100 / 145
3章 潜入壊滅作戦
地上戦、その収束の時。
しおりを挟む
「全く、傭兵どもめ……。使えない」
そう吐き捨て、ローラが手放した〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を拾って――ノーティスが笑う。
「マッデンを殺すなら殺すで良い。だが、今はまだです。これを持ち出していく事はなりませんよ」
「きさ……まっ! ぐぅ……っ」
「……やはりか」
傭兵達が肩を落とす。
最悪のタイミングだ。
確かに怪しいとは思ってはいたが、マッデンを前にしては、そうも言ってられなかった。
「仕方ない。作戦を変更しましょうか。」
銀の髪を手で払い、マッデンへと向くノーティス。
「マッデン。あなたに聖地の奪還をもう一度だけ、任せましょうか。そして聖地奪還後にその座。あなたが勝手に〝ソレスティアル・ドゥーエン(予言者)″と自称するその地位から退冠してもらおう」
ノーティスが楽しそうに〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を指の中でもてあそびながら、アゴでマッデンへと勅令を発してやる。
「ぶっ、無礼者っ! 誰が貴様に命令され、聖地を奪還するというのかっ。わしらは貴様の小間使いではないと、何度も言っておるわっ! 当初の約束通り水の民は、独立の道を歩ませてもらおうっ」
「はぁ……。状況が分かっていないみたいですね。あなた達の願いですがそれも、ならなくなった。我らは何度か通告したはず。そして最後通牒に際して、あなた方は負けた。聞こえませんか? 外の音がしぼむのを」
耳を澄ますジキムート。
確かに外に響いていた、爆撃の音が消えていた。
・
・
「おいお~いそこの奴。待てよぉ。何してんだ? んっ? んんっ?」
「……っ!? くっ、ヴィン・マイコンかっ。なぜこんなところにっ!?」
そこにはローラと同じ人種。
アサシンと言える存在がいた。
アサシンが驚きうろたえる姿を見ながら、傭兵長殿が気安く話しかける。
相手は恐らく、3人。
「なんか嫌な予感がしてたのよな。やっぱり、お前らその『色』……。クラインだ?」
「……」
「なぁ聞いてんだよ、こ・た・え・ろ……よっ!」
ザスッ!
あっさりと剣で、一人目を血祭りにあげたヴィン・マイコン。
彼の2メートルに迫る巨体。
それをしなるように操り、彼は見事にアサシンに近づいて討ち取って見せた。
「クソッ!」
蒼白になり、逃走するアサシン達。
だが……っ!
「へへっ、捕まえたぁ。鬼ごっこは終わりだ、ぜっ!」
ガシッ!
あっさりと先回りされ、もう1人が傭兵長の腕の中に捕まる。
その瞬間、何かをもう一人に投げるのが見えた。
「ぐっ、ぐぇええっ!?」
ジタバタとあがきながら、自分の首が軋む音を聞くアサシン。
ボキキッ!
響く音。
ドサッ。
瞬殺。
「へへーへっ」
「やっ、奴には恐怖心がないのかっ!? このモンスターめっ」
放たれる威圧感に、1人残されたアサシンが震える。
傭兵長の戦い方には迷いがない。
怪しげなアサシン相手に真っ先に肉弾戦を選んで仕掛けるなぞ、あまり経験がない出来事だった。
「じゃあラストはお前かなぁ? それ、何投げた?」
残る1人にゆっくりと歩み寄るヴィン・マイコン。
「ゆっ言う訳がないだろうっ!」
チラッ。
「もう後がないぞ? さっさと渡せよ、ほら」
「くっ。もう後はない、か。確かにな。お前に逃げ場はないのだっ!」
ガササッッ!
「とりゃあああ……っ!」
その瞬間だった。
追いかけてきたゴディンが氷を。
氷柱を大地に穿つ。
パキンッ!
