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異世界の町。
相棒と水の記憶。そして、彼が帰るべき世界。後編
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そして夜。
暗く、星が瞬く夜空で、三日月が浮かぶ。
ジキムートは目を閉じて、牢屋の中に座っている。
手足には拘束具。
そして……。
ぎぃ……。
牢屋を開ける音。
「おいっ、早くしろっ!」
「あぁ……」
ナイフを持ち、そしてっ!
ザスッ!
「あがっ!?」
「それでぇ? お前らの大将はどこだよ」
笑うジキムートっ!
彼は、ナイフを持った殺人鬼の手首をキメて、相手の肩を刺させていたっ!
「てめぇっ!? いつの間に拘束を……っ! くっ」
逃げようとした、殺人鬼の仲間っ!
すると――。
ヒュンッ!
グササッ!
「がぁあっ!? 足がっ。足がーーーっ!」
逃げようとした男の足に、魔法が直撃するっ!
男は右足を、数本の氷の矢で穿たれていたっ!
転がり絶叫を上げるっ!
「ふふっ、甘い甘いっ! やっぱそう来たんだ、あんたら」
「どうしたっ、なんの騒ぎだっ!?」
騒ぎを聞きつけ、村の男達がやってくるっ!
「そっ村長っ! コイツらが逃げようとしてたんですよっ。それで俺らが止めようとしてっ」
痛む足を押さえ――。
村人が、ジキムートを指すっ!
「なっ……。あんたらやっぱり、そういう事だったのかっ!」
叫んで2人。
暗闇の中にたたずむジキムートと、イーズを見やる村長っ!
だが……。
「まあまぁ、待ってよおじいちゃん。大体おかしいと思わない? そこのジークと私は強いんだよ? とっても。ラグナ・クロスも開けてるしねっ。こんな簡単に捕まる訳ないじゃんっ! 私達はちょっと、確かめたいと思っただけだよっ」
そう言って、逃げたはずのイーズが笑う。
ジキムートも牢屋から這い出し、刺した男を抱えたままで――。
たいまつを掲げた村人達を見やる。
「嘘だっ! コイツらがペテンにかけようとしてんだよっ。お前ら早く、こいつらを殺してくれっ!」
刺された男が叫び散らすっ!
「くっ。とりあえずアンタらは拘束させてもらうっ。良いなっ!」
「ヤダ」
ぺたっ。
ジュウッ!
肉の焼ける臭いっ!
そして……。
シュボッ! ボオオオッ!
「ひぃぃいいいっ!?」
燃え広がる炎っ!
その威力はすさまじく、業火と呼べる物だっ。
業焔が村人たちを一気に囲み、威嚇するように燃え広がるっ!
村人たちは腰を抜かして、顔をひきつらせた。
「あんまそいつを怒らせるなよ、村人共。そいつの魔法は騎士団でも、戦場でビビッて逃げ出すくらいなんだ。多分この村の巫女程度じゃ、相手にならんくらい強いぜ」
「なっ、巫女様よりもっ!? そんな馬鹿なっ。巫女様は、我々とは比べものにならない位に聡明で、しかも字も読める方っ! そして何より、普通の魔法士なぞ相手にならない程、魔法が素晴らしかったのですぞっ! お美しいお顔ですしっ!」
ちょっと村勇者を馬鹿にされ、カチンときたのだろう。
村長が不必要なステータス自慢を入れて、言い返すっ!
「あぁ、でも。その魔法も知識も、イーズに足元にも及ばないだろうぜ。だが恐らくは確かに、巫女は強かっただろうな。それに――」
言葉が途切れる。
肌に感じる異変。
ジキムートが隣を見やる……。
「ぬぅ……。どうしたら――。いっしょねぇ?」
――。
目に入る、明らかにヤバそうな雰囲気の、『トラブルメーカー』の顔。
素直に不機嫌なイーズが、タトゥーを用意している。
追撃しかねない雰囲気。
そして気づく、盲点っ!
「そっ、それに顔もぜってぇ、イーズの方が可愛いはずだっ! なっ!?」
「かっ、顔の話は申し訳ありませぬ。失言でしたわいっ。わしは老眼でしてねぇ――。もう数年前の、おぼろげな姿しか覚えておりませんのじゃぁ」
ジキムートと村長が話を合わせ、なんとかいさめようと必死だっ!
「……」
その姿に、タトゥーを離すイーズ。
この村の危機は去った。
「――ふぅ。しかしこの村の巫女は、列記とした巫女なんだろ? 中央が派遣する以上は、魔法はしっかりと修めてる」
「そのお強い巫女さんを襲うなんて、何か策が無いといけないよね? 普通の山賊程度じゃ、勝てないもん」
笑う傭兵2人。
炎の熱気に揺られ、その姿は威圧感を増している。
「よっ、夜に攻撃したんだよっ! そう言ったろコイツらがっ!」
「それもありだけど、ね? 大事なのは8って数字だよっ」
イーズが得意げに笑う。
「なんだよ8ってっ!? 巫女様達の人数だろうがっ。それがどうしたよっ」
「いや、良く考えろよお前ら。8人全員を殺すなんて、そう簡単じゃねえぜ? 当然武装させて、送り出したんだよな?」
「えっ? えぇ当然ですよっ! 村の中でも腕っぷしが強い、一番良い奴かき集めてっ。そしてギルドから、きちんと紹介状を持った傭兵まで頼み、お願いをしましたっ!」
「それなのに、8人は死んだ。その他はモンスター含めて、死体はなかった。おかしいと思わないか? 相手を一人も殺せないなんて」
「そう言われてみれば……」
村長が、ジキムートの言葉に考え込む。
「相当ヤバい……。例えば、特別なグリフィンとかよ。そんな相手以外で、一方的にやられる。そんなのあり得ねえよ。特殊なモンスターが襲った後も、なかったぜ」
「そっ、それならその女がさっき、巫女より強いって言ったじゃねえかっ! ほら見ろ傭兵っ。自分で尻尾出してやらぁっ!」
叫ぶ、足を魔法で穿たれた農民っ!
だが、村長は更に何かを考えこみ、そして……。
「あなた達2人は、何を言いたいと? それでも訳が分かりませんが?」
「おいっ!? 村長さんよっ! なんでこいつらの……っ!」
「う~りゃっ!」
ガスッ!
「げふっ!?」
女とは思えない程の脚力っ!
イーズに頭を強蹴され、痛みに転がる若い男っ!
それを踏みつけ、イーズが問うた。
「あぁ~。つまりは、ね。ココの村の中に、山賊の手引きしてるクズが潜んでるって、そんな話だよ、おじいちゃん。裏切者なんだよコイツら。多分何か食べ物を……。例えばパンとか渡して、送りだしてなぁい? 巫女達に」
「あぁ……。確かにっ。えっ、もしかしてっ!?」
焦ったように村長が、そのイーズの言葉に聞き返すっ!
「私、死体を確認しに行ったらやっぱり、相当何かを吐いた跡が見つかったんだよね。それにきちんと、魔法を駆使して戦った跡とか、剣で争った様子とかもなかったしさ。多分毒か、体を痺れさせる何かを入れたんじゃないかな? 巫女は解毒はできると思うけど、咄嗟に襲われたら無理だかんね」
彼女は村から逃げると真っ先に、ジキムートが牢に、きちんと閉じ込められたのを確かめた。
その後、すぐに現場へと直行し、色々と現場を調べまわっていた。
「なっ……。それは本当なのですかっ!? しかし村の人間が犯人だと、なぜ貴方様は分かったので?」
「あぁ、それな。……なぁお前。なんで行きがけっつった? 結構日にちが経ってるんだよなぁ? 巫女が出て行ってから」
そう言って、ナイフを刺したまま捕まえている村人の髪を、ギュッと掴み上げて詰問するジキムートっ!
「くっ、なんだよ……。行きがけって。そんな事言ったか覚えてねえしっ。それがどうしたってのっ!」
「行きがけ……。行きがけ、か。あ~、なるほどね。帰りがけでも良かったのか、殺すのなら。そっかそっかっ! 思わず出ちゃったんだね、殺したタイミングが。あったま良いっ。さすがジークっ!」
何かしらのポーズを取るイーズ。
セーラー服を着た月が、お仕置きを宣言するポーズにも見える、それ。
可愛らしいその姿に、結構な男が鼻を伸ばす。
「言葉のあやだってのっ! 馬鹿じゃねえのかっ」
「ふん。別にしらばっくれても良い。ただ、お前らあれだろう? 村の奴らが弱るの待ってんだろ? そんで、一気に叩く予定って感じだ」
ニタニタと舐めるようにジキムートが、その裏切り者に問うてやる。
「な……。なんの事だっ!?」
するとその裏切り農民は、非常に苦しそうに顔を背けた。
「30の村人を始末するのは結構、大変だもんなぁ? ちょうどこの季節が、乾燥が激しいの知ってて、やってんだろ。当然」
「……ちっ」
イラつき舌打ちする、裏切り農民。
それを見ながらイーズが可哀そうに……、と笑っている。
「なぁ……。あの山の中を少し、探してやろうか? どうせ近くで待ってるんだろうし。村を襲うタイミングが来るのをよぉっ!」
笑って怒声を上げるジキムートっ!
