ラブな犯し方注入しますっ♡

木漏れ日

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ラブな犯し方注入しますっ♡(読み切り)

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俺は九条柚結。大学卒業したての22歳。訳あって大学の久東涼真教授(29歳)の助手、つまり雑用係をしている。家柄もよく、幼・小・中・高一環とした私立の学園で、もともとコツコツ努力するしか才がなかったため、学業優秀、スポーツも長く続ける根性で先生にはこれまで高評価をいただいてきた。普通に就職して、普通に働き、平凡な人生を送るはずだった。でも…大学に入ってから久東教授と出会って全てが変わってしまった。
遡ること4年前____。
ゆずきは悶絶していた。
(やらかしたぞ~!また迷った!なんでいつも俺はこうなんだ!)
少し歩くとまた教室、教室と完全に迷っていた。マップを見たところこの辺かなとゆずきは半ばヤケクソで教室の中に入ってみた。
「すみません。あの……。お尋ねしたいことがありまして……。」
応答なし。恐る恐るゆずきは教室に入っていった。足場のないほど大量の参考書が散乱しており、奥に白衣を着た男の人が机の上で寝ていた。ゆずきがその人の顔を覗き込んだ時、無理矢理キスされた。その白衣の男性は手を尻の方に持っていき、濡れた手が背中からうなじまでなぞる。
(息が苦しいし……触れられた部分が熱い。どうしちゃったんだろう、俺。ベトベトした手が気持ち悪いけ……ど、ずっと続けてほしい)
「ふぁ……ふっっ……。あっあの___俺そろそろ行かなきゃ……なんで、や、やめてくださ……」あまりの快感に涙目になる。
白衣の男性が悪戯げに笑う。「背中、ヒクつかせてかわいいね。講義初日からサボって…いけない子だね。俺が指導してあげないと!」
「ふぇっ……」ゆずきの涙がその男の大きな手に触れて溶ける。その瞬間、舌がもっと奥へ奥へ口の中を突き、パンツはビッチョリになっていた。どんどん激しく、苦しく、甘くなっていく……。
「若いと量えげつないな……。ねぇ…その顔、誘ってるの?」
ゆずきはヒクつかせながら、放心状態スレスレだった。
「しゅき……だから、だから…もっと…もっとやって……」
「どうしよっかな__。やっぱ冷めちゃった。おしまい♡」と言うと白衣の男性はその場を離れようとした、が……。ゆずきは反射的に腕を掴み、
「俺、なんでもするから……いかないで」と淫りにまたを開いていた。
白衣の男性はスイッチが入った。
「ここで中断する奴いるかよ、バーカ。後でまた開いたこと後悔させてやる。」
ここからゆずきの記憶は無い。
目覚めた時はその教室に夕日が差していた。柚木の腰は重く、なんというか、所々動くと痛かった。そして服はなく裸体のまま白衣を着させられていた。ゆずきが辺りを見回すと隣に参考書を頭に被せながら白衣の男性はくるくる回る椅子に座っていた。
「悪い子ちゃん、ようやくお目覚めか?ひどかったぞ。服も全部液でやられちゃって。白衣の予備使うことになったし。」
「も、申し訳ございません。あとで洗濯してお返しさせていただきます!」
「あとこれ、証拠なんだけど。」
すると白衣の男性は動画や写真を見せつけてきた。ゆずきは血の気が引いた。動画が再生される。絶句した。(俺の尻の穴には既に白い液が溢れんばかり出ていて、顔が真っ赤で…発情していた。)
『お顔がかっこいいし、身長も高いし、一見健全そうに見えて意外とメスみたいに鳴くんだね、メモハートでかわいい。』
『ふぅ……ふぅ……ふぁふぁ……』
『もっと俺のが欲しい?』
『ほ、欲しい…です』
『いい子だ』
白衣の男性の大きいものが俺の口の中に突っ込まれ、苦しそうにしながらも俺は吸っている。たまに俺は吐き出してその液を白衣の男性が口に含み、キスしながら俺の口に戻していく。
「恥ずかしいの?かわいい。」
さっきまでとおなじみの声が飛んできた。低くて、ちょっとキツめで、どこか包み込んでくれる声__。
「ご、ご、ご、ごめんなさい。あの、データ、消してくれませんか?お願いです。一生のお願いです。」
「どうしよっかな__。」
ゆずきがスマホを取り上げようとすると、白衣の男性は上部の方へスマホを取り上げる。ゆずきが飛び上がってスマホを奪おうとする。
「自然にそういうのやっちゃうんだ。」と白衣の男性が呟いた。束の間、ゆずきは床に押し倒される。白衣がめくられたと思うと、乳首を吸われる。上唇と下唇が器用にそれを挟み、吸う。舌があったかい。ゆずきは腰を浮かせる。男性はピクリと動作を止める。
「気に入った。中の吸いつく感じは俺と相性が良さそうだ。他のとこによってくんじゃねーぞ。」
ゆずきが起き上がれないでいると、件の男性は抱きかかえてくれた。
「べ、別にありがとうって思ってないし!俺一人で歩けるから大丈夫です!さよなら!」(なんだよ急に。意地悪してくると思ったら優しいし……)
思い切り走ってドアを開けようとしたその時、
ドタン!
気がつくと白衣の男性はドアに手を置き、柚木の頬に熱い息が吹きかけられるほど急接近していた。
「裸のまま白衣着て逃走されても困るんだけど。あと、まだ言いたいことあるし。」
「な、なんでしょうか…?」
「俺は久東。久東教授だ。データだってスマホに残ってる。毎日これから俺がいるとき、きちんとこの化学準備室に来ること。……返事は?」
「あの。俺新入生で。」
「見ればわかる。」
「マップで迷ってここに来てしまいました。ここはどこですか?」
「迷子か。ここはB棟102号室だ。…九条は文系で文学部だからA棟307号室じゃないか。」
「なんで名前と学部知ってるんですか?!」
「こう見えても一応教授だから。」
ゆずきは一瞬ゾクっとした。
「それにしても裸のままじゃまずいから俺の服着てって。あれから大変だったぞ。一回家に帰ってタオルとか服とか持ってきたからな。」
「すみません……」
そう消えいるような声で言い、服を着始めるとぶかぶかだった。久東教授は、「早く出ろ。」と言うと顔を俯いたまま動かなかった。ゆずきは足早に準備室を去った。
「危なかった……」久東教授は最後一瞬、顔を赤らめながら言ってたような言ってなかったような……。
あれから毎日準備室に行ってレポート教えてもらったり、雑用したり、えっちしたり…(えっちと雑用が多い気が…)してます。そして大学卒業した時、助手をやらないかと提案され(強制)今に至ります。元々学びの場が好きだし、家族にも大学関係の仕事だと言うとむしろ褒められた。人前では互いにゆずき、久東教授と呼び合っているが出会って2年くらい経った頃、久東教授が不貞腐れたような態度をとっていたような感じだったのでゆず、りょうまさんと呼び合うようになった。平和だった4年間、しかし歯車はここから狂い始める__。
 
1章
春から助手になって約3ヶ月、季節は夏である。太陽はジリジリと地面を照りつけ、とにかく暑い。春は書類整理と化学室に備品総替えとよくわからない難しそうな資料の片付けで大変だった。俺は少しでもりょうまさんのことがわかったらいいなと思って化学の参考書を読んでいるけど“ちょっとだけ”わからないし…。そして今日も件の化学準備室に行く。ドアを開けて入る。
「おはようございまーす。」
応答なし。いつものことだけど。
今日もりょうまさんは参考書山積みで寝ていた。彼は実はちょっと抜けてるところがある。参考書に涎を垂らしながら寝ていたのだ。
(かわいいところもあるんだな……)
「参考書片付けときますね。」
そう言って片付け始めた途端、気づくと俺はりょうまさんの膝の上に乗っていた。
「無防備過ぎだろ。お仕置きしてやる。」
「ね、寝てたんじゃないですか。」
「ゆずの匂いですぐわかる……。いいから喰わせろ。」
朝からりょうまさんは容赦しない。
「ゆずは乳首、好きだもんね。」
りょうまさんは俺の乳首を舐める。舌の温度が熱い。
「か、かえしてくださいぃ__。頭が溶けちゃう___。」
「今日はイクのはやいね。そんなに気に入っちゃった?じゃあもっと行くね』
りょうまさんは俺の前立腺のあたりを押す。乳首周りがベトベトでキスも舌をどんなに回してもからまっ……て、
「ん……んんんっ……はぁ…はぁはぁ、もうこれ以上はぁ…あっ」
りょうまさんの顔に水がかかる。りょうまさんは口についたものを舐める。
「ご、ごめんなさい。きもちよくなっちゃって……それで…」
言い終わるか終わらないかくらいにりょうまさんはまたを舐めていた。尻の穴にりょうまさんの舌を感じる。じっとしてなんかいられない。
「はぁ……うんっはぁ……はぁはぁ…りょうま…りょーまさーん♡」
「ごちそうさまでした♡」
 
