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2章 神を祀る神殿。
決着。
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「……」
「ヒヒーン!」
馬モンスターは、なかなか飛び込んでいかない。
ジキムートに警戒心を持っているようだ。
左腕には、奇怪なナイフの巣窟を隠していた。
豪勢な鎧のわりには身軽で、あまりに素早い動き。
この男の胡散臭さを、気にしているようだ。
「さぁ、どうしたどうしたっ! 俺はショートソード一本だぜ、お馬さんよぉっ!」
挑発するようにショートソードを見せつけ、ジキムートが馬モンスターを煽るっ!
「ブフッ! ブフルっ!」
すると馬が、横移動し始める。
その目線を遮るように、ジキムートが動いていく。
「ヒヒンッ!」
後ろを伺う、モンスターの目線。
「……」
それをさえぎり続ける、ジキムート。
「……。グフゥ……フシッ!」
すると――。
「ウラァっ!」
大声を上げ、傭兵が叫んだっ!
「ブヒッ!?」
驚く馬モンスターっ!
そしてまた傭兵が先手を取って、前がかりに走り出したっ!
馬モンスターが負けじと、走っていくっ!
「おっしゃあっ! 頼んだぜノーティスっ!」
叫んでジキムートが真っ直ぐ、馬に走りこむっ!
彼はショートソードを、馬の頭に突き立てようと……っ!
「ブフルっ! ヒヒッ。ヒーンッ!」
ヒュンっ!
ウマヅラが――飛んだっ!
低空で、勢いのあるジャンプ一翔っ!
まるで、地面に吸い付くように飛ぶ馬は、ジキムートの上を飛び越えたっ!
ドスンっ!
洞窟に響く、着地音っ!
そのまままっすにぐ、ノーティスのもとへっ!
「くっ!?」
怯えるノーティスっ!
このままではすぐにでも、ノーティスは八つ裂きだっ!
しかも……っ!
「アイツ……っ!」
くだんのジキムートは、そのまま真っ直ぐ、何事もなかったように出口方向に向かって、走って行っている。
ノーティスを置いてさえ行けば、外に出れるかもしれなかったっ!
「……っ!」
必死に走るジキムートっ!
(このままでは面倒な形になるっ! やはり最初に、逃げておくべきだったか)
悔やむノーティス。
身をひるがえそうとした、その時っ!
予想外の出来事が起きるっ!
フュンっ!
ナイフだ。
ナイフが、目の前から飛んできたのだっ!
「くっ……」
ザスンっ!
ノーティスの退路を妨害するように、ノーティスの頬をかすめ、壁に突き刺さるナイフっ!
それは当然、ジキムートの仕業だっ!
(嫌がらせ――。いやっ、逃げるなとっ!?)
彼の意図に気づくノーティス。
立ち止まり、彼女は笑った。
「大きなモノ、ね。こだわるなら見せてもらいましょうか、あなたのでっかいソイツを」
「ビヒヒーーッ!」
立ち止まってしまったノーティスに、歓声を上げる馬モンスターっ!
そして、目の前。
ノーティスの銀髪が、馬の鼻息で揺れそうな程の近くっ¥っ!
カンっ!
グズリっ!
刺さっていたっ!
「ギャァッウっ!?」
想定外の痛みに叫ぶ、馬モンスターっ!
背には、ショートソードが刺さっているっ!
刺したのはジキムートだっ!
「ふぅ、命中っ!」
「バスタードソードは、ショートソードを押し出す役目と言った所ですか。確かに、デカいと気持ちよく刺せるでしょうねっ!」
笑うノーティスっ!
ノーティスの目の前には、崩れた馬モンスターの体勢。
その瞬間っ!
「〝アイス・ストーム(氷円嵐撃)″っ!」
満面の笑みで、氷のつららを解き放つノーティスっ!
2・5メートルの氷柱が、目の前に現れるっ!
それが体勢を崩した獣の首めがけて、一気に加速していくっ!
これならば直撃だろうっ!
そして……っ!
ザスッ!
見事命中っ!
「ヒギーーーッ!」
獣が痛みに嗚咽を漏らす。
だが――。
「外したっ!? しぶといっ!」
獣は、寸でで逃げていた。
首ではなく、左肩の部分に突き刺さってしまう氷柱っ!
致命傷には程遠い、自分の魔法っ!
「だが今なら、氷柱の勢いに引きずられているっ! チャンスはココしかっ!」
馬モンスターにとどめを刺すべく、彼女は走り出したっ!
「ヒヒーっン!」
獣が叫び散らし、弱った体を立て直すっ!
血走った目で、迎撃の爪を振りかぶる馬モンスターっ!
すると――っ!
「……なーんちゃって」
笑って立ち止まるノーティスっ!
可愛く肩をすくめている。
「ギヒッ!? ガッ!?」
何があったのか分からない獣。
そして気づいたっ!
だがもう遅いっ!
「ウゥらぁぁっっ!」
獣の後ろから、ジキムートが走り込んでいるいる事にっ!
ウロコのガントレットをぶちかますべく、勢いつけて駆けていく傭兵っ!
そして……っ!
ガズリっ!
「ブヒーーーッ!?」
ジキムートのぶちかましに押し出され、背に刺さったショートソードが前に貫通してしまうっ!
完全に体勢が崩れた化け物っ!
「腹が飛ぶだけと……、思うなよぉおっ! てめえのデカいのも見せてやれっ! デカチチ女ーーーっ!」
叫ぶとジキムートが、ウロコを勃起させたっ!
シャギッ!
「ギヒッっ!?」
馬モンスターは背後で、無数の殺意が勃起する威圧感に、恐怖の声を上げるっ!
「るっさいんですよ、このゴリラーーっ!」
直後、ノーティスが思いっきり全体重を乗せ、馬に刺さった氷柱を蹴りこむっ!
ガスッ!
「ガァアッァッ!」
絶叫が木霊したっ!
ギリリっと肉に、巨大な氷柱がえぐりこまれ、絶叫する馬をモンスターっ!
「ガッ、ギャヒッ、ヒヒっ!」
衝撃にサンドイッチされた馬の背中は、ウロコのナイフまでもが、肉に食い込み始めたっ!
ジキムートが一歩進む事に、ノーティスに蹴りこまれた肩部の氷柱と、背中のナイフのガントレット。
双方が肉へと食い進み続けるっ!
「オラアアアッ!」
その手応えを感じた傭兵は、馬に負けじと叫び散らすっ!
脚力にモノを言わせ、獣を刺したそのままジキムートが、壁まで走って行くっ!
「ウオオォオォッ!」
ダンッ!
ジキムートとモンスターがそのまま、壁に激突。
そして……。
「グギャアアっ!?」
ボドッ!
衝撃で、肩に刺さった氷が完全に貫通し、馬の左腕が千切れて地面に落ちるっ!
「ガッ! ギャヒっ!?」
ガッ! ガッ!
壁に打ち据えられると、獣はすぐに大暴れしだしたっ!
馬は痛みに怒り狂い、後ろのジキムートに肘を打ち込むっ!
「クソっ!? 暴れんじゃねえよっ」
ブシャっ!
鼻から鼻血が飛び散るっ!
暴れる獣の肘撃ちを受けながらも、脚力で踏ん張り続けるジキムートっ!
ナイフで獣を壁とはさみ、必死に致命打にしようとするっ!
ぐっ! ぐずりっ!
傭兵が踏ん張る度に、えぐり出される黒い液体。
ジキムートの歩が進むたびに黒い筋が大きく、太くなっていくっ!
「ギャッ、ギャアアっ!」
すさまじい抵抗を見せ、ジキムートの頭を肘で殴りまくる獣っ!
ガっ! カララ……。
鎧のヘルムが弾け飛ぶっ!
「ぐぅッ! もっと刺されよっ、チクショウめーっ!」
ピシャっ!ピシャシャっ!
ジキムートの殴られ続ける頭からは、血が噴き出していくっ!
「ヒッヒーンっ!」
ひときわ大きいいななき声っ!
ジキムートの太ももが、蹄に蹴り飛ばされたっ!
「ガッ!?」
ぐっびちちっ!
固いヒヅメの衝撃が、鎧を貫通したっ!
ぐにゃっと筋肉を押し広げる感覚と、千切れる痛み。
筋肉が断裂する苦しみに、顔をゆがませるジキムートっ!
「ぐぎいいっ!」
鬼気迫る形相で、それでも足を踏ん張る傭兵っ!
なんとか相手の足を鎮めようと、膝を曲げて緩衝材にするが……っ!
ガッガッ!
固いヒヅメが膝に直撃し、非常に苦しくなる。
「ぐぅう――」
力が……抜けていく。
痛みで、体勢が維持しないようになり始め……。
「ぐぅ……」
泡を吹きながら、なんとか根性で持っているところに、非常の音。
バキっ!
(骨が……っ。いや、皿か。)
なんとも冷静に、膝の皿が割れた音を聞くジキムート。
体勢はもう、持たないかもしれない。
そうなれば、彼は瞬殺だ。
「とぉおおおりゃあっ!」
そこに、女神さまのドぎつい唸り声が聞こえたっ!
ガッ!
「げふっ!」
思いっきり助走をつけた、ノーティスの蹴りっ!
それが、ジキムートの背中にめり込むっ!
その瞬間に……。
「がぁぁあああ……・・っ!」
獣がビクッビクンと跳ね――。
絶えた。
1人と1匹はそして、倒れ伏す。
「はぁはぁ……。ピーひっ、ぴー」
ジキムートの喉の奥から、笛が鳴る。
息が漏れ、口笛のように鳴っていた。
倒れると自然と痛みが……。
顔と足が、激痛に襲われる。
血の混じった視界は、白んだ部分が多い。
「ノー……ティス」
「はぁはぁ……、全く。とんでもない目にあいました」
白い指先で銀の髪を整え、よろよろと立ち上がる女。
そして……。
「ふっ!?」
ジキムートが一瞬にして転がり、間を置くっ!
「……」
ジキムートがノーティスをにらむ。
「ヒヒーン!」
馬モンスターは、なかなか飛び込んでいかない。
ジキムートに警戒心を持っているようだ。
左腕には、奇怪なナイフの巣窟を隠していた。
豪勢な鎧のわりには身軽で、あまりに素早い動き。
この男の胡散臭さを、気にしているようだ。
「さぁ、どうしたどうしたっ! 俺はショートソード一本だぜ、お馬さんよぉっ!」
挑発するようにショートソードを見せつけ、ジキムートが馬モンスターを煽るっ!
「ブフッ! ブフルっ!」
すると馬が、横移動し始める。
その目線を遮るように、ジキムートが動いていく。
「ヒヒンッ!」
後ろを伺う、モンスターの目線。
「……」
それをさえぎり続ける、ジキムート。
「……。グフゥ……フシッ!」
すると――。
「ウラァっ!」
大声を上げ、傭兵が叫んだっ!
「ブヒッ!?」
驚く馬モンスターっ!
そしてまた傭兵が先手を取って、前がかりに走り出したっ!
馬モンスターが負けじと、走っていくっ!
「おっしゃあっ! 頼んだぜノーティスっ!」
叫んでジキムートが真っ直ぐ、馬に走りこむっ!
彼はショートソードを、馬の頭に突き立てようと……っ!
「ブフルっ! ヒヒッ。ヒーンッ!」
ヒュンっ!
ウマヅラが――飛んだっ!
低空で、勢いのあるジャンプ一翔っ!
まるで、地面に吸い付くように飛ぶ馬は、ジキムートの上を飛び越えたっ!
ドスンっ!
洞窟に響く、着地音っ!
そのまままっすにぐ、ノーティスのもとへっ!
「くっ!?」
怯えるノーティスっ!
このままではすぐにでも、ノーティスは八つ裂きだっ!
しかも……っ!
「アイツ……っ!」
くだんのジキムートは、そのまま真っ直ぐ、何事もなかったように出口方向に向かって、走って行っている。
ノーティスを置いてさえ行けば、外に出れるかもしれなかったっ!
「……っ!」
必死に走るジキムートっ!
(このままでは面倒な形になるっ! やはり最初に、逃げておくべきだったか)
悔やむノーティス。
身をひるがえそうとした、その時っ!
予想外の出来事が起きるっ!
フュンっ!
ナイフだ。
ナイフが、目の前から飛んできたのだっ!
「くっ……」
ザスンっ!
ノーティスの退路を妨害するように、ノーティスの頬をかすめ、壁に突き刺さるナイフっ!
それは当然、ジキムートの仕業だっ!
(嫌がらせ――。いやっ、逃げるなとっ!?)
彼の意図に気づくノーティス。
立ち止まり、彼女は笑った。
「大きなモノ、ね。こだわるなら見せてもらいましょうか、あなたのでっかいソイツを」
「ビヒヒーーッ!」
立ち止まってしまったノーティスに、歓声を上げる馬モンスターっ!
そして、目の前。
ノーティスの銀髪が、馬の鼻息で揺れそうな程の近くっ¥っ!
カンっ!
グズリっ!
刺さっていたっ!
「ギャァッウっ!?」
想定外の痛みに叫ぶ、馬モンスターっ!
背には、ショートソードが刺さっているっ!
刺したのはジキムートだっ!
「ふぅ、命中っ!」
「バスタードソードは、ショートソードを押し出す役目と言った所ですか。確かに、デカいと気持ちよく刺せるでしょうねっ!」
笑うノーティスっ!
ノーティスの目の前には、崩れた馬モンスターの体勢。
その瞬間っ!
「〝アイス・ストーム(氷円嵐撃)″っ!」
満面の笑みで、氷のつららを解き放つノーティスっ!
2・5メートルの氷柱が、目の前に現れるっ!
それが体勢を崩した獣の首めがけて、一気に加速していくっ!
これならば直撃だろうっ!
そして……っ!
ザスッ!
見事命中っ!
「ヒギーーーッ!」
獣が痛みに嗚咽を漏らす。
だが――。
「外したっ!? しぶといっ!」
獣は、寸でで逃げていた。
首ではなく、左肩の部分に突き刺さってしまう氷柱っ!
致命傷には程遠い、自分の魔法っ!
「だが今なら、氷柱の勢いに引きずられているっ! チャンスはココしかっ!」
馬モンスターにとどめを刺すべく、彼女は走り出したっ!
「ヒヒーっン!」
獣が叫び散らし、弱った体を立て直すっ!
血走った目で、迎撃の爪を振りかぶる馬モンスターっ!
すると――っ!
「……なーんちゃって」
笑って立ち止まるノーティスっ!
可愛く肩をすくめている。
「ギヒッ!? ガッ!?」
何があったのか分からない獣。
そして気づいたっ!
だがもう遅いっ!
「ウゥらぁぁっっ!」
獣の後ろから、ジキムートが走り込んでいるいる事にっ!
ウロコのガントレットをぶちかますべく、勢いつけて駆けていく傭兵っ!
そして……っ!
ガズリっ!
「ブヒーーーッ!?」
ジキムートのぶちかましに押し出され、背に刺さったショートソードが前に貫通してしまうっ!
完全に体勢が崩れた化け物っ!
「腹が飛ぶだけと……、思うなよぉおっ! てめえのデカいのも見せてやれっ! デカチチ女ーーーっ!」
叫ぶとジキムートが、ウロコを勃起させたっ!
シャギッ!
「ギヒッっ!?」
馬モンスターは背後で、無数の殺意が勃起する威圧感に、恐怖の声を上げるっ!
「るっさいんですよ、このゴリラーーっ!」
直後、ノーティスが思いっきり全体重を乗せ、馬に刺さった氷柱を蹴りこむっ!
ガスッ!
「ガァアッァッ!」
絶叫が木霊したっ!
ギリリっと肉に、巨大な氷柱がえぐりこまれ、絶叫する馬をモンスターっ!
