。
それに目をやりながら、ギリンガムが更に問う。
「なっ何っ!? お前じゃあ、水の民の居場所も分かるのかっ!?」
「エッ? あぁ、まぁな。だが知っても意味がないぞギリンガムっ。だってもうアイツらは尻尾巻いて……」
そう言ってヴィン・マイコンは、自分の言葉をもう一度整理してみる。
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