 
「狸寝入りなんてひどいじゃないですか!」
「でも潮吹いてたじゃん。本当にイ」
「もう言わないでください!」
ゆずはりょうまさんの口を塞いだ。いつもなら「はいはい」とかで流してくれるのに今日は何か深く考え込んでいるようだった。
「どうしましたか?」
ハッとなったりょうまさんは大丈夫大丈夫と言った。ゆずはここでずっと気になっていたことを言った。
「あの……。いつも寝癖も酷いですし、髪の毛片目なんて見えなくて邪魔そうじゃないですか。教授ということもありますし、目は見えた方がいいと思うので、髪の毛切りに行きませんか?」
ゆずは寝癖を直すように手で彼の頭を撫でる。
「ゆずが…その方がいいって言うなら……切る。」
「じゃあ近くの散髪屋予約して…ってうわぁ」
腰を掴まれ身動きできない。りょうまさんの頭が自分のお腹にある。鼓動が激しくなる。聞こえてたら恥ずかしくって顔を赤らめてしまう。
「あのっ……」
「もう少し、このままでいさせろ。」
離れたいはずなのに…ずっとこうしていたいって思う自分もいる。
_______________♡________________________
しばらくしてりょうまさんが帰ってきた。その時、俺は読んでいた化学の参考書を落としてしまった。
「いったぁっ!」
「大丈夫か!」
「俺は全然大丈夫です!……りょうまさんですか!?」
「他に誰が出入りする?合鍵持ってるのはゆずしかいないし。」
「そうなんですけど、変わりすぎじゃないですか!!」
あのいかにも化学だけしてきましたみたいな雰囲気はなく、本当に美青年で肌は透き通るようで目はキリッとしてるし、なにより、なにより__、色気があった。
「じゃあそろそろ13時30~実験があるから、不在になるね。あと、化学の勉強無理すんなよ」
ん?んんん?
「なんで勉強してるってわかったんですか!?」
「鞄見て俺の持ってない参考書とノートがあったから。」
「鞄見たんですか!?」
「ゆずのことだしな。手帳とか見てスケジュールは全部把握してる。あとノート見たけど、電池の大問2の(2)の◯◯◯は詳しくは△△△であと化学物理の反応速度論の化学式は正確には……」
「あああ___。めっちゃストーカーじゃないですか!いつか俺も化学できるようになってりょうまさんをこえっ」
突然、うなじに息を吹きかけられた。変な声を出してしまった。
「ここの黒子、かわいい」
うなじの黒子にキスされ、りょうまさん(変態教授)は去っていった。しかしりょうまさんが出て行った直後、黄色い悲鳴が聞こえた。女子達がざわついているのがわかる。
「えっ!うちの大学ってこんなイケメンいたっけ?」
「白衣着てるし…ここの準備室って久東教授じゃない?」
「片目が前髪で隠れそうで後髪束ねてなかった!?あの先生が!」
「実は私目にかけたんだよね~。だって25歳で教授になったってことは絶対やり手だし、顔のパーツは情ものだったじゃん。」
「ヘアチェンって彼女できたのかな?」
「でも助手の男の子いたじゃん。この大学出身で歳も近いからみんな狙ってる子。私はそっちがいいな。」
「私はちょっといけない男性とかタイプだから久東教授派だな!」
ドア越しに聞いてて恥ずかしくなってしまった。でもなんか……胸が苦しい。女子にこれからモテちゃうだろうな。べ、別に焼いてるわけじゃないし。これでりょうまさん好きな子できたら俺は助手から解放されてまともな人生を送れるかもしれないし。そもそもりょうまさんとは教授と助手って関係だし。りょうまさんだって人に助けて欲しくて扱いやすい俺を助手にしたかもしれないし。というかまだ「好き」って言われてないし。[newpage]
心がモヤモヤする。この準備室にいるのが悪いのか!?身体中にりょうまさんの匂いが染み付いて、呼吸すると鼻が熱くなるし……。帰る前にりょうまさんに挨拶したかったけど__どんな顔したらいいのかわからない……!メモを残し、部屋を後にしようとしたその時、スマホが鳴った。スマホを手に取ると『実験参考資料忘れた。茶色の封筒持ってきてくれる?』というメッセージがあった。すぐにそれを見つけ、化学実験教室へ向かった。そこまでは良かったが…迷子になってしまった。
(たしかB棟198号室だったような__。)
マップを上下左右持ち換えてみたが、なかなか目的地まで行けない。(どうしよう…。このままじゃ渡せない!)小走りしていると死角から学生が現れ、ぶつかってしまった。ゆずは半ば混乱状態で
「大丈夫ですか?本当にすみません。お怪我はありませんか?」と言った。
しかし相手の学生は落としたパソコンが無事かを確かめると、床に腰を下ろしたままキーボードを打ち始めた。ゆずは何度も何度も謝った。5分くらい経つと学生はパソコンを閉じた。そして話し始めた。
「そんなに謝らなくとも、聞こえてますので大丈夫です。パソコンも健常です。」
「良かったです。しかし本当に申し訳ないです。何か俺にできることはありませんか?なんでもしますので。」
「何でも?」
「はい。一応先輩なので。何でもどうぞ!」
「俺は情報工学科3年の如月迅です。2つお願いしたいことがあります。1つはあなたが持っているものは何か渡さないといけないものですよね。手元に地図があることから判断しました。
「よくお気づきですね。B棟198号室の久東教授にお届けものがあって……」
ピクリと如月さんの眉が動いたような気がしたが、とりあえず気づかなかったふりをした。
「では俺がそれを届けに行くのでここで待機しててください。2つ目はその後、俺が行くところについてきてくれませんか?課題をするのにうってつけのところがあるのでご指導お願いしたいです。」
「わかりました。お役に立てるよう、頑張ります!」
そう言うと如月さんは行ってしまった。
 
如月さんと合流し、ついていくことにした。道中で俺も自己紹介をし、如月さんにゆず先輩と呼ばれるようになった。しかし…なんだここら辺は!大学の敷地外でしかも俺の全然知らないところだ。今から戻っても帰り方がわからないからついていくしかない。
「ここです。着きました。」
ゆずは愕然とした。「自宅ですか?」
「そうです。やっぱり人がいるところだと落ち着かないので。」
「そうなんですね。わかりました。精一杯頑張ります!」
そこはアパートで2階あり、8部屋あるがそのうちの1階の2号室であった。部屋に入ると敷布団と折り畳み机以外は何もないという殺風景な部屋であった。
「お邪魔しまーす。」
ゆずが入り、如月さんが入ると鍵は閉められた。すると如月さんは人格が変わったかのように俺の陰茎に彼の熱いものを当てつけてきた。
「あっ、あの如月さん?」
振り解こうとするが、力が強く腰を掴まれているので身動きできない。
「警戒心ないんだね。まず知らない男の家にのこのこついてくってやばいでしょ。それとも……期待してたのかな、ゆず先輩♡」
如月さんが腰を執拗に振って、俺の陰茎に擦り付けてくる。
(怖い、怖い、怖い。りょうまさん助けて……!)
涙目になりながら、しかし、ゆずはこの時既に発情していた。
「あんまっ…。やっぱり、先輩、Ωか__。」
そこから先、私と如月さんは布団でやりあうようになった。
 
「…ん、んん……。ぷはっ……んんん……」
ゆずも如月さんも自らが他を欲しあっていた。キスは舌が絡み合い、奥へ奥へ突いては離れてを繰り返す。
(逃げなきゃ。逃げなきゃ__。)
手を這いずって逃げようとする。でも、ドアまでが遠く感じる。
「ねぇ、それ、焦らしてるの?」
低い声が響いたと思うと尻の穴に手が突っ込まれる。
「……ふぁぁっ」
反射的に体がヒクつく。奥が突かれて、本当にきもちいい。
「手だけでこんなに吸いついてくれるなんてえっちだね。」
如月さんが嘲笑した。
「あの久東とかいう教授とヤってるの?こんなに反応するなんて未経験じゃなさそうだし。俺、実は前からゆず先輩のこと、見てたんだよね~。妙に準備室出入りしてるから気になっちゃって。あと、こんなふうに攻めたらどんな風に鳴くか気になるしねっ。」
尻の穴に彼の熱いものが入れられた。尻の穴に大量の精が出るのがわかる。沢山振られて、恥ずかしくて、申し訳なくて、でもきもちよくて、意識が飛びそう__。
「……や、やめてぇ……。こ、壊れちゃう……」
「ねぇ、誘ってるの?そんな顔されたら、ますます俺のものにしたくなる。」
俺の熱いものを彼は口に入れると、巧みな口淫で俺は彼の口に沢山出してしまう。恥ずかしそうにしてる俺をみると如月さんは意地悪に笑ってキスして俺に流し込む。如月さんの唾液も混じって、ねとねとしてるけど、もっともっと……欲しい。キスがもっと濃厚で、激しくなり、音を上げる。
「悪い子だね……。俺の犬にさせてあげる。」
そう如月さんは言うと、しばらくしてビリリっと体が痺れ、意識を失っていた。
 
2章
夕暮れどき。疲労しきったりょうまさんはクタクタになりながら準備室に帰ってきた。
「ただいま。そういえば資料、3年の奴が届けにきたが知り合いなの…か…」
そこにゆずはいなかった。整理された空間だけが残り、時計の針の音が妙に大きく音を刻んでいた。机の上にはメモが残されていた。『急用が入り、しばらく戻って来れそうにありません。この件が終わりましたら至急連絡いたします。申し訳ございません。』
しかし若干の違和感を覚えた。なぜワープロの書き置きなのだろうか。ゆずはパソコンを今どきでなく持ち歩いていない。化学の勉強だって律儀にノートをとって手書きでまとめる人だ。しかも急用ができたからと言って一声も掛けずに出ていくような人ではない。もう5年近くいるからあいつのことは全てわかってる。第一、__
「甘い香りがしない。」
彼はすぐに状況分析した。気がかりは_______。
「まずは3年の奴を探すぞ!」
勢いよくドアを開けると、すぐにドタッと大きな音を立てて閉まり、全力疾走していた。
その頃、気を失っていたゆずは目を覚ましていた。窓一つない閉鎖的な空間。壁はコンクリート調で電気を消せば真っ暗になるのだろうなと思った。そして俺は今__手錠をはめられている。手錠がベットの縁に繋がれていて、離れようとすると鎖が食い込んで痛い。しばらくガチャガチャしていると、如月さんが降りてきた。
「如月さん、どうなってるんですか!?部屋に入った時から何がどうなっちゃったんですか!?」
「……先輩は現状とこれからどうなるのか、わからないんだ。」
如月さんがベットに近づいてくる。手は痛くて力尽きてしまったため、ゆずは思うように体が動かない。
「今、ここは地下室。だから窓もないし陽光もない。しかも防音だからどれだけ叫んでも暴れようとも誰かにバレて見つかることもない。」
「えっ……。じゃあ何が目的なんですか?」
汚れを知らず透き通った目で見つめられた如月さんはムラムラした。こういう人は絶望と恐怖に陥った時どんな顔をして俺に甘えてくれるか、どこまで体を許してくれるか、従順になってくれるか__。もう如月さんはこの気持ちを止められず、ゆずの上に乗った。ゆずは抵抗するが腿をこじ開けられ、びくともしない。如月さんはゆずの華奢でありながらもきちんとついている上質で触れたら虜になる上質な筋肉を触り、じっくり堪能した。自然と口から涎を垂らしている。目はじっと刺すようにゆずだけを見ている。確かめるように耳や首、胸の突起や腿の付け根を舐める。一通りしゃぶると如月さんは満足げだった。
「一番乳首を吸われるのが好きなんて…ほんと開発されちゃってるね」
思いっきり吸われて快感がゆずを襲う。代償として罪悪感も感じていた。
(りょうまさん…りょうまさん……ごめんなさい)
うなじの黒子も舐められる。
「ヒャッ……ヒャーーーーーン」
肌が紅潮し、ゆずはじんわり汗もかいている。
「まだ序盤だよ?これからなのに。」
ゆずは突然悲しくなった。涙がほろほろ溢れ出る。
「……りょうまさぁん、りょうまさぁーーん」
如月さんの表情が強張る。と同時にジラジラと燃え上がる何かが__あった。
「他の男の名前なんか呼ぶなよっ___。俺から離れられない体にしてやる。」
如月さんはローションをゆずの体に塗る。そして彼自身の腹まで勃った大きな熱いものにも塗る。
「ここ、気持ちいい?」
如月さんのものは容赦無くゆずの奥を貫く。ゆずの体は電流が走ったように痺れる。
「すごい!すごい!すごい!この締め付け、俺をそんなに求めてくれるなんて……!」
「アッ……アッアーーーーーーン♡」
抑えきれない快感にゆずは鳴く。如月さんはゆずの紅潮した肌を舐める。
「なめっ……ない…で♡」
「……___ずるい。」
その瞬間、如月さんは濃厚なキスをしてきた。舌を入れてどこまでもどこまでも執拗に求めてくる甘いキス。
「俺はゆず先輩を一生守る__。っだから…はぁはぁ……赤子を作れ。」
「へぇ__!女じゃないからできなぁ……ひぃぃ」
急に奥に如月さんの熱いものが入り、全身がとろける。そして急に今まで起こしたことのない変な感覚に襲われた。
(なんだ…これっ!身体が、如月さんを求めてる……。奥が疼く。)
潮も噴き出た。でも如月さんは動作をやめない。如月さんのものが最奥部まで入る。
「は……んっ……ああん……__。」
如月さんのものは速く速く最奥部を突く。腰が浮いてしまう。繋がっている__、そう思うだけで顔がカァァと熱くなる。精が放たれる。
(出されちゃった____。)
顔がトロンとなり、全身が脱力される。その時、地下のドアが勢いよくバンと飛ばされた。ゆずはその顔を見ると安心して、深い眠りについた。
目を覚ますと深夜で、月光が大学の実験室を差していた。
「目を覚ましたか……」りょうまさんは俯いたままちょっと寂しそうな感じで無造作にコーヒーを置いた。
「りょうまさぁ……んっ」
寝そべっていた折り畳みソファから起きあがろうとすると腰が重く、立てなかった。しかも今日は尋常でないくらい重く、たつとぽたぽたと白い液が塊のように出てきた。下腹部が熱かった。
「なんでついて行ったんですか__!なんでそうあなたは無防備なんですかっ!!」
りょうまさんが声を荒げた。普段は冷静沈着なのに初めて怒りの感情を発露した。
「あなたは気付いてないでしょうけども、他の男だって__、女だってみんなあなたを狙ってるんですよっ!!どうしてわかってくれないんですかっ……!危機感を持ってくださいよっ___!!」
怒りを沸々と感じる。
「わざとですか__。」ぼそっとりょうまさんは呟いた。
(カッチーーーーーーーン)
「確かに今日のことはひどかったですけどその言いようは酷くないですか!りょうまさんだって女の子とか他の男の子にチヤホヤされてるじゃないですか!気付いてないでしょうけども!いつもそれを見るたびに心がモヤモヤして___んんっ!」
突然キスされた。でも全然嫌じゃない。この感じは……如月さんとにはなかった。うちから込み上げてくる何か___。
「今日は……俺の自由にしてもいいか……」
「えっ__」
「俺だって……ジェラってた。だから喰わせろ。」
(ん?えっ?えっ?)
「ス、ストップ!今から!?大学の実験室で!?見回りとかは__?」
コツンと頭を拳で殴られる。
「バーカ。もうオールする書類は提出してある。実験っていう口実で。…ん…また早く開け。」
カァァァとゆずの顔は熱くなる。
「誰にでもすぐにまたを開きません!」
「あいつとはあんなにまた開いてたのに?」
「それは……」
りょうまさんは__口では言わないけれど心配してくれてる。なんとなくわかる。触れる指先が優しいからぁぁぁあ!りょうまさんは無理矢理腿をこじ開け、スポイトを手に持っていた。
「ちょっ……心配してくれてるんじゃないんですか!」
「ヤラれっぱなしじゃむかつく。…俺の女になれ。主人からの命令だ。」
「だから女じゃな…ひぃ」
尻の穴から溢れるばかりに出てくる如月の素をスポイトで吸って外に出す。
「奥を……それでつつかないでぇ……」
「りょうまやめてください♡って。可愛くおねだり。上手にやって。これ、実験だから失敗したらもっと酷くしちゃうよ。」
りょうまさんは爽やかな笑顔だった。女子はこれでイチコロだろう。だが俺はその時、この人ほど怖いものはないと思った。
「りょ……りょう、ま___。や、やめてくだ……しゃい」
ゆずは顔を真っ赤にし、涙目になりながら言った。
「目を合わせないとダメだろっ」
顎を持ち上げられ、りょうまさんを見上げる。
「りょう、まぁ……__♡」
目が、身体が、本能のままりょうまさんを欲している。
「______ッ。だめだ…。堪えられないっ…!」
りょうまさんはゆずを軽々と持ち上げ、実験台の上に置き、続きを施した。
「俺のを__挿れさせろ」
「ちょ……、これ以上入れたらぁん、壊れちゃう_____!」
りょうまさんのものが俺を貫く。
「はっ……ああ……んはっ……ぁぁぁぁ……__っっ!」
「ゆず……ゆず……!!」
「りょうまぁーーーーーーー!!」
最奥部を急に突かれ、膜がぷるぷる痙攣を起こした。
「……____っっ!」
意識が飛んで、一瞬、星が舞い、気を失った。
ゆずのか細い吐息が聞こえる。白い肌に栗色の毛、淡い桃色の胸の突起はまだ固く突起していて、細い腰に少しの力で折れてしまいそうな腕や足を見て、守りたい衝動に駆られる。
他の男に染められたくない______。
ふと、りょうまは如月とのやりとりを思い出す。
『お前、気付いてるだろ。ゆずはΩだって__』
「…。」
『こんなに甘い香り出されちゃ、気づかないわけないですよね。』
「今回の行為はあるまじき行為だ。本校の教授と生徒の関係により、俺は君にペナルティーを課すこともできる。」
『理論ばかり言ってると俺に抜かれるかもよ~』
「___っ」
『黙っちゃった。』
「……、だからどうした。」
『抜かれるかもしれないって焦ってるでしょ。大人の余裕がないねーー。丸4年の差ってこんなに簡単に埋められちゃうものなのかな?』
「俺はあいつのことならなんでも知ってる。」
『じゃあゆずの大学の卒論の題材は?』
りょうまは俯いた。「……知らない。」
『知らないんだ~。平家物語が作られた時代背景と外国版の翻訳だよ。彼の興味関心がわからないの?』
「どこでそんな……!?」
『情報操作網。俺のお得意の。あと、恋愛は立場とか関係ないから。がっつりゆずはもらってく。』
「……!?」
りょうまを通り過ぎる時、ボソッと彼は呟いた。
『どうせ体だけの関係か』
咄嗟にりょうまは言い返せなかった。
________________♡____________________
俺はゆずのことをわかっていたつもりがわかっていなかった。プライベートのことを聞いていなかった。ゆずももしかしたら俺のことをわかっていると思って、実は知らないこともあるかもしれない___。俺がゆずをどれだけ好きかってことも___。(あいつ鈍感だし…)
白衣を脱ぎ、俺は愛しの人の頬にキスをする。甘酸っぱいキスを。
 
