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4章 聖地内戦終結
神の隣にいる。
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「おっおい、聞いたか……奴らが宣戦布告したってっ!? それはダヌディナ様の怒りの現われじゃないのかっ!?」
「こんなの聞いた事ねえぞっ!? 神の使徒が宣戦布告だなんて。俺ら全員ヤバいんじゃねえのか大将っ!」
「慌てんなっ! 配置につけっ、絶対にここを動くなクソどもっ!」
ヴィン・マイコンが怒鳴り声を上げるっ! が……先ほどのマッデンのスピーチを受け、傭兵達の動揺はピークだっ!
「まずいぞこれは」
「あぁ、クソ共が混乱してる」
するとヴィン・マイコンの目の前を邪魔し、立ちふさがる傭兵1人っ!
「おっ、おいっ!? あれはどういったこったヴィン・マイコンっ! 俺達は神の使徒を統治しには来たが、神の敵になりに来たんじゃねえぞっ! どうしてくれんだよオイっ!? なんか責任もってやんだよなっ!? お前が悪いんじゃねえのかよコラァっ!?」
我慢ならず、詰問しに来ている部下の傭兵……がっ!
「ふぅ……あっ!」
バキィっ!
「うが……ぁ」
邪魔をした傭兵。それを回転するほど強く殴り倒すヴィン・マイコン。
だが殴り倒した後でも決して怒鳴るわけでも無い。
歩みを止める様子はなく、ただいつも通りに話す傭兵隊長。
「鎮まれやゴミどもっ。俺達は神を相手にしてんじゃねえから安心しろよ。絶対俺は神の敵なんかじゃねえっ。敵はそこにいる……っ」
歩きながらマッデンがいる方角の窓を、指でさした。
「奴らは神に選ばれた人間っ! 神に選ばれ唯一無二で神と言葉が交わせる生き物。そいつと戦ってんだよ。ただそんだけだろうがっ!」
……。
「どっちにしろおんなじだろがボケェっ! かぁっ、ぺっ。そりゃ神様に逆らってるって事だろがよっ!?」
「そうだっ! 俺は知ってんだぞ、神の使徒は尊神(リービア)使えねえってよっ!? 実際俺らが神様にとって重大な話なんだろがっ!?」
息まく部下の傭兵達にヴィン・マイコンが薄ら笑いで振り向いた。
「はぁ? お前らマジかよ~。あぁ……へへっ。マジ頭湧いてんなこりゃ。神様と神に選ばれた人間を同じにするなんざぁ、お前たちの信仰心も落ちたなぁ……おい」
沈み込んだゴミどもに挑発していくヴィン・マイコン。
「なっ、お前っ!? 今俺らの神への信仰をっ! 〝リービア(尊神)″を馬鹿にすんのかよっ!」
「おい、いくら伝説の傭兵だからって調子に乗ってんじゃねえぞコラっ!? するってえと何かっ!? お前の方が神の御心に近いってっ!? そういうつもりか畜生めっ!?」
「ったりめぇだボケっ! てめえらは神様と人間の違いも分からねえクソ猿だろうがよっ!? 神様に選ばれたからなんだっ!? 神が選べばなんでも偉いってんなら、神様が毎日糞垂れる便器よりもお前は下かっ!?」
「……いや。おぉ」
怒りだしたヴィン・マイコンに後ずさりする傭兵達。
「アイツらは所詮人間だっ! すごいかどうかは俺ら人間同士が決めるもんだぜっ! 思い出せよこの町の奴らの自信のない顔っ! 見てこなかったのかっ!? あの水の民共の姿見てそれでも、神がアイツらを守ろうとしてるって思ってんのかよっ!?」
「……」
「肩落として、他人にビビッて……。兵がいない陰でボッソボソ言いながら飯を食う。お前らにそっくりの顔してんよっ! 自信のない負け犬の顔だっ。神が本気でアイツら守ろうってんなら、堂々と街の真ん中あるいてくるだろうがっ。違うのかっ!?」
人間の性質は歩き方に現れる。そう謳う人種がいる。
それが本当かは眉唾だが確かに、神と言う正義を自分の心に抱く者。そんな勇者が傭兵や死を恐れるだろうか?