その言葉に、裏切り農民が唇を噛んだ。
「くぅ……」
「なっ、なんと卑劣なっ!?」
驚愕し、ジキムートが指し示す山を見回す、村長と村人達っ!
すると……。
「ちっ、だが遅いぜっ! もうこの村は囲んじまったんだよっ。いつでも攻撃できるっ! 俺らには仲間が20も居るんだっ。さっさと観念するんだなっ!」
「20っ!? 少な……っ」
「……えっ?」
……。
ぼそりっと言った、イーズの言葉。
一瞬だが、時が止まってしまう。
「ラっ、ラグナ・クロス開けた奴が3人も居るんだ、こっちはっ! 負ける訳がねえっ。負ける訳がねえんだっ!」
聞こえたような……聞こえなかったようで、聞きたくなかったような顔。
焦るように更に、戦力を上乗せする裏切り農民っ!
「えぇ~。3人じゃあ、ねえ? ジーク」
「えっ。あぁ……っと。う~んっ! いやいやっ、すげえ。3人もいるのかよっ!? あ~怖いなぁ~、どうしようかなぁ?」
ジキムートがサッとイーズの前に出て、裏切り農民と対峙するっ!
「そっ、そうだろうそうだろうっ! 早めに降参しやがれっ」
「あぁ~そうだな、怖いぜ怖い。俺らだけで逃げようか~、イーズ?」
「な、何言ってんの、ジーク。どうしちゃったの? マジで。2人ならちゃちゃっと……。もごぉっ!?」
「んっん~っ! あははっ。とっ、とりあえずお前たち、村人共はどうすんだ?」
きりりっと顔を整え、イーズを押さえ込みながら、村長たちに問いかける傭兵っ!
「私達はそのっ、どうすれば良いのでしょうかっ!? もう戦える人間は少なく、とてもじゃないが、20もの相手に対抗できる手段を持ちませんっ! 巫女様も居ないっ」
村長は、押さえ込まれたイーズを見ながら、ジキムートに聞く。
「そうだな。でも乗り掛かった舟だ、仕方ねえっ。俺らが相手してやるっ! ――が、やっぱ20ともなると、危険だろうなぁ……」
あ~っと言いながら、村長以下村人の面々を見やる傭兵。
「それなら褒賞金を少しっ。少しだけ上乗せさせていただきますっ!」
「じゃあ銀貨、500枚でっ!」
「なっ……。500……ですかっ!? 300枚でお願いできませんかっ、お願いいたしますっ!」
「300? そいつはありえねえっ。無理だなぁ」
「そうそうっ! まぁせいぜい450だよねえ?」
すっ……とイーズが前に出るっ!
遅ればせながら、交渉の舞台に舞い戻った。
「450っ!? くぅ……ならば420っ! いえ、430でっ!」
なんとかこの村が出せる、なけなしの金銭。
それを傭兵2人に掲示する村長っ!
「まいどあり~。へへっ、じゃあ村人共はあの、教会の中で待ってろっ。俺らが呼ぶまでは、出てくんじゃねえぞっ! じゃあ俺らはちょっくら、山賊狩りしてくるぜっ。まずはコイツから……」
器用にそして、精確にナイフを持つ傭兵。
鼻歌交じりに手慣れた手つきで、ナイフを裏切り農民に――。
「おっおいっ! くそっ!? ぜってぇ後悔すんぞてめぇらっ! おっ、俺が居れば少しは、話をつけてやるっ! 本当だっ! さっさと降参して……ぐええっ!?」
ジキムートが黙らせ、殺害しようと首に手をかけた。しかし……。
「まっ、待って下さいっ! 村のもんはしっかりと、領主様に伺いを立てないとっ。わしらが勝手に、裁くわけにはいけませんっ! どうか今は、見逃してやってくだされませんか。あなた達を害した事も、ワシが代わりにお詫びしますのでっ!」
「え~っ。面倒になるよ? おじいちゃん。こっから運ぶんでしょ、コイツ。」
イーズが困惑する。
人一人を、生かして運ぶ。
それはとてもとても、重労働な事だ。
中世では難問ともいえる話。
「ですがそれでも、お願いいたしますっ!」
その村長の顔に、ジキムートが考え――。
「ふん……っ、そうか。まぁ良いぜ。良かったな、2度も救われてよ。お前、最初俺を殺そうとした奴だろ? あんときお前が農具振ってたら、俺は構わず殺す予定だったんだぜ。村長に感謝するんだなっ!」
ガスッ!
「ぐべっ!?」
重い一撃に、腹を押さえてうずくまり、動かなくなる裏切り農民。
ちなみにもう一人はイーズに、鼻歌交じりに草の魔法でこれでもかっ! って程、編み込まれて、真ん丸にされている。
きっと楽しい、住宅案内ができるだろう。
なぁ……巨大スー●。
村民たちはそれを見るなり、教会へと駆けこんでいった。
「そんじゃ、銀貨430枚のお仕事、始めるかっ! イーズっ」
銀貨430枚。
約126万円くらいで、武装した20人の民兵に、2人で立ち向かう。
それを安いと取るか、高いと思うかはあなた次第。
だが……。
「へへ~。銀貨430か~。儲かったね、ジークっ!」
「あぁ。たった20だ。ちゃちゃっとヤるぞっ! イーズっ」
この2人にとってはそれは、良い金儲けの話であろう事。
それは、顔からにじみ出る自信で分かった。
……。
「ありがとうございました、旅のお方っ! なんと20もの相手を、たったお2人でとはっ!」
感激したように叫ぶ、村長。
あの交渉の時、未だ半信半疑だった傭兵2人の素行。
それがあの後、ジキムート達が示してみせた20の死体の山を見て、すっかり転じていた。
今は感謝で顔がほころんでいる。
「おじいちゃん達、どうすんの? これから」
「私どもはひとまず、ココを離れようかと。いきさつを教会の方へ説明いたしまして、なんとか新しい巫女様を派遣していただき、村の復興を模索いたします。」
「そっか、大変だね。あ~あ、雨降れば良いのになぁ。」
イーズが天を仰ぐ。
「しようがないのです。わしらでは巫女様がいなければ水を作る事も、土地を守る事もできませぬので。あの麦も……。そう、領主様に全て、裁量をお任せするしかありませんなぁ。ふぅ……」
深いため息。
丹精込めて作っていた、麦や大麦を見て、村長が肩を落とす。
人間が生きていくのに、適さない大地。
そこで生きる者には、日常と滅亡は隣り合わせだ。
「ホント雨さえ降ってくれりゃ……。あぁ……」
「しょうがねえ。しょうがねえさ。グスッ」
村人達が必死に、自分に言い聞かせている。
何十日と苦労した作物が、どうにもならないかもしれない。
自分達の努力が、つゆと消える。
そして彼らは食料を得られず、明日をも知れぬ運命だ。
それが悔しくない訳がない。
「生きていればまた、なんとかなるっ。さぁ行こう。お前たち」
理不尽さに泣く仲間をなんとかいさめて、そして、もう一度立ち上がる村民たち。
「あぁ、生きてくしかねえ。頑張れなっ!」
「そうだよねっ。頑張ってね、おじいちゃん達っ! あんたも……頑張ってね」
そう言ってあの、水を求めた少年へと屈むイーズ。
「ありがとうございましたっ! 御恩は忘れませんっ」
そう言うと村人総勢20数名とあと、罪人少々。
それらがトボトボと歩き出す。
それを見送るジキムート達。
「行っちゃったね」
ぽそり……と、イーズが言った。
「そうだな。まぁ仕方ねえよ。楽に生きていける場所なんて、多くねえ。上等に水が流れてくれなくても、巫女さえいれば、畑耕せるだけまだマシってもんさ」
「そうだよね。水分は大事って事で、早く次の村行って、ビール買おっ! あの人たち見てたら、喉渇いちゃった。命の水~、ビールゥ~」
上機嫌で即興の、『ビールの賛歌』を謳うイーズ。
彼らは喉が渇けば、ビールを飲む。
飲む事に適さない水を誤魔化し、なんとか日々を凌ぐ為には、ビールしかないのだ。
この神が愛さなかった世界で、喉の渇きを癒すには、それしか……。
暗く、星が瞬く夜空で、三日月が浮かぶ。
ジキムートは目を閉じて、牢屋の中に座っている。
手足には拘束具。
そして……。
ぎぃ……。
牢屋を開ける音。
「おいっ、早くしろっ!」
「あぁ……」
ナイフを持ち、そしてっ!
ザスッ!
「あがっ!?」
「それでぇ? お前らの大将はどこだよ」
笑うジキムートっ!
彼は、ナイフを持った殺人鬼の手首をキメて、相手の肩を刺させていたっ!
「てめぇっ!? いつの間に拘束を……っ! くっ」
逃げようとした、殺人鬼の仲間っ!
すると――。
ヒュンッ!
グササッ!
「がぁあっ!? 足がっ。足がーーーっ!」
逃げようとした男の足に、魔法が直撃するっ!
男は右足を、数本の氷の矢で穿たれていたっ!
転がり絶叫を上げるっ!
「ふふっ、甘い甘いっ! やっぱそう来たんだ、あんたら」
「どうしたっ、なんの騒ぎだっ!?」
騒ぎを聞きつけ、村の男達がやってくるっ!
「そっ村長っ! コイツらが逃げようとしてたんですよっ。それで俺らが止めようとしてっ」
痛む足を押さえ――。
村人が、ジキムートを指すっ!
「なっ……。あんたらやっぱり、そういう事だったのかっ!」
叫んで2人。
暗闇の中にたたずむジキムートと、イーズを見やる村長っ!
だが……。
「まあまぁ、待ってよおじいちゃん。大体おかしいと思わない? そこのジークと私は強いんだよ? とっても。ラグナ・クロスも開けてるしねっ。こんな簡単に捕まる訳ないじゃんっ! 私達はちょっと、確かめたいと思っただけだよっ」
そう言って、逃げたはずのイーズが笑う。
ジキムートも牢屋から這い出し、刺した男を抱えたままで――。
たいまつを掲げた村人達を見やる。
「嘘だっ! コイツらがペテンにかけようとしてんだよっ。お前ら早く、こいつらを殺してくれっ!」
刺された男が叫び散らすっ!
「くっ。とりあえずアンタらは拘束させてもらうっ。良いなっ!」
「ヤダ」
ぺたっ。
ジュウッ!
肉の焼ける臭いっ!
そして……。
シュボッ! ボオオオッ!
「ひぃぃいいいっ!?」
燃え広がる炎っ!
その威力はすさまじく、業火と呼べる物だっ。
業焔が村人たちを一気に囲み、威嚇するように燃え広がるっ!
村人たちは腰を抜かして、顔をひきつらせた。
「あんまそいつを怒らせるなよ、村人共。そいつの魔法は騎士団でも、戦場でビビッて逃げ出すくらいなんだ。多分この村の巫女程度じゃ、相手にならんくらい強いぜ」
「なっ、巫女様よりもっ!? そんな馬鹿なっ。巫女様は、我々とは比べものにならない位に聡明で、しかも字も読める方っ! そして何より、普通の魔法士なぞ相手にならない程、魔法が素晴らしかったのですぞっ! お美しいお顔ですしっ!」
ちょっと村勇者を馬鹿にされ、カチンときたのだろう。
村長が不必要なステータス自慢を入れて、言い返すっ!
「あぁ、でも。その魔法も知識も、イーズに足元にも及ばないだろうぜ。だが恐らくは確かに、巫女は強かっただろうな。それに――」
言葉が途切れる。
肌に感じる異変。
ジキムートが隣を見やる……。
「ぬぅ……。どうしたら――。いっしょねぇ?」
――。
目に入る、明らかにヤバそうな雰囲気の、『トラブルメーカー』の顔。
素直に不機嫌なイーズが、タトゥーを用意している。
追撃しかねない雰囲気。
そして気づく、盲点っ!
「そっ、それに顔もぜってぇ、イーズの方が可愛いはずだっ! なっ!?」
「かっ、顔の話は申し訳ありませぬ。失言でしたわいっ。わしは老眼でしてねぇ――。もう数年前の、おぼろげな姿しか覚えておりませんのじゃぁ」
ジキムートと村長が話を合わせ、なんとかいさめようと必死だっ!
「……」
その姿に、タトゥーを離すイーズ。
この村の危機は去った。
「――ふぅ。しかしこの村の巫女は、列記とした巫女なんだろ? 中央が派遣する以上は、魔法はしっかりと修めてる」
「そのお強い巫女さんを襲うなんて、何か策が無いといけないよね? 普通の山賊程度じゃ、勝てないもん」
笑う傭兵2人。
炎の熱気に揺られ、その姿は威圧感を増している。
「よっ、夜に攻撃したんだよっ! そう言ったろコイツらがっ!」
「それもありだけど、ね? 大事なのは8って数字だよっ」
イーズが得意げに笑う。
「なんだよ8ってっ!? 巫女様達の人数だろうがっ。それがどうしたよっ」
「いや、良く考えろよお前ら。8人全員を殺すなんて、そう簡単じゃねえぜ? 当然武装させて、送り出したんだよな?」
「えっ? えぇ当然ですよっ! 村の中でも腕っぷしが強い、一番良い奴かき集めてっ。そしてギルドから、きちんと紹介状を持った傭兵まで頼み、お願いをしましたっ!」
「それなのに、8人は死んだ。その他はモンスター含めて、死体はなかった。おかしいと思わないか? 相手を一人も殺せないなんて」
「そう言われてみれば……」
村長が、ジキムートの言葉に考え込む。
「相当ヤバい……。例えば、特別なグリフィンとかよ。そんな相手以外で、一方的にやられる。そんなのあり得ねえよ。特殊なモンスターが襲った後も、なかったぜ」
「そっ、それならその女がさっき、巫女より強いって言ったじゃねえかっ! ほら見ろ傭兵っ。自分で尻尾出してやらぁっ!」
叫ぶ、足を魔法で穿たれた農民っ!
だが、村長は更に何かを考えこみ、そして……。
「あなた達2人は、何を言いたいと? それでも訳が分かりませんが?」
「おいっ!? 村長さんよっ! なんでこいつらの……っ!」
「う~りゃっ!」
ガスッ!
「げふっ!?」
女とは思えない程の脚力っ!
イーズに頭を強蹴され、痛みに転がる若い男っ!
それを踏みつけ、イーズが問うた。
「あぁ~。つまりは、ね。ココの村の中に、山賊の手引きしてるクズが潜んでるって、そんな話だよ、おじいちゃん。裏切者なんだよコイツら。多分何か食べ物を……。例えばパンとか渡して、送りだしてなぁい? 巫女達に」
「あぁ……。確かにっ。えっ、もしかしてっ!?」
焦ったように村長が、そのイーズの言葉に聞き返すっ!
「私、死体を確認しに行ったらやっぱり、相当何かを吐いた跡が見つかったんだよね。それにきちんと、魔法を駆使して戦った跡とか、剣で争った様子とかもなかったしさ。多分毒か、体を痺れさせる何かを入れたんじゃないかな? 巫女は解毒はできると思うけど、咄嗟に襲われたら無理だかんね」
彼女は村から逃げると真っ先に、ジキムートが牢に、きちんと閉じ込められたのを確かめた。
その後、すぐに現場へと直行し、色々と現場を調べまわっていた。
「なっ……。それは本当なのですかっ!? しかし村の人間が犯人だと、なぜ貴方様は分かったので?」
「あぁ、それな。……なぁお前。なんで行きがけっつった? 結構日にちが経ってるんだよなぁ? 巫女が出て行ってから」
そう言って、ナイフを刺したまま捕まえている村人の髪を、ギュッと掴み上げて詰問するジキムートっ!
「くっ、なんだよ……。行きがけって。そんな事言ったか覚えてねえしっ。それがどうしたってのっ!」
「行きがけ……。行きがけ、か。あ~、なるほどね。帰りがけでも良かったのか、殺すのなら。そっかそっかっ! 思わず出ちゃったんだね、殺したタイミングが。あったま良いっ。さすがジークっ!」
何かしらのポーズを取るイーズ。
セーラー服を着た月が、お仕置きを宣言するポーズにも見える、それ。
可愛らしいその姿に、結構な男が鼻を伸ばす。
「言葉のあやだってのっ! 馬鹿じゃねえのかっ」
「ふん。別にしらばっくれても良い。ただ、お前らあれだろう? 村の奴らが弱るの待ってんだろ? そんで、一気に叩く予定って感じだ」
ニタニタと舐めるようにジキムートが、その裏切り者に問うてやる。
「な……。なんの事だっ!?」
するとその裏切り農民は、非常に苦しそうに顔を背けた。
「30の村人を始末するのは結構、大変だもんなぁ? ちょうどこの季節が、乾燥が激しいの知ってて、やってんだろ。当然」
「……ちっ」
イラつき舌打ちする、裏切り農民。
それを見ながらイーズが可哀そうに……、と笑っている。
「なぁ……。あの山の中を少し、探してやろうか? どうせ近くで待ってるんだろうし。村を襲うタイミングが来るのをよぉっ!」
笑って怒声を上げるジキムートっ!
その言葉に、裏切り農民が唇を噛んだ。
「くぅ……」
「なっ、なんと卑劣なっ!?」
驚愕し、ジキムートが指し示す山を見回す、村長と村人達っ!
すると……。
「ちっ、だが遅いぜっ! もうこの村は囲んじまったんだよっ。いつでも攻撃できるっ! 俺らには仲間が20も居るんだっ。さっさと観念するんだなっ!」
「20っ!? 少な……っ」
「……えっ?」
……。
ぼそりっと言った、イーズの言葉。
一瞬だが、時が止まってしまう。
「ラっ、ラグナ・クロス開けた奴が3人も居るんだ、こっちはっ! 負ける訳がねえっ。負ける訳がねえんだっ!」
聞こえたような……聞こえなかったようで、聞きたくなかったような顔。
焦るように更に、戦力を上乗せする裏切り農民っ!
「えぇ~。3人じゃあ、ねえ? ジーク」
「えっ。あぁ……っと。う~んっ! いやいやっ、すげえ。3人もいるのかよっ!? あ~怖いなぁ~、どうしようかなぁ?」
ジキムートがサッとイーズの前に出て、裏切り農民と対峙するっ!
「そっ、そうだろうそうだろうっ! 早めに降参しやがれっ」
「あぁ~そうだな、怖いぜ怖い。俺らだけで逃げようか~、イーズ?」
「な、何言ってんの、ジーク。どうしちゃったの? マジで。2人ならちゃちゃっと……。もごぉっ!?」
「んっん~っ! あははっ。とっ、とりあえずお前たち、村人共はどうすんだ?」
きりりっと顔を整え、イーズを押さえ込みながら、村長たちに問いかける傭兵っ!
「私達はそのっ、どうすれば良いのでしょうかっ!? もう戦える人間は少なく、とてもじゃないが、20もの相手に対抗できる手段を持ちませんっ! 巫女様も居ないっ」
村長は、押さえ込まれたイーズを見ながら、ジキムートに聞く。
「そうだな。でも乗り掛かった舟だ、仕方ねえっ。俺らが相手してやるっ! ――が、やっぱ20ともなると、危険だろうなぁ……」
あ~っと言いながら、村長以下村人の面々を見やる傭兵。
「それなら褒賞金を少しっ。少しだけ上乗せさせていただきますっ!」
「じゃあ銀貨、500枚でっ!」
「なっ……。500……ですかっ!? 300枚でお願いできませんかっ、お願いいたしますっ!」
「300? そいつはありえねえっ。無理だなぁ」
「そうそうっ! まぁせいぜい450だよねえ?」
すっ……とイーズが前に出るっ!
遅ればせながら、交渉の舞台に舞い戻った。
「450っ!? くぅ……ならば420っ! いえ、430でっ!」
なんとかこの村が出せる、なけなしの金銭。
それを傭兵2人に掲示する村長っ!
「まいどあり~。へへっ、じゃあ村人共はあの、教会の中で待ってろっ。俺らが呼ぶまでは、出てくんじゃねえぞっ! じゃあ俺らはちょっくら、山賊狩りしてくるぜっ。まずはコイツから……」
器用にそして、精確にナイフを持つ傭兵。
鼻歌交じりに手慣れた手つきで、ナイフを裏切り農民に――。
「おっおいっ! くそっ!? ぜってぇ後悔すんぞてめぇらっ! おっ、俺が居れば少しは、話をつけてやるっ! 本当だっ! さっさと降参して……ぐええっ!?」
ジキムートが黙らせ、殺害しようと首に手をかけた。しかし……。
「まっ、待って下さいっ! 村のもんはしっかりと、領主様に伺いを立てないとっ。わしらが勝手に、裁くわけにはいけませんっ! どうか今は、見逃してやってくだされませんか。あなた達を害した事も、ワシが代わりにお詫びしますのでっ!」
「え~っ。面倒になるよ? おじいちゃん。こっから運ぶんでしょ、コイツ。」
イーズが困惑する。
人一人を、生かして運ぶ。
それはとてもとても、重労働な事だ。
中世では難問ともいえる話。
「ですがそれでも、お願いいたしますっ!」
その村長の顔に、ジキムートが考え――。
「ふん……っ、そうか。まぁ良いぜ。良かったな、2度も救われてよ。お前、最初俺を殺そうとした奴だろ? あんときお前が農具振ってたら、俺は構わず殺す予定だったんだぜ。村長に感謝するんだなっ!」
ガスッ!
