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変わり果てた森
一体、何が起こっている!
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「やっぱりおかしい」
「どうしたの?」
「ずっと変だと思ってたんだ。一体、何が起こっている!」
いらついた様子のヴィルヨは、頭上に密集するトウヒの枝を仰ぎ見た。
「南に向かっているつもりなのに、すぐ、西にずれてしまう。これまで何度、方角を修正したことか。なのに、どれだけ注意して歩いていても、いつの間にか頭がぼんやりして、気付けば西に向かって進んでいるんだ」
とげとげした葉の向こう側に少しだけ見える空は、いつの間にか鉛色に沈み、太陽の位置から方角を知ることはできなくなっていた。
しかし、森の中では方角を見失うことはない。
冬の間、北の方角からの厳しい風雪にさらされるこの地方は、木の北側は枝が少ない。
枝振りが良く、幹が微妙に傾いている方角が南だ。
「本当だわ」
辺りを見回して自分でも方角を確認すると、足先は確かに南ではなく西を向いていた。
俯き加減で、ヴィルヨが引くロバの尻尾だけを見ながら歩いていたから、向かっている方向がずれてしまうことも、それをヴィルヨが必死に修正しようとしていたことも、全く気付かなかった。
「僕も今まで気付かなかった」
ニューリも同様だったようだ。
「こんなの、おかしいだろう? これも、森の主がいないせいなのか? 森の中に、方向を狂わせるような何かがあるっていうのか?」
いらついた言葉に、ニューリが考え込む。
「いや……、森にそんな力はないよ」
「頭をぼおっとさせる、変な臭いがする草があるとかよ?」
「そんなものは、ない」
「じゃあ、精霊とか妖精の仕業なの?」
「どうだろう……。主がいないせいで、変なモノが森に入り込んでいても不思議はないけど、もしそんなモノが近くにいたら、カティヤと僕は気付くはずだ」
ニューリはカティヤの手を強く握り、目を閉じた。
カティヤも彼の真似をして目を閉じ、近くに妙な気配がないか神経を集中させる。
「少なくとも、近くには何もいそうにない」
「……そうね」
彼の言葉にカティヤも同意した。
周囲のどれくらいの範囲を調べられたのかは分からないが、気になる気配は見つからなかった。
追っ手が来る様子もない。
これだけ深い森の中なのに、木々や草花の息吹や、小動物の気配すら感じないことが、逆に不気味だ。
「森のせいでも、精霊のせいでもねぇなら、原因はなんだっていうんだよ? まるで、俺らを西の方向に誘っているみてぇじゃねぇかよ」
「だったら、やっぱり……精霊のせいじゃないの? 花嫁を手に入れようと誘っているのかも」
水の中に引きずり込まれた恐怖を、まざまざと思い出す。
——早く、こっちへおいで。私の花嫁。
ネアッキは、そんな言葉でカティヤを誘ったのだ。
「いや……。怖い」
今でも、全身に緑色の髪が絡み付いている気がして、思わずニューリにすがりつく。
すると彼は、背中に手を回して、そっと撫でてくれた。
落ち着かせようとしてくれているのだろう。
言い聞かせる声も優しい。
「そんなはずないよ。君だって、何もいないって分かっただろう?」
「……うん。そうなんだけど……」
強い視線を感じて振り向くと、ヴィルヨの不機嫌な顔があった。
二人は慌てて身体を離すが、手はしっかりと握ったままだ。
これだけは、放すことができない。
「今度は、僕らが先に歩いてみるよ。二人で周りを注意しながら歩けば、真っすぐ南に進めるかもしれない」
二人で両側の木々の枝振りを確認しながら、ゆっくりと南に向かって進んでいく。
しかし。
「くそっ! だめだ」
ニューリの声にはっとなった。
あわてて周りを見回し、呆然となる。
今、二人の身体は、間違いなく西を向いていた。
「どうして……?」
決して惑わされるまいと、一本一本の木を確かめながら慎重に歩いていたはずだった。
なのに、いつの間にか集中力は途切れ、頭がぼんやりしていた。
絶句して立ち尽くしている彼もまた、自分と同じ状態だったに違いない。
「……だろ? 絶対、何かあるんだ。俺も今まで、西に向かっているなんて気付かなかった。真っすぐ歩いていたはずだった」
後ろから着いてきていたヴィルヨも、悔しそうに唇を噛んだ。
「何かって……一体?」
それが、自分たちに好意的なものだとは到底思えない。
得体の知れない見えない敵に身震いした時、それとは別のぞわりとした恐怖を、背後から感じた。
「いやぁぁぁ! 何かこっちに来る!」
「カティヤ、こっちへ!」
叫び声と同時に、ニューリはカティヤを素早く背後に庇った。
腰の長剣を抜いて、身構える。
「僕につかまっていて! 決して離れないで!」
「う……うん」
ヴィルヨが引いていたロバが何かを感じ取ったのか、急に悲鳴を上げて暴れ出した。
「お、おいっ。どうしたんだ、急に!」
自分以外の者たちの尋常でない様子に、ヴィルヨもよく分からないまま腰の剣を抜いた。
手綱を手放したため、ロバが森の奥へと逃げていく。
「おいっ! 何が来るんだ! こっちから来るのか? 何も見えねぇよ!」
「おそらくこれは……ヒイシだ!」
ニューリが言うか言わないかのうちに、ヒイシの大群が真っ黒な濁流となって押し寄せてきた。
その数と密集した圧力は凄まじく、とても剣一本でどうにかできるものではなかった。
「きゃぁあああー!」
「くそっ! こいつら、どうしても僕らを西に連れて行きたいのか!」
ヒイシたちに以前のような攻撃性はなかった。
ただ、二人をもみくちゃにしながら、西の方角に押し流そうとする。
ニューリが必死に振るう刃に数十体のヒイシは消え失せたが、勢力は全く衰えない。
「なんだよ! 何が起こっている。俺はどうしたらいいんだ!」
カティヤとニューリの目には、森林の中はおびただしい数のヒイシが溢れ、四方が真っ黒に染まって視えた。
しかしヴィルヨには、二人が何に抗っているのか全く視えない。
それどころか、押し寄せるヒイシの洪水の中にいても、平然と立っていられる。
もちろん、何の抵抗も感じないから、普通に動き回ることもできた。
「カティヤ、今、そっちに行く」
ヴィルヨは急いで、二人の背後に回り込んだ。
見えない力に押され、じりじりと後ずさるカティヤの背中を両手で支える。
「うおっ?」
細い背中を通してはじめて、彼は目に視えない力を感じ取ることができた。
どれだけ足を踏ん張っても、両足は土の上をずるずると滑り、後方に押しやられていく。
「くっ……。なんて力だ。どうなってるんだ!」
「もの……すごい数の、ヒイシ……に、取り囲まれてる……の!」
「大丈夫か?」
「苦し……い。潰されちゃう」
前後から強い力で押される格好のカティヤは、息も絶え絶えになっていた。
「ヴィルヨ、無理だ! どんどん西に押しやられてしまう。ここはいいから、向こうに何が待ち構えているのか、先に行って見てくれ!」
「カティヤを置いていけるかよ!」
「僕が少しでも時間を稼ぐから、行ってくれ! ヴィルヨ!」
「行って! お兄ちゃん」
「…………分かった。カティヤ、無事でいろ」
ヴィルヨは断腸の思いで、その場を走り去った。
「きゃあ!」
背中を支えていたものが急になくなってしまい、カティヤは後ろにつんのめった。
しかし、背中側にもヒイシが入り込み、倒れることはなかった。
地面に低く伏せれば、ヒイシをやり過ごしやすいだろうが、周囲をぐるりと取り囲まれてしまいできない。
大木にしがみつくことも無理だった。
二人の体力はどんどん削られ、押し流される速度は増していった。
「どうしたの?」
「ずっと変だと思ってたんだ。一体、何が起こっている!」
いらついた様子のヴィルヨは、頭上に密集するトウヒの枝を仰ぎ見た。
「南に向かっているつもりなのに、すぐ、西にずれてしまう。これまで何度、方角を修正したことか。なのに、どれだけ注意して歩いていても、いつの間にか頭がぼんやりして、気付けば西に向かって進んでいるんだ」
とげとげした葉の向こう側に少しだけ見える空は、いつの間にか鉛色に沈み、太陽の位置から方角を知ることはできなくなっていた。
しかし、森の中では方角を見失うことはない。
冬の間、北の方角からの厳しい風雪にさらされるこの地方は、木の北側は枝が少ない。
枝振りが良く、幹が微妙に傾いている方角が南だ。
「本当だわ」
辺りを見回して自分でも方角を確認すると、足先は確かに南ではなく西を向いていた。
俯き加減で、ヴィルヨが引くロバの尻尾だけを見ながら歩いていたから、向かっている方向がずれてしまうことも、それをヴィルヨが必死に修正しようとしていたことも、全く気付かなかった。
「僕も今まで気付かなかった」
ニューリも同様だったようだ。
「こんなの、おかしいだろう? これも、森の主がいないせいなのか? 森の中に、方向を狂わせるような何かがあるっていうのか?」
いらついた言葉に、ニューリが考え込む。
「いや……、森にそんな力はないよ」
「頭をぼおっとさせる、変な臭いがする草があるとかよ?」
「そんなものは、ない」
「じゃあ、精霊とか妖精の仕業なの?」
「どうだろう……。主がいないせいで、変なモノが森に入り込んでいても不思議はないけど、もしそんなモノが近くにいたら、カティヤと僕は気付くはずだ」
ニューリはカティヤの手を強く握り、目を閉じた。
カティヤも彼の真似をして目を閉じ、近くに妙な気配がないか神経を集中させる。
「少なくとも、近くには何もいそうにない」
「……そうね」
彼の言葉にカティヤも同意した。
周囲のどれくらいの範囲を調べられたのかは分からないが、気になる気配は見つからなかった。
追っ手が来る様子もない。
これだけ深い森の中なのに、木々や草花の息吹や、小動物の気配すら感じないことが、逆に不気味だ。
「森のせいでも、精霊のせいでもねぇなら、原因はなんだっていうんだよ? まるで、俺らを西の方向に誘っているみてぇじゃねぇかよ」
「だったら、やっぱり……精霊のせいじゃないの? 花嫁を手に入れようと誘っているのかも」
水の中に引きずり込まれた恐怖を、まざまざと思い出す。
——早く、こっちへおいで。私の花嫁。
ネアッキは、そんな言葉でカティヤを誘ったのだ。
「いや……。怖い」
今でも、全身に緑色の髪が絡み付いている気がして、思わずニューリにすがりつく。
すると彼は、背中に手を回して、そっと撫でてくれた。
落ち着かせようとしてくれているのだろう。
言い聞かせる声も優しい。
「そんなはずないよ。君だって、何もいないって分かっただろう?」
「……うん。そうなんだけど……」
強い視線を感じて振り向くと、ヴィルヨの不機嫌な顔があった。
二人は慌てて身体を離すが、手はしっかりと握ったままだ。
これだけは、放すことができない。
「今度は、僕らが先に歩いてみるよ。二人で周りを注意しながら歩けば、真っすぐ南に進めるかもしれない」
二人で両側の木々の枝振りを確認しながら、ゆっくりと南に向かって進んでいく。
しかし。
「くそっ! だめだ」
ニューリの声にはっとなった。
あわてて周りを見回し、呆然となる。
今、二人の身体は、間違いなく西を向いていた。
「どうして……?」
決して惑わされるまいと、一本一本の木を確かめながら慎重に歩いていたはずだった。
なのに、いつの間にか集中力は途切れ、頭がぼんやりしていた。
絶句して立ち尽くしている彼もまた、自分と同じ状態だったに違いない。
「……だろ? 絶対、何かあるんだ。俺も今まで、西に向かっているなんて気付かなかった。真っすぐ歩いていたはずだった」
後ろから着いてきていたヴィルヨも、悔しそうに唇を噛んだ。
「何かって……一体?」
それが、自分たちに好意的なものだとは到底思えない。
得体の知れない見えない敵に身震いした時、それとは別のぞわりとした恐怖を、背後から感じた。
「いやぁぁぁ! 何かこっちに来る!」
「カティヤ、こっちへ!」
叫び声と同時に、ニューリはカティヤを素早く背後に庇った。
腰の長剣を抜いて、身構える。
「僕につかまっていて! 決して離れないで!」
「う……うん」
ヴィルヨが引いていたロバが何かを感じ取ったのか、急に悲鳴を上げて暴れ出した。
「お、おいっ。どうしたんだ、急に!」
自分以外の者たちの尋常でない様子に、ヴィルヨもよく分からないまま腰の剣を抜いた。
手綱を手放したため、ロバが森の奥へと逃げていく。
「おいっ! 何が来るんだ! こっちから来るのか? 何も見えねぇよ!」
「おそらくこれは……ヒイシだ!」
ニューリが言うか言わないかのうちに、ヒイシの大群が真っ黒な濁流となって押し寄せてきた。
その数と密集した圧力は凄まじく、とても剣一本でどうにかできるものではなかった。
「きゃぁあああー!」
「くそっ! こいつら、どうしても僕らを西に連れて行きたいのか!」
ヒイシたちに以前のような攻撃性はなかった。
ただ、二人をもみくちゃにしながら、西の方角に押し流そうとする。
ニューリが必死に振るう刃に数十体のヒイシは消え失せたが、勢力は全く衰えない。
「なんだよ! 何が起こっている。俺はどうしたらいいんだ!」
カティヤとニューリの目には、森林の中はおびただしい数のヒイシが溢れ、四方が真っ黒に染まって視えた。
しかしヴィルヨには、二人が何に抗っているのか全く視えない。
それどころか、押し寄せるヒイシの洪水の中にいても、平然と立っていられる。
もちろん、何の抵抗も感じないから、普通に動き回ることもできた。
「カティヤ、今、そっちに行く」
ヴィルヨは急いで、二人の背後に回り込んだ。
見えない力に押され、じりじりと後ずさるカティヤの背中を両手で支える。
「うおっ?」
細い背中を通してはじめて、彼は目に視えない力を感じ取ることができた。
どれだけ足を踏ん張っても、両足は土の上をずるずると滑り、後方に押しやられていく。
「くっ……。なんて力だ。どうなってるんだ!」
「もの……すごい数の、ヒイシ……に、取り囲まれてる……の!」
「大丈夫か?」
「苦し……い。潰されちゃう」
前後から強い力で押される格好のカティヤは、息も絶え絶えになっていた。
「ヴィルヨ、無理だ! どんどん西に押しやられてしまう。ここはいいから、向こうに何が待ち構えているのか、先に行って見てくれ!」
「カティヤを置いていけるかよ!」
「僕が少しでも時間を稼ぐから、行ってくれ! ヴィルヨ!」
「行って! お兄ちゃん」
「…………分かった。カティヤ、無事でいろ」
ヴィルヨは断腸の思いで、その場を走り去った。
「きゃあ!」
背中を支えていたものが急になくなってしまい、カティヤは後ろにつんのめった。
しかし、背中側にもヒイシが入り込み、倒れることはなかった。
地面に低く伏せれば、ヒイシをやり過ごしやすいだろうが、周囲をぐるりと取り囲まれてしまいできない。
大木にしがみつくことも無理だった。
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