 
3章
ゆずはもぞもぞと布団から出て起きた。
(今日はよく眠れたなー。芯から温まっていく感じで守られてるような……。)
「ふぁ~~~~。」
大きく背伸びをし、あくびをした。ゆっくり瞼を開けると、そこには思っていた光景とは違うものが広がっていた。
「え?えっ?えっ?」
ゆずがキョロキョロあたりを見回すと、大きな腕が腰に纏ついてきて誰かの生温かい息が耳にかかった。
「ゆず、おはよう。寝言、かわいかったよ。」
そう言ったと思うと、彼は耳たぶを甘噛みしてきた。
「朝ですよっ……!りょうまっ…さん!…くすぐったいでしゅよっ___。」
するとりょうまさんは俺の額を鷲掴みにして、くいと鼻と鼻を近づけた。たったそれだけなのに胸が高鳴る。キュンキュンして苦しい……。
(キス……されるのかな……)
自然と目を瞑る。近くまでりょうまさんの顔が近づく。しかし、口にりょうまさんの唇の感触がない。
「ここで問題です♡」
「は……?」
「好きな…」
「卑怯ですよ~!化学の抜き打ちテストなら支度をして頭の体操をしてから勝負___」
俺の唇にりょうまさんの指がシッというように添えられる。
「好きな料理は?」
「ん~……__和食、ですかね。卵焼きとか……しょっぱいのが好きです。」
「了解!朝食作り、頑張る……」
りょうまさんが急いでドアに向かうのでドアの前に立ち塞がった。
「待ってください!ここはどこですかっ!」
りょうまさんはドアに腕をつき、顎をくいと持ち上げた。
「何処だったらいい?」
その顔は怖そうにしている反面、少し寂しそうだった。冗談っぽくなかった。呆然としているとりょうまさんはドアを開け、俺を通り過ぎて行った。ベットの戻ると傍には洋服が置かれていた。そして重大な点に気付いた。
「ベットがシングル……!?ということは…添い寝してたのか!」
想像しただけで尻の穴が疼いた。でも気がかりな点が1つある。
(どうしてキスまでしないし、思わせぶりな態度をとるんだろう____?)
深く悩み込んでいると、ドタンドタンと爆発かのような音が聞こえた。
「りょうまさんって……料理できるっけ!?」
俺は顔が真っ青になり、走ってリビングへ向かった。
ゆずがリビングへ向かうと、とんでもない状態であった。机の上には参考書やノートパソコンが開かれっ放しであり、床は書類が散乱、キッチンでは得体の知れない“何か”が出来上がっており、風呂場に行くと蓋が開いたまま洗濯機を回していたせいか、あたり一面泡まみれになっている。
(ここは_____地獄ですね……。)
キッチンには“何か”を鼻歌まじりに作っていたりょうまさん__。その鼻歌は某有名な曲だが、全く音程が合っていない。あんなにも大きな音が出たら気付くのが普通だが、りょうまさんはフライパンに集中していて周りが見えていない。
「りょうまさん!この地獄絵図はなんなんですか!?」
りょうまさんは惚けた顔をしている。「えっ?」
「えっ、じゃないですよ__!まず洗濯機!!蓋閉まってないし泡の量がやばいですよ!」
「あっ、俺今までコインランドリーで洗濯してたんだけど、ゆずの下着とかパンツも入ってて……。もし1秒でも遅くコインランドリーに着いて誰かがゆずの下着やパンツを嗅いでいたらと思うと行けなくて__。挑戦してみた。」
「挑戦は偉い、じゃなくて泡の量がやばいんです!」
「あっ、洗剤の量分からなくて適当に入れといた。」
「……どのくらい?」
「1本丸ごと。」
りょうまさんが言い終わるか終わらないかぐらいの時、ゆずは走り、泡を撃退していた。鼻を摘みながら……。
「鼻が……いったっ!」
実の所、ゆずはカナヅチなのである。その声を聞いたりょうまさんはすぐに駆けつけ、両手で泡を抑え込み、泡は消滅した。
「りょうまさん__。大丈夫ですか!髪も服もびちゃびちゃですよっ!」
「俺は大丈夫!それよりゆず、大丈夫か。」
なんとなく感じていたが……。りょうまさんって不器用なのかも。クスッと笑った。
「ど、どうした?」
「いやぁ、かわいいなと思って」
俺はりょうまさんの濡れた頭を撫でた。
りょうまさんは口元を手で隠し、顔を赤くさせる。
「あなたって人は……どうしてそう男をムラつかせるような____」
その時、焼き焦げた匂いが部屋を充満した。ゆずは嫌な予感がした。
「……りょうまさん……。ガスは消してきましたか?」
「あっ」
二人で走ってリビングに戻ると、“何か”が燃えていた。急いでりょうまさんが水をかけ、消化は成功した。
「これは……何を作っていたんですか?」
「卵焼きだ。」
さらっと、そして爽やかな笑顔で___。
「今回は失敗したが、反省点をまとめ、それらを意識して動画を見ながら最高の卵焼きを……」
「分担しましょっ!とりあえず分担しましょっ!俺は朝食作るからりょうまさんはリビングの片付けをお願いします!その前にまずシャワーを__」
「あっああ。……」
          ------------20分後------------
俺はキッチンで冷凍ご飯(なぜかあった)をチンし終え、味噌汁と卵焼きを作っていた時……背後からハグされた。
「ひゃっ……。もぅ、危ないですよ、どいてください。」
頬を膨らませ、ちょっとプンプン怒ってるような感じで言う。ここでいちゃついちゃってりょうまさんが火傷しちゃったら大変だ。しかし離れない。
「卵焼き、出来上がったら試食したい。」
待てないのか___。
「…わかりましたよ……。んっ」
ゆずは卵焼き1切れをりょうまさんに菜箸であげた。
「……うまい!」
「でしょ!!子供の時は父さんや母さんが経営する老舗の旅館で暮らしてて、よく手伝ってたから家事には自信があります!」
りょうまさんはじっと俺を見つめていた。
「ゆずには……俺がどう見えてる?」
「どうって__?」
りょうまさんが強く俺を抱きしめる。りょうまさんの目は強く俺だけを見つめてる。そしてやっぱり__何かを切に求めてるような、寂しそうな目をしてる。そんな目、させたくないっ__。
「好きです。化学以外できない不器用なところも、助けてって言うとすぐ来てくれる所も。……人に対して心があったかいところも。」
「男として___どう見えてる?」
ゆずの顔に熱が帯びる。でも今、気持ちを伝えないといけない気がする___。
「……繋がってる時とか……すっごく幸せで…大好き。」
(俺どんな顔してるの!?どんな顔してるの!?熱が出るくらい熱い……)
「よく言えました♡」
りょうまさんが俺の頭を嗅ぐ。
「やっぱ甘い。」
__なんでこの人といるとちょっとしたことでドキドキするんだろう__。
「朝食にしますよ~!」
声がうわずってしまったが、なんとか朝食の準備ができた。
朝食後、掃除を2人できっちりし、買い出しに行くことになった。聞くとりょうまさんは昼は学食で食べるらしいが、朝夜はウーバーらしい。偏った食生活は健康に悪いしお金もかかるから、代わりに俺が当分食べられるくらいの食事を作り置きすることに決めた。買い出しに行く道中、
「ゆず、大好きってもう一回言ってくれないか。」
「……大好き。」
「もう一回。」
(味をしめたと思って___。)
ゆずはりょうまさんの袖を引っ張って彼を路地裏に連れて行き、背伸びしながらキスした。りょうまさんは頬を上気させ、感極まっていた。
「今日はゆずからキスしてくれた記念日___。8月2日、メモしとく。」
(こんなにも喜んでくれるんだ__。りょうまさんが笑ってくれると嬉しい…!)
「イチャイチャしてんな。公衆の面前だぞ。」
2人が振り返ると、陰からすっと如月さんが出てきた。待っててと言わんばかりにりょうまさんがゆずの前に出る。ゆずも体を強張らせた。
「偶然だな__。今日はゆず先輩に謝りたいことがある__。」
「……。」
「俺は大学構内にいる時、ずっと二人を見てた。なんだか楽しそうだし、友達少ないから……。ゆず先輩に構って欲しいなって思って__。強引な感じになっちゃって……その……ごめんなさい。」
深々とお辞儀する如月さん。しかし心の中がりょうまさんにはスケスケだった。
(絶対友達になりたくないでしょ。恋人になって将来はゆずを妻にしたいだろ!というかゆずだって流石にそれは気付くだろ__!inりょうま)
ゆずはお辞儀してすまなそうにしてる如月さんに向かって歩み寄り、しゃがんで話しかける。
「確かに驚いたけど、でも謝ってくれてるし、こうやって知り合うことができたんだからもう大丈夫だよ。これからもよろしく!」
((ええ~~~~~~っ!inりょうま&如月))
(流石に気付くだろあんな見え見えの嘘!本当にゆずは大丈夫なのか!めっちゃ心配……inりょうま)
(ますます気に入った…!俺が絶対奪う__!in如月)
ゆずは思い出した。
「そういえば課題の件なんだけどいつやる?」
「あっ……あぁ…。来週の火曜とかどうか?」
「俺も同行する。」割ってりょうまさんが入る。
「じゃあ3人で課題やろう!」
1人、上機嫌に歩くのに対し、2人は険悪なムードを漂わせながら歩いた。
それから数日が経ち、その間もゆずはりょうまさんとエッチし、互いに愛情を確かめ、深め合っていた。そんなある日、ゆずがコーヒーをいれてりょうまさんに出した時、りょうまさんは深刻そうな顔をして言った。
「明日から1週間出張になった。だからしばらくは自宅待機だ。」
ゆずは少しばかり寂しくなった。大学生だった頃にもりょうまさんは出張があったが、1週間ほど長くない。しかも当時は講義があったし、1人になることがなかった。でも……、
(りょうまさんはきっと気が重いのだろう……。俺がしっかりしなくちゃ)
ゆずはりょうまさんの口角を指で上げる。
「俺は大丈夫なので。りょうまさん出張頑張ってください!応援してますっ!」
とは言ったものの___。
 
りょうまさん没収2日目……俺はもうダメかもしれない。何もすることがないとりょうまさんとの性交を思い出してしまう。考えるだけでムラッとして、そっと俺の突起に触れる。半勃ちしていた。りょうまさんのことを考えるほど、目頭が熱くなる。意識せずに俺の突起を握っていた手が上下に運動し、加速していく。
「りょうまさん…りょうまさん…___。」
自分でも淫らな身体だなと思う。昨日1日性交しなかったからって、俺の精液は濃く、どっぷりしていた。
「ふぅっ……、はぁはぁはぁ……っっ」
りょうまさん___りょうまぁ、さん____。
『ここに俺が欲しい?』
「はうっ……」
りょうまさん、早く帰ってきて……。身体が熱い。じっとりと汗をかく。ゆずは布団を敷いて身体を委ね、ぐっすりと眠りに落ちた。
 
4章
りょうまさん没収6日目……。夕方、買い出しに近くのスーパーに寄り、帰路の途中にある公園のブランコで一息ついた。夏の終盤、夕方でさえ暑く、蜻蛉が飛び、晩夏を感じさせられる。ベンチには1人の男の子が座っていた。高校生か、大学生…?だろうか__。彼は涙を浮かべたかと思うと泣き止み、また涙を流すと繰り返している。なんとなく放っておけなかった。俺に似てたから…__。
「どうした?大丈夫?」
声を掛けた。すると、彼は
「お兄ざぁ~~~~~~~ん」
と大声で泣き始めた。近くを通っていた人たちがこちらを見てくる。
「落ち着いて、落ち着いて。」
とりあえずベンチの横にあった自動販売機でオレンジジュースを2つ買い、1つを彼の頬に当てる。
「冷たっ!」
「驚いた、かな?これ、俺からのプレゼント。良ければ話、聞かせてくれないかな?」
彼はオレンジジュースを一気飲みする。
「話すよぉ~。相談に乗って欲しい。実は……高3の時、大学受験に失敗したんだ。でも家がすごく厳しくて…本当は俺、第2志望でもいいかなって思ってたんだけど、家族が許してくれなくて……。それで予備校通って再受験したんだけどまた落ちちゃって。もう1回予備校通わせてくれるって言ってくれたんだけど心がつらくなっちゃったから家出したんだ。まだ家出して3日しか経ってないけど。どうにか食い繋いでる。」
ということはもう今大学に入ってたら大学2年生か……。服は高級ブランドのロゴが入っているが、土だらけで布切れみたいな状態だし、肌は痩せこけ足も棒のように細い。
「……そっか。俺も家が苦しくて大学から一人暮らし始めたからわかるよ。」
 
グウゥゥゥゥ~~~~~~~~
 
彼のお腹がなった。
「ちょうど今買い出ししたばかりなんだ。家に寄って食べてかない?」
「いいんですか!ありがとうございます!」
彼は犬のように尻尾をぶんぶん振っているように見えた。
「名前はなんていうの?」
「一条怜央です!」
「俺は九条柚結。夕食何食べたい?」
「沢山あるけど……卵焼きかな。しょっぱいの。」
「俺も好きだよ。美味しいよね~!」
「えっ!そうなんですか!なんだか忘れられないんです。親戚のおばさんたちが旅館を経営してて……そこの卵焼きが忘れられなくて……」
「再現できるように頑張っちゃうぞ~!!」
「楽しみです♡」
2人が歩く道は、笑い声に包まれた。
___________________♡________
夕食はゆず手作りの卵焼きに肉じゃが、おにぎりにけんちん汁だった。れおくんは食欲旺盛でおにぎりや肉じゃがを3回くらいおかわりした。
「美味しかった~!ありがとうございます。美味しくてついおかわりしちゃいました。家の味にすごく似てて。」
「よかったよ。お口に合って。」
「ではそろそろ遅くなりましたし、これ以上長くはいられないので失礼します。ごちそうさまでした!」
「待って!」
ゆずがれおくんの腕を掴む。
「今日は俺の家でゆっくりしていったらどうかな?風呂も沸いてるし寝るところもあるよ。」
れおくんが涙目になる。
「ありがとうございますっ…__。恩人です!本当に、本当に、ありがとうございます…__!」
れおくんが俺に抱きつく。
(弟みたいだ……。この感じ、いいかも__。)
れおくんが泡風呂に入っている時、ゆずも入ってきた。
「れおくん、一緒に遊ばない?」
ゆずの手には沢山のアヒルちゃんと水鉄砲があった。
「いいんですか……?いざっ…勝負…__!俺が勝ったら王様ゲームの王様になっていいですか?」
「いいねそれ!絶対負けないぞ~!」
2人は子供に還ったかのようにはしゃぎ、遊んだ。しかし、ゆずはカナヅチであるため、勝敗は___れおくんの勝ちだった。
「やった勝った~!!王様やっりま~~す!」
「あと少しだったのに~。約束は約束だし。なんでもいいよ!」
「ゆずさんをギューーーーーッしたいです♡」
「そんなわざわざ王様にならなくても……。いつでもするよ。はい!ど~んとこいっ!」
れおくんはゆずに抱きついた。そこにある愛を逃すまいと___。れおくんがひとしきり愛を感じ、頭を上げた時、ゆずの乳首に頭が当たった。
「ああんっ♡」
激しくエロい声でゆずは鳴いた。
「変な声出しちゃってごめんね。なんでもないからほんとに。ほんとだよ!」
ゆずは早口で言った。れおくんはさっきから鼻をヒクヒクさせている。
「なんか一瞬、甘い香りがしたような……。」
「俺よく言われるんだよ~。香水とか付けてないんだけど。……石鹸かな?」
「まぁ、気のせいか。」
そこで一旦場は落ち着いた。
「先身体洗っていいよ。入ってる時間長いし。」
「いえいえ、お先どうぞ。ゆずさん火照ってるじゃないですか。のぼせちゃうとまずいので。」
「ごめんね~。ありがとう。」
れおくんは密かに思った。
(今見られたらまずいんだよな……。)
れおくんは自身の腹まで勃った突起を手で押さえた。
(泡風呂でよかった_____。)
なるべくゆずの全裸を直視しないよう、手で目を隠しながらチラチラと見た。
 
寝る時、俺のパジャマをれおくんに貸した。体格が似ていたので、ジャストぴったりだった。2人で布団を敷き、隣に並んで寝る。れおくんは今日あったことが信じられなくて、いつかまたひとりになってしまうのではないかという恐怖に怯え、嗚咽を上げて泣いた。俺は彼を自分の敷地に入れ、抱きしめた。
「よしよし。今までよく頑張ったね…。俺は近くにいるから…だから不安にならないで…。」
背中をさすってしばらくすると、れおくんの心臓の音が徐々に遅くなるとともに、嗚咽も安定し、すやすや寝始めた。
翌朝、2人で朝食を摂るとれおくんは出発する支度をし始めた。
「ずっとここにいてもいいんだよ__正直、これかられおくんがどうなっちゃうのか、心配で、心配で仕方ないです。」
「これから俺は家族のところに行って、仲直りして、自分の考えを素直に伝えます。ゆずさんと幸せな時間がずっと続けばいいなと思いますが、進まなきゃいけないと思ったんです。」
「…そうか…。辛くなったらいつでも来ていいよ。」
「___ッッ__。ありがとうございます!ではっ」
ドアを開けた時のれおくんは目がキラキラして、明確な意志があり、もう怯える子犬を彷彿させなかった。
(明日はりょうまさんが帰ってくる……!今できることをしよう!)
そして彼は掃除をした後、化学の勉強を始めた。だがその10分後、眠気に襲われ眠りに入るゆずであった。15時頃___
「もうこんな時間っ……!寝てた……のか…。ハックシュン……ちょっと冷えたな……」
(れおくん、無事に仲直りできただろうか___。)
まだゆずは気付いていない。水面下で大量の金が大学に運び込まれ、予想しない形で再会することに__。ゆずとれおくんの強い関係性も明らかに____。
 
5章
りょうまさんと会える日。ゆずは自然と顔が綻ぶ。しかし普通通り平気でしたよ感を出すため、廊下を歩いている時、頬を押さえながら化学準備室へ向かったため、周囲の人はチラチラ見ていたが、それ以上のニュースもあり、あまり目立たなかった。生徒達が騒つく。
「今から入学してくるなんてやばくない?なんか暗いものがありそう……。」
「裏口入学だろ、それ(笑)」
「……でも実際その可能性が高い。大学の上層部の知り合いか___それとも__」
手で金マークを作る。
「いやだぁ……。1年で私、同級生だ。男だったら絶対喰う!金持ちじゃん、絶対!」
「女だったら話し掛けちゃおうっかな。」
「いやまず振り向かない、振り向かない。お高く留まってそう……」
足音が近づいてくると同時に生徒の声はやみ、視線が足音のなる方向へ集中する。そこにいたのは__、
「えっ!なんか俺変なことした?あの……入学してきた1年社会学部の者なんですけど……教室ってどこだかわかります?」
肩を縮ませながらマップを広げ、誰かに尋ねている_____れおくんがいた。声を掛けられたにもかかわらず、動揺し応答しない周りの生徒達。値踏みする者、かわいいと目をハートにする者、嫌悪を露にする者、宇宙人を見るような目で見る者、声を掛けてみたいが勇気がない者。あまりにも可哀想だったため、俺は叫んだ。
「れおくんっ……!」
れおくんは振り向き、満面の笑顔で応える。そして走って駆け寄り、俺の手を握るなり飛び跳ねる。
「なんでなんでなんでっ……。なんでここにいるんですかっ!?」
喜びと驚きの後、多くの痛い視線が突き刺さった。
(大学関係者のコネか___)
その視線に耐えきれず、俺とれおくんはダッシュで化学準備室に逃げ込んだ。
「なぁ……んで……大学にいるの……はぁはぁ」
れおくんが壁に俺を押し倒して喜びに満ちた顔で言う。
「父さんや母さんに今からでも大学で学び直したいって言ったんです。そしたら承諾してくれて、なんかすぐに社会学部に入れることになったんです!!でもまさかゆずさんにこんなすぐに会えるなんて……っ!幸せです最高です!!」
片手はゆずの手を握り、もう一方の手は壁につけ、壁ドン状態で会話は続けられる。
「俺は……教授の助手っ……だ、から……」
「すごいですね!尊敬です!」
すると予鈴のチャイムが鳴る。
「ああーーー!!講義始まる~~!!ゆずさん、また後で!」
「あっどこかわかるの……」
れおくんは疾走していった。しかしまたもさっきから痛い視線を感じる……。監視されてるような……。
本棚からぬうっとずっと会いたかった顔が出てきて安心する反面、これから俺がどうなるのかという恐ろしさも出てくる。りょうまさんは発情していた。
「さっきの子は誰だ…、妙に馴れ馴れしかったし、何より__。ゆずの声がエロかった。」
「し、仕方ないじゃないですか!いろんなことがあってさっきの子とここに走って逃げてきたんですよ!」
「……関係ないはぁはぁ。お仕置きタイムだ♡はぁはぁ……」
「ちょっと……うんはぁ……はぁはぁ……」
「久しぶりのゆず、おいしい…♡他の男に喰われそうになってるゆずを見るのもたまらなく唆られるが、やっぱり俺が喰いたい……」
「ちょっとやめっ……そこはっ……っ……ああん♡」
しばらくお仕置きタイムは続いた。
 