「ガッ、ギャヒッ、ヒヒっ!」
衝撃にサンドイッチされた馬の背中は、ウロコのナイフまでもが、肉に食い込み始めたっ!
ジキムートが一歩進む事に、ノーティスに蹴りこまれた肩部の氷柱と、背中のナイフのガントレット。
双方が肉へと食い進み続けるっ!
「オラアアアッ!」
その手応えを感じた傭兵は、馬に負けじと叫び散らすっ!
脚力にモノを言わせ、獣を刺したそのままジキムートが、壁まで走って行くっ!
「ウオオォオォッ!」
ダンッ!
ジキムートとモンスターがそのまま、壁に激突。
そして……。
「グギャアアっ!?」
ボドッ!
衝撃で、肩に刺さった氷が完全に貫通し、馬の左腕が千切れて地面に落ちるっ!
「ガッ! ギャヒっ!?」
ガッ! ガッ!
壁に打ち据えられると、獣はすぐに大暴れしだしたっ!
馬は痛みに怒り狂い、後ろのジキムートに肘を打ち込むっ!
「クソっ!? 暴れんじゃねえよっ」
ブシャっ!
鼻から鼻血が飛び散るっ!
暴れる獣の肘撃ちを受けながらも、脚力で踏ん張り続けるジキムートっ!
ナイフで獣を壁とはさみ、必死に致命打にしようとするっ!
ぐっ! ぐずりっ!
傭兵が踏ん張る度に、えぐり出される黒い液体。
ジキムートの歩が進むたびに黒い筋が大きく、太くなっていくっ!
「ギャッ、ギャアアっ!」
すさまじい抵抗を見せ、ジキムートの頭を肘で殴りまくる獣っ!
ガっ! カララ……。
鎧のヘルムが弾け飛ぶっ!
「ぐぅッ! もっと刺されよっ、チクショウめーっ!」
ピシャっ!ピシャシャっ!
ジキムートの殴られ続ける頭からは、血が噴き出していくっ!
「ヒッヒーンっ!」
ひときわ大きいいななき声っ!
ジキムートの太ももが、蹄に蹴り飛ばされたっ!
「ガッ!?」
ぐっびちちっ!
固いヒヅメの衝撃が、鎧を貫通したっ!
ぐにゃっと筋肉を押し広げる感覚と、千切れる痛み。
筋肉が断裂する苦しみに、顔をゆがませるジキムートっ!
「ぐぎいいっ!」
鬼気迫る形相で、それでも足を踏ん張る傭兵っ!
なんとか相手の足を鎮めようと、膝を曲げて緩衝材にするが……っ!
ガッガッ!
固いヒヅメが膝に直撃し、非常に苦しくなる。
「ぐぅう――」
力が……抜けていく。
痛みで、体勢が維持しないようになり始め……。
「ぐぅ……」
泡を吹きながら、なんとか根性で持っているところに、非常の音。
バキっ!
(骨が……っ。いや、皿か。)
なんとも冷静に、膝の皿が割れた音を聞くジキムート。
体勢はもう、持たないかもしれない。
そうなれば、彼は瞬殺だ。
「とぉおおおりゃあっ!」
そこに、女神さまのドぎつい唸り声が聞こえたっ!
ガッ!
「げふっ!」
思いっきり助走をつけた、ノーティスの蹴りっ!
それが、ジキムートの背中にめり込むっ!
その瞬間に……。
「がぁぁあああ……・・っ!」
獣がビクッビクンと跳ね――。
絶えた。
1人と1匹はそして、倒れ伏す。
「はぁはぁ……。ピーひっ、ぴー」
ジキムートの喉の奥から、笛が鳴る。
息が漏れ、口笛のように鳴っていた。
倒れると自然と痛みが……。
顔と足が、激痛に襲われる。
血の混じった視界は、白んだ部分が多い。
「ノー……ティス」
「はぁはぁ……、全く。とんでもない目にあいました」
白い指先で銀の髪を整え、よろよろと立ち上がる女。
そして……。
「ふっ!?」
ジキムートが一瞬にして転がり、間を置くっ!
「……」
ジキムートがノーティスをにらむ。
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