「なんだ……コレっ?」
目をしばたかせながらヴィン・マイコンが、ゴディンと眩しい氷柱とを交互に見やる。
月の光を反射させ、キラキラと光るその氷の柱。
それはあまり、実用的な攻撃方法ではない。
そう、攻撃では、ない。
「ここだっ、ココに居るぞ。ヴィン・マイコンがっ!」
光る氷柱を後ろに、ゴディンが叫ぶ。
ザッザッ……ザザッ!
その声に反応し、タケの長い草の中を何かが蠢く。
「この音、相当数隠れてるなっ!? うん、知ってた」
耳で察するヴィン・マイコン。
音が確かならば、傭兵長の周りには大量に鎧を着た兵隊がいるハズだ。
その装備から察するに、先程仕留めたのとは全く別の、趣のあるアサシン。
その数20。
「強行突入部隊ってとこか、ねぇ? 良い装備してんなぁ」
ヴィン・マイコンは頭をかきながら、ある方向を見た。
「よしっ、よしよしっ! これでお前はもう包囲されたっ! 目が見えてないお前なら、特殊部隊の敵では……っ」
ヒュンっ!
パスッ!
「がっ!?」
ゴディンの首元から血が噴き出した。
苦しみながら転げるゴディン。
「ぐぅっ!? なっ……何っ!? なぜ私を狙うっ、クライン軍」
光で白む世界。
膝を屈したゴディンが、どこに居るか分からない特殊部隊の様子を探ろうとする。
「へへっ、ガラ空きだぞ。ぼっちゃんっ!」
ゴディンに一気に走りこむヴィン・マイコンっ!
「ひぃっっ!?」
咄嗟の事。
氷の障壁を分厚く展開するゴディン。
「チッ! ならば……」
その障壁に剣を突き刺し、呪文を唱えようとした傭兵長。
ひゅんっ!
そこにアサシンからの攻撃が来たっ!
「くっ!?」
それをなんとか回避したヴィン・マイコン。
眼の端で〝ブルーブラッド(蒼白の生き血)″を使うゴディンが見え、舌打ちをする。
「あれを避けるとはな――」
アサシンが口惜しそうに、草の中へと潜りこみ、独りごちた。
目を光から守る装備をした彼らにとって、この戦場は手慣れた物で……。
「こいつら、俺ら2人をおいしく頂く気まんまんだ。でもアテが外れた、なっ」
笑みを浮かべ、隠れたアサシンへと走るヴィン・マイコン。
「なっ……コッチへ来ているっ!? どうやって居場所をっ」
とてもじゃないが、ゴディンが出した氷柱が発する光の印影がきつくて、肉眼では見えないハズのアサシン。
だが、傭兵長はそれを捉え……。
ぐずりっ!
「グっ!?」
鎧の下の首を狙い、一突き。
攻撃を繰り出したヴィン・マイコン。
一撃で鎧の口部を切り裂き、相手は完全に沈黙した。
「どうなっているんだ、これはっ!? 早くヴィン・マイコンをしとめろよっ!?」
今度はゴディンが、ヴィン・マイコン目掛け攻撃。
そのゴディンにアサシンが攻撃する。
「下民共がっ!」
ゴディンが氷の壁で防御するが……。
ガキンっ!
「〝ディセクレト(神話、そして咎人)″っ!? なんと不浄で汚らわしい行為をっ!? 」
氷を喰らう、樹木の牙。
その魔法の使用に驚愕の顔で、あきれ果てるゴディン。
次々襲い来る神への冒涜のキバを、ゴディンが数十の氷で迎撃していく。
「やはり貴族も王も信用できないじゃないかっ! この聖地を汚す不届き者共めっ! 我らをなめるなぁーーーーっ! 我が神罰を下してやるよっ!」
バキンっ!
光る氷柱を破壊。
そしてゴディンが手当たり次第、氷の殺意で草むらに隠れたアサシンを一掃し始めた。
ザスザスザスっ!
「ぐあぁっ!?」
草むらに降り注ぐ数百の氷の刃。
無数の氷槍を浴び、嗚咽を漏らす特殊部隊たち。
「あははっ、ヒーヒヒッ! ほら見ろよっ。私には手も足も出ないっ! 隠れていようが無駄なんだよっ!」
ヴィン・マイコンには当たらなかった攻撃が、気持ち良い程あたる。
その手応えにご満悦のゴディン。
彼らが上げる苦しみの声は、ゴディンを満足させるに十分だった。
「あ~ははっ。ふぅ……。やっぱつえぇな。お前。さすがは神の民族ってか、はぁ~。……。そういうの、マジうぜえんだよっっ!」
ヴィン・マイコンは瞬間、殺気をほとばしらせゴディンに向かった。
「なっ、ヴィン・マイコンっ!? いきなりこっちに来るな。ひーっっ!?」
一瞬の気のゆるみ。
満悦の後に味わう、焼け付くような恐怖。
ゴディンが腰を抜かすっ!
「覚悟しろよ、神の使徒っ! ぶっ殺してやんよーーっ」
飛びかかるヴィン・マイコン。
満月が映し出すのは、人ではなく狼。
人食いの狼だっ!
殺気の鎧を巻いた、人食いの狼が――月を背に牙をむく。
「来るな来るなーーーっ!」
恐怖にかられたゴディンが、訳も分からず魔法を乱射した。
その数は夜空に浮かぶ星座の数に匹敵し、次々と美しく、そして完ぺきに。
ヴィン・マイコンに繰り出されていく。
「ちぃっ、ホント神って奴ぁ……」
素晴らしいマナの量と、驚くべきその、編み込み。
それを〝スペルレス(神の寵愛を受けし物)″で使えるのだ。
段違いどころか、紛れもない人外。
神の使徒と言われてしかるべき能力。
「うわぁあーーーっ!?」
「俺の人生返せよっ! 神のクソ野郎ーーーーっ!」
咆哮し、ヴィン・マイコンは覚悟を決め一気。
神々しく光り続けるゴディンに、突っ込むっ!
バキィッ!
「くああっ!?」
ゴディンが断末魔を上げ、体が砕け散るっ!
斬られた腕がはじけ飛んだ。
「ふっ!」
バキッ!
次の一閃で髪が、耳と一緒に砕けたっ!
恐怖に尻もちをついたゴディン。
「ひいいっ!?」
ぶしゃーーっ!
恐怖に震えるゴディンは地面から水を噴射させて、自分をヴィン・マイコンごとに流してみせた。
「ちぃっ!?」
「なんとか……。なんとか逃げないとっ!?」
ゴディンが逃げる事だけに専念し、自分をヴィン・マイコンから遠ざけようと魔法を……。
ヒュンっ!
ザスっ!
「ぁあっ……」
投てきされたその剣に、ゴディンが止められてしまう。
肩のすぐ上に刃が刺さったのだ。
そして、ヴィン・マイコンがゆっくりと、アサシンの攻撃が飛んでくるの避けながら、こちらに向かっている。
「はぁはぁ……そろそろしとめるかっ!」
傭兵隊長には、肩に裂傷があった。
汗を流し、肩を押さえながら、もう1本の剣を鞘から抜き放つヴィン・マイコン。
彼が視界にとらえるのは今、ゴディン一人だけだ。
「はぁ……はぁ。くそっ……なんでだよぉ。なんで当たらないんだよ。こっ、こんなのダメだ、認めれないっ。卑怯だこんなの、おかしいよっ! や、奴は悪魔と……〝ヒューマン・エンド(孤独)″と取引したに違いないっ! こっ、こここ……この神への裏切者めぇっ!」
涙を流し、ゴディンが地面を這う。
「泣いちゃって気持ちわりぃ。おいおい、ちびってんのか?」
笑うヴィン・マイコン。
ゴディンは人目で分かる程に憔悴し、全身を震わせているのだ。
「それとも魔力切れか?」
いくら神の使徒と言っても、魔法の使い過ぎだ。
人の命を代価に借り入れても恐らくは、50人以上の心臓を要求される。
悪魔召喚だとしても破格のマナ。
それを今までの戦いで、ゴディンは垂れ流していた。
「ふうふぅ。クソっ! 死にたくないっ! 死にたくないぞ私はっ!」
魔力を使い果たして、神の使徒は足が震えて立てない。
何か――。
突然意気込みを口にして、ゴディンが息を荒く吐き始めている。
「おぉっ? なんだこの『色』? ……んっ!?」
ゴディンの様子がおかしい。
目を見開いたヴィン・マイコンが、逃げだした敵を全力で追い始めるっ!
