【R18】統べる者見守る者

寿 智子

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ルード王子

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「 イシア様、 これから私と共に1歩ずつ歩んで行ってくれますか? 」


「 はい。 ルード様と共に、、 」


「 イシア様、、  キスをしてもよろしいでしょうか? 」


「 え? あ、、はい。 」



頬を撫で、唇を親指でなぞる。

ギュっと目を瞑り、 どんどん俯くので

「 そんなに下を向かれたら、 キスできませんよ? 」

顎を掬い上げ、 唇に触れるだけのキスをした。


イシアの腕が背中に周り、 キュッと抱きつく。



 なんて愛らしい。 もう、 手放せない。 これが、 誰かの策略で、

真の気持ちでないとしても、 これから、 築き上げる。

貴女との愛を、 手に入れる。

何者からも守ります。 例えあの人が相手でも。

貴女が私を愛すると仰ってくれる限り、私はその何倍もの愛で貴女を包んでみせます。



「 なんだか、 まだ、 夢の中にいるようで、 たくさん考えてるせいでしょうか? 」


「 このままお眠り下さい。 とてもお疲れと思います。 」

 そっと、 瞼にキスをした。




 この国は腐ってるんだ。 本当に腐ってる。

共に、粛清し、正していけるなら、 この国でも生きてゆく甲斐がある。



そっと、ベッドへ寝かせ布団を掛けてやると、


「 ルードさま、 もう少しおそばに、、心細いのです、 」


ベッドに腰掛け、 髪を撫でてやる。


「 えぇ。 貴女が望むなら、いつまでもここに。 」

 服の裾を掴みながら、すっと目を閉じた。


 イシア様、 貴女にこの腐りきった王宮は似合わない。

変えよう、この国を、あなたを悲しませるものは排除しよう。

貴女が望むものを贈りましょう。



 額にキスをし、髪を撫でる。 頬を撫でてやると、 手を重ねてくる。

氷の様に冷たい。


「 寒くは無いですか? 冷たい手をなさってる。 暖かい掛布をお持ちしましょう。

これは、冷たすぎて、 眠れませんね? 」



「 平気です。 離れては寂しいです。 いかないで? 」



ギシッときしませ、イシアに覆いかぶさる。



「 そんなに可愛いことばかり言われると、 私の理性が持ちませんよ?

ゆっくりお休み下さい。 」


そっと、頭にキスを落とした。 キュッと背中に手を回された。


「 るーどさま、、 お側に、、 」


 あぁ、イシア様、私は、、

何度も何度も口付けを落とす、頬や瞼にも。 赤く小さな唇を啄み、舌でなぞる。

軽く口を開き……背中の手に力が入った。


 あぁ、なんて可愛い、可愛すぎて辛い。



 すみません。イシア様。 

心の中で謝罪し、 その長い舌をイシアの口中に挿し、

歯列を何度かなぞり、 ノックすると、更に口が開いた。


舌で舌をなぞり、 角度を変え深く舌を挿し絡めると、

背中をトントン叩き、胸を押し返された。


はっ、、


「 すみません。 つい、嬉しくなり、やり過ぎましたね。 」


そっと身体を離し、 髪を撫でると、胸元まで真っ赤になったイシアが、フッと横を向き


「 すみません。 苦しかっただけなの。 息が出来なくて… 」


 なんだって? 慣れていないのか??

もう何年も付き合ってる様だったが、、清いまま?

 あぁ、イシア様。 大切にします。本当に大切にします。

彼の人の分まで、 幸せになりましょう。



「 ふふっ、鼻で息をしましょ? そんなに緊張しないで? 力を抜いてください。 」

「 ルード様のお顔に、、あの、、息がかかります。 恥ずかしいです。 」

「 なぜ? 大丈夫ですよ? では、練習しましょうか。 こちらを向いて? 」



頬やこめかみにキスしながら言った。


真っ赤になりながら、ルードの方を向くと、また、啄むキスを繰り返す。


 イシアの横についていた手を、 小さなイシアの手に重ね、 絡めるとキュッと握り返す。 

頭上でシーツに押し付けながら、 手を握る。


 一瞬目が開き、 視線を絡めると、 また横をむく


「 イシア、、こちらを向いて?大人のキスがしたい。 」


手にギュッと力が入り、 これ以上ないくらい赤く染まった顔を向け、目を閉じた。


「 可愛すぎるよ、 私の天使は。 愛してる、 イシア。 」


 唇を啄み舌でなぞると、そっと、開いた。

また、舌を差し込み口腔を探り、 舌を舌でなぞると、そっと、返してくる。


 本当に慣れていないようだ。 気持ちが高ぶるルード。

舌を絡め、吸い取ると、 少しずつイシアの息が上がってくる。

身体も手も熱を持ってきた。 肩で息をしながら、たどたどしく舌を差し出してくる。

しばらく舌を絡め、唇を吸い、イシアの口腔を犯すようなキスを繰り返した。



 ゆっくり舌を離し、 チュッと音を立て唇に何度かキスをし、 頬にもチュッとキスをした。


 そして、ゆっくり身体離すと、 真っ赤に染まり肩で息をする愛しい人を眼下に敷く。


 髪を撫で、頬にキスをし、首すじを舐めると、 あっと声を上げ、手で口を塞いでいる。


更に首筋に舌を這わせ、 耳元で囁く。


「 可愛すぎますね。 このまま襲ってしまいたくなります。

その可愛いお声は、 婚姻式後に聞かせてくださいね? 」


「 ルードさま、もぉ、、 恥ずかしいです。 気を失いそうです、、 」



「 でも、 少しは安心していただけましたか? ようやく微笑んでくださいました。 」


「 そうですね。 気持ちが軽くなってます。 だけど、 叱られますね。

家出をして、 許しもなく結婚して。 とても不安です。 」


「 無理なさらなくていいのですよ? 今日、 この日のことを思い出に、

明日にでも、 私がお送りすることもできます。 諦めきれませんがね。 」


「 どうすればいいのでしょう。 」


「 悩むなら、 今ここに来たことを信じて、

私と、 結婚しましょう。 何があって、 どうやって来たか

わかりませんが、 この国に来たことは事実。

私は、 イシア様が、 私に助けを求めてくれたと信じます。 」


「 ルード様、、 まだ、 本当に愛してる。 と、 自信をもって言えませんが、 

今の気持ち、  私、 ルード様が、 好きですよ。 」

 また、 赤くなり、 うつむく。


「 今は、 それで十分過ぎます。 ありがとうイシア様。 

少し、 眠った方がいい。 目を閉じて? そう。 何も考えないで。 

はい。 冷えてきますから、 しっかり布団もかぶって。

ふふっ。 手は握ってますよ。 後で少し、 部屋を出ますが、 

すぐ戻ります。 今は、 安心して眠ってください。 」


 あぁ、 本当に、 こんなに可憐で純真な方がおられるとは。

手放したくない。 だが、 求められるなら、 国へ帰そう。



 ゼンドが言うには、 孤児院で見つかったらしいが。

お一人で、 どうやって来られたのだ? 

何故、 記憶がないのだ? 公爵公子とは仲睦まじく見えたが、 

違っていたのか? 


 いや、 気にするまい。 今から、 築いてゆこう。

乗り込まれたら、 お会いしてもらおう。


 もしそこで、 母上が画策しているようなら、 引き留めるだろう。

その時は、 何があっても送り届けよう。




 万が一、 記憶操作をしたのなら、、 忘れた記憶があるなら、、

二度と戻らない。 すみません。 イシア様。


 そうだとしたら、 この国は、 王族は、 滅べばいい。

私が、 皆殺しにして、 私も死のう。 



 婚姻式は、 探ってからの方がよさそうだな。





 しかし、 イシア様を、 1人にはできない。


 信頼できる者が一人もいない。 思い浮かぶのは、 異国の王子、 主神だけか。



いつ刺客が現れるか。 また、殺されてしまう。


この国で暮らすなら、 結婚し早く王子を授かれば、 地位は確立される。


だが、 戻れるなら、 戻りたいなら、 早く帰してあげたい。


私は、 出来るなら、 イシア様と穏やかに過ごしたい。


国を滅ぼして、 どこか誰も知らない場所で、、

いや、 無理だな。 王女殿下だ。 庶民よりも辛い暮らしなど、

できるはずもない。 国の中でしか、 生きられないだろう。



 私も、 答えを出せない。


 どうすればいいのか。






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