「ぐべっ!?」
重い一撃に、腹を押さえてうずくまり、動かなくなる裏切り農民。
ちなみにもう一人はイーズに、鼻歌交じりに草の魔法でこれでもかっ! って程、編み込まれて、真ん丸にされている。
きっと楽しい、住宅案内ができるだろう。
なぁ……巨大スー●。
村民たちはそれを見るなり、教会へと駆けこんでいった。
「そんじゃ、銀貨430枚のお仕事、始めるかっ! イーズっ」
銀貨430枚。
約126万円くらいで、武装した20人の民兵に、2人で立ち向かう。
それを安いと取るか、高いと思うかはあなた次第。
だが……。
「へへ~。銀貨430か~。儲かったね、ジークっ!」
「あぁ。たった20だ。ちゃちゃっとヤるぞっ! イーズっ」
この2人にとってはそれは、良い金儲けの話であろう事。
それは、顔からにじみ出る自信で分かった。
……。
「ありがとうございました、旅のお方っ! なんと20もの相手を、たったお2人でとはっ!」
感激したように叫ぶ、村長。
あの交渉の時、未だ半信半疑だった傭兵2人の素行。
それがあの後、ジキムート達が示してみせた20の死体の山を見て、すっかり転じていた。
今は感謝で顔がほころんでいる。
「おじいちゃん達、どうすんの? これから」
「私どもはひとまず、ココを離れようかと。いきさつを教会の方へ説明いたしまして、なんとか新しい巫女様を派遣していただき、村の復興を模索いたします。」
「そっか、大変だね。あ~あ、雨降れば良いのになぁ。」
イーズが天を仰ぐ。
「しようがないのです。わしらでは巫女様がいなければ水を作る事も、土地を守る事もできませぬので。あの麦も……。そう、領主様に全て、裁量をお任せするしかありませんなぁ。ふぅ……」
深いため息。
丹精込めて作っていた、麦や大麦を見て、村長が肩を落とす。
人間が生きていくのに、適さない大地。
そこで生きる者には、日常と滅亡は隣り合わせだ。
「ホント雨さえ降ってくれりゃ……。あぁ……」
「しょうがねえ。しょうがねえさ。グスッ」
村人達が必死に、自分に言い聞かせている。
何十日と苦労した作物が、どうにもならないかもしれない。
自分達の努力が、つゆと消える。
そして彼らは食料を得られず、明日をも知れぬ運命だ。
それが悔しくない訳がない。
「生きていればまた、なんとかなるっ。さぁ行こう。お前たち」
理不尽さに泣く仲間をなんとかいさめて、そして、もう一度立ち上がる村民たち。
「あぁ、生きてくしかねえ。頑張れなっ!」
「そうだよねっ。頑張ってね、おじいちゃん達っ! あんたも……頑張ってね」
そう言ってあの、水を求めた少年へと屈むイーズ。
「ありがとうございましたっ! 御恩は忘れませんっ」
そう言うと村人総勢20数名とあと、罪人少々。
それらがトボトボと歩き出す。
それを見送るジキムート達。
「行っちゃったね」
ぽそり……と、イーズが言った。
「そうだな。まぁ仕方ねえよ。楽に生きていける場所なんて、多くねえ。上等に水が流れてくれなくても、巫女さえいれば、畑耕せるだけまだマシってもんさ」
「そうだよね。水分は大事って事で、早く次の村行って、ビール買おっ! あの人たち見てたら、喉渇いちゃった。命の水~、ビールゥ~」
上機嫌で即興の、『ビールの賛歌』を謳うイーズ。
彼らは喉が渇けば、ビールを飲む。
飲む事に適さない水を誤魔化し、なんとか日々を凌ぐ為には、ビールしかないのだ。
この神が愛さなかった世界で、喉の渇きを癒すには、それしか……。
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