「わっ、わわっ。わ、私はゴディン・トゥールースだっ。そう、トゥールースの長だっ。私が……私がここで、死ぬはずがっ! トゥールース。ちっちがっ!? そう、ぼくはゴディン。ゴディンだよっ」
必死に自分の名前を唱えながら、川に這いずっていくゴディン。
それにめがけて、ヴィン・マイコンが自分の剣を投げた。
べちゃ……。
「水と同化した、か。困ったねっ」
手応え無し。
投げた剣はずるり……と粘液を絡ませ、ゴディンからずり落ちる。
ヴィン・マイコンはそれでもすぐさま、一直線に走るゴディンに先回りし、剣を一閃っ! 二閃、数閃っ!
「あぁーーっ! お母様っ、私を守ってくださいっ! ゴディンを、ゴディンをどうかっ」
だがそれでもゴディンは、全く傭兵長を取り合わないっ!
まるで全く何も見えてないかのように、ぶつぶつと言葉を唱えながら、一気呵成に水に走る。
バシャンっ!
「それはさすがに〝下等″の俺には追えないな。逃がしちまったよ。あぁ~あ」
ヴィン・マイコンは舌打ちと共に、川の流れを見ながらふぅ……と、ため息をついた。
そして深呼吸。
すぐに目線を移し、〝お慰み″に目をやる。
「あぁ、失態だ失態~。2度目だぜぇ? あぁ、くっそっ! レキに会わす顔がねえよ。ふぅ……。こうなった土産だ土産。お前ら、首を置いてけ。お前達のクビで払わしてやるぜぇーっ!」
激昂と共に、アサシンに殴りかかるヴィン・マイコンっ!
罪状・ヴィン・マイコンを邪魔した事による、機嫌の悪化。
罰・撲殺。
シンプルに執行された。
・
・
「はぁはぁ……」
闇に覆われた樹々の中。
無音で走っていくアサシン。
すると……っ!
ザザザッ!
「逃がさんっ!」
ローラの仲間だ。
2頭の猟犬。
それが一気に音をさせながら、距離を詰める。
「くっ……。だっ、ダメかっ。見つかったっ」
ザザザッ!
すると背の低い雑草を踏み鳴らし、真っ直ぐに走っていくアサシン。
消音の魔法を解いて、道を最短に変更したようだ。
「もうすぐだっ! もうすぐ……っ」
あと少しでアサシンは、自分の飼い主の下へと逃げ込めそうだ。
しかし、ローラ部隊のほうが早い。
「よしっ。捉えたっ!」
「チッ!?」
その瞬間だったっ!
ビキキッ!
氷がアサシンを覆う。
普通、人間が氷に突如、巻かれる事は無い。
神の御業と自殺以外は。
「自殺かっ。させるなっ!」
手を伸ばす猟犬たちっ!