自分に本当に正義と神が宿るならどんな道でも……。
そう、弾丸の中でもまっすぐ歩いて見せるだろう。
「だっ……だが、神に選ばれた人間なら、神に愛されてんじゃねえのかよっ!? 俺らの言葉より奴らの言葉を神様が信じてるってのは、間違ってねえ筈だよなっ!? そいつらが戦争仕掛けるなんて尋常じゃねえぞっ。後で神様になんて言われるか……っ」
「馬鹿かてめぇ」
「あ……あぁん?」
心底馬鹿にしたヴィン・マイコンの顔に、声を上げた傭兵がたじろぐ。
「一番愛されてる奴がいるなら……そいつを殺せば良い。自分が10位なら、9位までの奴を殺し尽くせば良いっ! そうなる為にてめぇは傭兵になったんだろうがっ! 後もクソもっ! アイツら殺した時点で素っ裸の女神の横には俺がいんだよボケっ!」
すさまじい傲慢さに満ちた言葉。
だが……その言葉は間違いではない。
「いゃ、その……それは」
「剣を研いでおけ、人を人とも思わぬ傭兵共っ! 俺らは今日神に近づくんだぜ。鋼と拳で女神を脅して……力ずくで潮吹かせてウンって言わすんだっ! 最っ高の夜にしてやんよ女神様っ!」
ヴィン・マイコンの本気の眼っ!
狼の眼光を放つ瞳から殺気が充満している。
そしてヴィン・マイコンは薄笑いを浮かべながら中指を……卑猥に動かした。そして堂々と、会議室にジキムートと入っていくっ!
「ふぁ……fuck」
誰かがヴィン・マイコンにつぶやく言葉。
そのクソ野郎の意味すらむなしい程の、『生き汚さ』へのいさぎ良さ。
傭兵達が唖然としながら背中を見送った。
「さすがは英雄様だな。あの状況を変えれるなんて……よ」
鎮まる戸口の外。
ジキムートが笑う。
彼にはどうあがいても無理そうな、リーダーシップを見せつけられていた。
「おだてるより金をくれ。だがしかし、これでも逃げる奴は逃げる。あぁ~……くそっ」
憂鬱そうにどっかとソファに座り、体を伸ばして目をつむる。
「知ってる。2、3。この調子だと3分の1かそれ以上くらいは……覚悟した方が良いかもな」
ジキムートが窓から外を見ると、傭兵達が何やら必死に走って行っている。
それは脱走兵だろう。
この状況に追い込まれた傭兵であるならしょうがないとさえ言えた。
実際ジキムートもこの状態ならそろそろ……、と言ったところか。
特別な目標があるから逃げないだけで。
「お前も逃げても良いぞ。そんで俺に殺されろ。弱いくせに気に食わないんだよお前っ」
そこにあった誰が飲んだかも分からない、なんの水かも分からない水。それを適当に飲みヴィン・マイコンが言う。
「良いね、俺もお前と本気でやってみたいんだ。だが今は後だ。お前より気に食わないブタぶっ殺して、それから相手してやんよ」
「そこは気が合うな……。気に食わねえ」
笑う2人。
「所でお前、火に包まれる城からお姫様助けたそうだな。ヴィエッタがそう吹聴してたよ。アレ、本当か?」
「あぁ? 何の話だ? 火に包まれる……あーあれか。あれはたまたま、お姫様と娼館にしけこんでてよ……。そんで気づいたら城が燃えてたから、な。まぁ俺の普段の行いの良さが出たよな。へへっ」
娼館の中で脱ぎ捨て、いや……もしかしたらヴィン・マイコンに破られたかもしれない衣服を身にまとい、キスマークだらけの姫様。
