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民衆の前に降り立つ希望
紺青の帯と一振の太刀(二)
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太陽がいちばん高い位置に上がる頃に、主祭殿の下階の議場に男達が集められた。
議場の奥に向かって左側に、渋茶の衣をまとった高官たちが数人。
右側には将軍トシゴリを最奥に、貫頭衣のいかつい武人や、袈裟衣の砂徒達が二列にぎっしり座していた。
正面奥の左側には国王オシヒコ、その右側に姫巫女、そして普段なら武人の列にいるはずの弐徒が、姫巫女を支えるようにぴたりと後ろに控えている。
この場に集まった者達、いや、宮の者全員が、深夜の一件を聞き及んでいる。
明らかに疲弊し、座っているのもやっとという様子の姫巫女に、痛ましそうな目を向けていた。
しかし、それもしばらくの間だった。
伊邪国に奇襲的に攻め入り姫巫女を襲った者達を討つという内容が、将軍の野太い声で伝えられると、その場は騒然となった。
伊邪国は倭国連合を構成する二十八国の中でも、五指に入る大国。
しかも、国王は現在、倭国の長でもある。
動揺が起こるのは当然だった。
「ええい、静まらんか! このままでは、我が国の大切な姫巫女の命が奪われよう。さすれば、我が国のみならず、倭国二十八国にとっても大きな痛手となるのだぞ!」
トシゴリの怒号が響き、場が静まり返った。
士気を高めるためとはいえ、あまりにも大仰な将軍の言葉にルイカは軽く目眩を覚えた。
しかし、それを顔には出さず眼を伏せてこらえる。
ふるふると震える背中を、大きな手がなだめるように軽く叩いてくれた。
ルイカの隣に座していたオシヒコが立ち上がり、右手をすっと前に掲げる。
「我が国は、倭国を長年にわたり安寧に治めた女王ヒミコ様を、かつて擁した国。その矜持にかけても、かような横暴を許す訳にはいかぬ」
将軍とは対照的な王の重々しい言葉に、男達は拳を掲げて高揚した声を上げ、先程とは違った熱気に包まれた。
ルイカは王のカリスマ性とその場の雰囲気に飲まれ、隣に立つ為政者の堂々とした姿を呆然と見上げていた。
「ルイカ、来ましたよ」
人々の声にかき消されないよう、ツクスナがルイカの耳元で囁いた。
その声でようやく自分を取り戻し、議場の入り口に目を向けると、中の熱気に驚いた表情を見せた若い女が慌てて跪いたところだった。
「ヤナナ」
姫巫女が声を掛けると、さほど大きな声でないにも関わらず、その場の騒がしさが波のように引いていく。
女武人は名を呼ばれ、その場にさらに低く平伏した。
彼女はこのような場に顔を出せる身分ではない。
しかし、ルイカが呼ぶことを望んだのだ。
到着が遅れたのは、たまたま彼女が宿下がりしていたためだ。
まだ何も決まっていない早朝に使いを出したため、彼女は現状を全く知らされていなかった。
「ヤナナ、近う」
若い女武人は姫巫女に手招きされ、水を打ったように静まり返った左右の列の間を、戸惑いながら前に進み出た。
男達の視線が集まる中、王と姫巫女の前まで来ると、また低く伏す。
「これから、蛇の力の使い手を討ちに出る」
姫巫女のその言葉に、彼女の肩がびくりと震えた。
間髪入れず、顔を伏せたまま、震えながらもはっきりと声を上げる。
「恐れながら、姫巫女様に申し上げ……」
「言わずとも良い。顔を上げよ」
その声に、ヤナナはようやく面を上げた。
強い決意を宿した瞳を、ルイカはじっと見据える。
彼女が言いたいことは分かっている。
そのためにこの場に呼んだのだ。
姫巫女はすぐ後ろに控えるツクスナをちらりと見た。
「ツクスナ」
「はっ」
短く応じたツクスナが、傍らから一振りの素環頭大刀を取り、姫巫女に恭しく手渡した。
少し短めの大刀の柄には紺青の帯が巻かれ、環にもまた同じ色の紐が結ばれている。
その鮮やかな色が示す意味に、ヤナナは目を見開いて息を飲み、周囲の男達からはどよめきが上がった。
ルイカは子どもの手にずっしりと重いその大刀を両手で持ち、前に差し出した。
姫巫女の命として、彼女に無理を強いるつもりはなかった。
彼女自身に選ばせたかった。
そして、必ずこの大刀を手にしてくれるだろうと信じていた。
「そなたにその覚悟があるのなら、この大刀を受け取るが良い」
姫巫女の試すような言葉と眼差しに、彼女は何のためらいも見せなかった。
緊張した面持ちで膝立ちで前に進み出ると、大刀を両手でしっかりと受け取る。
そして、そのまま少し下がって身を沈め、紺青の帯の大刀を高く押し頂いた。
「姫巫女様。ありがたきことと、謹んでお受けいたします」
感動か興奮か、それとも畏れなのか。
彼女の声は微かに震えていた。
「そう固くならずとも良い。大刀を受け取ってくれて、わらわも嬉しいのじゃ」
そのままの姿勢を崩そうとしないヤナナに、姫巫女がやんわりと声をかけた。
そして、前に居並ぶ男達を見回すと、肩をすくめて大げさに溜め息をついた。
「だいたい、この場は男子ばかりでむさ苦しゅうてかなわん。そなたがいてくれれば、わらわも一息つけるというものじゃ」
姫巫女が悪戯っぽく笑いかけると、顔を上げたヤナナは呆気にとられた様子を見せた。
後ろに控えているツクスナは微かに呻くと、困ったようにこめかみを押さえた。
居並ぶ男達が顔を見合わせている。
張り詰めていた場の空気が一気に変わっていく。
「がっはっは。いや、まったくだ。確かにむさ苦しいわい」
無精髭の顎をこするように撫でて豪快に笑いながら、むさ苦しさの筆頭ともいえるトシゴリが相づちを打った。
周囲もその声につられて沸いた。
ルイカも声を立てて笑ったが、緊張が緩んだせいか、一瞬、目の前が暗くなった。
ふうっと後ろに傾いだ身体が、しっかりとした腕に抱きとめられる。
「大丈夫ですか?」
「……うん」
ルイカはそう答えながらも、額を押さえ、焦点が合わなくなってしまった目を何度も瞬かせた。
背中に添えられた腕がなければ、体がふらついて、まっすぐ座っていることができなかった。
「姫巫女様がここで退席されても、誰も何も言いません。今後に障りますから、もう下がりましょう」
彼は耳元でそう囁くと、返事を聞くことなく、ルイカをいきなり横抱きにして立ち上がった。
ルイカは思わず変な悲鳴を上げそうになり、慌てて口をつぐむ。
「姫巫女様は、たいそうお疲れのご様子。ここで、下がらせていただきます」
ツクスナがよく通る声で姫巫女の退席を皆に伝えると、王が大きく頷いた。
「うむ。儂の館を使うが良い。ゆっくり休まれよ。弐徒、姫巫女を頼むぞ」
王にこう言われてしまっては、あからさまな抵抗をすることもできない。
「ち、ちょっと、ツクスナ……。大丈夫だから、せめて下ろしてよ」
小声で訴えてみたが、彼はその声を全く無視して、ルイカを抱き上げたまま颯爽と議場のど真ん中を歩いていく。
血の気が引いて蒼白だったルイカの頬に、赤みが戻りすぎる。
頬どころか耳まで火照ってきた。
それを周囲の目から隠すように顔を背けて肩をすくめると、周りからは、より具合が悪くなったように見えたらしい。
方々から、姫巫女を気遣う声が上がった。
議場の奥に向かって左側に、渋茶の衣をまとった高官たちが数人。
右側には将軍トシゴリを最奥に、貫頭衣のいかつい武人や、袈裟衣の砂徒達が二列にぎっしり座していた。
正面奥の左側には国王オシヒコ、その右側に姫巫女、そして普段なら武人の列にいるはずの弐徒が、姫巫女を支えるようにぴたりと後ろに控えている。
この場に集まった者達、いや、宮の者全員が、深夜の一件を聞き及んでいる。
明らかに疲弊し、座っているのもやっとという様子の姫巫女に、痛ましそうな目を向けていた。
しかし、それもしばらくの間だった。
伊邪国に奇襲的に攻め入り姫巫女を襲った者達を討つという内容が、将軍の野太い声で伝えられると、その場は騒然となった。
伊邪国は倭国連合を構成する二十八国の中でも、五指に入る大国。
しかも、国王は現在、倭国の長でもある。
動揺が起こるのは当然だった。
「ええい、静まらんか! このままでは、我が国の大切な姫巫女の命が奪われよう。さすれば、我が国のみならず、倭国二十八国にとっても大きな痛手となるのだぞ!」
トシゴリの怒号が響き、場が静まり返った。
士気を高めるためとはいえ、あまりにも大仰な将軍の言葉にルイカは軽く目眩を覚えた。
しかし、それを顔には出さず眼を伏せてこらえる。
ふるふると震える背中を、大きな手がなだめるように軽く叩いてくれた。
ルイカの隣に座していたオシヒコが立ち上がり、右手をすっと前に掲げる。
「我が国は、倭国を長年にわたり安寧に治めた女王ヒミコ様を、かつて擁した国。その矜持にかけても、かような横暴を許す訳にはいかぬ」
将軍とは対照的な王の重々しい言葉に、男達は拳を掲げて高揚した声を上げ、先程とは違った熱気に包まれた。
ルイカは王のカリスマ性とその場の雰囲気に飲まれ、隣に立つ為政者の堂々とした姿を呆然と見上げていた。
「ルイカ、来ましたよ」
人々の声にかき消されないよう、ツクスナがルイカの耳元で囁いた。
その声でようやく自分を取り戻し、議場の入り口に目を向けると、中の熱気に驚いた表情を見せた若い女が慌てて跪いたところだった。
「ヤナナ」
姫巫女が声を掛けると、さほど大きな声でないにも関わらず、その場の騒がしさが波のように引いていく。
女武人は名を呼ばれ、その場にさらに低く平伏した。
彼女はこのような場に顔を出せる身分ではない。
しかし、ルイカが呼ぶことを望んだのだ。
到着が遅れたのは、たまたま彼女が宿下がりしていたためだ。
まだ何も決まっていない早朝に使いを出したため、彼女は現状を全く知らされていなかった。
「ヤナナ、近う」
若い女武人は姫巫女に手招きされ、水を打ったように静まり返った左右の列の間を、戸惑いながら前に進み出た。
男達の視線が集まる中、王と姫巫女の前まで来ると、また低く伏す。
「これから、蛇の力の使い手を討ちに出る」
姫巫女のその言葉に、彼女の肩がびくりと震えた。
間髪入れず、顔を伏せたまま、震えながらもはっきりと声を上げる。
「恐れながら、姫巫女様に申し上げ……」
「言わずとも良い。顔を上げよ」
その声に、ヤナナはようやく面を上げた。
強い決意を宿した瞳を、ルイカはじっと見据える。
彼女が言いたいことは分かっている。
そのためにこの場に呼んだのだ。
姫巫女はすぐ後ろに控えるツクスナをちらりと見た。
「ツクスナ」
「はっ」
短く応じたツクスナが、傍らから一振りの素環頭大刀を取り、姫巫女に恭しく手渡した。
少し短めの大刀の柄には紺青の帯が巻かれ、環にもまた同じ色の紐が結ばれている。
その鮮やかな色が示す意味に、ヤナナは目を見開いて息を飲み、周囲の男達からはどよめきが上がった。
ルイカは子どもの手にずっしりと重いその大刀を両手で持ち、前に差し出した。
姫巫女の命として、彼女に無理を強いるつもりはなかった。
彼女自身に選ばせたかった。
そして、必ずこの大刀を手にしてくれるだろうと信じていた。
「そなたにその覚悟があるのなら、この大刀を受け取るが良い」
姫巫女の試すような言葉と眼差しに、彼女は何のためらいも見せなかった。
緊張した面持ちで膝立ちで前に進み出ると、大刀を両手でしっかりと受け取る。
そして、そのまま少し下がって身を沈め、紺青の帯の大刀を高く押し頂いた。
「姫巫女様。ありがたきことと、謹んでお受けいたします」
感動か興奮か、それとも畏れなのか。
彼女の声は微かに震えていた。
「そう固くならずとも良い。大刀を受け取ってくれて、わらわも嬉しいのじゃ」
そのままの姿勢を崩そうとしないヤナナに、姫巫女がやんわりと声をかけた。
そして、前に居並ぶ男達を見回すと、肩をすくめて大げさに溜め息をついた。
「だいたい、この場は男子ばかりでむさ苦しゅうてかなわん。そなたがいてくれれば、わらわも一息つけるというものじゃ」
姫巫女が悪戯っぽく笑いかけると、顔を上げたヤナナは呆気にとられた様子を見せた。
後ろに控えているツクスナは微かに呻くと、困ったようにこめかみを押さえた。
居並ぶ男達が顔を見合わせている。
張り詰めていた場の空気が一気に変わっていく。
「がっはっは。いや、まったくだ。確かにむさ苦しいわい」
無精髭の顎をこするように撫でて豪快に笑いながら、むさ苦しさの筆頭ともいえるトシゴリが相づちを打った。
周囲もその声につられて沸いた。
ルイカも声を立てて笑ったが、緊張が緩んだせいか、一瞬、目の前が暗くなった。
ふうっと後ろに傾いだ身体が、しっかりとした腕に抱きとめられる。
「大丈夫ですか?」
「……うん」
ルイカはそう答えながらも、額を押さえ、焦点が合わなくなってしまった目を何度も瞬かせた。
背中に添えられた腕がなければ、体がふらついて、まっすぐ座っていることができなかった。
「姫巫女様がここで退席されても、誰も何も言いません。今後に障りますから、もう下がりましょう」
彼は耳元でそう囁くと、返事を聞くことなく、ルイカをいきなり横抱きにして立ち上がった。
ルイカは思わず変な悲鳴を上げそうになり、慌てて口をつぐむ。
「姫巫女様は、たいそうお疲れのご様子。ここで、下がらせていただきます」
ツクスナがよく通る声で姫巫女の退席を皆に伝えると、王が大きく頷いた。
「うむ。儂の館を使うが良い。ゆっくり休まれよ。弐徒、姫巫女を頼むぞ」
王にこう言われてしまっては、あからさまな抵抗をすることもできない。
「ち、ちょっと、ツクスナ……。大丈夫だから、せめて下ろしてよ」
小声で訴えてみたが、彼はその声を全く無視して、ルイカを抱き上げたまま颯爽と議場のど真ん中を歩いていく。
血の気が引いて蒼白だったルイカの頬に、赤みが戻りすぎる。
頬どころか耳まで火照ってきた。
それを周囲の目から隠すように顔を背けて肩をすくめると、周りからは、より具合が悪くなったように見えたらしい。
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