しかし一足早くアサシンは、自分を木に打ち付けた。
バリンっ。
「……くそっ」
ローラの仲間達はその美しい、赤と緑と、何か黒いの。
かけらが散りばめられた地面を見る。
「回収不可能だ。申し訳ありません、リーダー」
「……」
するとゆっくりと、ローラの部下の1人が歩き出す。
光の方へ。
『ヒト』の臭いが見える場所へ……。
「この先にはクライン――か」
眼下に広がる、たいまつの光。
それはまるで、神をも焦がす、業火。
そう吐き捨て、ローラが手放した〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を拾って――ノーティスが笑う。
「マッデンを殺すなら殺すで良い。だが、今はまだです。これを持ち出していく事はなりませんよ」
「きさ……まっ! ぐぅ……っ」
「……やはりか」
傭兵達が肩を落とす。
最悪のタイミングだ。
確かに怪しいとは思ってはいたが、マッデンを前にしては、そうも言ってられなかった。
「仕方ない。作戦を変更しましょうか。」
銀の髪を手で払い、マッデンへと向くノーティス。
「マッデン。あなたに聖地の奪還をもう一度だけ、任せましょうか。そして聖地奪還後にその座。あなたが勝手に〝ソレスティアル・ドゥーエン(予言者)″と自称するその地位から退冠してもらおう」
ノーティスが楽しそうに〝エイクリアス・ソリダリティー(水の誓約旗)″を指の中でもてあそびながら、アゴでマッデンへと勅令を発してやる。
「ぶっ、無礼者っ! 誰が貴様に命令され、聖地を奪還するというのかっ。わしらは貴様の小間使いではないと、何度も言っておるわっ! 当初の約束通り水の民は、独立の道を歩ませてもらおうっ」
「はぁ……。状況が分かっていないみたいですね。あなた達の願いですがそれも、ならなくなった。我らは何度か通告したはず。そして最後通牒に際して、あなた方は負けた。聞こえませんか? 外の音がしぼむのを」
耳を澄ますジキムート。
確かに外に響いていた、爆撃の音が消えていた。
・
・
「おいお~いそこの奴。待てよぉ。何してんだ? んっ? んんっ?」
「……っ!? くっ、ヴィン・マイコンかっ。なぜこんなところにっ!?」
そこにはローラと同じ人種。
アサシンと言える存在がいた。
アサシンが驚きうろたえる姿を見ながら、傭兵長殿が気安く話しかける。
相手は恐らく、3人。
「なんか嫌な予感がしてたのよな。やっぱり、お前らその『色』……。クラインだ?」
「……」
「なぁ聞いてんだよ、こ・た・え・ろ……よっ!」
ザスッ!
あっさりと剣で、一人目を血祭りにあげたヴィン・マイコン。
彼の2メートルに迫る巨体。
それをしなるように操り、彼は見事にアサシンに近づいて討ち取って見せた。
「クソッ!」
蒼白になり、逃走するアサシン達。
だが……っ!
「へへっ、捕まえたぁ。鬼ごっこは終わりだ、ぜっ!」
ガシッ!
あっさりと先回りされ、もう1人が傭兵長の腕の中に捕まる。
その瞬間、何かをもう一人に投げるのが見えた。
「ぐっ、ぐぇええっ!?」
ジタバタとあがきながら、自分の首が軋む音を聞くアサシン。
ボキキッ!
響く音。
ドサッ。
瞬殺。
「へへーへっ」
「やっ、奴には恐怖心がないのかっ!? このモンスターめっ」
放たれる威圧感に、1人残されたアサシンが震える。
傭兵長の戦い方には迷いがない。
怪しげなアサシン相手に真っ先に肉弾戦を選んで仕掛けるなぞ、あまり経験がない出来事だった。
「じゃあラストはお前かなぁ? それ、何投げた?」
残る1人にゆっくりと歩み寄るヴィン・マイコン。
「ゆっ言う訳がないだろうっ!」
チラッ。
「もう後がないぞ? さっさと渡せよ、ほら」
「くっ。もう後はない、か。確かにな。お前に逃げ場はないのだっ!」
ガササッッ!
「とりゃあああ……っ!」
その瞬間だった。
追いかけてきたゴディンが氷を。
氷柱を大地に穿つ。
パキンッ!