それを、窮地から脱しただとでも勘違いをした従者の顔が目に浮かぶジキムート。
「だろうと思ったよ」
へらり……と笑い、耳をほじった。
生き残っていれば、色々な事もあるって事だ。
ガチャっ。
「遅れたなっ」
「遅いぞギリンガムっ!」
「我らの軍団もさすがにあのスピーチは堪える。何せ神の使徒の尊神(リービア)まで持ち出したんだ……。統制に手間取ったっ。まさか〝聖典守護教会〟を通さずにこのような事、聞いた事がないっ!」
厳しそうな顔……と言っても、鎧はつけてはいるが。
バツの悪い顔で首を掻きむしるギリンガム。
神の名前は重く深い。どれ程国に忠誠を誓っていても心に刺さる物があるのだ。
「それでどうする? 神の使徒の尊神(リービア)ってくりゃ、本気だ。〝聖典守護会〟無視のガチ戦争。もち受けて立つんだよな?」
「……。ここが正念場だ。奴らは教会に弱みを握られてでも、徹底的に交戦する気だろう。そうなれば背水も背水、このままぶつかるならば総力戦。聖地を灰に帰す事も含めて全ての責任をこの3人で取るしかないだろうな」
「責任……ね。俺も含むのかよ。それでつまりは、攻勢に出ると思って良いんだよな?」
ジキムートが笑う。
守り切る責任も世界にはあるだろうが、それはガーディアンの仕事。
傭兵と騎士団は打ち倒す為に雇われている。攻めて殺して勝つのが専門だ。
「そうだ。要点はたったの一つ、マッデンの首。それだけで良い」
「はみ出した肉だけで良いならまだしも、デブが一番後ろにいるんだから結局は全員殺すしかねえじゃねえかそれ」
「ふふっ、そうでもないぞ傭兵。もうすでにマッデンの位置を確認したが……。付近に水の民、住民の姿はほとんど見えない。ゴディンの影も無し」
「なっなんだよそれっ!? マジで言ってんのか?」
「あぁ、そうだ。どうした傭兵」
「いや、あいつが一人なんて考えられねえってよ。洞窟内でも仲間をたーんと引き連れてたぜ、全く役に立たねえってのに、さ。奴の頭の中身もゴディンとおんなじで、幼稚にブンブカするだけ。それを狭い洞窟でやればどうなるかなんぞ、分かり切ってるだろ?」
「それでも一人でやる勇気はねえ……か、全く困った親子だぜ。だがそれが一人、ね。相当ヤバいってのが分かんな。へへっ、不安にしてくれてどうもっ」
ジキムートに嫌味を言うヴィン・マイコン。
その言葉にどういたしまして、と言わんばかりに腕を広げて眉根を寄せるジキムート。
「こんなの聞いた事ねえぞっ!? 神の使徒が宣戦布告だなんて。俺ら全員ヤバいんじゃねえのか大将っ!」
「慌てんなっ! 配置につけっ、絶対にここを動くなクソどもっ!」
ヴィン・マイコンが怒鳴り声を上げるっ! が……先ほどのマッデンのスピーチを受け、傭兵達の動揺はピークだっ!
「まずいぞこれは」
「あぁ、クソ共が混乱してる」
するとヴィン・マイコンの目の前を邪魔し、立ちふさがる傭兵1人っ!
「おっ、おいっ!? あれはどういったこったヴィン・マイコンっ! 俺達は神の使徒を統治しには来たが、神の敵になりに来たんじゃねえぞっ! どうしてくれんだよオイっ!? なんか責任もってやんだよなっ!? お前が悪いんじゃねえのかよコラァっ!?」
我慢ならず、詰問しに来ている部下の傭兵……がっ!
「ふぅ……あっ!」
バキィっ!
「うが……ぁ」
邪魔をした傭兵。それを回転するほど強く殴り倒すヴィン・マイコン。
だが殴り倒した後でも決して怒鳴るわけでも無い。
歩みを止める様子はなく、ただいつも通りに話す傭兵隊長。
「鎮まれやゴミどもっ。俺達は神を相手にしてんじゃねえから安心しろよ。絶対俺は神の敵なんかじゃねえっ。敵はそこにいる……っ」
歩きながらマッデンがいる方角の窓を、指でさした。
「奴らは神に選ばれた人間っ! 神に選ばれ唯一無二で神と言葉が交わせる生き物。そいつと戦ってんだよ。ただそんだけだろうがっ!」
……。
「どっちにしろおんなじだろがボケェっ! かぁっ、ぺっ。そりゃ神様に逆らってるって事だろがよっ!?」
「そうだっ! 俺は知ってんだぞ、神の使徒は尊神(リービア)使えねえってよっ!? 実際俺らが神様にとって重大な話なんだろがっ!?」
息まく部下の傭兵達にヴィン・マイコンが薄ら笑いで振り向いた。
「はぁ? お前らマジかよ~。あぁ……へへっ。マジ頭湧いてんなこりゃ。神様と神に選ばれた人間を同じにするなんざぁ、お前たちの信仰心も落ちたなぁ……おい」
沈み込んだゴミどもに挑発していくヴィン・マイコン。
「なっ、お前っ!? 今俺らの神への信仰をっ! 〝リービア(尊神)″を馬鹿にすんのかよっ!」
「おい、いくら伝説の傭兵だからって調子に乗ってんじゃねえぞコラっ!? するってえと何かっ!? お前の方が神の御心に近いってっ!? そういうつもりか畜生めっ!?」
「ったりめぇだボケっ! てめえらは神様と人間の違いも分からねえクソ猿だろうがよっ!? 神様に選ばれたからなんだっ!? 神が選べばなんでも偉いってんなら、神様が毎日糞垂れる便器よりもお前は下かっ!?」
「……いや。おぉ」
怒りだしたヴィン・マイコンに後ずさりする傭兵達。
「アイツらは所詮人間だっ! すごいかどうかは俺ら人間同士が決めるもんだぜっ! 思い出せよこの町の奴らの自信のない顔っ! 見てこなかったのかっ!? あの水の民共の姿見てそれでも、神がアイツらを守ろうとしてるって思ってんのかよっ!?」
「……」
「肩落として、他人にビビッて……。兵がいない陰でボッソボソ言いながら飯を食う。お前らにそっくりの顔してんよっ! 自信のない負け犬の顔だっ。神が本気でアイツら守ろうってんなら、堂々と街の真ん中あるいてくるだろうがっ。違うのかっ!?」
人間の性質は歩き方に現れる。そう謳う人種がいる。
それが本当かは眉唾だが確かに、神と言う正義を自分の心に抱く者。そんな勇者が傭兵や死を恐れるだろうか?
自分に本当に正義と神が宿るならどんな道でも……。
そう、弾丸の中でもまっすぐ歩いて見せるだろう。
「だっ……だが、神に選ばれた人間なら、神に愛されてんじゃねえのかよっ!? 俺らの言葉より奴らの言葉を神様が信じてるってのは、間違ってねえ筈だよなっ!? そいつらが戦争仕掛けるなんて尋常じゃねえぞっ。後で神様になんて言われるか……っ」
「馬鹿かてめぇ」
「あ……あぁん?」
心底馬鹿にしたヴィン・マイコンの顔に、声を上げた傭兵がたじろぐ。
「一番愛されてる奴がいるなら……そいつを殺せば良い。自分が10位なら、9位までの奴を殺し尽くせば良いっ! そうなる為にてめぇは傭兵になったんだろうがっ! 後もクソもっ! アイツら殺した時点で素っ裸の女神の横には俺がいんだよボケっ!」
すさまじい傲慢さに満ちた言葉。
だが……その言葉は間違いではない。
「いゃ、その……それは」
「剣を研いでおけ、人を人とも思わぬ傭兵共っ! 俺らは今日神に近づくんだぜ。鋼と拳で女神を脅して……力ずくで潮吹かせてウンって言わすんだっ! 最っ高の夜にしてやんよ女神様っ!」
ヴィン・マイコンの本気の眼っ!
狼の眼光を放つ瞳から殺気が充満している。
そしてヴィン・マイコンは薄笑いを浮かべながら中指を……卑猥に動かした。そして堂々と、会議室にジキムートと入っていくっ!