「元気復活!!」
りょうまさんは肌が艶やかになり、何より生き生きとしていた。一方で。俺は久しぶりのプレイということもあり、体が疲れていたが、気持ちは満たされていた。
(やっぱりりょうまさんと繋がる時はきもちいい……。)
「あっそうだゆず。俺出張帰りに水族館のチケットもらったんだけど__」
りょうまさんの手にはペアチケットがあった。
「これから水族館行かないか……2人で……」
これやもしかして……初デート……!!
今まで一緒に研究の手伝いとしてあちこち回ったけど、これは完全プライベート!行きたいって言っていいのかな……__。でもここでがっついたら我慢してたみたいなのが丸見えだ___。行きたい、行きたい、行きたい、行きたい___!
「ま、まぁ……ペアチケット、これで行かなかったらもったいないし……。りょうまさん友達少なそうだし、行きたいっていうなら行く……よ……。」
「……じゃあいっかな、処分で。」
とても寂しそうな顔を見せるりょうまさん。
「待って……。その……あの……」
全身が真っ赤になる。カァァァァァ。
「行き、行きたいです。りょ……うまと……」
りょうまさんは意地悪そうに笑い、しゃがむ。
「よくできました♡お手。」
りょうまさんが手を差し出す。この状況をよく思って……!
「ワ……ン」
俺はお手をする。りょうまさんは頭を撫でてくれる。
「では行くぞ!」
「……今からですか?」
「そうだ。期限が今日までだからな。行くぞ、ポチ。」
「俺は犬じゃありません!もぅ~~~。」
2人は準備すると颯爽と出かけた。
_________♡____________________
「着いたな。ゆず。手を離すんじゃないぞ。」
「子供じゃないんだから……はぐれませんよ……」
りょうまさんは俺を抱き寄せる。
「俺のそばにいろ。」
「ちょっとりょうまさん、ここ入り口ですよ……!」
俺は小声で囁きながら懸命に訴えた。でも……大切にしてくれてる。りょうまさんって本当に優し___、
「子供が多いからな。間違ってお母さんがゆずを連れて行くかもしれないし……」
俺って……子供扱いなの…?いや、でも犬からは昇格したのか___、って!
「俺はポチでも子供でもありません!!りょうまさんと同じ大人です!」
しかめっ面をした。前言撤回__。
しばらく甘いムードで水族館を満喫していた頃、
「こっほん!では海洋ゼミの諸君。今日は課外実習だ。遊びで終わらないよう、きっちり学んでくるんだぞ!」
大学の海洋ゼミの、まもなくご臨終しそうな教授はそういうと、足早に水族館のカフェへと向かっていった。
「今日は講義なかったのか~!!」
「本物の天然やん!」
「かわいすぎ~~!私、れおくんのファンクラブ会員になるね♡」
入学初日、れおくんは講義が行われる教室に入ると、そこではゼミが行われており、その明るさと天然さとトーク力が受け入れられ、そのゼミに入部することになった。それが海洋ゼミ。ただ、裏では女子達の間であまりの可愛さにファンクラブができてしまうほど、人気が出過ぎてしまっていた。
「入学初日から水族館に行けるなんてラッキーだよねっ☆」
「ラッキーではなぁぁい!!」
如月迅もいた。
「これはれっきとした課外活動。きちんとデータ収集し、知識が定着した上で学ぶのが普通です!第一このゼ…」
「ラッコさんいるの!行く行く!」
「ちょっと待ってゔわぁぁあ」
れおくんは如月の手をぐいぐい引っ張った。
「待ってください。なんで一緒に行動する流れになってるんですか!?れおさんはあの俺が慕うゆず先輩にいきなり手を握った上に甘えて一緒に同じ部屋に逃げて___。あの後噂が回ってきてるんですよ!2人は……そういう関係なんじゃないかって……。」
如月の声は最後、か細くなる。
「なに?妬いてるの?」
「妬いてなんかっ。」
れおくんは如月の硬いながらに、絹のようにきめ細やかな唇に指を当てる。
「今日はいないしっ……!2人で楽しむぞぉ~~!」
「だからなんで一緒に行動するんですか~!」
女子達がキャーキャー叫ぶ。
「あそこは平和地帯!邪魔したらマジで殺すからね!」
「絶対あの2人、付き合った方がいいのに~。」
「如月のあんな顔、初めて見た……。萌える!!」
 
「ラッコさん見たいから中盤から行こっ!」
「ダメですよ…。順路は守らないと……」
「だって今昼時だから入り口の方が混んでるよ~。」
「……。」
たしかに、れおさんの推理は正しい。入り口の方は激混みで前の方で魚を見ることができない。
「は~や~く~!」
れおさんは如月の腕をぐいぐい引っ張る。
「ちょっと待ってくださいよ……。」
こいつ、かわいい顔して意外と力強いな……。
れおさんが人混みをかき分けて順路の中盤ぐらいまできた。急にれおくんが止まるので引っ張られていた如月はれおさんの背中にぶつかり、メガネが壊れそうになった。
「ちょっと急に止まらないでくださいよ~。」
「ねぇねぇ、あれってゆずさんじゃない?ゆずさ~~~ウゥゥ!?」
如月はれおさんの口に手を当て、急いで物陰に隠れた。
「なんで隠れてんの?憧れなんでしょ。会いに行けばいいじゃん。」
「……こっちにはこっちの事情がある……。しかも空気読んでください!」
如月の指差す方向には___ある男がいた。
「誰?知り合い?……まぁいいムードではあるけど、俺は会いに行きたい!」
「我が大学の教授、久東教授ですよ。ともかくゆず先輩があんな幸せそうな顔をしてるんです。きっと話すテクニックをふんだんに盛り込んで飽きさせないように……」
「テクニックなんているの?ただ話してて楽しいだけじゃない?」
「いいえ、ダメです。会話の流れをメモし、それを分析して……」
「俺はじんくんと話してるの、めっちゃ楽しいよ☆難しいことは考えてないけど……。」
頭を掻きながられおさんは屈託のない笑顔を見せる。
(この素直さが人から好かれる要因なのかな___。)
如月が深く考え込んでいると、ゆず先輩たちが移動し始めた。
「よし!これからスパイごっこだ~!じん副隊員、2人を追うぞ!」
「はい!___っていうかなんで俺が副なんですか~。」
ラッコのコーナーにゆずとりょうまさんは着いた。もちろん追っ手として物陰に如月さんとれおくんはいるが___。
「ゆず。ちょっと付き合え。」
「えっ……なんですか?写真だったら俺が撮りますよぉっ」
りょうまさんの片方の手がゆずの股間に、もう片方の手は尻から背骨を性感を駆り立てるようになぞる。そしてりょうまさんはゆずを抱き寄せる。ゆずは小声で訴える。
「ちょっと……人がいるんですよっ。」
「こんなに多ければバレない。……しかも小バエはこうでもしないと消えない。」
「小バエなんていないですよっ。漏れちゃうので……やめてくださいっ」
ゆずは赤面する。
「喘ぐの、頑張って堪えて♡」
耳元でりょうまさんが囁く。____悪魔だ。
そんな2人の姿を見せつけられた如月さんとれおくんはというと______。
「えっ?何?何が起こってるの?こんなの間近で見るの初めて!見れないよ~。」
と言って手で目を隠しているが指の間からしっかりガン見してるれおくん。
「あれは公衆わいせつ罪ですよ。まさか人に見せつけて快感する変態野郎だったとはっ……!」
自身も同じくらいやばい性癖を持っているのに全く自覚がない如月さん。
「もう無理ですよスパイなんて~~~!別のところ回ろう!っていうかここラッコブ~ス~~~!」
「非常事態です!ここは一旦退避ーーー!」
如月さんとれおくんは去っていった。
___________________________♡______________________________
俺はなんとかりょうまさんの気まげれえっちにも耐え、無事水族館デートを満喫した。もう夜であった。
「少し、話があるんだ……いいか。」
りょうまさんは深刻そうな顔で言った。
「いいですよ。なんですか話って?」
「俺は大学の教授を辞める。」
「……え!?」
「出張の時誘われたんだ。製薬会社の研究員にならないかって___」
「きゅ、急すぎじゃないですか!?俺の職もそうですけど、これからりょうまさんとどうなるんですかっ!?」
「……今日付で助手は解雇する。水族館は……俺からできる最後のプレゼントだ。」
「さっきから言ってるんです!俺と、りょうまさんはこれから、どうなるんですか!?俺は、おれぇ……わぁ……りょうまさんがいないと……」
ボロボロ涙が出る。かっこ悪いな……俺、最後まで泣いてる。
「ゆっくり話をしたい。近くにマッサージ店がある。2人でマッサージでもされながら、理解を得られるまで、話合わないか……」
肩を震わせながら、りょうまさんと2人でマッサージ店へ向かった。
「こちらで少々お待ちください。部屋の空き情報を確認致します。」
店員さんは丁寧にお辞儀をすると、去っていった。あまりの驚愕でまともな応対をできずにいる。りょうまさんはトイレに行ったっきり戻ってこないし……。少しして店員さんが戻ってきた。
「お連れ様のご希望で先にお部屋を案内して欲しいということでした。先に中でお待ちください。」
そう言われて店員さんに案内されるが如く、ついて行った。
(そっか___。りょうまさんもこのことを伝えるのにストレスで下痢なのか……。辛いのは俺だけじゃない。りょうまさんだって辛いはず。気長に待っていよう……!)
指定された簡易的なショーツ以外、身につけたものは何もなく、バスローブを羽織ったまま待っていた。
「お時間になりましたので、施術を始めさせて頂きます。」
男の人か…___。
「あ、いえ…。まだ連れが戻っていませんのでもう少し……えっ!」
そこには店員の服を着たりょうまさんがいた。
「理解が追いつかない……。え?今まで見てたのって幻覚?」
「説明させてくれ。筋道立てて話す。出張中、業務が終わった後このマッサージ店に通い、マッサージの修行を積んだ。全てはゆずとセックスするため___。だが夜にマッサージに2人で行こうなんて誘ったらゆずはきっと何かを企んでいると察し、逃げてしまうだろうと思った……。だから口実として大学の教授を辞める設定にした。わかるか?」
やばい…。りょうまさんスイッチ入ってる……。
「でも、まぁ……大学の教授を辞めるのは嘘なんですよね。」
「……嘘ついて悪かった。ほんとごめん。」
「よ……よかったぁ~~~~。」
涙を指で拭いながら感極まる。
「俺、りょうまさんが消えちゃったらどうしようかと不安になりましたよ~。」
「心配するな…。今日付で正式に一生俺から離れられない体にするから。」
「……え、今なんて……」
りょうまさんが俺をマッサージマットの上に押し倒す。
「施術を始めさせて頂きます♡」
_________♡____________________
「んんんっっ!待ってりょうまぁぁん♡……ンハァッ……!」
足から首元まで全身這いつくばるように舐められる。乳首を唇で挟まれると、熱いねっとりした舌が舐めまわし、吸引される。ゆずの中の感じる部分が濡れる。りょうまさんが手を抜くと、手には粘つく液が大量に着いていた。
(今日は量が多いっ……)
りょうまさんは囁く。
「ゆず。今回は妊娠するかもね。」
「俺は妊娠なんかっ。」
同時にりょうまさんのものが俺の入り口に入る。入り口が吸い付いて、りょうまさんを体が求める。
「こんなに欲情してくれるんですね。」
りょうまさんのものはゆっくりと奥へ奥へ行くがなかなか貫かない。
「は……んっ……ぁ……」
ゆずの口はりょうまさんの口で優しくあてがわれる。ゆずの舌はとろけ、熱を帯び、唾液が大量に出る。
「……いい……から、早く…俺をっ……貫いて……、りょうまが……欲しい…!」
「おねだりよくできました♡今からアイテム出します♡」
りょうまさんは瓶から液体を出すとゆずの全身とりょうまのものに塗る。その香りを嗅ぐだけでゆずの体はゾクっとした。
「サンダルウッドの香りのオイルです。知ってますか。性欲を増進させる効果があるらしいですよっ。」
ゆずは全身てかてかになった。りょうまさんはゆずを思いっきり貫いた。りょうまさんが動くたびに股間は滑り、クチュクチュと音を立てる。
「ゆず。一生……俺のものに……なってくれないか?」
「りょうましゃんと___ずっと___いたぁぁぁい♡」
りょうまさんはゆずの首筋に強く噛みつく。
「はぁアッ!」
ゆずはあまりの激痛と衝撃に意識が飛びそうになった。そして、よりりょうまさんを強く感じる。りょうまさんからのオスの匂いがたまらない___。
「あ~~っんあっ………イッイクぅ~~~~ああ゛あん!」
りょうまさんも発情し、我慢してた精が勢いよくゆずの奥に注がれる。
「はっ……ああ~~~~~~~~~っ!!」
あまりの量の多さにゆずは背中をのけぞった。りょうまさんは座位から後背位に変える。ゆずは淫らにりょうまさんに尻をつき上げる。りょうまさんのものが最奥部を突き、激しく動く。振動する。行為が終わった時、ゆずは力尽き果て、腰を高くし、寝そべることしかできなかった。
その頃______、
マッサージの店員方はドアに聞き耳をたて、2人の喘ぐ声を興味津々で聴いていた。
「若いっていいわね~。感激しちゃった!」
「VIP部屋で良かったですね~。多少防音効果もあるし。」
「お邪魔しちゃ悪いだろ。仕事に戻った戻った。」
「一番興味あるくせに~。」
「ぅ、うるさい!とにかく___りょうまが成功して良かった。」
「ですね!」
りょうま応援隊(店員方)はミッションコンプリートした。
 
6章
朝、俺は目覚めるとやはりりょうまさんの部屋だった。起きあがろうとするが、立つことができず、ベットに座る。りょうまさんはすぐ隣で寝ている。俺を運んできてくれたのか……。体が重いのは性交した後、いつもそうだが、今回は体がほってりと熱い。うまく思考をまとめられない。
「ゆず……起きたのかぁ……。今日は早いな。」
上半身起き上がったりょうまさんに寄りかかる。
「ど……どうした?」
「体が……ほってり熱いです……」
「熱でもあるのか……。今日は看病するから寝てろ。」
熱があるようなないようなという日が続き、1ヶ月ちょっとたった。その間の助手は休みになり、りょうまさんの自宅で暮らした。りょうまさんはスマホや参考書などで調べた挙句の結論、…_____。
「ゆず、妊娠の可能性がある。ちょっとトイレに来てくれ。」
俺は戸惑いながらも妊娠検査薬で試した。
“陽性”だった。
「妊娠してました……。俺、男ですよ!?」
「いや、Ωは男でも妊娠できるって_____」
「Ωってなんですか?」
「話して……なかったのか……」
そこで衝撃の事実を知った。オメガバース。どうやらΩが俺でαがりょうまさんで、Ωは男でも妊娠でき、発情期になると甘い香りを出すらしい……。(甘い香りは例えとかじゃなかったんだ……。)今回の性交で俺とりょうまさんは番になったらしい。
「妊娠したからには……お腹が大きくならないうちに互いの両親に挨拶に行かないとな。俺の両親は自由奔放な人だし海外に2人で住んでるくらいだから大丈夫そうだが……ゆずの両親は大丈夫そうか?」
「……まずいかもしれないです。」
俺の家は由緒正しき家で士族の末裔である。祭事ごとにはとにかくうるさく、小家族だけでやればいいものを本家だけでなく分家も来て祝ったり、弔ったりする。そして、とにかく古風な家なのだ。不運なことに俺は本家方の1人っ子なのである。
「2人なら片付けられる。まずはご家族に連絡を取ってくれないか。」
「……頑張ります!!」
 
 
俺はりょうまさんとの結婚のため、そして妊娠したことを報告するため、実家に電話をかけた。
『もしもし、九条でございます。ご用件はなんでしょうか。』
聞き慣れた、優しい声がする。召使いの東堂律子さんだ。
「ご無沙汰してます。九条柚結です。ご報こ……」
『おぼっちゃまぁ゛~~~~~!!』
急に大きな濁音ボイスを浴びたため、思わずスマホを耳から遠ざける。
『心配したのですよ。大学生になられてから一人暮らしなされて心配で心配で…。もうお一人は寂しいですか?いつでも迎え入れる準備はできて…』
「1週間前に行ったじゃないですか、律子さん……。それとご報告がありまして……」
『なんでしょう?』
「結婚したい方がおりまして」
『ぼっちゃまが結婚!?お見合いを何度も断ってきたぼっちゃまが!?とうとう腰を上げましたか。どちらのお嬢さんで。』
電話越しでざわついている。きっと父さんも母さんも祖父母も聞く耳を立てている。律子さんは感極まり泣いている。
「実は……男で。それで……妊娠してて……」
『ぼっちゃまが男なのは皆知ってますよ。しかしぼっちゃまが早くその方に手を出すなんて……大層な美人なんでしょうね___!』
「いえ!相手の方が男で、俺が妊娠してしまったんです!!」
1分くらい律子さんからの応答がなかった。
「あ、あの……律、子さん?」
『……俺に代わった。』
「父さん!?」
『今日、13時30分~昼食を交えて家族会議を行う。相手の方も連れてこい!命令だ!』
「あっ待ってとう……プゥプゥプゥ______」
電話の停止の音が部屋に響いた。りょうまさんがこちらを覗いてくる。
「難色……だったか?」
「それが……、13時30分~昼食を交えて家族会議が開かれるそうなのですが……。りょうまさんも連れてこいとのことで……。」
「朝食済まして掃除終えたら行くぞ!」
「いいんですか、りょうまさん。きっとりょうまさんを俺の家族が傷つけるかもしれません___」
「でもずっとゆずといたい気持ちは変わらないから。覚悟はできてる。」
季節は秋真っ只中。九条御旅館は特徴的な模様の枯山水に赤々しい紅葉がひらひらと舞っては落ちている。苔は茶ばみがかっており、石庭の上には上品な赤のシートが敷かれ、普段の観光客はここで茶の作法を体験しているのだろうと思わせるほど、抹茶の香りを彷彿させた。2人は回廊を歩いていた。りょうまさんは疑問に思う。
「なんで……観光客が1人もいないんだ?こんないいところなのに___。」
「今回の件で運営を中止したそうです。」
「すっすごいなご家族……」
「あと……人数に驚かないでください。」
ゆずが言い終わるか終わらないか頃に律子さんが来た。
「ぼっちゃま~~!こちらがお相手さん?」
りょうまさんが目配せする。
「そうです。」
「そうねぇ……。お顔は100点満点。」
「ありがとうございます。しかしゆずきさんに相応な男でいられるよう、日々努力して参りますので宜しくお願い致します。」
「いいお相手さんねぇ~。私は2人を応援しております。まぁ、私には発言力はありませんけどね。」
小声で律子さんは付け足した。彼女には受け入れてもらえたようだ。
「では……、りょうまさん、ご武運を。」
律子さんが襖を開けた途端、部屋の装飾やご馳走にも驚かされたが、何より久しぶりに見る人数の多さに圧倒された。
「こちらがりょうまさん?」
甲高く、鋭い母さんの声が響いた。即座に値踏みが始まった。
「容姿は充分だこと。でも肝心のお家柄がね~。席についてじっくりと話しましょ。」
そこは大宴会のブースであり、俺たち2人を囲むようにしてテーブルが配置され、常に人の目があった。りょうまさんと2人で席につき、質問攻めされたがほとんどりょうまさんが冷静に対処し、その回答の速さと正確さ、受け答えの良さに家族は感銘を隠しきれてなかった。
 