「なんだ……コレっ?」
目をしばたかせながらヴィン・マイコンが、ゴディンと眩しい氷柱とを交互に見やる。
月の光を反射させ、キラキラと光るその氷の柱。
それはあまり、実用的な攻撃方法ではない。
そう、攻撃では、ない。
「ここだっ、ココに居るぞ。ヴィン・マイコンがっ!」
光る氷柱を後ろに、ゴディンが叫ぶ。
ザッザッ……ザザッ!
その声に反応し、タケの長い草の中を何かが蠢く。
「この音、相当数隠れてるなっ!? うん、知ってた」
耳で察するヴィン・マイコン。
音が確かならば、傭兵長の周りには大量に鎧を着た兵隊がいるハズだ。
その装備から察するに、先程仕留めたのとは全く別の、趣のあるアサシン。
その数20。
「強行突入部隊ってとこか、ねぇ? 良い装備してんなぁ」
ヴィン・マイコンは頭をかきながら、ある方向を見た。
「よしっ、よしよしっ! これでお前はもう包囲されたっ! 目が見えてないお前なら、特殊部隊の敵では……っ」
ヒュンっ!
パスッ!
「がっ!?」
ゴディンの首元から血が噴き出した。
苦しみながら転げるゴディン。
「ぐぅっ!? なっ……何っ!? なぜ私を狙うっ、クライン軍」
光で白む世界。
膝を屈したゴディンが、どこに居るか分からない特殊部隊の様子を探ろうとする。
「へへっ、ガラ空きだぞ。ぼっちゃんっ!」
ゴディンに一気に走りこむヴィン・マイコンっ!
「ひぃっっ!?」
咄嗟の事。
氷の障壁を分厚く展開するゴディン。
「チッ! ならば……」
その障壁に剣を突き刺し、呪文を唱えようとした傭兵長。
ひゅんっ!
そこにアサシンからの攻撃が来たっ!
「くっ!?」
それをなんとか回避したヴィン・マイコン。
眼の端で〝ブルーブラッド(蒼白の生き血)″を使うゴディンが見え、舌打ちをする。
「あれを避けるとはな――」
アサシンが口惜しそうに、草の中へと潜りこみ、独りごちた。
目を光から守る装備をした彼らにとって、この戦場は手慣れた物で……。
「こいつら、俺ら2人をおいしく頂く気まんまんだ。でもアテが外れた、なっ」
笑みを浮かべ、隠れたアサシンへと走るヴィン・マイコン。
「なっ……コッチへ来ているっ!? どうやって居場所をっ」
とてもじゃないが、ゴディンが出した氷柱が発する光の印影がきつくて、肉眼では見えないハズのアサシン。
だが、傭兵長はそれを捉え……。
ぐずりっ!
「グっ!?」
鎧の下の首を狙い、一突き。
攻撃を繰り出したヴィン・マイコン。
一撃で鎧の口部を切り裂き、相手は完全に沈黙した。
「どうなっているんだ、これはっ!? 早くヴィン・マイコンをしとめろよっ!?」
今度はゴディンが、ヴィン・マイコン目掛け攻撃。
そのゴディンにアサシンが攻撃する。
「下民共がっ!」
ゴディンが氷の壁で防御するが……。
ガキンっ!
「〝ディセクレト(神話、そして咎人)″っ!? なんと不浄で汚らわしい行為をっ!? 」
氷を喰らう、樹木の牙。
その魔法の使用に驚愕の顔で、あきれ果てるゴディン。
次々襲い来る神への冒涜のキバを、ゴディンが数十の氷で迎撃していく。
「やはり貴族も王も信用できないじゃないかっ! この聖地を汚す不届き者共めっ! 我らをなめるなぁーーーーっ! 我が神罰を下してやるよっ!」
バキンっ!
光る氷柱を破壊。
そしてゴディンが手当たり次第、氷の殺意で草むらに隠れたアサシンを一掃し始めた。
ザスザスザスっ!