「ふぁ……fuck」
誰かがヴィン・マイコンにつぶやく言葉。
そのクソ野郎の意味すらむなしい程の、『生き汚さ』へのいさぎ良さ。
傭兵達が唖然としながら背中を見送った。
「さすがは英雄様だな。あの状況を変えれるなんて……よ」
鎮まる戸口の外。
ジキムートが笑う。
彼にはどうあがいても無理そうな、リーダーシップを見せつけられていた。
「おだてるより金をくれ。だがしかし、これでも逃げる奴は逃げる。あぁ~……くそっ」
憂鬱そうにどっかとソファに座り、体を伸ばして目をつむる。
「知ってる。2、3。この調子だと3分の1かそれ以上くらいは……覚悟した方が良いかもな」
ジキムートが窓から外を見ると、傭兵達が何やら必死に走って行っている。
それは脱走兵だろう。
この状況に追い込まれた傭兵であるならしょうがないとさえ言えた。
実際ジキムートもこの状態ならそろそろ……、と言ったところか。
特別な目標があるから逃げないだけで。
「お前も逃げても良いぞ。そんで俺に殺されろ。弱いくせに気に食わないんだよお前っ」
そこにあった誰が飲んだかも分からない、なんの水かも分からない水。それを適当に飲みヴィン・マイコンが言う。
「良いね、俺もお前と本気でやってみたいんだ。だが今は後だ。お前より気に食わないブタぶっ殺して、それから相手してやんよ」
「そこは気が合うな……。気に食わねえ」
笑う2人。
「所でお前、火に包まれる城からお姫様助けたそうだな。ヴィエッタがそう吹聴してたよ。アレ、本当か?」
「あぁ? 何の話だ? 火に包まれる……あーあれか。あれはたまたま、お姫様と娼館にしけこんでてよ……。そんで気づいたら城が燃えてたから、な。まぁ俺の普段の行いの良さが出たよな。へへっ」
娼館の中で脱ぎ捨て、いや……もしかしたらヴィン・マイコンに破られたかもしれない衣服を身にまとい、キスマークだらけの姫様。
それを、窮地から脱しただとでも勘違いをした従者の顔が目に浮かぶジキムート。
「だろうと思ったよ」
へらり……と笑い、耳をほじった。
生き残っていれば、色々な事もあるって事だ。
ガチャっ。
「遅れたなっ」
「遅いぞギリンガムっ!」
「我らの軍団もさすがにあのスピーチは堪える。何せ神の使徒の尊神(リービア)まで持ち出したんだ……。統制に手間取ったっ。まさか〝聖典守護教会〟を通さずにこのような事、聞いた事がないっ!」
厳しそうな顔……と言っても、鎧はつけてはいるが。
バツの悪い顔で首を掻きむしるギリンガム。
神の名前は重く深い。どれ程国に忠誠を誓っていても心に刺さる物があるのだ。
「それでどうする? 神の使徒の尊神(リービア)ってくりゃ、本気だ。〝聖典守護会〟無視のガチ戦争。もち受けて立つんだよな?」
「……。ここが正念場だ。奴らは教会に弱みを握られてでも、徹底的に交戦する気だろう。そうなれば背水も背水、このままぶつかるならば総力戦。聖地を灰に帰す事も含めて全ての責任をこの3人で取るしかないだろうな」
「責任……ね。俺も含むのかよ。それでつまりは、攻勢に出ると思って良いんだよな?」
ジキムートが笑う。
守り切る責任も世界にはあるだろうが、それはガーディアンの仕事。
傭兵と騎士団は打ち倒す為に雇われている。攻めて殺して勝つのが専門だ。
「そうだ。要点はたったの一つ、マッデンの首。それだけで良い」
「はみ出した肉だけで良いならまだしも、デブが一番後ろにいるんだから結局は全員殺すしかねえじゃねえかそれ」
「ふふっ、そうでもないぞ傭兵。もうすでにマッデンの位置を確認したが……。付近に水の民、住民の姿はほとんど見えない。ゴディンの影も無し」
「なっなんだよそれっ!? マジで言ってんのか?」
「あぁ、そうだ。どうした傭兵」
「いや、あいつが一人なんて考えられねえってよ。洞窟内でも仲間をたーんと引き連れてたぜ、全く役に立たねえってのに、さ。奴の頭の中身もゴディンとおんなじで、幼稚にブンブカするだけ。それを狭い洞窟でやればどうなるかなんぞ、分かり切ってるだろ?」
「それでも一人でやる勇気はねえ……か、全く困った親子だぜ。だがそれが一人、ね。相当ヤバいってのが分かんな。へへっ、不安にしてくれてどうもっ」
ジキムートに嫌味を言うヴィン・マイコン。
その言葉にどういたしまして、と言わんばかりに腕を広げて眉根を寄せるジキムート。
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