同時並行で__________________。
九条御旅館に不法侵入し、紅葉の木の後ろに隠れてじっとりょうまさんとゆずの様子を窺っている怪しげな2人がいた。
(聞いてない。聞いてないぞ~結婚なんかっ!急展開すぎじゃない!?まず恋敵として俺に一言言うべきじゃない!?in如月)
一方、
(ど、どうしよう……。招集がかかった。やだ!あんな場なんて行きたくない!というかなんでゆずさんと久東とかいう教授さんがうちの家にいて、しかも歓迎されてんの?意味分からないよ~!!inれおくん)
2人が別の理由で混乱し、頭を抱えていると、一瞬目が合った。
((えっ!!え~~~~~~~~~~~~!?in如月&れおくん))
小声で2人は話し合った。
「どうしてじんくんがここにいるのっ!」
「こっちのセリフですよっ!?なんでれおくんがいるんですか!?」
「ここ俺の家ですよ。招集がかかって……うっわぁ!」
れおくんが小枝につまずき、じんくんに倒れかかった。
「今、ポキって音がしたわね。」
ゆずの母は音に敏感に反応した。
「庭師~。害獣が侵入してるかもしれないから、駆除宜しくね。」
「かしこまりました。」
庭師が害獣の尾を採るためのはさみを庭に向けた。その時、れおくんは如月を押し倒している状態にあった。2人とも緊張し、何も言葉を発さず見つめあっている。しかし、茂みに刃物を突き出されれおくんの鼻先に刃が当たった途端、彼は立ち上がり叫んだ。
「うわぁぁーーー!ごめんなさ~~~い!」
突然のれおくん、(そしてひょっこり登場した如月)に一同は唖然とした。
「れおくん!?なんでいるの!?」
ゆずが混乱していた時、律子さんは微笑みながら言った。
「れおくんは家族じゃないの~。一条さんのとこの。子供の時はよく一緒に遊んでおられて。」
ゆずは驚いた。まさか分家の子だったとは____。
そしてりょうまさんは怒りのせいか鼻血を流していた。
(如月…____!ここまでついてくるのか____!)
「りょ、りょうまさん血が!」
「大丈夫ですか?」
「誰かティッシュを…____」
もうこの場を誰も止められなかった。
如月さんもれおくんもみっちり叱られた後、席について食事を堪能した。
「皆さ~~ん、今日の目的をお忘れ?」
母さんが場を制し、一同は和やかなムードから一気に緊張感が走る。
「では、りょうまさんと愛しの息子ゆずきの結婚の申し出に際しまして、意見がある方は挙手を。」
威厳のある面持ちで俺の祖父、現当主が手を挙げる。
「男同士で結婚するなど……けしからん!しかもゆずきが男役ならまだしも……女役だと……!九条家の跡取り息子として恥は在らんのか!?」
祖母も難色を示す。
「まず男性が妊娠できるということも驚きですが___、ゆずきには普通に素敵なお嬢さんと結婚し、幸せになってほしいです……私達は長くはない身ですから……。安心させてくださいまし__。」
母さんも意見を言った。
「男同士以前の問題でお家柄がよろしくないわっ!調べさせていただいたところ、極普通の一般家庭でお育ちじゃないですか。庶民は引っ込んでくださる!?」
その後も本家分家同士が討論していたが、やはり男同士というものに納得がいかないのだろう。辛いな…__。なんで受け入れてくれないんだろう。目頭が熱くなる。
「みっ皆さん!あ、あのその…、愛に性別って関係あるのでしょうか!」
上ずった声で如月さんは一同を制した。
「じ、じんくん___。」
優しいな……涙ぐんでしまう。
「何よ!あなたには関係ないでしょっ!」
「ゆず先輩が…、ゆず先輩が久東さんと結婚したいって言ってるんです!なのに……皆さんゆず先輩の気持ちを全く考えてないじゃないですか!」
「ど庶民は引っ込んでなさいっ!!」
「俺も!」
れおくんも立ち上がって意見する。
「俺も……じんくんの意見に賛成です。好きって気持ちは止まらないと思うから……結婚を家族として祝福すべきだと思います。」
「れお__。まだ大人じゃないから分からないのよ。血統を継ぐということは覚悟を決めないといけないし、なるべくね……汚れたものを混ぜたくないのよ。第一、……りょうまさんはゆずきを置いて逃げるかもしれない。」
「そんなことはありません!」
りょうまさんが断じて言う。
「可能性がゼロではないということよ。」
「……ここで証明して見せます。俺とゆずきさんとの愛を。」
 (……………………は?)
一同は思考停止する。りょうまさんは俺を優しく抱くと、片手で俺のシャツのボタンを丁寧に外してく。もう片方の手でズボンのベルトも緩められ、尻を大きな手で支えられる。声を堪えるのに必死だった。りょうまさんが俺の鎖骨にしゃぶりつこうとしたとき___、
「な、なんて素敵な純愛なの……!」
周りの女性達は美しいものを見るかのような眼差しで俺達を見ていた。母さんまでも……。
「私、2人の結婚に賛成です。りょうまさんならゆずきを幸せにしてくれるわ……!」
「今まで読んできた恋愛小説にはこんな描写ございませんでしたわ!!……お美しい……。」
女性陣はりょうまさんに惚れ惚れしていた。
「ええい!!これのどこが純愛じゃーーー!!ただの男同士のじゃれ合いじゃないか!!愛などないじゃろう-!!」
祖父が怒鳴る。しかし誰も彼に乗らない。母さんを筆頭に女性陣は冷ややかな目で彼を見る。
「私、実は考えが古いなと思っていたのよ。いいじゃない。子供産まれて後継ぎができるわけですし。ゆずきのお腹から出てくる子よ。絶対かわいいに決まってるわ。ね、りょうまさん♡」
「はい!ゆずきさんも産まれてくる子も絶対かわいいです。」
「キャーーー!ゆずきもだって!抜け目がないわね~。」
黄色い歓声が上がり、結局、俺とりょうまさんの結婚は満場一致で承諾された。
「じゃあ早速、結婚式の前に色打掛の試着をしましょ!お腹が大きくなる前に見てみたいの!ゆずきの色打掛姿!律子~~!お2人を更衣部屋にご案内を!」
「承知いたしました。」
丁寧に律子さんは母さんにお辞儀をすると、りょうまさんと俺を更衣部屋に案内してくれた。
ゆずは色打掛に着替えた。律子さんによると、色打掛は和装の結婚式でお嫁さんが着る衣装らしい。織りや刺繍、括り染めで華やかな模様が描かれており、丈の方には大きな鶴が羽ばたこうとしている。全体的に赤色で、肌の白さがより際立つ意匠であった。
「素敵です、ぼっちゃま___。」
ゆずの隣では律子さんが目にハンカチを当て、シクシク泣いていた。
「…今まで……近くで応援してくれてありがとう。」
「ぼっちゃま~~~~!!とても嬉しゅうございます~~~~!!あ、そうでしたそうでした。しばらくりょうまさんと夫婦ご2人でくつろいでいたらとのことでした。2人のお時間、ごゆっくりお過ごしくださいませ。」
襖が勢いよく閉められる。
「……ッはぁはぁ……。素敵ですゆずきさん、いや、ゆず___。もう俺、我慢できません……」
りょうまさんはゆずを抱き寄せると、濃厚な甘い口どけのキスをする。じっとりと舌を絡ませながら___。
「りょうまっ……激しくはできないかもっ……」
「元から激しくしようなんて思ってないよ……。だって__。」
りょうまさんはゆっくりとゆずの色打掛をはだけさせる。
「赤ちゃんが……いるからな。労わらせてくれ、ゆず。」
りょうまさんはゆずのお腹をぽんぽん優しく撫でる。
夕暮れどき____。オレンジ色の日差しが簾から差し込む。りょうまさんが近くの紅を自身の口につけ、俺の口に押し当てる。愛を間近で感じられるキスが一番好きだなと思ったゆずであった。
 
エピローグ
無事に結婚式を終えた俺達は、同居することになった。俺は結婚前と変化はあまりないが、ゆずは大きかったと思う。彼の家を売り、何より助手を辞めたからだ。また、順調にお腹は大きくなっている。いつも通り大学から帰ってきた俺は目に飛び込んできた光景に驚いた。ゆずが俺の洗濯物を円形状に積み重ね、その中で丸まりながら眠っていた。俺の枕を抱えながら。まるで___、巣作りを終えた母猫みたいであった。思わず抱きしめたくなる。俺の手で守りたくなる。しかし圧迫すると赤ちゃんに悪いのでゆずの額を撫でる。
「一生俺が守るから____。」
そう言うと俺はゆずのうなじの黒子にキスをした。
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