「ぐあぁっ!?」
草むらに降り注ぐ数百の氷の刃。
無数の氷槍を浴び、嗚咽を漏らす特殊部隊たち。
「あははっ、ヒーヒヒッ! ほら見ろよっ。私には手も足も出ないっ! 隠れていようが無駄なんだよっ!」
ヴィン・マイコンには当たらなかった攻撃が、気持ち良い程あたる。
その手応えにご満悦のゴディン。
彼らが上げる苦しみの声は、ゴディンを満足させるに十分だった。
「あ~ははっ。ふぅ……。やっぱつえぇな。お前。さすがは神の民族ってか、はぁ~。……。そういうの、マジうぜえんだよっっ!」
ヴィン・マイコンは瞬間、殺気をほとばしらせゴディンに向かった。
「なっ、ヴィン・マイコンっ!? いきなりこっちに来るな。ひーっっ!?」
一瞬の気のゆるみ。
満悦の後に味わう、焼け付くような恐怖。
ゴディンが腰を抜かすっ!
「覚悟しろよ、神の使徒っ! ぶっ殺してやんよーーっ」
飛びかかるヴィン・マイコン。
満月が映し出すのは、人ではなく狼。
人食いの狼だっ!
殺気の鎧を巻いた、人食いの狼が――月を背に牙をむく。
「来るな来るなーーーっ!」
恐怖にかられたゴディンが、訳も分からず魔法を乱射した。
その数は夜空に浮かぶ星座の数に匹敵し、次々と美しく、そして完ぺきに。
ヴィン・マイコンに繰り出されていく。
「ちぃっ、ホント神って奴ぁ……」
素晴らしいマナの量と、驚くべきその、編み込み。
それを〝スペルレス(神の寵愛を受けし物)″で使えるのだ。
段違いどころか、紛れもない人外。
神の使徒と言われてしかるべき能力。
「うわぁあーーーっ!?」
「俺の人生返せよっ! 神のクソ野郎ーーーーっ!」
咆哮し、ヴィン・マイコンは覚悟を決め一気。
神々しく光り続けるゴディンに、突っ込むっ!
バキィッ!
「くああっ!?」
ゴディンが断末魔を上げ、体が砕け散るっ!
斬られた腕がはじけ飛んだ。
「ふっ!」
バキッ!
次の一閃で髪が、耳と一緒に砕けたっ!
恐怖に尻もちをついたゴディン。
「ひいいっ!?」
ぶしゃーーっ!
恐怖に震えるゴディンは地面から水を噴射させて、自分をヴィン・マイコンごとに流してみせた。
「ちぃっ!?」
「なんとか……。なんとか逃げないとっ!?」
ゴディンが逃げる事だけに専念し、自分をヴィン・マイコンから遠ざけようと魔法を……。
ヒュンっ!
ザスっ!
「ぁあっ……」
投てきされたその剣に、ゴディンが止められてしまう。
肩のすぐ上に刃が刺さったのだ。
そして、ヴィン・マイコンがゆっくりと、アサシンの攻撃が飛んでくるの避けながら、こちらに向かっている。
「はぁはぁ……そろそろしとめるかっ!」
傭兵隊長には、肩に裂傷があった。
汗を流し、肩を押さえながら、もう1本の剣を鞘から抜き放つヴィン・マイコン。
彼が視界にとらえるのは今、ゴディン一人だけだ。
「はぁ……はぁ。くそっ……なんでだよぉ。なんで当たらないんだよ。こっ、こんなのダメだ、認めれないっ。卑怯だこんなの、おかしいよっ! や、奴は悪魔と……〝ヒューマン・エンド(孤独)″と取引したに違いないっ! こっ、こここ……この神への裏切者めぇっ!」
涙を流し、ゴディンが地面を這う。
「泣いちゃって気持ちわりぃ。おいおい、ちびってんのか?」
笑うヴィン・マイコン。
ゴディンは人目で分かる程に憔悴し、全身を震わせているのだ。
「それとも魔力切れか?」
いくら神の使徒と言っても、魔法の使い過ぎだ。
人の命を代価に借り入れても恐らくは、50人以上の心臓を要求される。
悪魔召喚だとしても破格のマナ。
それを今までの戦いで、ゴディンは垂れ流していた。
「ふうふぅ。クソっ! 死にたくないっ! 死にたくないぞ私はっ!」
魔力を使い果たして、神の使徒は足が震えて立てない。
何か――。
突然意気込みを口にして、ゴディンが息を荒く吐き始めている。
「おぉっ? なんだこの『色』? ……んっ!?」
ゴディンの様子がおかしい。
目を見開いたヴィン・マイコンが、逃げだした敵を全力で追い始めるっ!
