3 / 40
ファーストステージ
小さな事
しおりを挟む
一通り買い物を済まし両手いっぱいの荷物を持って買出しから戻ると、準備も一通り済んでいて、時間的にもそろそろ会社の人たちが来る頃になっていた。
「おわったね、そろそろかな」
宮下が花見の準備が整ったのを確認すると、さっと会社に電話をかけた。
「お疲れ様です、はい、準備出来ました、確認したところ書店の方は本社の部長さんと本店の店長さんと主任の3人来られるそうです、はい、お好きだと言う焼酎も用意したので大丈夫だと思います、はい、ありがとうございます、はい、ではお待ちしてます」
羽津宮は内心「お前は何もしてないっての」とツッコミたかったが何も言わなかった。
少しして会社の皆がやって来た。
歩きながら山根部長が場所を見て少し驚いた表情をした。
「渡しておいたシートじゃ狭いかなと心配していたんだが買って来てくれたようだね、気がきくじゃないか」
「ありがとうございます」
まっ先に答えたのは泉山だった。
「おお、泉山君が気が付いてくれたのか、ありがとう。書店の部長さんには私からも連絡しておいたんだが焼酎が好きとは知らなかったよ助かるね。泉山といい宮下といい今年の新入社員は仕事が出来そうだぞ。お前達うかうかしてられないな」
部長は軽い冗談を言って笑いながら先輩達のほうを見た。先輩も「よして下さいよ」等と大笑いしている。泉山と宮下の2人は、上司に良い印象を与えられた事に満足して得意気な表情を浮かべていた。
羽津宮と陣と堀越は少ししらけた様子でその風景を眺めたが、その事で3人の中でちょっとした仲間意識が産まれ、一瞬で打ち解ける事が出来た。
「大事なところは羽津宮君と陣君のお陰なのにね、なんか嫌な感じだな」
「いや、いいよ。それに花見位だれでもできる事だから」
「そうそう、そんなん小さい事執着すること無いて、セコイやん」
「あれ、陣君関西出身なの、気が付かなかった」
「あっ、気使こて敬語で話してるうちはバレへんのやけど気許すと出てしまうねんな」
「じゃあ私達には気を許してくれたって事なんだ、仲良くやって行こうね」
しばらくして辺りが薄暗くなり電燈が灯りはじめる頃、書店の部長や店長達がやって来た。
部長どうし軽く挨拶した後、3人は陣の所に来て強く背中を叩いた。
「陣、しっかりやれよ。うちの店でお前が書いたポップは本当によかった、本への熱い気持ちが出ていたよ。お陰で沢山売れたしな。その気持ちを忘れるな。紹介したオレの顔に泥塗るような事はするなよ」
「はい、ありがとうございます。これからもお店にはちょくちょく行くと思うので宜しくお願いします。でも、他のお店の売上も上げないといけないので、部長の所だけと言う訳には行きませんけど」
「わっはっは、陣。そこは何とかうちの店だけにしてくれよ」
部長の厳しい表情が一気にほころんだ。陣には生まれ持っての愛嬌と、上下間系を通り越して好かれる性質があるようだ。
「陣君凄いね、部長さんとあんなに親し気に話せて」
「そうだね僕には、真似出来ないや。見習うところが沢山あるよ」
頭がきれて要領の良い羽津宮は少し人を見下す傾向があったが、この事で陣には一目置くようになった。
陣が気を利かせて用意した焼酎のおかげもあって花見は大いに盛り上がり、会社と書店との関係も良い物となりそうな予感の中、入社して一度目の花見は無事終わったのだった。
「おわったね、そろそろかな」
宮下が花見の準備が整ったのを確認すると、さっと会社に電話をかけた。
「お疲れ様です、はい、準備出来ました、確認したところ書店の方は本社の部長さんと本店の店長さんと主任の3人来られるそうです、はい、お好きだと言う焼酎も用意したので大丈夫だと思います、はい、ありがとうございます、はい、ではお待ちしてます」
羽津宮は内心「お前は何もしてないっての」とツッコミたかったが何も言わなかった。
少しして会社の皆がやって来た。
歩きながら山根部長が場所を見て少し驚いた表情をした。
「渡しておいたシートじゃ狭いかなと心配していたんだが買って来てくれたようだね、気がきくじゃないか」
「ありがとうございます」
まっ先に答えたのは泉山だった。
「おお、泉山君が気が付いてくれたのか、ありがとう。書店の部長さんには私からも連絡しておいたんだが焼酎が好きとは知らなかったよ助かるね。泉山といい宮下といい今年の新入社員は仕事が出来そうだぞ。お前達うかうかしてられないな」
部長は軽い冗談を言って笑いながら先輩達のほうを見た。先輩も「よして下さいよ」等と大笑いしている。泉山と宮下の2人は、上司に良い印象を与えられた事に満足して得意気な表情を浮かべていた。
羽津宮と陣と堀越は少ししらけた様子でその風景を眺めたが、その事で3人の中でちょっとした仲間意識が産まれ、一瞬で打ち解ける事が出来た。
「大事なところは羽津宮君と陣君のお陰なのにね、なんか嫌な感じだな」
「いや、いいよ。それに花見位だれでもできる事だから」
「そうそう、そんなん小さい事執着すること無いて、セコイやん」
「あれ、陣君関西出身なの、気が付かなかった」
「あっ、気使こて敬語で話してるうちはバレへんのやけど気許すと出てしまうねんな」
「じゃあ私達には気を許してくれたって事なんだ、仲良くやって行こうね」
しばらくして辺りが薄暗くなり電燈が灯りはじめる頃、書店の部長や店長達がやって来た。
部長どうし軽く挨拶した後、3人は陣の所に来て強く背中を叩いた。
「陣、しっかりやれよ。うちの店でお前が書いたポップは本当によかった、本への熱い気持ちが出ていたよ。お陰で沢山売れたしな。その気持ちを忘れるな。紹介したオレの顔に泥塗るような事はするなよ」
「はい、ありがとうございます。これからもお店にはちょくちょく行くと思うので宜しくお願いします。でも、他のお店の売上も上げないといけないので、部長の所だけと言う訳には行きませんけど」
「わっはっは、陣。そこは何とかうちの店だけにしてくれよ」
部長の厳しい表情が一気にほころんだ。陣には生まれ持っての愛嬌と、上下間系を通り越して好かれる性質があるようだ。
「陣君凄いね、部長さんとあんなに親し気に話せて」
「そうだね僕には、真似出来ないや。見習うところが沢山あるよ」
頭がきれて要領の良い羽津宮は少し人を見下す傾向があったが、この事で陣には一目置くようになった。
陣が気を利かせて用意した焼酎のおかげもあって花見は大いに盛り上がり、会社と書店との関係も良い物となりそうな予感の中、入社して一度目の花見は無事終わったのだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
白い男1人、人間4人、ギタリスト5人
正君
ミステリー
20人くらいの男と女と人間が出てきます
女性向けってのに設定してるけど偏見無く読んでくれたら嬉しく思う。
小説家になろう、カクヨム、ギャレリアでも投稿しています。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる