【R18】統べる者見守る者

寿 智子

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新しい命

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 お披露目式当日。
大庭園では多くの人が、ロイジンと黒の宝石姫、クージンと王太子妃達の登場を待っていた。国中からお祝いに来るので、何度かバルコニーに出て顔見世をする。

   美男美女が着飾りお目見えする様は、正に天国にも昇る気持ちで、溜息や歓声が鳴り止まない。

   そんな中やはり、落胆する男性陣の声もあったが、結局ロイジンに声援を送るのだった。

   神様と大精霊様のお目見えはないのかと、残念そうにしていたものの、急遽発表があった王太子妃殿下との仲睦まじい姿に感動し皆が祝辞を送っていた。


    そして何度目かのお披露目で、緊急事態発生。お披露目は中止となった。




   ロイさま…なんだかお腹が小さくなった気がしませんか?
それに、しばらく動いてないのです…

ミーシャがとても不安そうにロイジンに訴える。

 ロイジンは慌てて抱き上げ、バルコニー奥で皆と寛いでいた王妃の元に駆け寄る。
説明すると、もうすぐお産が始まると思う。部屋で準備して、産医も呼ぼうと段取りを説明してる間に、破水した。

  慌てふためく2人を他所に経験者たちが、説明や指示、段取りをテキパキと済ませてくれ、もう、産まれるのを待つばかりとなった。


   初めは会話もできていたので、本当に楽なお産かとロイジンは思っていたが、しばらくして、そんなに甘いことでは無いと思い知ることになる。


   陣痛もしっかりあり、痛みに耐えれず泣き叫ぶミーシャ。


    それなのに、泣いてはダメ、身体を捻ってもダメ、足を閉じてもダメ、ただ呼吸で痛みを和らげるだけだった。

   汗と涙を拭い、ミーシャが握る取手の上から手をかぶせ、一緒に呼吸をするしか出来ない。

    お産とは本当に大変な事で、命懸けなのだと実感したロイジン。


   今更だが、年若く小柄なミーシャにとんでもない負担をかけ、危険な行為だったのだと気付く。
   ただ面倒だからと避妊もせずしていいことではなかった。薬を飲めばいいだけだったのに。

   これからは、本当に大切にしていこうと再度誓うのだった。しかし、今はただ親子共々の無事を祈り時を待つしか出来ない。ただ励ましていた。


「御生まれになります!男の子でございます!おめでとうございます!」

 元気な産声を上げ誕生してくれた初めての我が子、ミーシャの胸の上で乳を探し逞しく吸い付く様子は感動以外何も無かった。

「ミーシャ。お疲れ様、ありがとう。」
「はい、男の子なのですね。ロイさまそっくりな超絶美男子に育って欲しいです。あ、でも髪色は私ですね。あ、、、痛い、、、ロイさまこの子抱いて?まだおかしいのです。」


「ミーシャ?」

「おや?双子ですね!もう、見えますよ~。姫君ですよ!おめでとうございます」


「んんん?いや、3つ子です!準備不足だ、湯と産着の準備して!あっ、産まれます!男の子です!」

 バタバタと、赤ちゃんの診察と世話をし、健康が確認され、初乳もしっかり飲んでいた。
 ミーシャの状態もよく、産医はこの身体で、母子ともに何事もなくお産に至ったのは、神の祝福があったからだろうと感謝した。とはいえ、相当な負担がかかったのは事実なので、2週間はベッドで過ごすよう伝えた。





「なんと幸せなことか。ミーシャ?大丈夫かい?よく頑張ったね。本当に本当にお疲れ様、ありがとう。」

「はい、さすがに疲れました…でも、無事産まれたようでようございました。3つ子とわかってたなら、神も教えてくだされば良かったのに、、、」

「本当だね。そろそろ眠ってもいいだろう?気にしていた初乳は3人とも飲めたから安心して?後は乳母たちに頑張ってもらうよ。最終4人まで絞ったけど、このまま皆で働いてもらおうね。その方がミーシャもしっかり回復するだろう。」

「えぇ。ありがとうなのです。ロイさまのキスが欲しいです。そしたら眠れそう。」


「可愛いミーシャ、愛してるよ。ほんとうにお疲れ様、ありがとう。ゆっくり休んで。」
   とびきり甘いキスを繰り返しているうちに、寝息が聞こえてきた。

   皆への報告が1度で済んだのは、楽ではあった。しかし、お披露目が中途半端になった事を詫びた。
だが、気にしてる様子はなく、婚姻式を早めてあげようと相談をしていた。

  クージンと同時に行い、パレードも同時にすることが決まった。


   乳母たちに抱かれ、すやすや眠る公子と公女が皆の前に連れてこられた。

   本当に美しい赤ちゃんで、誰もが感嘆の声をあげた。また、この子達に魅了される人々で溢れるだろうとも思うのだった。それほどに美しい3つ子の赤ちゃんなのだった。


   お披露目の宴も3つ子誕生の祝いの席に変わり
夜も更けてきたので、それぞれ帰路に着いた。

   ミディは勿論お兄様に連れられ自身の屋敷に帰ったのだった。

   メノは、国王に各森林へ定期的な管理者の派遣をお願いし、大地の様子を報告したあと、クージンとの時間を過ごすのだが、森の穢れが深刻らしく、申し訳ないといいながら、本当に補充するだけの交わりで終わった。

   現状の穢れを無くすまでに、数ヶ月かかるという。あまり無理をせず元気でいて欲しいと伝えた。
ようやく結婚できるとゆうのに、大精霊も忙しいようだ。

 しかし、今迄のような不安感はなく、お互いに信頼が深まり安心して待つことも苦では無い。
 今はお互いに重要な案件を片付け、メノーンに時間が出来たら式を挙げることにした。
 クージンには最重要ともゆうべき次世代の子を儲けるべく、ベスとの交わりを増やし、特別な教育に対応できるよう環境を整える仕事が待っていた。

 メノーンも言ってた通り世継ぎはベスに産んでもらえれば一番なのだろう。今夜は比較的ゆっくりできる事もあり、月の塔に向かった。とても高い塔なのでベス、ミディ、ローと自分で住んでも十分余るだろう。
 また、子が産まれても部屋はあるし、聖域へのゲートもある為、何かあった時護りやすい。
周りも見渡せる事もあり、クージンには最適な場所となりそうだ。



「ベス?良い匂いがするね。お料理の練習?」
「あなた!おかえりなさいませ。はい、神気が混ざった食事はどんな人への回復にもなります。私たちは勿論、ミーシャや乳母達の健康管理も楽になりますからね。それに、ミーシャのケアをしてあげなければお産と育児に相当な不安と恐怖を覚えてしまったようです。王子たちはこれからもっと忙しくなるでしょうから、こうゆうことは、私たちも協力して行かねばと思っていますの。」

「そうなのか、ミーシャのことは、ロイにも伝えねばな。ありがとうベス。貴女には頼りきりになりそうだ。」
「あら?私はその為にあなたと番ってますのに。もっと頼ってください。そして愛して、沢山の子に囲まれ過ごしたいです。妊娠と出産の神ですもの。あなたと番、子が産まれることが何より幸せです。だから遠慮なさらず、いつでも抱いてください。私の幸せの為にも。」

「あぁ、ベス愛するあなたに言われては歯止めが利かなくなる。もうそろそろ身体は慣れてきたのだろうか?思うままに抱けるあなただから、つい、、ね。」
「嬉しいですわ。片付けたら、ゆっくり温泉に浸かりましょう。」
「ふふ、ゆっくり貴女を愛そう。私も手伝うよ、片付け。はやくゆっくり風呂に入ろう。」

 仲睦まじく2人は片付け、ベッドでの用意もし、浴室へ向かった。
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