「わっ、わわっ。わ、私はゴディン・トゥールースだっ。そう、トゥールースの長だっ。私が……私がここで、死ぬはずがっ! トゥールース。ちっちがっ!? そう、ぼくはゴディン。ゴディンだよっ」
必死に自分の名前を唱えながら、川に這いずっていくゴディン。
それにめがけて、ヴィン・マイコンが自分の剣を投げた。
べちゃ……。
「水と同化した、か。困ったねっ」
手応え無し。
投げた剣はずるり……と粘液を絡ませ、ゴディンからずり落ちる。
ヴィン・マイコンはそれでもすぐさま、一直線に走るゴディンに先回りし、剣を一閃っ! 二閃、数閃っ!
「あぁーーっ! お母様っ、私を守ってくださいっ! ゴディンを、ゴディンをどうかっ」
だがそれでもゴディンは、全く傭兵長を取り合わないっ!
まるで全く何も見えてないかのように、ぶつぶつと言葉を唱えながら、一気呵成に水に走る。
バシャンっ!
「それはさすがに〝下等″の俺には追えないな。逃がしちまったよ。あぁ~あ」
ヴィン・マイコンは舌打ちと共に、川の流れを見ながらふぅ……と、ため息をついた。
そして深呼吸。
すぐに目線を移し、〝お慰み″に目をやる。
「あぁ、失態だ失態~。2度目だぜぇ? あぁ、くっそっ! レキに会わす顔がねえよ。ふぅ……。こうなった土産だ土産。お前ら、首を置いてけ。お前達のクビで払わしてやるぜぇーっ!」
激昂と共に、アサシンに殴りかかるヴィン・マイコンっ!
罪状・ヴィン・マイコンを邪魔した事による、機嫌の悪化。
罰・撲殺。
シンプルに執行された。
・
・
「はぁはぁ……」
闇に覆われた樹々の中。
無音で走っていくアサシン。
すると……っ!
ザザザッ!
「逃がさんっ!」
ローラの仲間だ。
2頭の猟犬。
それが一気に音をさせながら、距離を詰める。
「くっ……。だっ、ダメかっ。見つかったっ」
ザザザッ!
すると背の低い雑草を踏み鳴らし、真っ直ぐに走っていくアサシン。
消音の魔法を解いて、道を最短に変更したようだ。
「もうすぐだっ! もうすぐ……っ」
あと少しでアサシンは、自分の飼い主の下へと逃げ込めそうだ。
しかし、ローラ部隊のほうが早い。
「よしっ。捉えたっ!」
「チッ!?」
その瞬間だったっ!
ビキキッ!
氷がアサシンを覆う。
普通、人間が氷に突如、巻かれる事は無い。
神の御業と自殺以外は。
「自殺かっ。させるなっ!」
手を伸ばす猟犬たちっ!
しかし一足早くアサシンは、自分を木に打ち付けた。
バリンっ。
「……くそっ」
ローラの仲間達はその美しい、赤と緑と、何か黒いの。
かけらが散りばめられた地面を見る。
「回収不可能だ。申し訳ありません、リーダー」
「……」
するとゆっくりと、ローラの部下の1人が歩き出す。
光の方へ。
『ヒト』の臭いが見える場所へ……。
「この先にはクライン――か」
眼下に広がる、たいまつの光。
それはまるで、神をも焦がす、業火。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。


ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる